告白ラッシュの後帰宅した司たち。
「お前たちには一か月で家事を覚えてもらう。」
光、葵、咲夜、舞夜(子供var)の四人を集めて司が言った一言だ。
「え〜!?ボク達が〜?」
「私もか〜?」
「当然だ。いつだって俺がいるとは限らないからな。」
当然のように不満を出す葵と舞夜(子供var)。
「まあ、確かにそうですね。いつまでも頼りっぱなしと言うのも悪いですし。」
「我も自分の事くらい自分でできるようにするのも最低限の務めだな。仕方あるまい。」
逆に光と咲夜は解っているようだ。
「しかし司さん、一か月では少々難しいのでは?」
文が司に言うが…
「仕方ないだろ、俺にも都合がある。炊事は俺が教えるから掃除洗濯は文が教えてくれ。…頼んだぞ?」
最後に小声で文の耳元で呟くように言う。
「ハゥ!?は、はい…(み、耳に息が…一体どこでそんな高等テクニックを覚えてきたんですか…?)」
文が顔を赤らめて頷く。文も司に惚れてる一人の乙女と言う事か、普段はしない司の不意打ちに反論出来なくなってしまった。
約一か月後…
光side
あれから私たちは司に料理、文さんに掃除洗濯等の家事を教わりました。司が言うには私は大体の事は出来てるから後は自然にできるようになるだろう、とのことです。私見ですが、咲夜はなんだかんだ言ってもしっかりしているので大丈夫だと思います。…心配なのは葵です。あの子は元気だけが取り柄みたいなものですし…そのあたりはあの子の努力次第ですね。
それから、最近楽しみにしていることがあります。司とチェスで勝負することです。私は元とはいえ、理を司る存在です。こういった戦略ゲームは得意です。日曜日の朝は戦隊ヒー〇ーや仮面ラ〇ダーを葵と一緒に楽しみにしている司には負けない、と思ってました…
「チェックメイト。」
「…はい、私の負けです。」
実際には私は司に一度も勝ったことがありません。最初は何でだろうと思って何度も挑みました。しかし何度やっても勝てません。
「光は難しく考えすぎなんだよ。考えすぎて結果、最善と思われる手を打つ。だからこそ解りやすいんだ。」
私は驚きました。確かに私は何時も最善と思われる手を打っていましたし、司は何度か悪手とも取れる一手を打ってきていました。すべて司の作戦のうちだったという事です。司が言うには「理を無視したような葵の方が、勝てるけど予測不能でしんどい。」とのことです。司といると様々な新しい発見があって楽しい。
「司、勝負しましょう。」
ずっとこんな時間が続けば嬉しいです。
光side out
舞夜(大人var)side
全く、何で記憶は共有できるのに精神は昼と夜でガラリと変わるのかしら?夜の私は家事炊事は一通り出来るのに、昼の私は本当に子どもだから…昨日も皿を何枚か割ってしまったし、一応マスターである司に迷惑しかかけてない気がするわ。これからどうなるのやら…
舞夜(大人var)side out
舞夜(子供var)side
むぅ〜料理って難しい…何で強火で一気にやっちゃいけないの?何でじゃが芋の皮は良いのに芽はダメなの?
解らないのだ…私はデバイスなんだから料理なんてできなくても問題ないのに…え!?できないならご飯抜き!?ごめんなさい!頑張るからご飯抜きだけは…あ、お皿割っちゃった…
舞夜(子供var)side out
葵side
この一か月間掃除も料理もがんばったけど…
「無理だよ〜!」
「なんでこうなるんだ…?」
だって掃除しようとしたら部屋は散らかるし、料理しようとしたらご飯はべたべたになって、お鍋は焦げ付いて…仕方ないよ!!人には得意な物と不得意なものがあるんだよ!
「ボクはこんな細かい作業は無理だよ〜!」
「だからできるようになる為に練習してるんだろ!」
司みたいに何でもできる人にはボクの苦労は解らないよぉ!
「俺が居ないときはどうするんだよ?」
「ヒカリンやサクが作ってくれるもん。」
「…言い直そう。一人だけの時はどうするんだ?」
「誰か帰ってくるまで待つ。」
「…帰ってこないときは?」
「コンビニで買って食べる。」
そうだよ!世の中掃除が出来なくても料理が出来なくても生きていけるもん。だから大丈夫!
葵side out
咲夜side
「準備はいいか?」
「無論だ。我はあの二人の上に立つべき存在だからな。炊事だろうが掃除だろうが負けはせん。」
我は以前は闇統べる王と言われていたのだ。たかが家事と言っても光や葵に負けたりするわけにはいかない。…まあ、葵に負ける気はしないが。我か光がしっかりしておらねば葵はまともに生活が出来るかどうか怪しいしな…け、決して心配しているわけではないぞ?王として部下を管理するのは当然であって…
「咲夜、お前は自分の事を『我』って言うの禁止。喋り方も普通にしろ。」
「な、何!?何故だ?」
「一般社会ではそんなこという奴は普通はいない。あと可愛げがない。」
か、可愛げだと!?
「わ、我に可愛げなど…」
「・・・・・・」
「わ、私?に可愛げなんて…」
「そうだ。それでいい。」
くぅ…あれを無言の圧力と言うのか?耐えきれなかった…過ぎたことを気にしても仕方ない。気を取り直して料理を…
「はぁ、咲夜。包丁の持ち方が違う。」
「も、持ち方など、味に関係ないだろう!」
そうだ、味が良ければ持ち方など…
「指切り落としたいか?」
「……」
「……」
「持ち方を教えてくれ…」
「指の向きと手の位置が…」
司はあろうことか私の後ろから手を回し込んできて我…私の手に自分の手を添えて教えだした。こ、これは傍から見たら抱きついているように見えるのではないか!?
「痛っ!?」
「ほら見ろ。変な持ち方するから…」
どうやら指を切ったようだ。全く、司がこんな状況を作るから…
パク
一瞬、何か解らなかった。私の手を司が掴んで、切った指をくわえていた。
司が私の指を口にくわえている?つかさがわたしのゆびをくちにくわえている?ツカサガワタシノユビヲクチニクワエテイル?
「な、な、何をしている!?!?!?」
「何って応急処置をって…馬鹿!包丁振り回すな!」
馬鹿は司だ!いきなり指を舐めるなんて!?
「やめろって、痛っ?」
「あ…」
司の指から血が出てる?私のせい?ワタシガツカサヲキズツケタ?
パク
気が付いたら私は司の指を口にくわえていた。
「おい、咲夜?」
鉄臭い、血の味。でも、司の味。そう考えると、悪くない。
「咲夜!!」
「…ハ!?い、いやすまない司。私がどうかしていたようだ。」
一体私は何を…?
「絆創膏持ってくるから待ってろ。」
そういって司が台所から出て行った後私は未だ流れてる少量の血と司の唾液が付いてる自分の指を見つめ…
パク
くわえた。これで、間接キスか。
フフフ…私は王。王は欲しい物は手に入れるものだ。
「無性にお前が欲しくなったぞ『司』?」
咲夜side out
さて、多分もうAs編でなのは達の出番は無いに等しいと思われる。(作者の力量不足のため)あれ?咲夜ヤンデレフラグ…?おかしいな、そんな予定は…あ、やめて!石を投げないで!
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