小説『異世界転生物語〜え?リリカル?なにそれ?〜』
作者:ガウェイン()

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はやての誕生日から数か月がたった。初めは戸惑っていたシグナムたちもはやての人柄が分かるにつれてだんだん馴染んでいったようだ。しかしある日を境にシグナムたちははやてに秘密で夜な夜な出かけては疲労を隠しつつもくたびれて帰ってくるようになった。そう、はやてが倒れたその日から・・・

司side
さて、何故こんな状況に陥ってるのやら。今俺の前にはバリアジャケットに身を包んでいるシグナムがいる。この状況に至るまでの説明が必要だろう。

40分前
「甘いものが食べたいな。」
俺は無性にケーキが食べたくなり冷蔵庫に材料がないか確認するために冷蔵庫を開いた
「なんてっこった…卵がきれてる…これじゃ明日の弁当が作れないじゃないか。」
卵は応用が利くからレパートリーが増えて助かる。しかし、逆に言えば卵がきれれば一気にレパートリーが減ってしまう。
「仕方ない、ケーキの材料と一緒に買ってくるか。オーラ、買い物に行くぞ。」
『了解です、マスター』
そうして俺は無いものをチェックして買い物に出かけた。その後予定していた卵と薄力粉、生クリームやイチゴなど買って帰宅途中に事件は起こった。結界に閉じ込められたのだ

「オーラ、この状況はどういうことだ?人がいなくなったぞ?」
『マスター、この結界は一定以上の魔力を持った人を結界内に取り込むもののようです。迂闊に動くのは危険と判断します。』
確かに迂闊に動くのは危険だろう。しかし状況が分からなければ何ともしようがない。
「オーラ、バリアジャケット展開。ビルの上から状況を観察するぞ。」
『迂闊に動くのは危険と言ったばかりなのですが…まあ、マスターですしね。set up』
俺の周りに薄い青紫の魔力光で魔法陣が描かれる。とはいっても一瞬だが。その光がはれた時には俺の体は成人男性程度に成長し、黒を基調にして腕と肩、足から膝にかけて薄い装甲のついたバリアジャケットに身を包んでいた。顔は目元を仮面で隠している。
「いくぞ、オーラ。飛翔翼(ウィング)」
そう呟くように言うと肩の装甲の付け根から魔力の翼が展開される。翼とは言っても実際は無くても飛べるが。まあ、要は飛ぶというイメージのために翼が欲しかっただけだ。
そうしてビルの上で様子見をしていた所で
「何者だ?」
「それは此方のセリフだな。こんな結界をはって何をしている?」
「名乗る理由はない!悪いが我らの悲願のために貴様の魔力を奪わせてもらう!」

そんなわけで冒頭につながる
司side out
「レヴァンティン!」
「ブレード!」
シグナムが司に切りかかる。司は魔力刃で受け止める。
それだけでお互いの実力は大体理解できた。
「(力では僅かに俺が上…だが)随分いきなりだな。俺でなければ切られていぞ?」
「(スピードは僅かに私が上か…)一応、非傷設定だ。しかし魔力が質量を持つとはな。レアスキルか?」
お互いに出し惜しみをしては負けると思った。そして、
「「((ならば…))」」
「(いかに此方の土俵に引きずり込むか…)答える理由はない!と言っておこう。」
「(いかに奴に一撃を叩き込むか…)先ほど私が名乗らなかった意趣返しか。」
互いに全力を尽くそうと決意した。司は戦略を以て、シグナムは戦術で以て。
「カードリッジ、ロード!」
先に動いたのはシグナムだ。自身の切り札の一つであるカードリッジを使い愛剣に炎を纏わせる。司は戦略に引きずり込むためシグナムがどう動くか防御と観察に勤めていた。
「我が名はシグナム!闇の書の守護騎士、ヴォルケンリッターの将だ!こいつは炎の魔剣レヴァンティン!」
「悪いが俺は理由(ワケ)あって名乗れない。まあバリアジャケットが黒いし、ブラックとでも呼んでくれ。相棒はインテリジェントデバイスの栄光の原点(オリジンオブグローリー)、オーラだ。」
シグナムは愛剣に力を貯める
司は魔力刃ではなく魔力壁を展開して受け止める体制をとる
「飛龍...一閃!」
「守護壁(イージス)!」
シグナムのその名の通り龍の如き一撃、司の神話に名を残す盾から名づけられた壁。双方がぶつかり、そして…

