小説『とある技術の物質分散《ディサピア》』
作者:如月()

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学園都市それは、東京西部に位置する完全独立教育研究機関。あらゆる教育機関・研究組織の集合体であり、学生が人口の8割を占める学生の街にして、外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究・運用されている科学の街。また、人為的な超能力開発が実用化され学生全員に実施されており、超能力開発機関の側面が強い。総面積は東京都の約3分の1に相当する巨大都市で、総人口は約230万人(その8割は学生)。それぞれ特色のある23の学区から構成されており、それぞれの学区で独自の条例が、学園都市の法律とは別に制定されている。


第1学区 学園都市全体の司法・行政を統括する機関が集約されている。

第2学区 エンジンや爆発物など騒音の大きい分野の研究を行っている学区。隣接学区に騒音公害が行かないように様々な防音消音設備が備えられている。また、兵器やシェルターの開発も行われている。風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)の訓練(戦闘演習)施設もこの学区に設置されている。

第3学区 地下に繁華街が存在。特にセレブリティ御用達のサロンやサービスが集約されている。

第4学区 食品関連の施設が並んだ学区で、テレビや雑誌で紹介されるほどの有名料理店も存在し、世界中の料理が堪能できるという。

第5学区 主に大学生が居住する学区で、居酒屋などの成人向けの施設が存在する。

第6学区 アミューズメント施設を集約した学区。

第7学区 本作の主人公が住んでいる学区。中学・高校といった中等教育機関を主としており、同校に通う学生や勤務教師たちの生活圏となっており、それに付随する形で生活商店などが立ち並んでいる。「学舎の園」や「窓のないビル」もこの学区に存在し、また9つの他学区と隣接するせいか雰囲気は雑多である。

第8学区 教職員向けの施設・居住区が並ぶ学区。

第9学区 伝統工芸からホログラムまで工芸・美術系の学校を集めた学区。純粋な実力で上下関係が決まり、年功序列が存在しないという学区独自の条例がある。

第10学区 原子力研究施設や細菌関連研究施設など、事故時に大規被害が予測される研究所が集約されている。大規模廃棄物処理場、実験動物処分場なども存在している。また、少年院もこの学区に設置されている。

第11学区 学園都市外周に存在し、陸路最大の搬入口となっている。

第12学区 多種各派の宗教施設が集中し、エキゾチックな街並みを持つ学区。

第13学区 幼稚園や小学校などの初等教育機関が集中している学区。

第14学区 留学生を多く受け入れている学区。居住区は文化圏毎に分れている。

第15学区 学園都市最大級の繁華街。各種マスコミ各社が学園都市における本拠を構えており、流行発信街となっている。

第16学区 商業区で、他の学区からアルバイトを目的に通う学生が多い。

第17学区 自動化された施設の多い工業区。他学区に比べ、人口が極端に少ない。

第18学区 第7学区と同様の中等教育機関を主とした学区だが、どちらかといえば「学園」「学院」の形態を取った小中高大の一貫教育を主とした学校が多く、この学区に本拠を構えている学校はほとんどがエリート校である。

第19学区 蒸気機関や真空管など、前時代な技術の研究機関が並び、街並みは古く、再開発の失敗から寂れてしまった学区。

第20学区 各スポーツ協会が集中する学区。学力よりスポーツに重点を置いた学校が多い。

第21学区 学園都市唯一の山岳地帯。学園都市の水源でもある。天文台などが存在している。

第22学区 第7学区に隣接する面積は地上面2キロ四方の広さしか持たない、地下開発学区。地下数百メートルまで開発が進められており、現開発時点で10の階層に分かれている。ちなみに評判のお風呂施設として知られる、地熱利用の全階層打ち抜きで作られたスパリゾートが存在する。

第23学区 旅客機・戦闘機・ロケットなどを開発する、航空および宇宙開発に特化した学区。また、学園都市にアクセスする空港もこの学区にある。滑走路やロケット発射台が多く、どこまでも平面である印象を見るものに与える。また、旅客機を地下格納庫から緊急発進させるカタパルトを備える。




ー風紀委員活動第一七七支部
燠破は、右腕に連れいてる緑色の腕章を見て眉をよせた。盾をモチーフにしてデザインされたと言われている風紀委員(ジャッジメント)の腕章であった。風紀委員になるには「9枚の契約書にサイン」「13種類の適正試験」「4か月に及ぶ研修」が必須と言われている。風紀委員は、能力のレベルは問われない。しかし、あくまで学生の機関であるので重要な任務に就かされることはなく、装備も必要最小限の物(ゴム弾や信号弾)などを装備している。燠破は、今までのことを振り返り後悔をしていた。

(ちくしょう……、何でこうなっちまったんだよ。)




時は、一ヶ月前に遡る。今現在は、夏真っ最中なのでその一ヶ月前梅雨の時期の頃だった。燠破は、高校の帰り道、第七学区に向かって歩いていて雨がちょうどポツポツと降ってきた時の話だ。

「あぁー、雨かーだりぃー。」

燠破は、スクールバックのチャックを開き折り畳み傘を取り出した。燠破の通っている学校は、最高でも強能力(レベル3)ぐらいのレベルの高校に通っている。

燠破は、折り畳み傘を開いて帰路急いだ。その時ふと、何か変な風に感じた。燠破は、スクールバックを探り財布を取り出した。そして、財布の中身を確認する。

(………………ッ!?かっ、金が一銭も入ってない!!)

