小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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原作といろいろ変更点がございます。ご注意ください。



なのはは一人で闇の書の管制人格と戦っていた。危険だからと止められていたレイジングハートの新たな力『エクセリオンモード』を使って。信じていたから…司の「必ず戻ってくる」と言う言葉を…

「(司君は必ず来るの…だから私はそれまで時間を稼ぐの、それが今私にできる事。)」

そう思いなのはは苦戦しながらも管制人格に食らいついていた。


なのはが時間を稼いでいる時、フェイトは目を覚ました。

フェイトside

「うん…ここは?」

綺麗な景色…あれ?私さっきまでなのはと・・・

「あ、気が付いた?全く、フェイトは困った子だね、折角家族で遊びに来たのに付いた途端に寝ちゃうなんて。」

「え…?」

目の前に私がいる?どう事?私が驚いていた時に聴き覚えがある、でも、もう聞けるはずがない声が聞こえてきた。

「アリシア?フェイトは起きたの?」

「あ、お母さん!起きたよ!」

「母さん…?」

あの時私となのはの前で虚数空間に落ちたはずの母さんがいた。

「昨日夜更かししすぎたのね。ずっとピクニックが楽しみだったからって…」

どういうこと?今までの事って全部夢だったの?

「ほらフェイト、お弁当食べよ?」

「フェイトも早く座りなさい。じゃあ、頂きます。」

「いっただっきま〜す!」

「…頂きます。」

一口食べる。

「美味しい…」

「当たり前じゃない、お母さんが朝から頑張った手作りだよ?」

「あらあら…フェイトもアリシアもまだまだたくさんあるから、いっぱい食べるのよ?」

ご飯も美味しい、食べ終わってからアリシアともいっぱい遊んだ。こういうのを家族の団欒って言うのかな?すごく楽しい。…でも…何か、大切なことを忘れてる…何だろう 思い出さなきゃ…

「ねえ、フェイト 何時までここにいるの?」

「え…?」

アリシアが口を開いて私に問いかけてくる。

「そうね…友達の事はいいの?」

母さん…私は…

「ありがとう…母さん。たとえ夢でも、幻でも…楽しった…うれしかったよ。」

「フフ…ごめんなさいね、フェイト。私、もっとあなたにいろんなことをしてあげられなくて…」

「フェイト!実際に会うことはできなかったけど、私たちは家族だよ!」

「…ありがとう…母さん、アリシア…行って来ます。」

私は母さんとアリシアに笑顔で挨拶をしてバルディッシュを起動する。

「いってらっしゃい、フェイト!」

「幸せになりなさい。頑張ってね。」

「バルディッシュ・ザンバーフォーム、行くよ…」

『イエス・サー』

二人の応援を得て私は夢から覚めた。

フェイトside out

フェイトが夢を見ている頃、闇の書に取り込まれていたはやては管制人格…闇の書の意志と対峙していた。

「アカン…眠い…」

はやてが寝まいと苦戦している中、はやての正面に立つ管制人格は優しい声ではやてに語りかけた。

「あなたの望みは、すべて私がかなえます。だからお休みください。」

「私の…望み…?」

はやては疑問に思う。自分の望みは何だったのだろうと…

「主の幸せは健康な体と守護騎士や友達との楽しい生活。このまま眠ればずっとそんな世界に居られます。」

「せやけど、それは結局夢や…」

はやては闇の書の管制人格と対話する。管制人格が伝える。自らの意志では制御できない暴走に心を痛めていること。守護騎士の精神と同調している管制人格は、騎士たちと同じようにはやてを愛しく思っていること。

「私は主の心を、身体を食らいつくしてしまいます…止められないのです…」

しかしはやては管制人格に反論する。

「アカン、私が主や!だから私の言うことは聞かなアカン!」

「主…」

はやては管制人格に向かって優しく語りかける。

「名前をあげる。もう闇の書とか、呪いの魔導書とか呼ばせへん。私が呼ばせへん。私は管理者や。それが出来る。」

しかし管制人格は涙を流しながらはやてに告げる。

「無理です、自動防御プログラムが止まりません…管理局の魔導師が戦っていますが、それも…」

はやてが管制人格の頬に手を当てて唱える。

「止まって…」

はやてがそれを告げると同時になのはと戦っていた管制人格に異変が起きた。

そしてはやての声が響く。

『管理局の人?聞こえますか?私、その子の保護者の八神はやて言います。』

「はやてちゃん!?」

『なのはちゃん!?』

「うん、そうだよ!今、色々あって闇の書さんと戦ってるの。」

『なんとかその子とめてあげてくれる?魔導書本体からのコントロールを切り離したんやけど、その子が走っとると管理者権限が使えへん。今そっちに出とるのは自動行動の防御プログラムだけやから。』

どうやって止めればいいか解らないなのはにユーノから念話が届く。

『なのは!簡単に言うと目の前の子を魔力ダメージだけでぶっ飛ばして!それが出来ればはやてちゃんもフェイトも、あのブラックって人も外に出られる。』

その言葉を聞いてなのはの顔がほころぶ。

「さすがユーノ君、わかりやすい!それなら得意分野だよ!」

『まったくです。』

なのはの言葉にレイジングハートが同意する。

「エクセリオン…バスタァァァ!!」



「夜天の主の名のもと、汝に新たな名を送る。祝福の風…『リインフォース』…」

「はい…」

はやてが光に包まれ管制人格…リインフォースの声が響く。

『新名称、リインフォースを認識。管理者権限の使用が可能になります。ですが、防御プログラムの暴走は止まりません。管理から切り離された力がいずれ目覚め、暴走します。』

