ブラックは状況が理解できなかった。
「(一体どう言うことだ?あの女が持っているのは間違いなく闇の書だ。新しい守護騎士か?しかしそれならシグナム達は?)…一応初めまして、と言っておこうか。俺は…「知っている。」…何?」
ブラックの言葉を遮るように女性が言葉を発する。
「闇の書を通して見ていた。守護騎士…それも烈火の将と戦い、下す程の実力を持った人間、ブラックだな?」
「…確かにその通りだ。だが其方が知っていても俺はお前の事を知らない。お前は誰だ?それに守護騎士たちは何処に行った?」
「答える義理は無い…私は主の願いを叶える…ただ…それだけだ。」
女性はそれだけ話し終えるとこれ以上は問答無用と言わんばかりにアクセルシューターを放ち四方八方からブラックに襲い掛かり、ブラックは爆煙に包まれる。
「ブラック!」
「ブラックさん!」
「(フン、良い気味だ。)ち!?なのは、フェイト!アイツの事は残念だが俺たちが戦わねぇと…」
なのはとフェイトは心配するように声を上げる。光城は口では良いことを言っているがが内心ではこれで邪魔者がいなくなったと喜んでいた。しかし…
「…防いだか…流石に将の本気の剣を防ぎ切っただけはある。」
「「え…?」」
「何!?」
「…それは誉めてもらったと思っておくとしよう。だが…ようやくわかったぞ、お前の正体が。」
煙がはれるとそこには右腕を前に突出し、魔力の防壁を張っていた無傷のブラックがいた。
「何?」
「お前は…闇の書の一部…恐らく闇の書を司る管制人格…と言ったところか?そして主でもある八神はやても守護騎士達も今はお前の中だな?」
「「「!?」」」
「…何故…そう思った?」
なのは達は驚いていた。一部始終を見ていた自分たちは女性…管制人格の事を知っている。しかしブラックは何も知らない筈なのに、正確にいい当てた。しかし当のブラック本人はと言うと…
「今の技はそこの、なのは…だったな?が使っていた技だ。闇の書は一度その子から蒐集している。つまり…その子以外でその技を使えるのは闇の書に関連している者だけ。そして…」
ブラックは一度区切り、言い放つ。
「お前の魔力は闇の書自体と全く同じだ。だからお前が管制人格だと思った。それなら闇の書が守護騎士を吸収したと考えれば守護騎士たちがいないことも説明できる。」
ブラックが説明を終え、一泊おいて管制人格が喋りだす。
「…確かにその通りだ。だが何故闇の書の主が八神はやてだと分かった?」
そう、それはこの場にいる全員が気になっていたこと。しかしブラックは何でもないように言う。
「なに、簡単な話だ。俺は守護騎士が目覚める前にお前が今手に持っている物…闇の書を見る機会があった。」
「「「?」」」
なのは、フェイト、光城は疑問符をうかべる。
「………」
管制人格はブラックの言葉を待つ。そしてブラックが言葉を続ける。
「俺にとって八神はやては…友人であり、家族に近い存在でもあるからだ。」
「「「「!?」」」」
今度は管制人格も含めて驚愕する。そして…
「(なんだ!?原作じゃそんなのいなかったぞ!?クソっ…俺はオリ主だ…絶対に叩き潰してやる!)」
『フェイトちゃん…ブラックさんってもしかして…』
『うん…はやてとそんな関係の人って…』
『『司(君)しかいない!!』』
「そうか…お前はあの少年か…」
光城を除く三人がブラックこと、司の正体に気が付く。
「出来ればはやての家族であるお前とは戦いたくないし、はやてがそんなことを望むとは思えない。大人しく降参してくれないか?」
司が管制人格に語りかける。しかし…
「我は魔導書…主の願いを叶えるための、ただの道具だ…」
「嘘だよ!!」
声が 響く
それを発したのは一人の少女、高町なのはだ。
「ただの道具なんて言うなら…何でそんなに悲しそうな顔をするの!?」
なのはが悲痛な思いで呼びかける。かつて孤独を味わい、その辛さを知っているからこそ管制人格の気持ちが分かってしまったのだ。しかし…
「もう…何もかも遅い…闇の書は起動した。あと少し時間が経てば私の意識もなくなり、アイツも目覚めるだろう…その前に主の願いを叶える。」
そう呟くように言うと管制人格は腕を掲げ魔法を発動した。
「ディアボリック・エミッション…」
巨大な魔力が世界を覆うように広がっていく。フェイトはそれを止めようと単身管制人格に向かっていく…が…
「お前も…永遠に優しい夢の中で眠れ…もう、辛い思いはしなくていい。」
「え…?」
管制人格が張った防壁のような物に触れた瞬間フェイトの身体が発光し、粒子となって消えた。
「フェイトちゃん!!」
なのはが悲痛な叫びを上げる。そして
「フェイトを放しやがれぇぇぇ!!」
光城が自身のスキルで作り出した歪な短剣…ギリシャ神話において『裏切りの魔女 メディア』が用いたとされる『ルールブレイカ―』…を構えて管制人格に向かっていく。しかし…
ガキン!!