燠破は、あまりのショックの大きさに折り畳み傘を落としてしまった。ポツポツと金が一銭も入ってない財布を濡らしいてく。こんなんじゃ、飯も作れねえなーと燠破は思いながら傘を広い歩き出した
。幸い、カードがあったのでお金を引き出すことができる。燠破は、いつも使っている帰路を少し外れ大きい道に抜け出した。燠破が、道を出て一番始めに見たのはパフェのキャンピングカーだった。そこに、女子3人がパフェのキャンピングカーの目の前に立っていて二人が風紀委員。そして、風紀委員の一人ともう一人の服は、常盤台(ときわだい)だったよなー?とか、燠破はのんきな事を考えながらいつも使う銀行に急ぐ。そこで、燠破は、ある異変に気がついた。

(ぎっ、銀行がやってない!?)

燠破がよく使っている銀行は、休日でもないのに防犯シャッターが閉まったままになっていた。まさか、今日は飯抜きかー?と燠破は思いながら銀行から離れて帰ろうとした時だった。

ドカン!!と燠破の真後ろ。つまり、銀行の防犯シャッターが爆発した。燠破はその爆発の爆風によって吹き飛ばされ地面を転がった。

(何なんだ!?)

燠破は、爆発した銀行の防犯シャッターを凝視すると爆風で吹き飛ばされた粉塵が無くなり始め視界がクリアになっていった。銀行から出て来たのは三人組の男たちだった。

「ヨッシャ!!引き上げるぞ。急げ!」

(さっきの爆発は発火能力者(パイロキネシスト)あたりか?)

燠破は、銀行から出てきた三人から離れて三人を凝視した。

(ビンゴ。)

「『風紀委員(ジャッジメント)』ですの。」

すると、燠破の後ろから声がした。あぁ、そういえば、風紀委員が二人いたなーとか危険な状況でもそんなのんきなことが思える燠破であった。

「器物損壊およぞ強盗の現行犯で拘束します!!」

「嘘ッ!?何でこんなに早く…………ん?」

強盗の三人は、風紀委員を見てポカンとし一斉に笑った。

「どんなやつが来たかと思えば
風紀委員も人手不足かあ?」

燠破は、後ろにいる風紀委員を凝視した。

(あーぁ、こりゃヤバイな。拡散力場の流れがヤバイ。大能力者レベルか。こいつ怒らせたら死亡フラグビンビンだな。)

燠破は、めんどくせぇなと思いながらスクールバックをドサリと置く。その音に気がついたのか強盗の三人も燠破に気づいた。

「たくよぉ、テメェらの爆発で俺の制服汚れちまったじゃねぇかよ。あーぁ、穴空いてんじゃん。どうしてくれんだよ!!」

強盗の一人、一番三人の中でガタイの良い男が燠破に近づく。

「そうだな。それじゃぁ、そこにいる風紀委員相手でもしといてくれよ。そうすれば、俺らのこの金で…………。」

ガタイの良い男が言葉を言い終える前に燠破が動いた。一旦、男の左側によけそして、パシッと腕を持ち足を払った。男は、そのまま顔面から地面にぶつかり意識を失った。

「目の前のことに夢中になり過ぎて足が疎かだぜ。」

燠破は、一人目の男をなぎ倒すと後二人を見た。

「やるじゃねぇか。だがな、俺らだって能力を使えねぇ訳じゃねぇんだぜ。」

男は、そう告げると右手から真っ赤な炎を噴き出させ出現させた。

(やっぱ、発火能力者(パイロキネシスト)か。)

「おい、戦う前から手の内見せやがって舐めてんのかよ。そういうこは、ギリギリまで隠すもんだろ。」

燠破は、ヤレヤレと言った感じです肩をすぼめた。

「お前わかってんのかコレ!!強能力(レベル3)だぞ!もうちょっとビビったり警戒したりしろよ!!」

「まあ……、確かにすごいな。」

燠破は、少しだけ間を開けて言った。

「強能力なんて、すげぇよ本当に。俺の場合なんて『測定不能(レベルE)』だぜ?本当に羨ましい限りだよ。」

でもな、と燠破は付けたした。

「能力の開発途中で壁にぶち当たって、これが限界だと自分で勝手に決めつけた口だろ?」

強盗は、口を結んだまま直様行動に移った。男は、手に炎をまとわせ燠破に突っ込んだ。燠破は、その男の腕をつかむ。周りから女性の悲鳴が聞こえた。が、燠破の腕が燃えることはなかった。

「何!?」

男がまとわせていた炎は、音も立てずに静かに消えて行った。燠破は、相手の勢いを借りて両手で男の右手を掴み背負い投げをした。ドスッと、鈍い音が鳴り響き男は、這いつくばった。

「一応手加減はしたが、数分は動けねぇようにしといたからな。」

燠破は、ポカンと見ていた風紀委員に目をやった。こいつは頼んだと。

燠破は、最後の一人を忘れてはいなかった。最後の一人は、ウワァと悲鳴をあげて金を持ちながら車に乗り込んだ。

(チッ………。あんなの相手にできるかよ。)

車は、燠破に向かって猛スピードで突っ込んできた。

「怪我してもしらねぇぜ。」

燠破は、右手を車に向けて道路の真ん中に立った。

測定不能(レベルE) 燠破 彗燐

能力名 物質分散(ディサピア)

猛スピードで突っ込んでくる車に向けて能力を発動した。

サァァと、猛スピードで突っ込んでくる車は、砂のように消えてなくなった。男は、慣性の法則で等速直線運動を行うのでゴロゴロと転がり意識がなくなった。

これが燠破を風紀委員(ジャッジメント)にする事件だった。

















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