小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

どうも、薬師出雲だ。
いやぁ、この前の天狗騒ぎは大変だったな。あんだけ高火力の攻撃を浴びせたにもかかわらず、天魔も一緒にいた大天狗も生きてた。で、天魔も負けちゃったから天狗たちは降伏を宣言。
べつにそんなに悪いやつじゃないってことが分かって、今じゃ鬼と天狗は打ち解けている。というか天狗たちが山に移り住んだ。
で、サブタイトルからも分かる祝い事の席っつーわけだ。それも『鬼神』大雉牙煉のだ。
なんともまぁ、鬼神と美月が結婚するわけなんだが・・・・。
牙煉の屋敷でかいな・・・・・・・・・・。
葉華と俺が一緒にいる屋敷もかなりでかいから山最高ぐらいかなって思ってたらもっとでかいし。
鬼が約250人、天狗が約100人、カッパが約50人ほど広間に入ってる。
全員呼びたかったらしいが、さすがにそれは屋敷に全員入りきれないので、泣く泣く今の人数で断念したとか・・・・・・・。
いや、充分多いから。
それに、この事実は公表なので、今は山のあちらこちらで祝いの宴会が行われている。
理由付けして宴会をしたいだけだろうが・・・・。
「にしても、牙煉、お前が結婚ってなぁ・・・。ぷっ」
「おい、出雲。我に対してそれは失礼だと思わんか?」
上座に牙煉と美月。下座の一番前に俺、左は葉華、正面には天魔、その横には黒天。まぁ、そんな構図からズラーーーーーーーとたくさんの妖怪が並んで酒を飲み、料理を食べる。
で、俺は丁度よく、牙煉の近くの位置にいるため、牙煉をイジリ放題というわけだ。
「だが我も思うのでな。鬼神よそう思われても仕方がないと思うが」
「天魔、おぬしもか・・・・・」
「いいぞ、天魔、もっと言ったれ」
ハハハハハハ、たまにはこういうのもいいわな。
いつもこれじゃ身が持たんかもしれんけど、ちょっと急速は必要だ。
「葉華、お前もそう思うだろ?」
「ああ、こればかしは出雲に同意せざるを得ないな」
「「はははははははははは」」
「天魔、出雲、貴様らはぁぁぁぁぁぁ」
あ、やべ。これは珍しく牙煉も酔ってるな。こんなところで砲撃をぶっぱなされれば大事だな。
まぁいいか・・・・・・・。
もしかして俺も酔ってるか?
「少しは落ち着いたらどう、美月が可哀想よ。旦那に相手をしてもらえなくって」
黒天の言葉で、サァーーーー、と牙煉をいじっていた者たち三人と牙煉の顔から血の気が引く。
まさしく青白いというのが的確すぎるぐらいに・・・・・・・・・・・・。
そして、美月の目にはうっすらと涙も。
「「「先に失礼する」」」
天魔と葉華、出雲の声が重なり、同時に席をたとうとするが・・・・。
ガシッ
「人の祝いの席にそれはいささか失礼ではないか?」
牙煉に袖を掴まれ逃亡は失敗する。
鬼神の目には貴様らだけ被害を受けないなどという事態はゆるさん。と書かれていたが。
「どっちにしろみんな揃ってひどい」
「「「「ぐはっ」」」」
結局4人揃って美月に殴られてその場は治まった。
ずずずずずぞ。
「落ち着いていればそうもならないのに、仕方がないかしらね」
黒天は一人味噌汁を飲んでいた。

-19-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




東方三月精 Oriental Sacred Place (3) (単行本コミックス)
新品 \1575
中古 \820
(参考価格:\1575)