小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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諏訪子の周囲の大地が盛り上がり、鋭い槍となって空中の出雲に向かって襲い掛かる。
しかし、出雲は小手調べのような攻撃を食らうわけも無く、それは霊力の塊に掻き消される。が、諏訪子は手を休めることなく大地の槍を連射する。ときおり、それは形状を変えて横に向かって針が発射されたりもしたが、出雲は難なく弾いた。
「さすがは黒霊峰の総大将か。でもまだ終わらないよ」
近くの山が、形を変えて大きな人の腕のような形になる。
「おいおい、まさかとは思うが・・・・・」
「そのまさかっ」
巨大な山でできた腕は出雲に轟音を立てながら迫り来る。
受け止め様にも、威力が強すぎるせいでただではすまないだろう。
しかし、下手によけてしまっては諏訪子本体からの神力による攻撃があると考えていいだろう。
ならば・・・・・・。
出雲は右腕を前に突き出し、そこに魔力を集める。
魔力が光り輝くほど集まった時に、それは放出された。
「マスタァァァスパァァァァァク」
ごうっ
一閃
光が宙を駆け抜け、一本の線を作り出す。その線の射線上には巨大な腕があり、存在もろとも吹き飛ばされた。
「なめすぎてた、行くぞ」
「怖いねぇ、じゃあ本気で行こうか」
二人から放たれる神力の量が急激に上がる。
その力の圧は、二人を中心として風が吹き荒れるほどである。
先手は出雲がとった。移動しながら諏訪子に向けて霊力の塊を連射する。が、その程度の攻撃は幼稚なものでしかなく、諏訪子は大地を盛り上がらせてそれを防ぐと自分も神力の砲弾と大地の槍を連射する。
二人の中間で二種類の弾幕が衝突して、お互いがお互いを消滅させる。
「「はぁぁぁぁぁぁぁあ」」
弾幕の陰に隠れて接近した出雲は諏訪子に殴りかかるが、鉄の環によって弾かれる。
しかし、諏訪子のほうも、衝撃でかなり吹っ飛ばされ、鉄の環も出雲の拳を受けたところから急激にさび始めていた。
「あんた、なにをしたんだい?」
「俺の能力だ、自然を操れる。お前の持っている武器は神力による加護があるとはいえ、自然のもの。さびの発生を早めただけだ」
「っ・・・・・・・・」
お互い、中途半端な距離のため動けない。
下手に動けば逆に隙をさらけ出すこととなり、動かなければ攻撃も仕掛けるのが辛い。
「・・・・・・、諏訪子」
「なんだい、出雲」
出雲は少し自分の腕へと視線を落としながら諏訪子に話し掛ける。
「耐えろよ、本気で行く」
「これまで本気じゃ無かったってのかい・・・・」
そして、出雲の抑えていた霊力、魔力が開放される。
霊力だけで、諏訪子の神力の総量をあっさりと超えており、魔力、神力が追加されることで、量の問題で既に10倍近い差があった。
その開放された分だけ、周囲にかかっている重圧も一気に増える。
何かを感じ取った諏訪子が腕を交差させてガードをするが、出雲は諏訪子のまん前へと目で捕らえきれない速度で移動して、ガードごと0距離で魔力の砲弾をぶつける。
野球ボールを投げるよりも軽く感じられるぐらいあっさりと諏訪子は吹き飛ばされ、空中で体勢を立て直すことができないまま、強力な追撃を受ける。
「ダブルスパーク」
2本の光が諏訪子に向けて飛び交っていった。

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