「さて、どこから話すべきか…」
「とりあえずお二人の紹介からお願いします。」
どう話すか迷っている司に光達が質問していく。
「まあ、無難か。銀髪の方がミツキ。光…あ、お前の事じゃないぞ?…を司る『ガイアメモリーズ』の『ルナ』だ。」
「宜しくね、皆さん。」
司の説明に一瞬光が反応したが司の制止で何事もなかったように紹介を進める。
「で、こっちの金髪の方が…」
「リゲルだ。『トリガー』の『ガイアメモリーズ』で司の武器となって戦っている。」
「…と言うことだ。」
柔らかい笑顔で挨拶したミツキと凛とした強かな態度で自己紹介したリゲル。それを確認して司は光達を見る。
「で、今度は光達の紹介をしなきゃな。右から…」
光達も自己紹介を行い、一通り終わったところでリゲルも少し警戒を緩めた。敵ではないという事が判ったからだろう。
「で?どうして司がまた戻ってこれたのだ?あの日確かに司は消えたはず…」
「それに司さん、どうやって彼女達と出合ったのですか?私が言うのもなんですが『ガイアメモリーズ』は普通見つかるようなものじゃありませんよ?」
「あ〜…そうだな…じゃあ、俺が目を覚ましたところから話すか。あれは…」
司が話し出す。目を覚ましてからこれまで有った事を。
司君side(過去)
気が付いたら変な空間に俺はいた…ん?俺は消えたはずなのに何で意識があるんだ?…(物理的に)脳みそがなくても思考は出来るんだな…ってそんな事考えても仕方ないか。って言うか
「何か懐かしいような…」
「まあ懐かしいだろうね。え〜っと君があの世界に転生してから大体…二年ぶり位だもんね。」
…聞いたことがある声だな。これは確か…
「やぁやぁ司君!お久しぶりだね!元気してた?」
「お前は…いつかの神!?道理で見覚えがある筈だよ…」
そうだよ。オレ一回死んでここで転生なんてしたんだった。覚えてる人いるのか?第…1話か2話だぞ?自分でさえ思い出せないのに…
「いや〜早速のメタ発言…?メタ思考って言うのかな?をありがとう。相変わらず自由だねぇ。」
「そういえば思考を読めるんだったな。で?何で俺はまたここにいるんだ?今回はそっちのミスじゃないだろ?俺が自分でやったんだから。」
前回来たときは神がミスしたとやらで来たんだろ?
「むぅ…そうなんだけど…私が君を転生させた理由は覚えてる?」
「ああ、確か一人イレギュラーが言ったからバランスとるため…だったか?」
「そうなんだけど…」
合ってるなら何でそんな不満なんだ?
「君が消えたらまたバランスがやばいんだよ!こうやって会いに来るのだって大変だったんだよ!?」
「…それはすまん。で?どうするんだ?」
「バランスとらないとあの世界が大変なことになるからもう一度生き返ってもらうよ。」
「良いのかよ、そんな事して。」
「本来ならもう一度君を生き返らせる…なんてできないんだけど…今回は出来るんだ。他ならぬ君のおかげでね。覚えてる?前あった時の事。」
「あの時…?」
‘願いって保留に出来るか?’
「…あ!?」
「そう!司君はあと一つ願いを叶える権利があるんだよ。それを消費すれば生き返る事が出来るんだ。」
すっかり忘れてたな…って待てよ?じゃあリインフォースも願えば助けられたのか?俺って無駄死にか?
「それについては大丈夫だよ。私が干渉できるのは外部から入る時だけで元から中にある命は干渉しちゃいけないことになってるから。私じゃリインフォースちゃんは助けられなかったよ。」
「…とりあえず無駄ではなかったならよしとするか。」
で、そこから手早く準備して生き返る準備が出来た。
「あ、そうだそうだ。司君、これお土産だよ。」
「お土産?なんだこれ?」
渡されたのはメモリースティック。これをどうしろと?
