久しぶりの更新。どうやってなのはフラグを立てようかとしたところこんな形になりました。
司君side
現在地、高町家の道場。 状況、目の前に木刀を構えているなのはの兄の恭也さん 後ろにはなのは本人。
…うん、訳が分からない。何でこんなことになっている?このことを説明するためには時間を2時間ほど遡らなければならない。
〜2時間前〜
俺は何時ものように翠屋にスイーツを食べに来た。しかし…
カラン カラン
「いらっしゃ…司君!!」
「…なのは?なにを…」
「お店のお手伝いだよ。今日はバイトの人が来れなくなっちゃったからって…」
確かにこの店は味も雰囲気もいいし客が少ない筈がない。そこで人手が不足するのは不味いので娘に手伝ってもらってる、ということか。
「ああ、理解できた。とりあえず注文良いか?」
「あ、うん。ご注文は?」
「とりあえず、オレンジジュースと…フルーツケーキで。」
「分かったの。ちょっと待ってて。」
おいおい、あんなのでいいのか店員。まあ、相手が友人ってのもあるかも知れないが…
数分待っているとなのはがジュースとケーキを持って此方にやってくるのが見える…が、
「司君、お待たせなの…きゃ!?」
知っての通り、なのははあまり運動神経がよくない。にもかかわらず、液体が入ったグラスなんて不安定なものが乗ったトレイを持って急いだものだから…
ばしゃ…パリン!
「ご、ごめんなさい司君!!」
ジュースは俺にかかり服が派手に濡れた。そして床に落ちたグラスは当然叩きつけられ、割れる。幸いにも俺はこの店に来るときはピークの時間前に来るため今は他に客はいないがもうすぐ他の客も来ることは容易に想像できる。
「なのは?どうしたの?」
「お母さん!司君が!!」
グラスが割れる音を聞いて奥から桃子さんも来た。そして俺の姿を見て…
「ごめんなさいね司君、とりあえず恭也が昔着てた制服しかないけど着替えて。」
その言葉に従い服を貸してもらい奥で着替える。しかしそうこうしている間に他の客が来始める。なのはは床の掃除をしている。
「なのは、俺が掃除しておくからお前は客の対応に行け。」
「でも、司君はお客様だよ?そんな事させるなんて…」
「後で何か食べさせてくれればいい。早く行け。」
「うん…ごめんなの、司君。」
そのまま道具を借りて掃除を続行する俺。そして掃除が終了するころにはすでに多くの客が来ていた。
「あの、注文良いですか?」
高校生くらいの女性客が俺に向かってそんな声をかける。何故?そんなことを一瞬考え今は翠屋の制服を着ていることを思い出す。しかもなのはも働いているので俺みたいに小学生が働いていてもこの店ではおかしいと思われない。
…仕方ない。偶にサービスしてもらってる店の評判を俺のせいで下げる訳にもいかないし…
「はい、承ります。」
営業スマイルで対応する。良く通っているためこの店の接客は大体把握しているし、以前(前世)でも接客業でバイトしていたため大体の対応はできる。
「……じゃ、じゃあブレンドコーヒーと…あなたのおすすめは?」
俺が顔を向けてから喋りだすまで若干間があったように感じたが、どうやら機嫌を損ねたわけではないらしい。
「私ですか?そうですね…こちらのフルーツケーキなんていかがでしょうか?」
とりあえず俺がさっき食べようとしていたケーキをおすすめしてみる。
「じゃあ、それでお願いします。」
「かしこまりました、ご注文を確認します。ブレンドコーヒーが一つ、フルーツケーキが一つ、以上でよろしいですか?」
「はい。」
「では少々お待ちください。」
注文を聞き終え桃子さんがいる厨房へ向かう。
「桃子さん、士郎さん、オーダーです。」
「え?司君?」
「何で君がオーダーを?」
「この服を着ていたので間違われてしまったようで…7番テーブルのお客様にブレンドコーヒー一つとフルーツケーキ一つお願いします。」
俺が桃子さんと士郎さんに事情を説明している間になのはが注文を取って戻って来る。
「お父さん、お母さん、2番テーブルの…って何で司君がいるの?」
なのはから出る当たり前の疑問に先ほどと同じように説明する。
「ごめんなさいなの、司君。私のせいで…」
「もう終わったことだから、気にするな。そして今後気を付けろ。」
「すいませーん」
「あ、はーい」
その時新しい注文が入る。なのはが行こうとした瞬間…
「注文良いですか〜」
全く別の方向から違うお客が呼ぶ。仕方ない…
「なのは、お前は3番に行け。俺が5番に行く。
そうやって動いているうちにもうすぐピークと言うところで大学から戻った恭也さんが加わって滞りなく店が回りだしたところで…なのはがやらかした。
「きゃ!?」
なのはが躓き、ケーキをトレイごと放り投げてしまったのだ。俺は距離が近かったため…転びそうななのはを半ば抱きしめるような形になってしまったが無事に支えることに成功。その後、空中のトレイをキャッチし、そのままトレイの角度と位置を調整してケーキも無事であることを確認して客の元へ向かう。
「失礼します。大変お待たせしました、ご注文のショートケーキになります。」
「………」
む?客が信じられないようなものを見るように俺を見ている。…もしかして、注文を間違えたか?
