小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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司君side
あの後、方針を決めると言っても大して時間はかからなかった。結局のところ俺には原作知識なんてものは無いのだから決めようが無かった、と言ったほうが正しいか。今のところの方針は〈普通に生活、降りかかる火の粉はなるべく避ける。避けれなければ叩き落とす。〉といった感じの行き当たりばったりだ。あの後町を散策していると一人の少女に金髪赤目のイケメンが絡んでいるのを見かけた。十中八九、アレが神(仮)の言ってた転生者だろう。となると、あの絡まれてた少女が主人公だろうな。厄介ごとが待ってるって分かってるにも関わらず個人的事情がない限り頭を突っ込む気はない。そんなこんなで・・・一年と少しが経過した。

……何?手抜き?町で異変が起きてる(恐らく原作第1期とやらが始まったのだろう)にも関わらず普通に生活している子供を見て楽しいか?

そして今俺は図書館にいる。学校の宿題で行く必要ができたからだ。

「う〜ん、もうチョイ…」
車椅子に座りながら頑張っている子供がいた。さっきから5分位手を伸ばしてるし、まあ仕方ない、偶には人助けも悪くないか。
「これか?」
「あ、ありがとうございます。助かりました。」
「別に気なしなくてもいい、この本棚に俺も用事があっただけだし。」
俺も目当ての本を持って席に着く。
「あの…隣ええですか?」
「好きにすればいい。」

さてこれで、宿題を終わらせれば・・・
「あ、私はやていいます、八神はやて。八の神に平仮名ではやてです。」
「………天宮司。天の宮に司る、だ。」
よく分からんやつだ。

司君 side out

それから数十分後
「お前、家族はいないのか?」
司は気になっていたことを聞いた。確かに考えてみればおかしい。普通、車椅子で出かけるなら付添いの一人もいるだろう。
「私、家族おらへんのや。お父さんもお母さんも事故で・・・あ、でも今はお父さんの友達の人が援助してくれとるし手紙もくれるからそんなにさみしくないで?」
「そうか。すまないことを聞いたな。」
司が(無表情ながら)申し訳なさそうに謝る。
「いいんよ、もう慣れとるしな。…なあ、私の友達になってくれへん?」
はやては唐突に言い出した。
「ずいぶん急だな。何故?」
「私、こんな足やから同い年の友達おらへんし、司君は無表情やけどいい人みたいやし。ね?」
「結構な言い方だな、別に否定はしないが。ま、お前も面白いやつの様だし悪くない。」
「よっしゃ、じゃあ司君も私のことお前やのうてはやてって呼んでや。」
「うむ、宜しく、はやて。」
「よろしくな、司君。」
司の中でのはやての印象は〈よく分からん変な奴〉から〈面白い変わったやつ〉になった。

side はやて
司君に送ってもらって家に着いたらご飯を作りながら今日のことを思い出してた。
「(困ってるのみて助けてくれたり、きちんと送ってくれたり、顔はいいのに無表情やから怖い人かと思ったけど司君と友達になれて今日はいい日やったなあ。あの金髪馬鹿とは大違いや。)」

どうやらはやては金髪馬鹿こと、転生者に会ったことがあるようだ。

「あいつは馴れ馴れ近づいてきて、挙句勝手に車椅子押して送っていくとかほざきだしてホントに迷惑な奴やったしな。」

未だ出番のない転生者は自分の評判がガン下がりだということに気が付いていないようだ。

「司君の携帯番号も教えてもらったし、今度はいつ会えるかな?来月の誕生日は祝ってくれる言うたし。」
今から楽しみやわ。

はやてside out

-3-
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