「!?イレギュラー野郎!!何で邪魔をする!?」
司が管制人格と光城の前に立ちふさがる。『ルールブレイカ―』は魔法的な防御ではいかなる物も破ることが出来ても司のレアスキルによって質量を持っているので魔力を用いているが物理的な防御ができたのだ。
「コイツははやての家族だ。そんな武器で取り込まれているはやて達ごと消させるわけにはいかない…」
司と光城が睨み合う。しかしその間にも管制人格の攻撃が始まる。
「穿て…『ブラッティダガ―』!!」
「ちっ!?」
「クッ…」
司と光城が回避し距離をとる。
「ほら見ろ!お前のせいでチャンスを逃したぞ!?」
「だが助けるチャンスが増えた。」
司と光城が言い合い(一方的)をしているうちにも管制人格の攻撃は続く。そしてある程度距離が離れると管制人格が新たな武器を取り出した。
「な!?あれは俺の…」
「ちっ!?なんて厄介なものを…」
それは捻じれた歪な剣と漆黒の弓
「『カラド・ボルグ』…」
捻じれた剣が光り、矢となって弓に番える。
管制人格が放った矢は凄まじい速さで二人に迫り…
「『壊れた幻想』」
管制人格の言葉と同時に爆発を起こした。
「うわぁ!!!」
「…くぅ!?」
二人の間で爆発したため、爆風で二人ははじき飛ばされる。司は離れていたなのはの方へ、光城は管制人格の方へ…そして
「お前も眠れ…闇の中で…」
管制人格が軽く触れると光城もフェイトと同様、魔力の粒子となって消えた。
「司君!!」
なのはは司に急いで近寄る。
「ああ、なのは…とりあえずあいつを何とかしないと…って何!?」
「にゃはは…わかるよ。司君くらいだもん。はやてちゃんと友達で家族みたいだなんて…」
「ちっ…喋りすぎたか。」
司となのはがそんなことを話している頃、管制人格は上空で詠唱をしていた。
「咎人達に滅びを…」
その呪文が進むにつれて管制人格の頭上に膨大な魔力が集まる。
「おい、なのは…あれって…」
「私の『スターライト・ブレイカ―』!?」
結界を破ることができるほど強力な威力を持つなのはの最強の魔法だ。それが今まさに完成されようとしている。
「星よ集え…すべてを打ち抜く光となれ…」
司となのはは急いで防御壁を張ろうとする。しかし…
『マスター!!結界内に民間人が二名います!』
「え!?」
「なんだと!?」
二人が振り向くとそこにはアリサとすずかが腰を抜かしたように座り込んでいた。
司となのはが全力で二人の元に向かい防壁を張る。そして…
「『スターライト・ブレイカ―』」
管制人格が放った。
「二人とも!私たちの後ろに!早く!」
「え?」
「な、なのはちゃん?」
二人が訳が分からないまま司となのはの後ろに移動する。
『ラウンド・シールド』
『イージス』
レイジングハートとオーラが同時に防壁を張る。
凄まじい衝撃が走る。どちらか一人だけならば破られていたかもしれない。しかし何とか防ぎ切り、隠れてから防壁を解く。
「どういうことよ、なのは!アンタも魔法使いなの!?」
なのはたちが防壁を解いた瞬間アリサが問い詰めてくる。
「え?アリサちゃん魔法の事知ってるの?」
「この間司君が魔法使いだって言って私たちを助けてくれたの。」
なのはの疑問にすずかが答える。
「…司君?」
「いや…必要に迫られてな…」
その言葉に反応してすずかとアリサが司を見る。
「「って司(君)!?」」
今の司は大人の身体になっているためわからなかったようだが言われてみて分かってしまったようだ。
「話は後だ。おい、時空管理局!聞こえるだろう!!早く民間人の避難をさせろ!!」
その言葉とほぼ同時に金髪の少年、ユーノと黒髪の少年、クロノが現れた。
「君たち、急いでこっちに!」
「早く!時間がない!」
「ちょ!?どういうことよ!?」
「すずかちゃん!アリサちゃん!今は早く避難して、後で説明するから!」
「うん、なのはちゃん、司君、絶対だよ?」
「分かっている。後で必ずする!」
司となのはが二人に約束して、クロノとユーノがアースラまで連れて行き一応の危機が去った。しかし…
「ここにいたか…」
避難させたところに管制人格がやってきた。隠れていたのが見つかったのだ。そして一番近かったなのはに触れようとして…
「なのは!!」
「司君!?」
間に司が入り…
「お前も…我が内で安らかに眠れ…」
司に触れた。司の身体が発光し…
「待っていろ、また戻ってくる…必ずだ!」
そう言葉を発して魔力の粒子となって消えた。
「司君!!!」
その場にはなのはと管制人格だけが残り、なのはの叫び声が響いた。
今回は視点なしで書いてみたんですが…しんどいです。基本司君の視点何でいろいろとイベントが飛ばしているんですが…(主にリーゼ姉妹など) 今回、管制人格さんが不吉なことを言いましたよ?アイツとやらがAs編のラスボスです。楽しみにしててください。あ、ラスボス戦は仮面ライダーネタがいくつか有るのでわかる人は楽しみにしててください。感想をお待ちしております。では!