小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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薬師見聞録、古の雄大なる自然の章。 著 薬師出雲 太聖葉華・・・・・・・・・・・・・・
 &#12316;現代語訳より一部抜粋&#12316;

恐竜が平原を駆け巡り、弱者を喰らう。

どこにでも見られる風景。

春は花が、新芽が生え色とりどりに染まる。木々は力強く、天高く目指して伸びる。鳥たちは新たな生命を抱く。

夏は日が照り、草木が青く染まる。植物が実を成し、我ら命に新たな喜びを与える。

秋は夕焼けを眺めながら酒をあおる。山々の木々は色鮮やかに染まる。まさしくこの世の楽園のように、誰もが目指す理想郷のように・・・・。

冬は命が姿を隠す。強き者たちも活動を抑える。弱きものたちは来年、また輝きを見るために暗闇の深くへ。


鬼たちは酒を年中飲み、宴会を続ける。
かといって、何も他にしないわけではなく、先頭の訓練を行なったり、急激な発展を続ける人里の監視、妖怪たちの統率。その他にも様々なことを行なっている。

天狗たちは鬼に巻き込まれ酒を飲む姿がよく見られる。
彼らは、鬼との戦いに敗れ、今では山の警備を行う担当にもなっている。彼らの空中での戦闘能力、及び速力は素晴らしいものがあり、未知の土地の探索に向かうこともしばしばある。

河童たちは河に佇み、山に登ってることは少ない。
彼らはあまり強い力は持っていないが、ほかの妖怪のほとんどが持っていない特性ゆえに重役になれたという。

山にやって来た時には既に天狗以外の構図は出来上がっていた。
そのため河童についてはあまり詳しきことを我は知らない。

「出雲、何書いてるんだ」
「あ、葉華。返せ」
「見てから返す。・・・・・・・・・ふーん、こんなことを書いていたのか。私については書かれていないな。お前についても。私が書いておくよ」
「いいから返せ」

この書を書くものは薬師出雲。
人間でありながら鬼の頂点である『鬼神』大雉牙煉を幾度となく下している。
さらには、自然を操る能力を持っている。その影響か一切歳をとることがない。また、自然の化身のような存在にも捉えられる。妖精たちも、彼を前にするとイタズラをしない。つまりはそれだけ自然に愛されているのだ。
長生きしているため、霊力や魔力が半端ではない量を有する。
鬼神を下した技も魔力を大量に束ねて発射する技であった。名を『マスタースパーク』と冠している。
彼についてはここまでにしておこう。
勝手に彼の書いていた書物に私、『太聖(たいしょう)葉華(ようか)』が記す。

誠に勝手ながら私についても書かせてもらう。
私は薬師出雲の同居人である鬼だ。
能力も一応持っている。どうやら鉄を操ることができる。が、私の戦い方とは合わないから戦闘時に使ったことは一度もない。笑いものだな・・・・・・。
まあ、これでも鬼の四天王の一人だ。
これぐらいだな、今のところ書くべきことは。



・・・・・。
我々の住む山から南へ10kmほどの位置に人里がある。
そこに住む者たちは、二人の転載を中心に急激な発展を続ける。
この前まで弓という武器を使っていたかと思えば、今度は銃という武器を使い出す。
挙句の果てには動く箱だ。
妖怪と彼等の間には過去に起きた事件により深い溝がある。
こちらとしてはいつ攻めてくるかと怯えていなくてはならない状況だ。はた迷惑である。
事件については少々前の方を読み直して欲しい。

人は、まぁ、我も人であるが・・・・。

怨みの感情で動いている。

忘れてはならない。

人は、そしてすべての妖怪、生き物は怨みだけでは生きていけない。

そこには喜び、悲しみ、幸福、絶望、様々な感情がなくては生きていけない。

それがひとつだけになったとき、内側からその存在は崩れていくだろう。

どす黒いものに・・・・・・・・・・。

何よりも黒いものに・・・・・・・・・・・・・。

存在意義が怨みに縛られ・・・・・・・・・・・・・・・。

自らの世界を破滅へと導くことになる・・・・・・・・・・・・・・。

自然を操るものだからこそわかる。

人は自分たちの力だけでは生きていけない。

忘れるな、そこにはもともと自然の力があったことを。

なくすな、自然を敬う心を。さすればいつのまにか幸せになれる。

-20-
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