小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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番外編 シグナムの恋愛相談

この話はシグナムがブラック(司)への思いを自覚してから19話までの何処かであった(入れるつもりだった)お話です。興味がない方は飛ばしていただいても結構です。シグナム視点です。


私は闇の書の守護騎士、『ヴォルケンリッター』の将であるシグナムだ。私は最近一人の男の事が気になっている。戦場で出会い、戦い、事実上の敗北を喫した。その後その男は一度目の戦いの時に事実上は私が敗北したといったが、形式上は途中で終わったことになっているので決着を付けようとしてたびたび私の前に現れるようになった。そしてあの日、私とその男とその時戦っていた管理局の少女、テスタロッサが次元流に巻き込まれ違う世界に飛ばされてしまった。私が気が付いた時はその男の背中で負ぶされている時だった。その時はなぜかその男の背中に乗っているのも気が付かずただ非常に落ち着き、安らぎを感じてしまった。私はその男に言われるまで自分の状況に気が付いていなかった。……その、負ぶされている、と言うことは自分の身体を…部分的に言うならば胸を背中に押し付けていたようなものだった。

その後目覚めたテスタロッサとその男が仲良く談笑しているのを見て腹立たしいとさえ思ってしまった。今思えばあれが嫉妬と言う感情だったのだろう。しかも…私は凄まじい醜態を晒してしまった…

『可愛くて思わず撫でたくなる』…その言葉を言われた時私の中で何かがショートしたような衝撃が走った。普段の私ならばありえないことだ。私はその時「この男になら撫でられたい、触られたい、一緒に居たい」
なんて思ってしまった。過去に戻れるならあの時の自分を殴ってでも…いや止められないだろうな。あの時の衝撃は生半可な物じゃなかった。私は本名も、顔も知らないあの男に恋をしてしまったのだ…

しかし私はバトルマニアとさえ言われることもある武人だ。今まで長い間守護騎士として戦ってきたが恋愛なんて初めてだ。一体どうすればいいのかさっぱりわからない。想像すらつかない。

…仕方ない。解らない物を独りで考えていても事体が好転などしないのだから誰かに相談するしかない。
誰に相談する? ヴィータ?駄目だ、ヴィータは食欲の方だろう。ザフィーラ?駄目だ、恋愛経験があるとは思えない。主 はやて?駄目だ、どうやって知り合ったかと聞かれたらアウトだ。シャマル?…論外だ。私は以前この件に関してシャマルに醜態を晒したのだぞ?となると…


「で?何で俺はシグナムと風呂に入ってるんだ?」

主はやての友人であり我々の事も家族のように受け入れてくれてるこの少年 『天宮 司』しかいない。

「ああ、少し相談したいことがあってな…」

「だからって風呂なのか…」

「以前、交友を深めるには風呂で裸の付き合いをするのが一番だとテレビで言っていた。」

それに司は主はやてと同じ9歳とは思えない程落ち着いていて何事も冷静に対処できる人間だ。秘密も守ってくれるだろうし色んな方向から考えてくれるから相談相手にはぴったりだ。

「単刀直入に言う。私はある男に恋をしている。」

「…」

「しかし私は相手の本名も素顔も知らない。」

「…」

「私はどうすればいいと思う?」

「…はぁ、シグナム。」

「なんだ?」

「お前は、恋愛未経験の9才児に何を期待している?」

はっ!?そうだ…いくら大人びているとはいえ司は主はやてと同じ9歳。恋愛相談を持ちかけるような年齢ではないなんて考えなくても解る筈なのに…とうとう私も焼きが回ったか…

「で?」

え?

「その相手の事は何が分かってるんだ?」

「か、考えてくれるのか?」

「シグナムが相談なんてよほどの事だろ?出来る限り答えるさ。」

「ぅ…司!」

私はうれしくなって思わず抱きついてしまった。まぁこれは家族のスキンシップ程度だから問題ないだろう。

「そいつは人をからかうのが好きらしくてな…でも、絶対に守るべき一線を持っている。冗談を言っても締めるべき時には締め、自分が危険な状況でも他人を気遣う優しさを持っている。そんな人間だ。」

「となると…」

司が考えてくれている。ここまで安心感を感じることは滅多に無い。司に任せておけば安心できる。司はそんな雰囲気を持っているからだ。

「恐らく、その人間は自分が傷つくよりも親しい者を失うことに恐怖を感じる人間だな。そういう奴は自分を蔑ろにしがちな上に自分を蔑ろにしていると思っていないことも多い。身近にいる奴が良く見てケアしたほうが良い。」

やはり司はすごい。たったあれだけの情報でそこまで…

「ケアとは具体的にどうすれば…」

「なんでもいい。世間話でも、マッサージでも…とにかく相手がリラックスできる間柄でいれば距離は縮まると思うぞ。」

「そうか…幾らか気分がはれた。感謝する、司。」

「どういたしまして、頑張れよ。」

ああ、司に相談して良かった。早速今度会った時に実践してみるとしよう。






とまあ、よく分からない物一丁上がりです。シグナムのキャラが…

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