小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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「第一防衛ラインに敵が攻め込んできた模様です」
「了解、第一防衛ラインからみんなを下げて」
「はっ?」
「いいからいいから」
さぁ、攻めて来い。攻めれば攻めるほど不利な状況に陥るぞ、人里の者たちよ。
知恵が知恵があるほど悔やむことになるぞ。
俺の策略はそういったものだ。
本当の狙いは黒天や葉華程度しか気づいていないだろう。牙煉すら気づいていなはずだ。普段俺の周囲にいる奴しか気がつくことは出来ない。
いや、寺子屋の奴らなら気付くことができるかもしれないな・・・・・・・・・。
伝令のやつも困るな、これじゃぁ。
「前線の葉華なら意図を理解してるからそのまま伝えて」
「了解しました」
っとと、忘れてた。どうも、鬼畜なことを考えていた薬師出雲だ。
敵には容赦はしないぞ、情をかけたらその分だけ隙を疲れる。守る側は有利になれるがそれは守る側の人間がしっかりとしていればの話だ。
さてさて、奴らはどう出るかね・・・・・・。





「撃て、撃ちまくれ。壁をぶち壊せ」
「「「「「「はっ」」」」」」
ふははははははははは、これで奴ら妖怪も終わりだ。
これからは完全に人だけの世界だ。
ふんっ、この俺、風連尺(ふうれんしゃく)光宗(こうしゅう)の手にかかればな。
にしてもこの壁は高いな。10mはあるんじゃないのか?まぁ、どれだけ高かろうが爆弾で一瞬だけどな。
「よし、爆弾を「お待ちください風連尺様」どうした」
チッ、くそっ.
気分がせっかく高揚してきたのに水をさしやがって。
「銃で全く壁に傷がついておりません」
「なんだと!?」
冗談だろ、たかが妖怪の作った壁だぞ。崩れないわけが・・・・・。
「傷がねぇ・・・・・」
防壁には一切の傷がなかった。
「ば、爆弾だ。爆弾でさっさと吹き飛ばせ」
「はっ、はい」
くそったれ、妖怪どもめ。&#10006;&#10006;には口説けば殴られる有様だ。すべて妖怪のせいだ。
それも過去に人間い化けてきたやつの。
コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス。アアコロスサ、ミテテヨ。イマカラキミノホレタアイテヲコロスカラサ。&#10006;&#10006;・・・・・・・・・・・・・・・。
「風連尺様、爆弾でも壁が壊れません」
「アァ、ワカッタヨ。ジャァ、ダレカガ踏ミ台になっテ壁をノボロウ」
「ひっ?」
「早クやれヨ、里に使いヲ出せ、梯子を持ってコさせろ」
「わ、分かりました」
ははははは。
始まるよ俺たち人間ノ世界ガ・・・・・・。





「敵は第一防衛ラインを越えてきました。第二防衛ラインで迎撃体制を整えています」
「くるか。壁を登ってでも・・・。第二防衛ラインは下げさせて。全防衛ラインから第三防衛ラインに妖力弾を撃てる者を集結させてくれ。河童たちには上空に赤い光が上がったら。と伝えてくれ」
「・・・・・了解しました」
「信じろ。勝てるぜこの戦」
ああ、勝てる。ことはうまくいっている。勝てるさ・・・・・・・・。
全てはこの手のひらで踊っているにすぎない。


第三防衛ライン
「奴らが第二防衛ラインを登りきったら同時に可能な限り連射しろ」
「「「「「「「「了解」」」」」」」
「鬼に負けてるんじゃないわよ、遠慮なくぶちまけなさい」
「「「「「「「「応」」」」」」」
第三防衛ラインに葉華、黒天は鬼と天狗の半分近くを率いて来ていた。
ここで敵のほとんどを叩くために。
『登れーー。あとちょっとだ。ここまで何もないんだ。こんな壁ただのお飾りでしかないんだ。さっさといけぇ』
正面からは敵の声が聞こえてくる。
つまりはもうすぐそこまで敵が来ているのだ。
そして・・・・・、最初の人が登りきった。
「「撃て(撃ちなさい)」」
妖力弾と鉄すらいともたやすく斬れる木の葉が雨のように降り注いだ。
『グワッ』
『て、敵だぁぁぁぁぁ』
『構わん、登れ。登り切り次第銃を撃て』
葉華は心の中で軽く笑みを浮かべる。
そんなもの策とは言わない。
無策で攻めて来るなんて自殺願望も過ぎると・・・・・・・・・・。





「なかで何やってンだよ部隊長たチは。やられまクってルのかよ」
人の軍の全体を指揮するものは壁の中に入ることはなかった。
各部対ごとの隊長たちに任せて・・・・・・。



「そろそろいいな。第三防衛ラインを放棄、赤の妖力弾を葉華に上げさせて」
「了解しました」
さぁ、この戦も最終局面だ。
これで僕たちの勝利は決まる。勝負はついた。


「撤退、撤退。全軍引き上げろ」
葉華はそう言うと自分は上空に赤い光を放つ。
「これでいいんだろ、出雲・・・・・」
彼女の声を聞いた人間たちが第二防衛ラインこと二番外壁を越えて三番外壁を登り始めた直後。
彼らは『轟ッ』と音を立てて迫り来る濁流に飲み込まれた。



「は、はは、はははははは、あはははははははっははははあはははああ、ああ、ははは。やってくれるじゃないか。壊滅だって?ひどいものだよ。ふはははっははは。あっっははははははっははははっはは」
一人の人間はその身を狂気に染める。

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