小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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一行がダグバの消滅を確認した矢先、はやてが気を失った。

「「「はやて!?」」」

「「はやてちゃん!?」」

「「主!?」」

なのは、司、フェイト、守護騎士たちが驚きの声を上げるがリインフォースが止める。

「大丈夫だ。初めて魔法を使い、疲れて気を失っているだけだ。」

その言葉に安心してとりあえず地上に降りる一行。そしてバリアジャケットを解除するとクロノ達が話しかけてくる。

「早速で申し訳ないが…アースラに来て事情を説明してほしい。もちろん、君たちもね。」

前半は守護騎士たちに、後半は司と文に向かって言うクロノに、文が困ったような声を出す。

「それは困りましたね…どうします?司さん・・・?」

「………」

一応自分を使うにふさわしいと判断して司を主に決めた文は司に確認をとろうとしたが返事がないことを不審に思い振り向く。そして…

フラ……ドサ!!

司が倒れる。

「司さん!?」

『マスター!?』

「「「「「「「司(君)!!??」」」」」」」

突然の出来事に慌てふためくが、幸いにもあまり関わりを持っていなかったこと、仕事柄冷静さを保つことを重視していたクロノの言葉でとりあえずはやてと一緒にアースラにいく事となった。(因みに光城は後に発見され、回収された)


アースラ内部 医務室

「魔力の使い過ぎと、疲労だそうです。少し寝ていればすぐに回復するとの事よ。」

全員、リンディの言葉に安堵する。しかし…

「あなた達守護騎士の事情は分かりました。そして、あなた…文さんでしたね?」

「はい。清く正しい烏丸 文です。」

「まいったわね…まさか伝説に少し登場するだけだと思っていた『星の記憶達(ガイアメモリーズ)』なんてものが実在して、現行のデバイスを遥かに超える性能を発揮するなんて…」

「それは司さんが優秀だからですよ。今回は初回なので少々疲れてしまったようですが。」

倒れて気絶しているのを少々疲れているですませる文。司が倒れた時はオーラと一緒に一番オロオロしていたのは内緒だ。

「あの…リンディさん。」

「どうしたのかしら?なのはさん。」

「文さんがデバイスって言うのは驚いたんですけど…そんなにまずい事なんですか?」

なのはの疑問に理解できているクロノとユーノは困った顔をし、わかっていないフェイト、守護騎士たちが疑問に思う。

「えっと…何て言えばいいのかしら?まずユニゾンデバイスってだけでも相当貴重だから、管理局としては目の届く範囲に置きたいと思うの。ましてや『星の記憶達(ガイアメモリーズ)』なんて正しく伝説級のデバイス…最悪…ロストロギア扱いで管理と言う名目で封印されかねないわね。それを使った天宮君もロストロギアの不正所持および無許可使用で厳しい監視下…悪ければ犯罪者として逮捕、なんてこともあり得るわ。」

「そんな!?」

「司は私たちを助けてくれただけなのに…」

なのはとフェイトが声を落とす。そこで守護騎士を代表してシグナムが口を開く。

「リンディ・ハラオウン艦長、司は主はやてや友人たちの為に戦ってくれたのです。私達守護騎士も司には大恩があります。どうにかして助けてやれませんか?」

「そう言われても…」

「「「「「「「「お願いします!!」」」」」」」

「しかし、僕たちは…「分かりました」…艦長!?」

クロノの言葉を遮る。

「クロノ執務官?天宮さんは今回の件には関わっていなかった。偶然結界に巻き込まれて気を失ったのでアースラで保護した。良いわね?」

「でも…」

「それに、肝心の映像が途中から途切れてしまってて天宮さんが魔導師だって証拠は一切無いのよ。」

「………わかりました。(母さん…彼の事が気に入ったの?)」

「………よろしい。では、とりあえずは解散です。(フェイトさんが娘になるかもしれないのは言ったわね?フェイトさんは彼の事が好きみたいだし…ね?)」

(………それだけで!?)

(子を思う親の気持ちよ。クロノもいずれ解るわ。)

周りには聞こえないように念話をしながらリンディとクロノは医務室から出ていき、なのはとフェイト、守護騎士達とリインフォース…そして、未だ目を覚まさない司とはやてが残された。

