――同時刻、天界の外れ――
天界。
その景色は、まるで絵画に描いたかのような青空と空中庭園が連なるその光景はまさに天国である。
あらゆる木々に果実が実り、毎年鼻に来る花粉を飛ばす杉やヒノキは無い。
まぁあれは現代病らしいから、特にこことは関係ないだろうが。
とにかく、そんな楽園を映したようなその場所だが、ある変化が起きていた。
それは何体もの禍々しい魔物達がそこらに蠢いているという事。
もちろんこれらは天界の生き物ではない。
それと対をなす魔界の生き物であり、天界に住む天使達の敵である。
彼らは何かの魔法陣や装置を設置し出す。
見た目の醜悪さからは想像できないような器用さで装置を組み立てるのはシュールである。
と、そんな時、悪魔の一体の頭がボトリと落ちた。
一瞬魔物達は固まるが、斬り落とした主が遠くにいる天使であると悟ると、一斉に攻撃し出す。
「あっちのが陽動だったとは、魔物風情が調子に乗りすぎですね」
天使は真っ白なローブに大量の返り血を浴びている。
「彼女」は手にした剣を適当に振り回すと切っ先を迫りくる魔物の群れに向ける。
「はいはいお薬出しときますね〜」