小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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どうも、もうそろそろ一億ぐらい生きている気がしないでもない薬師出雲だ。
今現在、山の妖怪たちは玲奈、美奈を除いて隠れさせている。妖精たちはかくれろと言っても聴かなかったけどな・・・・・・。
まあ、理由は簡単だ。
ただの人間だと思っていたやつらが山に入ってきて、畑を荒らそうとしている。
最初は何人か畑の周りで防御させるか、なんて考えていたんだが、中に一人ものすごく霊力が高い少女がいる。多分の話で言えば、この集団を守る陰陽師のようなものだろう。
で、余りにも霊力が強すぎるので、相手の戦闘力が未知数。下手に弱いやつが前線にでて死なれても寝覚めが悪いので強さのランキングTOP3で迎撃することに・・・・・。
まぁ、とりあえずは、畑を荒らすまでは様子を見る。荒らさなければ存在を無視するが、荒らして勝手に食べたりすれば攻撃に移るという流れだ。
「すぐに攻撃はするなよ、俺がとりあえず話をするから」
「めんどくさ、大体なんで俺が・・・・・」
「はぁ、私も今日は乗り気がしないよ?」
・・・・・・・なにこのぜッ不調の状況は。
あれか、紫色の丸い顔がため息ついている状態か?
あ、何かわからない?あのパワプロの好調とか不調とかの状態表示のやつの絶不調のマークだ。
「まぁ、ともかくとしてさっさと殺すのはなしで。と言うか殺すな」
「わかったよ、ったくよなんでこんな気が乗らない日に限ってめんどくさい事態になるんだか」
「いつも以上に荒れてるよ?」
知らないよ、なんでこんなにも不調なんだか。
「・・・・・・、そろそろ来るぞ」
出雲の目が急に真剣なものになり、それにつられるように玲奈と美奈の目も鋭くなる。
山にいる妖怪たちのほとんどが妖力を隠している。全員ではないのは、逆に全く無いと怪しいからだ。
そして、出雲たち三人も霊力、もしくは妖力を自分にできる最大限で隠している。
だから、多分人からは畑の真横の林に強者が隠れているだなんて夢にも思っていないはずだ。
「あ、あったぞ。あそこだ」
「おお、凄いたくさん」
「すげぇ、こんなに広大な範囲に・・・・・」
「みなさん待ってください。なんかあった時のために私の近くにいてください」
老若男女の人の集団が出雲の畑へとたどり着いた。
そして・・・・・・・・・・
「だれも近くにいないし食っちまおうぜ」
「お、おう。そうだ。誰かが育てているものでもなさそうだぜ村長」
「・・・・・・」
「大丈夫だって村長、もし誰かのものだったとしても主人が帰ってくる前に逃げればいいし、いざとなれば殺せばいい」
・・・・・・・・・・いい度胸だな本当に。
というかうすうす感づいてるんだろ、ここが人が育てている野菜の集まりだってことに。
「「「じゃ、食おうか」」」
何人かの若者が畑に入り、野菜を手にとろうとしたときだった。
ズガン
そんな音とともに、畑の真横の畑から強大な一つの霊力と、二つの妖力が人々の集団に重圧を与えた。
そして、何人かはその重さにパタンと座り込んでしまっている。
「いい度胸だ、人の野菜を買ってに食べようとするなんてな」
「あーあ、大将がきれちまった」
「はぁ、なんでこんなことをしたのかな?山で訓練している妖怪たちが怒るよ、自分たちの競争に大将が八つ当たりで混ざってきたって?」
林の中からゆっくりと三人が姿をあらわした。

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