「くっ!」
「っ!」

双方はじかれた
「まさか防がれるとはな…(手応えはあった。しかし…固い)」
「防御に集中したからな。(しかし…受け止めはしたがそう何度もできないな…)」
その後もシグナムが手数で攻め、司が壁で守りつつ戦略を練る。そして司の目があるもの(・・・・)を捉える。
「(あれは使えるな。)」
瞬時に作戦を練りシグナムから距離をとる。そうはさせないと距離を詰めようとシグナムが突っ込む。が、何かを感じて横に跳ぶ。その瞬間今までシグナムがいた場所を魔力弾が過る。その隙に司は地面から何かを拾い上げ、シグナムに投げつけ魔力弾でそれを撃つ。
その袋は破裂し辺りを白い粉が舞う。その一瞬で司はシグナムを魔力壁で壁と天井を作り隔離する。
「(なんだこれは!?目くらまし?しかし何故壁でかこむ?…考えても仕方ない、薙ぎ払うまで!)」
シグナムは壁ごと目くらましを薙ぎ払うために飛龍一閃を発動させた。がその瞬間シグナムの戦士としての勘がまずいと警笛を激しく鳴らし、とっさに防壁を張った。その瞬間

爆発が起きた

司が投げたのは先ほど購入した薄力粉だ。シグナムの周りには大量の薄力粉が舞っていた。その状況で炎など放ったものだから酸素は一気に燃え上がり爆発を起こした。つまり、粉塵爆発だ。

「さすがに今のは驚いたぞ、ブラック。遠距離武器まで備えてるのか。」
「俺としては今のを防いだお前に吃驚だ。それに俺はオールラウンドなんでな。だがシグナム、これで終わりだ。」
「何を言っt」グラ…
シグナムが反論しようとした瞬間視界が揺れた
「(なんだ!?どうなっている!?)」
混乱しているシグナムに司の声が届く
「その狭い空間の中であれだけの爆発だ、酸欠になって当然だろ。」
然も当たり前のように喋る司を見てシグナムは驚愕していた。
「(私の攻撃を防ぎながらこの作戦を考えたというのか…)」
「では、俺はいくぞ?その防壁はお前が気絶したら解けるから安心して気絶しろ。」
そういって離れていく司を見てシグナムは気力を振り絞った。
「(逃さない…主はやてのためにも…)レヴァンティン!」
『bogenform』
「駆けよ…隼!!」
その一撃は司の防壁を突き破った

司side
「駆けよ…隼!!」
そんな声が聞こえて俺は急いで防壁を張る。その瞬間俺は凄まじい衝撃を受けた。
「さすがの防壁でも今のは完全には防げないようだな。」
おいおい・・・酸欠で気絶寸前の状況からあの防壁を破って追いついてきたのか?防壁一枚貫いた後で今の威力・・・下手すれば冗談抜きで死んでたかもしれないぞ?
「どうにか決着をつけなければ駄目か?俺は平凡に暮らしたいだけなんだが。」
「残念ながら、我らには成すべきことがある。それさえなければブラック、お前とは楽しい戦いができたかもしれんな。」
「仮にそうだとしたら友人ならまだしも、対戦相手はごめんだな。」
仕方ない…この場を無事乗り切るにはシグナムを倒すしかないようだ。
司side out

シグナムがレヴァンティンを構え、司は魔力刃を展開する。そしてお互い切りかかろうとして…

ドシュウッ!!!

司とシグナムの間に桜色のビームのような収束された魔力が奔った。

「なんだ今の?」
「別の戦闘の流れ弾の様だな。さて、戦いの続きを・・・?」
司が流れ弾の流れてきた方を見つめシグナムもそちらを見る。そこには白いバリアジャケットの少女と赤と黒のバリアジャケットの少年、先日司が不本意ながら知り合ってしまった高町なのはと転生者こと光城神威が見知らぬ黒いバリアジャケットの金髪の少女と協力しながら赤いバリアジャケットの少女と戦ってる所だった。

「あれは…ヴィータが押されている!?くそ!ブラック、この勝負は預けた!」
「あ、おい!?いっちゃったよ...」
司もやる気になった事は最後までやる性分なので折角やる気になったシグナムとの決着がつかず消化不良気味になってしまった
『マスター、流石に3体2ではシグナムさんとヴィータさんが不利だと思われます。ここはシグナムさんとの決着をつけるためにも援護してはどうでしょう?』

原作に関わる気はなかった司だが・・・
「仕方ない。もう関わってしまったわけだし、助けるか。俺は光城の相手をすればいいか?」

司は今更ながら原作に関わってしまう事を覚悟し、ライバルと認めたシグナムを助けるために現場に向かった。

-6-
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