小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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「今回は玲奈が留守番役で美奈が100ほどつれて俺と一緒に祟り神のところに行く。いいな」
「留守番かよ」
「わかったよ?」
あ、どうも。ちょっと仕事を済ませてこようと思っている薬師出雲だ。
これまで興味がなかったから、近隣にはどのような神がいるのかも知らなかったが、今回のことで各地に妖怪たちを派遣してどのような統治が行われているのかを調べ始めてみた。
とりあえず、隣の祟り神は、ミジャグジさまという神々を束ねて王国を作り出しているらしい・・・。名前は洩矢諏訪子。
「では、参りますか・・・・・・・」
「・・・・いってらっしゃい」
「「行ってきます(?)」」
一人の青年と少女は、妖怪たちを後ろにひきつれ、行軍を開始した。











「今回の計画としては、悪いがお前たちにはミジャグジという神々の引きつけやくになってもらう。そっちでミジャグジが戦っている間に俺が洩矢諏訪子を倒す。いいな?」
「「「「「応」」」」」
出雲の勢力範囲内ギリギリの地点でひっそりと彼らは作戦会議を行い、これから攻めようという時だった。
「諏訪子様、いましたぞ」
一人の人間の男が異形の集団に向けて指を指しながら自分の後ろの方に向かって叫ぶ。
「っ!!
妖怪の一人が男に向けて咄嗟に刃物を投げるが、時すでに遅し。
彼の叫び声で、神力が近くに集結しつつあった。
「仕方がない、ミジャグジだけを迎撃しろ。洩矢諏訪子はこっちで潰す」
しかし、出雲の判断も早い。
過去に起きた戦いではこれ以上の事態など何度もなった。
だからこの程度で焦ることはないのだ。そして、自分たちの上官がパニックになっていれば、下士官にもパニックが伝染するだろう。
だが、出雲は逆に落ち着いた指示を出す。一切の焦りや不安は見せず。
そのためか、逆に妖怪たちには安堵のようなものが広がっていっていた。
奇襲をかけても、相手がパニックになったりしなければ普通に迎撃されることとなり、した側の方がい蓼を負うこともよくある。
「かかれっ」
相手のミジャグジの集団からそんな声が聞こえるとほぼ同時に、白い蛇の神が大量に押し寄せてくる。その情景はまるで大地が凄まじい速さで動いているようでもあった。
「行くよ?」
出雲がわの陣営も美奈の声がかかると、白い蛇の神々(ミジャグジ)を迎撃するために動き出す。遠距離の攻撃が得意なものたちは妖力弾を作っては撃ち、作っては撃ちを繰り返したり弾幕を張って自分に近寄れないようにする。
逆に、接近戦が得意なものたちは素早くでミジャグジに接近するとその体を殴り飛ばしたり引き裂いたり、投げたりと様々な攻撃方法で、自分たちより数が多い敵をなぎ払っていく。
その優勢な戦況を確認した出雲は上空に飛び上がると、ミジャグジたちの後方へと飛ぶ。
そして、そこにはひとりの幼女が待っていた。
「待ちくたびれたよ薬師出雲どの。私が洩矢諏訪子だ」
不敵に笑う少女に、出雲は悪寒を感じた。
その嫌な感じを払拭すべく、構えるが、洩矢は一切動こうとしない。
それどころか多少唖然としたところもあった。
「私が全力で祟りを込めたのにねぇ・・・・・・」
「?」
洩矢の言葉をそのままの意味でで受け取ると、先ほどの悪寒は洩矢が放った祟だったということになる。早々に祟で決着をつけようと考えたのだろうが、出雲にはその祟が効かなかった。だから、唖然としてしまっている。
「まあ関係ないか、どっちにしろあんたは負けて私の下に降るのだからねッ」
洩矢の投げた鉄の輪を皮切りに、二柱の戦いが始まった。
それはまさしく、神々の争いとでも言うべき争いが・・・・・・・・・・。

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