小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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最終決戦終戦です。





「今度は君が遊んでくれるの?」

ダグバが少女…文に問いかけると同時に数本の剣を射出する。だが文は特に気にするでもなく…

「生憎ですが私は、あまり自分で戦うのが得意ではなくてですね。」

バサァ!!

翼を羽ばたかせた。それだけで発生した風が向かってきた剣を逸らす。そのまま文は司に振り向いて笑いかける。

「さて、司さん。」

「文…お前は…?!」

一体なんなんだ?

そう聞こうとした司の声は遮られる。文が突然抱きついてきたことによって。

「お、おい!?」

「落ち着いてください、司さん。心を静かにして…集中して…」

文が司に抱きつきながらも司に語りかける。そして一言、呟くように、だけど確かな声で言った。

「私の力を託します…ユニゾン・イン…」

次の瞬間、文の身体が光りとなり、司の身体を包む。

バシュン!!

破裂にも似た音と共に光が晴れていく。

最初は足。黒と金のカラーリングに加え、鋭角的になった膝当て。

バシュン!!

次は胸部。黒いボディアーマーに金のライン。

バシュン!!

次は肩。黒い、鋭角的な肩当。

バシュン!!

次は腕。今までと違い左右非対象。右には砲撃用の巨大な銃口の付いた手甲、左は牙のような装飾が付いた鋭角的な手甲。

バシュン!!

次は背中。翼は消え、司の魔力を濃縮したかのような青い色のマント。

シュン…

最後に頭部。黒いバイザーには目に赤いラインが入った。





「つ、司君…?」

「本当に司なの…?」

なのはとフェイトは信じられない物を見るように司を見る。最近自分達と親しくなった友達が急に現れたと思ったら司と融合し、そして司から感じる魔力は先ほどまででも凄かったのに今はそれ以上。ダグバとも互角かもしれない程…

「何言っとるん!!あの子が何者か私は知らんけど、司君が強くなったんや!」

「…うん!そうだよね!」

「頑張れ!司!」





互いに睨み合っていた司とダグバ。しかし二人同時に右手を上げ、相手に向ける。

瞬間、膨大な魔力を圧縮し互いに放つ。二人の中心でぶつかり合い、消えた。そして二人は今度は剣を構える。ダグバはスキルで作り上げた魔剣、司は左腕から魔力で形成し、スキルで質量化した剣を固定して構える。

「消えた!?」

なのはの目には消えたように見えた。しかし…

キィン!!

「なのは、上!」

高速戦闘を得意とするフェイトは何とか場所を捉えることができた。なのはが見上げると確かに断続的に音と共に火花が散っているのが見えた。そして何回かののち二人が離れ、止まった。

「フフフ…ハハハハ…!!!」

ダグバが笑い出した。これ以上楽しいことは無いと言わんばかりの大声で。

「なんだ?」

司が聞く。

「…成れたんだね…究極の力を、持つ者に。」

「究極の力…?」

司の疑問が籠った呟きにダグバが反応し、語りだす。

「世界で最も強いのは、なんだと思う?」

「………」

「それはね、星自身だ。」

「…何が言いたい?」

「遥か昔、星が自らの意志で生み出したと言われるデバイスがあった。」

「………」

「そのシリーズは、自然や動物の力を宿していて、人型や武器みたいに様々な形になれると言われている。自分を持つに相応しい主を探して旅をする、ともね。」

「………」

「そのデバイスシリーズはこう呼ばれる…『星の記憶達(ガイアメモリーズ)』と…」

「(成程…だから力を託す…か。)」

「さっきの女の子はその中でも強力と言われる自然の…風の力を宿した『サイクロン』。君はそのデバイスに選ばれたんだ。」

「だから…究極の力を持つ者…か。」

「そう。でも…その力を持つのは君だけじゃない。」

「何…?」

ダグバの腕から魔力が溢れ、形を成す。それは十字型の黒剣。見た目だけなら光城のスキルで作った剣の方が立派に見える。しかし溢れる魔力は光城が作った剣とは比較できない程強い。