「…お客様?」
「…は!?あ、ありがとう。…あなた…今の動きってどうやったの?」
今の動き…?
「今のスパイ〇ーマンみたいにトレイをキャッチして、しかもケーキも落とさずになんて…」
ああ!あれか。でもあれってシグナムが振るう剣みたいに早くないし…
「少し練習すれば誰でもできますよ?あ、でも少々危ないので真似はしないでくださいね?」
パチパチ パチパチ
周りの客から拍手が送られる。え?何で?
「君がそれだけすごい事をしたってことだよ。」
恭也さんが近づいてきて俺に言う。まあ確かに、一般人から見たらすごい事か。
「…ところで司君、この後、時間あるかい?」
恭也さんがものっそい笑顔で聞いてくる。ああ、これは断ったらまずいことになりそうだ…
その後アルバイトの午後から入っていたアルバイトの人がやってきたため手伝いとして入っていた俺、なのは、恭也さんが解放され、高町家に招かれて(連行された)冒頭に戻るっと。
「それで?君にとってなのははどういう存在なんだい」
「同じ学校に通っている友人、と認識しています。そして、こちらからも質問していいですか?」
「なんだい?」
「何で今、道場で木刀を構えながらこんな質問をしているんですか?」
その時、恭也さんの目が変わった。
「君はさっき、なのはを抱きしめたよね。」
「お兄ちゃん!?」
なのはが顔を赤くして恭也に声を上げる。
「俺は兄として!なのはを君に任せていいかを見極めなければなれない!!」
「俺となのはは付き合っているって訳じゃ…」
「問答無用!!」
「聞いてよ!」
この人…シスコンだ…
司君side out
なのはside
お店で司君には迷惑をかけちゃったの。でも司君は後で気にしなくてもいいって言ってくれました。でも今後は気を付けるようにって。司君はその後もお店を手伝ってくれました。しかも、すごく手際が良くて私なんかよりもずっと上手で…前にフェイトちゃんが言ってたけれど、…その…笑顔がすっごく綺麗で…お客さんも(主に女性)何人も司君を見てました。私も何度か見惚れちゃって…そのせいでケーキをトレイごと放り投げるなんて普段はしないようなミスもしてしまいました。でも…その時司君が助けてくれました。…半分くらい抱きつかれてるようにも見えたと思います。正直私はその後恥ずかしくて司君の顔を直接見ることができませんでした。…はう…司君は全然意識してないみたいだし…私ってそんなに魅力ないのかな?今は私とお兄ちゃん、そして司君で家にある道場にいます。お兄ちゃんと司君が木刀を持って向かい合っています。
「君はさっき、なのはを抱きしめたよね?」
「お兄ちゃん!?」
思い出してしまい私の顔が熱くなるのを感じます。
「俺は兄として!なのはを君に任せていいかを見極めなければなれない!!」
そ、そんな…私たちは…その…つ、付き合ったりしてるわけじゃ…
「俺となのはは付き合っているって訳じゃ…」
…司君も司君なの。そんなにはっきり否定しなくてもいいと思うの。
「問答無用!!」
「聞いてよ!」
司君とお兄ちゃんが戦い始めます。私はどっちを応援したらいいのかな?
なのはside out
恭也が打ち込み、司が避ける、若しくは防ぐ。防戦一方、そんな言葉がぴったりと当て嵌まるようにも見える。しかし本人たちにとってはそうではなかった。
「(いくら手加減しているとはいえ、何でなのはと同じ年の子供が防ぎ切れている?この子は…普通じゃないな。)何故攻めてこない!?」
「(まいったな。この身長差じゃ迂闊に攻めれないし…シグナムに少し劣るとはいえ、一般人としては異常な身体能力だし…仕方ない、上手く負けるか。)攻めない、じゃなくて攻めれないんですよ。」
その言葉を聞いて恭也は少々疑問に思うものの、当初の予定通り武器をはじけば勝利として打ち込む…が、角度が悪かった。
バシィ!!
恭也の一撃が司が持っていた木刀をはじく。そうすれば当然、はじかれた木刀は飛んでいく。そして…
「なのは!!」
「へ?」
その先にはなのはがいた。
なのはside
「なのは!!」
お兄ちゃんが私の名前を叫びます。一瞬遅れて私の目には弾かれてこちらに飛んでくる木刀が見えます。
(え?なに?これ。こんなの当たったらすごく痛いよ?)
