小説『東方薬師見聞録』
作者:五月雨亭草餅()

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どうも、出雲だ。
また目が覚めたから今度こそ起きようと思って上体を起こしたんだが・・・・・・・・・・・・・どうしてこうなった。
俺の目の前で二本角が生えた女子の鬼が着替えている。
そして、目が合ってしまったようだ・・・・・・・・・。まあ、とりあえず。
「ここはどこだ?」
あえてツッコミは入れないことにした。たぶん気にしたら負けというやつだろうからな。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
どうやら意味はなかったらしい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、はあ、残念だ。







「じゃあここは鬼たちがすむ山の屋敷の1つなのか」
「あ、ああ。うん、そうだ」
手を後ろで縛られた1人の黒髪の青年と、顔をどことなく赤く染め上げている二本の角を生やした白髪の少女が、とある屋敷で対話をしていた。
「ところで・・・・・・・・・・・・。この縄、いつになったら解いてくれる?」
「ほ、解いてなどやらん!」
「いくらなんでも酷くないか?」
「うるさいケダモノ。私の裸を見て発情しおって」
発情した覚えはさらさらないんだがな・・・・・・。
何百年も1人で生きてきたせいだろうな、全然そういった感情が湧かないしな。
「別に発情した覚えは無いが?」
この前のバカ門番もそうだったようにどうせそんなに人の話は聴かないだろうが言うだけ言っておく。自分の精神衛生上のためにな。
「どうせ私は母さんみたいな巨乳じゃなければ、美月みたいなロリボディでもないさ。別に特徴てきなところなんてないショボい体だし人間の男にすら発情されないのさ。悲しくなんてないさ。哀しくなんてないさ。寂しくなんてないさ。泣いてなんかないさ。悔しくなんてないさ。淋しくなんてないさ。ああ、なにもないさ。胸だって平均ぐらいしかないさ・・・・・・。」
「お、おい。お前大丈夫か?」
うつ病とは違うだろうしな。
大丈夫なのか、鬼ってのは。まさかみんなこんな凖うつ病患者じゃないだろうな?
そんな出雲が疑問を抱くなか、時は過ぎていった。

-6-
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