「これが…僕が『究極の闇』でいられる理由…闇の力を宿した『星の記憶達(ガイアメモリーズ)』の一つ、『ジョーカー』だ。」

「お前も選ばれた者…か?」

「残念だけど違うよ。僕自身がもともと闇の存在であり、偶然僕の近くに現れた。でも『ジョーカー』は僕を主とは認めなかった。けど…」

「………」

「『ジョーカー』の意志さえ封じれば使うのは簡単だ。この剣の力で僕の力は増幅されているんだ。」

司とダグバは再び剣を構える。そして…

「お話は終わりだ。楽しい殺し合い(戦い)をしよう。」

「俺は楽しむ心算はない!!」

またしても同時に動き出す。

ギィン!!

ギィン!!

互いに切り合い、距離を置き魔弾を放ち、また切り合う。

「やっぱり楽しいよ…これならどうだい?」

ダグバの背後に大量の…数えるのが馬鹿らしくなるほどの剣が現れる。

「行け!」

ダグバの号令に従い剣が司に向かう。

「(目で追うのは無理か…)なら…」

「「司君!?」」

「司!?」

なのはたちが驚きの声を上げる。司は大量の剣が迫っているにもかかわらず剣を見ず、ダグバのみを見据えたからだ。

そして司はそのまま淀みなく剣を振るう。

キン! キン! ギィン!キン!

「(風が…教えてくれる…流れが分かる…)」

文…『サイクロン』は風の力。風とは即ち空気の流れ。その力を使えば風の流れから剣の位置を特定するのは簡単だった。

司は自分に向かってきたすべての剣を捌き切った。同時に自分に向かってくるダグバも感知していた。互いに剣で切り合う。しかし、結果はまた互角。

「はぁ、はぁ、はぁ…」

息を切らしているのは司だけ。ダグバは平然としている。

「実力は殆ど互角…だけど僕は闇そのもので、君はいくら強くても人間…体力には限界があるよ。僕の勝ちだね。」

「(確かにこのままじゃ体力差で俺の負けだ…でも…)それはどうだろうな?」

「…まだ勝てる見込みがあるの?」

「有るさ…俺に有って、お前には無い物があるからな。」

同じシリーズのデバイスを持ち、殆ど同量の魔力を持つ二人。しかし決定的な違いがある。

「君に有って僕にない物?一体…」

「それは…」

その時、声が響いた

「駆けよ…隼!!」

「ギガントシュラァァァク!!」

「!?」

あまりにも想定外。ダグバが興味を無くして放置していた者たちが牙をむいた

「それは…仲間だ!!」

慌てて回避するダグバ。しかし圧倒的な実力差ならまだしも、今や同等の実力を持つ司に対しては致命的な隙。

「サイクロン フルドライブ!!」

『サイクロン フルドライブ!!』

司の声に呼応し、文…『サイクロン』の力が高まる。そして

「『エアロブラスト!!』」

司の右腕に魔力が集まり周りの風と同化した巨大な魔弾を発射する。急な回避でバランスを崩していたダグバはそれを避けれずに、直撃する。

「がぁ…!?」

そしてさらに追い打ちがかけられる。

「鋼の…軛!!」

「チェーンバインド!!」

「ストラグルバインド!!」

三重のバインド。先ほどダグバに破られた物。しかし、ダグバは司の攻撃で消耗しておりなかなか破れない。そこに

「凍てつけ…『エターナルコフィン』!!」

クロノが闇の書事件を終わらせる切り札として託されていた氷の杖、『デュランダル』を使ってダグバを完全に拘束する。そして上空からなのは、フェイト、はやてが砲撃を準備する。