更に一瞬遅れて恐怖感がこみ上げてきます。すごく早く飛んできてるはずなのにゆっくり見えます。でも私の身体は動きません。
(ダメ…怖いよ…助けて…誰か…)
私は思い出す。今日の出来事…私が転びそうになった時に助けてくれた司君を…
(助けて…司君!!)
私は目を瞑って心の中で叫びました。すると…
ドッ!
固い物が柔らかい物にぶつかるような音が聞こえました。
カラン
今度は果たい物が床に落ちる音です。目を開けるとそこには、右腕を抑えている司君が立っていました。
「つ、司…君?」
「痛ぅ…大丈夫か?なのは…」
司君が真剣な表情で聞いてきます。司君の足元に落ちているのは一本の木刀。私は司君が私を庇ってくれたことを知りました。
「う、うん。司君は…大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だ。なのはが無事でよかった。」
すると司君は安心したのか表情を崩して笑いました。
ドクン
心臓が高鳴るのを感じます。いけない…急に顔が熱くなってきた。
これが…恋…?
なのはside out
カラン…
沈黙が続く道場に音が響く。なのはと司の視線がそちらに向くと、そこには呆然としている恭也がいた。
「お、俺は…なんてことを…」
司の腕は今は少し赤いくらいだが時間がたてば腫れてくるだろう、軽くても打撲、下手をすれば骨に異常があるかもしれない。
「お兄ちゃん!!」
なのはが攻めるように言う。
「そ、その…すまない司君、俺のせいで…」
恭也が土下座せんばかりの勢いで頭を下げる。しかし…
「…いえ、俺の握りが甘かったからです。恭也さんが謝る事は別にあります。」
「…え?」
司の言葉に疑問の声を出す恭也に司は言う。
「恭也さんが今回謝るべき事は、木刀を弾き飛ばす方向を間違えたことです。あの方向になのはがいることは意識しておくべきことだった。」
「俺は…」
恭也がなにかを言おうとしたところで声が聞こえてくる。
「ただいま〜」
「なのは、恭也、ただいま。」
「なのは〜、恭ちゃん〜ただいま!」
美由紀 士郎 桃子の三人が帰宅した。
「あれ?司君?いらっしゃい。」
「ああ、司君。今日は本当に助かったよ。」
「いえ、何時も良くしてもらっていますし…」
そんな日常の会話をしている時に恭也が声を出す。
「そうだ!!父さん、司君の治療を!腕を怪我している!」
「なに?司君、見せてくれ。…少し酷いな。桃子、湿布と包帯を。」
1時間後
「ありがとうございます。治療どころか、夕食まで…」
「いや、悪いのは家の恭也だからね。それに結局今日は注文したものも食べれていないしね。」
「いやいや、なのはに怪我がなくてよかったです。」
司と士郎が話している。高町家における司の評価は非常に高いようだ。
「なんならこのまま泊まっていくかい?」
「しかし、そこまで世話になるわけには…」
「何、こちらから誘ったのだから気にしなくていいよ。それに、若いうちから遠慮なんてしなくていいよ。なのはも良いかい?」
なのはに聞く士郎。
「うん!!」
なのはも司を意識しだしたので拒否する理由は無い。
「…では、お世話になります。」
こうして司は高町家に一晩世話になることが決定した。
士郎side
「恭也、それは本当なのか?」
「間違いないよ、父さん。」
恭也から聞いたことが正しければ、おかしいことにたくさん気が付いた。治療の時に見た感じだと確かに小学三年生にしては鍛えられているが普通だった。それが…
「弾き飛ばされた木刀より早くなのはの前に立てた?」
ありえない、全盛期の自分でも無理だ。それを小学三年生の司君が…
「何か普通じゃない物を持っている…か。」
だが…
「父さん、彼はいったい…」
「父さんは、ここ一年近く司君を見ていたが、少なくとも悪い子ではない。それは断言できる。だが今日、司君が本当に危ないところを知った気がする。」
「?」
恭也にはまだわからないか…
「彼はね、自分のことを顧みていない。自分の腕を痛めてまでなのはを守った。さらに、腕の心配は一切しないで恭也に次に気を付けるように言う。普通は目標を確認したら次は自分の心配するはずなのに、だ。」
恭也の表情が少しだけ強張る。
「いいか恭也、司君は信頼できる。だけど司君をよく見て変化があれば気にするべきだ。彼はきっと…」
言い難いが…言っておくべきだろうな…
「状況によっては、親しい人を助けるために…平気で命を懸ける。」
なのはには言えないな。あの子は司君の事を意識しているようだし…
ま、司君ならなのはを任せてもいいと思うし、‘将来の義理の息子’になるかもしれないのだから、な?
という訳で更新です。あれ?何このイケメン。作者は士郎さんの事はあまり知りませんよ?
司君の笑顔は神様でさえ一撃で落としかけた威力ですよ?客からも注目されますよね。