沖縄の海でこれでもかと遊びつくした彼らは5時を回っても照りつける太陽の下、浜辺の上に大の字で仰向けに寝転がる。
少年達の顔には多くの楽しさと若干の淋しさを乗せたそれぞれの笑顔を浮かべ、それぞれの思惑でまぶしい太陽を眺める。
それぞれの、と言っても考えていた事は皆同じであった。
ふと、ナマコの郁葉が天然の茶髪を風邪になびかせながら呟く。
「なぁ。お前ら進路どうすんだ?」
その一言にメガネの隆弘が中指を盛大に突き立てる。
きらりと彼のメガネのレンズが陽の光を反射させる。
「Fuck you、今そんな話しすんなや」
あまりの口の悪さに普通なら喧嘩になりそうだが彼らにはデフォルトである。
郁葉は無視して金髪美少年の賢太に話を振る。
これもいつもの流れだった。
「賢太はどうすんだ?」
「……モデルやらないかってスカウト来た」
なにやら目を細めて自分の白く透き通った腕を見つめる。
「すげぇじゃん、もちろんジャンルは男の娘だろ?」
「うるせぇ、断ったよ」
郁葉の質問に答えるのと同時に4人がガバっと起き上がる。
そして一斉に「ハァッ!!!?」と叫んだ。
「なんでだよ!お前のゴスロリ姿を望む男の娘好きが何人いると思ってんだ!!!!!!」
「おいマジかよ男の娘の布教にはお前が必要なんだよッ!!!!!!」
「まぁ俺には賢太君の画像フォルダがあるからいいんですけどね」
「ならおれと一緒にコスプレ写真集だそうぜ、今度のコミケで」
隆弘が、郁葉が、昂矢が、竜樹が叫ぶ。
叫びの中にはどうでもいい欲望と勧誘も混ざっていたのだが、そんな事に一々ツッコミを入れていたらここでは負けなのである。