「全力全開!スターライト…」

「雷光一閃!プラズマザンバー…」

「闇の書の歴史は終わりや…もう呪いの書なんて言わせへん。響け、終焉の笛…ラグナロク…」

「「「ブレイカァー!!!」」」

凄まじい砲撃がダグバを襲う。そして砲撃が収まると…

「うぅ…フフフ…ハハハ!!!」

ダグバは死んではいなかった。戦闘は無理と解るほどのダメージを受け、ボロボロになりながらも笑っていた。

「何で笑っているんだ?」

司が剣を突きつけながら聞く。

「…僕は闇そのものだ…決して消えることは無い。たとえ死んでも、また復活する…」

そう、闇の書の無限再生こそがダグバの真の切り札。何度死んでも決して消えることは無い。しかし、例外は存在する。

司が剣を掲げる。そして剣に魔力が宿り、輝く。

「綺麗…」

誰か、若しくは全員がそう思った。それほど幻想的な光を放つ司の魔力

司はそのままダグバの腹に剣を突き刺した。

「ぐぅ!?解らないの…?いくら攻撃しても僕は…」

「黙っていろ…」

司が目を閉じ、切り札を使う。

「『再誕(リ・バース)』」

司が唱えると同時に剣に宿っていた魔力がダグバに流れ込む。

「・・・え…!?」

光が収まった瞬間、ダグバの身体からあるものが離れる。

「ぼ、僕の『ジョーカー』!?」

司が使用した技『再誕(リ・バース)』は魔力を流し込み、相手を分解し、再構築を行う魔法。それによってダグバが吸収していた『ジョーカー』を切り離したのだ。

「闇の書の無限再生は闇の力…ならば闇の力を操ることができる『ジョーカー』なら…お前を完璧に消し去ることが出来る…違うか?」

ダグバの顔が焦りで強張る。司はダグバが『星の記憶達(ガイアメモリーズ)』の事を聞き、闇をの力である『ジョーカー』を持っていると知った時からこの方法を考えていた。そしてダグバから解放された『ジョーカー』が目を覚ます。

『う…ん?あれ…?私…』

黒剣から声が聞こえる。これがジョーカーの意志なのだろう。

「初めまして、『ジョーカー』。」

『あ、初めまして。』

場違いなこと甚だしい会話をする司とジョーカー。

「早速で悪いんだが、コイツを倒すためにお前の力を借りたい。」

『そーなのかー。ん〜…良いよ。私もコイツに恨みあるし。』

司がジョーカーを手に持ち、魔力を流す。すると黒剣の刃から魔力が溢れ神秘的に輝く。司が確認するように一度振るい、構える。

「僕は…僕は!!!」

「終わりだ…」

叫ぶダグバに司が無慈悲に突き刺し、唱える。

「ジョーカー フルドライブ!!」

『フルドライブ〜』

ジョーカーから何とも気の抜けた声が響く。が、解放される力は闇の存在であるダグバにとっては最悪の一撃…それ故に

「『ジョーカーエクストリーム』」

「ぐ、うわぁぁぁ!!!」

ジョーカーの力を開放すると、ダグバの身体はだんだん薄れていき、消滅した。





ダグバさんご臨終。自分のイメージの中ではダグバは笑ってるイメージしかないので、ものっそい苦労しました。

さて、正解は「星が作り出したデバイス」でした。(FF7のウェポンみたいな感じです。)どなたか文の正体を正確に予測できたでしょうか?

ジョーカーの闇の力設定は完璧にオリジナルです。黒かったので。

司君の姿は「アルティメットクウガ」+「オメガモンX」÷2でイメージしています。変身シーンのイメージはクウガの雪山での最後の変身シーンです。設定では今まではバランスを重視していたため片手で遠距離・近距離共に対応できるようになっていた。→片腕に遠距離、もう一方に近距離と特化することで爆発的に威力を高めた。と、なっております。

司君の切り札『再誕(リ・バース)』は鋼の錬金術師の錬金術からヒントを得ました。

エアロブラストはポケモンのルギアの技です。イメージはオメガモンのガルルキャノンなんですけどね。

As編ももうすぐ終わりです。感想をお願いします。

1月14日 修正しました

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