「生き返ったら私がプレゼントしたデバイスに使ってあげて。バージョンアップ出来るから。」
どうやらオーラのバージョンアップ用のデータらしい。まあ確かにオーラも喜べばいいんだが…
「司君が消えてから一年くらいたってる筈だから、そこだけ気を付けてね。学校は…あ、転校したってことになってるんだ。じゃあ大丈夫だね。」
「なんでそこまで知っているか非常に気になるが今回は置いておこう。まあ…世話になった。」
俺の身体が光り始める。もう会わないことを祈る。
「もう…つれないねえ。あ、そういえば聞きたいことがあったんだ。」
「なんだ?」
もう会うことは無いと思うし質問位答えるべきか。
「妻は何人娶るつもり?」
「知るか!?」
最後のやり取りにしては変なやり取りになってしまった。
「ああ!?ど、どうしよう!?」
…最後に聞こえたのは幻聴だと信じたい。
次に気が付いたのは真っ暗な空間だった。
「今度は何処だ?」
何も見えない。しかし何かが動くような気配を感じ…
パチィン!
「話をしよう。」
何かを…具体的には指を…弾く音が響くとその男は突然現れた。地肌に黒い服を羽織り、ジーパンをはいた色白な男だ。
「あれは今から24時間…48時間前だったか?まぁいい。どちらにせよ私にとってはつい先ほどの事だ。」
「いや、お前誰だよ。」
「…私は神の使いの者さ。ちょっと君に伝えることがあってね。」
「使い?何でそんな…」
piririri
いきなり電子音が鳴りだした。すると男はジーパンのポケットから携帯電話を取りだし…
「やあ。彼と接触したところだ。用件は?…ふむ、わかった。伝えておこう。」
それだけ喋るとまたポケットにしまった。
「なんなんだ?」
「神からのメッセージを仰せつかってきたから伝えるよ。『司君、いや〜ごめんね。ちょっと場所間違えちゃった。テヘ☆でもいきなり死ぬようなことは無いと思うから頑張ってね。』だそうだ。」
「…」
「…」
「あの駄目神め…アンタは何か思わないのかよ!?」
「HA☆HA☆HA。神は絶対だからね。私は従うだけさ。」
「主体性がないな。」
「よく言われるよ。そんな事よりもうそろそろ現実に意識が戻るから、気を付けるように。」
そう言い残すと男は消え去り…次に感じたのは凄まじい風だった。周りには綺麗な青空…すなわち上空から落ちてる最中…
「って嘘だろぉぉぉお!!!???」
しかももうすぐ地上…ってなんか変な建物に落ちる!そこで俺が思い出したのは前世で読んだ霊媒師の漫画。あの漫画でも飛行機から落ちた時は武器に幽霊を押し込んで実体化した溢れる魂でクッションにして助かっていた。
「ああクソ!上手くいってくれよ!?」
腕に魔力を集め地上に向ける。はっきり言って俺は量だけはあるんだが魔力の扱いが下手だ。オーラがいないと真面な戦闘さえ怪しい。でもここで出来なければ確実に死ぬ。
「アブソリュート…フォォォォォス!!!」
以前ダグバに使った時の事を思い出しぶつかる直前に魔力を開放する。
ドゥゥゥゥン!!ガラララ…ドカン!!!
「いって…何とか生き残ったか?」
何がちょっと間違えただよ…生き返って早々死ぬところだったぞ…
「ったく…で?ここは何処だ?」
俺は独り言のつもりで口に出した。そして、
「ふむ、ここは私の研究施設なんだが…君はいったい何者なんだい?」
「ドクター、彼は相当強力な魔力を持っているようです。少なくともSランク以上はあるかと。」
其処にいたのは二人の男女。呼び方から察するに科学者か?研究施設って言っていたな。
「…アンタたちは?」
「おっと、失礼。まずは自分が名乗るのが礼儀だね。私はジェイル。ジェイル・スカリエッティだ。見ての通り研究者をやっている。彼女は助手のウーノ。今度は君の番だ。君は何者だい?」
「天宮 司だ。一般人兼魔道師なんてものをやっている。」
これが大きな出会いだった。
次回に続く!
漸く最初のフラグ回収。ルナの名前はいくつか案をいただいたのですがアルテミス=そのまんま女神。ディアナ=ティアナと被る。そんなこんなで1時間ほど考えた結果ミツキ(美しい月)となりました。協力いただいた方々、ありがとうございます。トリガーに至っては希望も何も無かったのでそのままモデル通りのリゲルとなりました。今後も宜しくお願いします。今回も色んなネタが出たなぁ…