「まあ、なんとかしよ。守護騎士システム、破損修復…」

『主、これが主の甲冑と杖です。行ってください。』

「え…?リインフォース?」

はやての疑問の声にリインフォースが答える。

『私はここに残って防衛プログラムを抑えます。だから…』

「ダメや!!一緒に行こう!」

『主…私は最後に優しい主に恵まれ綺麗な名前をもらった。幸せな魔導書です。』

リインフォースがはかなく微笑むとはやてはその空間から消えた。

『さようならです…主…』



「フェイトちゃん!」

防御プログラムを止め少しすると何もない空間が光り、光がおさまるとそこにはフェイトがいた。そして別の場所に新たな光が四つ現れる。そこには…

「ヴィータちゃん!」

「シグナム…」

守護騎士たちが復活していた。更にその背中に囲まれる様に光の柱が現れ、中からバリアジャケットを着て、杖を持ったはやてが現れた。

「なのはちゃん!フェイトちゃん!お願いや!リインフォースを助けて!」

「え?」

はやては伝える。リインフォースのこと、中から抑えると言って残ってしまったこと。

なのはとフェイトは解決策がなかなか思いつかない。そして何時もは司に相談していたことを思い出した。

「なのは、司は?」

「司君は…まだあの中に…」

なのはが指さしたのは巨大なドーム状の黒い魔力に包まれた防衛プログラム…闇の書の闇だ。

そして思いもよらない名前が出てきてはやてと守護騎士たちが驚愕する。

「何で司君が!?」

「司君も魔法使いだから…何時もはブラックって名乗ってたけど…」

はやてが疑問を口に出し、なのはが答える。そして守護騎士の中でも一際反応が大きかったのがシグナムだ。

「何だと!?司とブラックが同一人物…?」

この件が終わったら絶対に問い詰めようと決心したらしい。




闇の書の内部

司はリインフォースと対面していた。

「何故…お前は夢を見なかった…?お前の望み通りの世界にずっと居れたかもしれないのに…」

「簡単な話だ。俺は自分の望みが解らない。解らないからこそ、生きて望みを探す。だから夢なんて見てる場合じゃないんだ。」

リインフォースはその言葉に驚いたように顔を変える。そして司に言う。

「ならば、何故ここに残っている?主はやてが管理者権限を手に入れた時に出ることができたはずだ。」

「出ようとしたが…お前が残ったからだ。お前は何故でなかった?」

「…ここに残って防衛プログラムを抑える為…」

「嘘だな。」

リインフォースの言葉に司は速、否定の言葉をぶつける。

「はやてが権限を取り戻した時点でもうお前と防衛プログラムは関係ない。ここに残る意味はない筈だ。」

「・・・主は優しい方だ。そして私は血塗られている。私に今の主は眩しすぎる…」

「だが、お前が消えればはやては悲しむ。それに俺も悲しくなる。」

「え?」

リインフォースは訳が分からず戸惑う。

「言っただろう?俺にとってはやては友人であり家族でもある。守護騎士たちもだ。お前だって俺にとって家族に近い存在なんだ。」

「家族…私が…?」

「だから、一緒に行くぞ?みんなの所へ。家族の元へ、な?」

「私は…いても良いのか?」

リインフォースが涙をこらえきれずに司に問う。そして…

「ああ、俺が許す。たとえ全世界の誰もがお前を憎んでも俺はお前に味方しよう。約束だ。」

司が笑顔を浮かべ、リインフォースの心臓が一瞬高鳴る。

「…ありがとう…司…」

「ああ、リインフォース。」

二人は光に包まれ、その空間から姿を消した。





「最悪の場合、アルカンシェルで防衛プログラムごと彼らを消滅させるしかなくなる。」

「そんな!?」

「アカン!」

「ダメだよ!」

クロノの言葉にその場に居たほぼ全員が反対する。近しい人、思いの人の危機となれば当然だろう。

「だが他に方法があるのか!?」

クロノが言葉を続けようとした時、二つの光が闇の書の闇から飛び出してきた。そして…

「まったく…大変だったな。」

「すまない…私の我儘で…」

黒いバリアジャケットに魔力の羽を生やした司と、長い銀髪に黒い羽根の女性、リインフォースだ。

「「「司君!!」」」

「「「司!!」」」

「はやて、なのは、フェイト、それにヴォルケンリッター…ただいま。」

「お帰り、司君」

「遅いよ司!」

司たちが再会を喜んでいると後ろから声がかけられた。

「喜んでいるところ悪いんだが今は時間がない。何か…」

いい案は無いか?とクロノが続けようとした時、闇の書の闇に異変が起きた。

ピシィ!!

ドーム状の魔力にひびが入った。まるで卵の孵化のように。そして…


「光城…?」

「あ、そういえばなの。」

光城が中にいた。しかし目には光がなく、正常とは思えなかった。さらに

「ガ・ガァァァァ!?・・」

光城が苦痛の叫びを上げ、黒い魔力が光城の身体を浸食していった。そして浸食が終わるとそこには一人の青年がいた。

黒い髪に全身が白いバリアジャケットを着こんだ見た目は好青年と言っても差し支えない、だが、その眼は狂気の光が宿っている。その青年は闇そのものと間違えそうな魔力を纏って笑顔で口を開いた。

「僕の名は…ダグバ…」

究極の闇をもたらす者・・・と





ラスボス登場!!!いや〜長かった。途中どんなだったかなと思ってyoutubeでAsを見直したら涙腺が緩んで大変でした。リインフォースのシーンはやはり感動です。

ダグバの登場を予測できた人ははたして何人いたでしょうか?そもそもダグバ知ってる人が何人見ているか解りませんが。ダグバ登場の伏線はちょっとだけあったんですよ。では、次回またお会いしましょう!感想お待ちしております。

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