「聞いてほしいことがある。」

リインフォースが声を出す。

「主はやてが管理者権限を取り戻して魔導書としての機能は回復した。しかし…」

「何か問題があるんですか?」

「私がこのまま活動を続ければ、近いうちに新たな防衛プログラムが作られるだろう。そうなれば夜天の書は再び闇の書に戻ってしまう。」

「そんな!?」

苦労してようやく手に入れた平穏。それもこのままでは壊れてしまうという事実になのはたちは声を上げる。

「どうと言うことは無い。現状、主はやてへの干渉は止まっている。このまま私が消えればいずれ足も治るだろう。」

「だが主はやては…」

「大丈夫だ、将。守護騎士はもう切り替えられている。私が消えても…騎士たちは残る。」

それだけ言うとリインフォースはなのはとフェイトに向かって口を開く。

「お前たちに頼みたい。私を消してくれ。」

「はやてちゃんに何も言わないの!?」

「せめて別れ位…」

なのはとフェイトが残されるはやてのことを思い言うが、リインフォースが寂しげな笑顔で言う。

「お前たちにも、何時か解る。」





「うん…?」

「はやて、起きたか?」

『マスターも今起きたばかりですけど。』

はやてが目を覚まし、司が声をかける。

「司君!?リインフォースは!?」

「?何かあったのか?」

「分からへん…けど!!なんか嫌な予感がするんや!!行かな…」

「嫌な予感か…オーラ!」

『はい』

バリアジャケットを展開しはやてを背負う司。

「はやて、場所はわかるか?」

「うん!急いでや!」

次の瞬間、医務室に人影はなくなった。





雪の積もる公園になのはたちはいた。もうすぐ儀式は完了しリインフォースも消える。そんな時にはやての声が響く。

「アカン!!リインフォース!!消えたらアカン!!」

「「はやて(ちゃん)!?」」

「主!?」

「しかし主…」

「私が何とかする!暴走なんてさせへん…だから…」

はやてが涙を流しながら叫ぶがリインフォースの決意は変わらない。

「主…騎士も残り、友達もいる。そして、夜天の書の魔導のすべては、すでに主が受け継いでいます。私が消えても何も変わりません…だから…」

「今まで辛かったんやろ!?だから私がいっぱい幸せにしてあげないかんのに…」

「最後に優しい主に恵まれ、綺麗な名前をいただきました。…私は世界で一番幸せな魔導書です…」

リインフォースははやてに笑いかける。その後、司にも顔を向ける

「司…お前には世話になった。お前がいなければ闇の書の闇は終わらず、今も主はやてを苦しめていただろう。…これからも主はやてを…「一つ聞きたい。」…へ?」

司がリインフォースの言葉を遮る。予想もしなかったことに一瞬司以外が固まる。しかし司は構わず続ける。

「リインフォース…お前は、消えたいのか?」

「…え?」

「消えたいのか?」

「いや…私が活動していればいずれ…」

「はぁ…そんな事は聞いていない。消えたいのか?消えたくないのか?どっちだ!?」

「………」

「どっちなんだ!?」

「………な…てる…う…」

「聞こえないぞ。」

「…消えたくないに…決まっているだろう!?やっと優しい主に巡り合えた!!お前とも出会えた!!消えたくないに決まってる!!でも無理なのだ…このまま…」

リインフォースが今まで見せなかった涙を流しながら叫ぶ。消えたくない、けど消えなければならないと…

「だから私は…」

「助けてやろうか?」

「「「「「「「「…え?…」」」」」」」」

あまりにも簡単に言う司に呆然となる全員

「出来るのか…?」

「ああ。100%とは言わないが、恐らく可能だ。」

「司君!助けてあげてくれ!お願いや…」

はやてが今まで見たことがないほど必死に司に懇願し、

「…助けて…司…私は…消えたくない…消えたくないよぉ…」

リインフォースは膝をついて司にすがるように見上げる。

「リインフォース、俺を見ろ。」

「はい…」

司がバイザーを取り、膝をついてリインフォースの顔に手を添える。それはまるで囚われの姫と救いに来た勇者のようにも見える。そして…

「ん…」

「!?!?!?」

リインフォースの口と司の口がつながる。所謂口づけ…キスだ。

『……再誕(リ・バース)

非常に不本意そうな音質でその魔法の名前が紡がれた。それと同時に二人の身体が光に包まれ、光が晴れるとそこには見た目はさほど変わらない二人がいた。しかし、リインフォースは口に手を当て、呆然としていたが何かに気づき、驚愕した。

「闇の残滓が…消えてる…?」

「そうだ。今のは対象に魔力を流し込んで分解した後に再構築する魔法だ。お前の中に残っていた闇の残滓と壊れた機能を分解して、他から正常なものを当てて作り直した。」

「じゃあ…私は…」

「ああ、もう闇の書にはならない。代償として、再生プログラムも無くなったからこれからは人間と変わらなく…」

ガシ…

司にリインフォースが抱きつく。

「ありがとう…司…ありがとう…」

「司君。リインフォースを助けてくれてありがとう…ところで聞きたいことがあるんやけど…」

先ほどまでとは違い笑顔のはやて。良く見ればはやてだけではない。なのはも、フェイトも、シグナムも…そう…いつやらか、恭也が司に向けたのと同じ目が笑ってない(・・・・・・・)笑顔だ。

「どうしてもキスが必要やったん?」

「いや、アレは人工呼吸みたいなもので…」

「司…魔力を送り込んでってことは口じゃなくても良かったってことだよね…?」

「だが確実なイメージが必要で…」

「私も詳しく聞きたいの…」

司が思わず後ずさると誰かとぶつかる。振り返るとシグナムが立っていた。

「し、シグナム!助けてくれ!」

「…ブラックと同一人物と言うことは、最初からいろいろ知っていながら私をおちょくっていたわけだな…?」

「いや…そんな訳じゃ…り、リインフォース!助けてくれ!?」

希望を託してリインフォースを見る司。しかしリインフォースはと言うと…

「司とキス…司とキス…司とキス…」ブツブツブツブツ…

当てにならなかった。

「オーラ!ウィング!!早く!」

『一度反省すべきです。』


ぎゃぁぁぁぁ!!!???

「みんな幸せそうね。」

「いやいやシャマル?私には訳わかんねえぞ?何でキスってだけであんなになってんだ?」

「ヴィータちゃんにはまだ早いわよ?」

「あんだとぉ〜!?」

「…楽しそうだな。」

司の断末魔が響く中、残された守護騎士三人が眺めていた。


(残り2か月って所か…)

誰も司が心の中で小さく呟いたことに気が付くことは無かった。








実はもうちょっと続くんです。感想お願いします。…そういえば設定上物語の日付もクリスマスか…


















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