小説『The Group of Madness!』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>



 楽しい時間にも終わりがある。
それは今回の沖縄における旅行も同様であった。
彼ら、ちょっとおかしい高校生達が今回の旅行に来た理由の一つは受験前の思い出作りであり、これが終われば当分遊ぶ機会は無い。就職希望の賢太だってきっと防衛大や警察学校に行くだろうし、そうなると勉強で忙しくなる。
ちなみに沖縄に来た理由の内一つは米海兵隊のF/A-18や最近話題のオスプレイの見学である。
もちろん一般開放されている訳ではないので実際に見たのは訓練中のブラックホークヘリだけなのだが。

そうして無事に警察や地域の皆様に迷惑を掛ける事もなく終わりをむかえた沖縄旅行。
今は帰りの飛行機の中で離陸を待っている所である。


「旅客機じゃなくてC130だったらいいのに」

「いやそこはAC130だろ、105mmぶっ放してUSA!USA!って叫びたいわ」

「お前らうるせぇぞ、周りの視線が痛いんだよ」

郁葉と隆弘のミリタリートークを賢太が止める。
どうやら戦争やら兵器やらに関心がなかったり嫌いだったりする人達が彼らを疎ましく思っているようだった。
あれ、よくみたらそのうちの何人かにオスプレイ反対運動に参加していた自称沖縄県民の人達もいるぞ……なんで本土行きの飛行機に乗ってるのかなぁー?あるぇー?と思いながらも賢太に殴られるのが怖いから郁葉と隆弘、そしてネトウヨの昂矢は黙っている事にした。
ちなみに日本の政権は2011年の今、どっかの隣国にべったりの政党が握っている……まぁ至極どうでもいい。


そんなこんなしていると、機内アナウンスがもうすぐ離陸するという事を告げた。
高校生メンバーはベルトを締めるとちゃんと携帯電話の電源を切り、外の様子を少ない小窓から眺める。

「来年もまたこうやって来れるといいな」

普段頭おかしいんじゃないかと思う言動を度々見せる郁葉が柄にもなくしんみりした様子で言った。

「今度はどこだ?京都か?」

隆弘が持っている旅行のパンフレットを広げて言った。

「俺グアムがいいわ、銃撃ちに行こうぜ」

ミリタリーが大好きなネトウヨ昂矢がライフルの構えを見せて言う。

「群馬は?」

「一人で行ってろ」

その後ろでポニーテールをなびかせる竜樹に賢太がツッコミを入れた。
5人の会話はいつも通りだ。


-8-
Copyright ©Ciel All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える