シグナムside
まったく、私としたことが…いくら起きたばかりとはいえ状況確認を怠るなど、普通に考えてありえないだろう。そのせいで短い時間ではあったが、ブラックに、か…か…身体を押し付けていたようなものだぞ?///
ブラックは敵対しているわけではないが、心を許していいほど親しいわけでもないというのに……
(お前はいつまで、俺に背負われているつもりだ?)
不意にブラックの言葉を思い出す。く……た、確かに背負われている時に無性に落ち着いたのは認める…が!気が付いた瞬間、無性に恥ずかしくなって思わず叫んでしまった。心臓が高鳴る。一体私はどうしたのだ?
シグナムside out
「…で?ブラックよ、これからどうするつもりだ?」
「これからとやらの意味を教えてほしいな。それによって返事も変わる。」
シグナムの質問に質問で返す司。随分と余裕が感じられる答え方だ。しかしシグナムにはふざけているように聞こえたようだ。
「真面目に答えろ!食糧も水もない、ここが何処かもわからない!こんな状況でどうやって帰る気だ!?」
「水も食料もないことが理解できてるなら少し落ち着け。怒鳴ればその分カロリーを消費する。ま、慌てるな。そのあたりは考えてある。二度説明するのは面倒だからな、テスタロッサが起きたら説明してやる。」
ブラックの言葉にシグナムが一応の納得して……
「短くない時間、誰か背負っていたせいかな、少し疲れたしな。」
「っ!!??///」
……ひと悶着あったがその場で少し休憩することにした。
―約15分後―
「んみゅ?あれ?…ここは…?」
「む?テスタロッサ、目が覚めたか。」
「っ!!シグナム?ここは一体?」
フェイトにシグナムが声をかけ、ブラックに声をかける。
「ブラック、テスタロッサが目を覚ました。説明してもらうぞ。」
「おはよう、テスタロッサ。随分と寝坊助だな、待ちくたびれたぞ。」
「ブラックさん!?って、私は寝坊助じゃありません!」
ブラックの言葉に反論の声を上げるフェイト。しかし…
「起床後の第一声が‘んみゅ?‘とは年相応で可愛らしいじゃないか。シグナムもそう思わないか?」
ブラックこと、司はいつものように面白そうだからからかってみたのだが…
「………ふん!早く説明をしろ!」
「か、可愛らしい!?私が!?そ、そんな…シグナムのほうがスタイルもいいですし私なんて!!」
少なからずブラックを異性として(無自覚に)意識し始めたシグナムには流され、他人から可愛いなんて褒められた経験が少ないフェイトには予想以上に過剰な反応をされた司は釈然としないままとりあえず当初の予定道理に説明を始めた。
「…現状の説明をするぞ?まず、この場所がどこかは不明。水、食糧ともになし。何か質問は?」
「質問っていうよりも問題しかないです!どうするんですか!?」
フェイトの当然の質問に司こと、ブラックが余裕を以て答える
「決まっている。それは…」
「「それは?」」
「………神頼みだ!」
ドカ!!シグナムがブラックを殴る
「あれほど余裕の態度をとって持っていた答えが神頼みか!?まさか本当にそれだけか!?」
シグナムがブラックの胸ぐらをつかもうとしたがバリアジャケットのためつかめず仕方なく肩をゆすりながら問い詰める
「痛ぅ…そんな筈がないだろう?冗談だ、冗談。」
「本当にあるんだろうな?」
「ここで嘘をついてどうする?安心しろ。そしてシグナム……顔が近い。」
「っ!!」////
慌てて距離をとるシグナムに疑問を感じつつもフェイトが聞く
「それで…その手段をお聞きしてもいいですか?」
「ああ。恐らくだが、明日、遅くても明後日までに時空管理局がこの世界を見つけ出すだろう。なにせ、この世界に来た理由が転移魔法の暴走だ。空間の歪みはかなり大きかったはず、そしてあの現場も管理局は見ていたと思われる。ならば専用の機材も技術もある管理局の事だ、見つけるのは難しいことではない。」
以外にも現実的な答えに一瞬呆けるフェイトとシグナム。とても1分前に神頼みなどと言っていた人間の言葉とは思えない。
「それでは、その時に管理局に同行してくれる、ということですか?」
「!?まて、ブラック。私は…」
確かにその方法ではシグナムは管理局につかまり、闇の書に関わってしまう。しかし…
「馬鹿を言うな。生憎、俺も管理局の邪魔をした時点で犯罪者、若しくは犯罪者予備軍だ。捕まる気はない。それにシグナムがここにいるのは俺のせいでもあるからな、責任もって送り届けるさ。管理局が来ればその反応を追いかければ帰還もできるしな。」
ブラックの言葉にフェイトはガッカリ、シグナムは一安心。意外と考えている司であった。
中途半端ですがこれでいったん区切ります。