「……ぉうぶ?……」
「ぅん……ここは…?」
目を覚ますとそこは檻の中であった…
俺は立ち上がろうとするが…
―ドテッ―
「あれ……?」
手と足は逃げられないように縛られており、勢いよく立ち上がろうとしたハルキの体はバランスを崩し、床へと転がってしまう。
「…ったく…誰だよ…こんなことしたのは……」
「俺達さぁ」
声がする方へ向いてみると大柄な人影が4,5つ程見えた。
まだ、暗闇に目が慣れていないためかよくわからないがその中でも一際大きい影が俺を見て喋りだす。
「いやぁ、今日は大漁だったぜ。一人はおめぇのせいで逃してしまったが…おめぇを含めて4人も美少女を捕まえることができたんだからな…ダハハハハハ。」
男たちは一斉に笑いだすが、それが一層ハルキを苛立たせる。
「ちきしょう…てめぇら覚えてろよ…」
「ハハハ、威勢が良くて結構だ嬢ちゃん。オークションが始まるのは三日後だ。今の内に”自由”を満喫してるんだな。ワハハハハ」
そう言って、去っていく人影。
俺は悔しくて、手や足につけられた枷を引き千切ろうと足掻くが…
「無駄よ……」
「え?」
後から声をかけられ俺は振り向く、そこには人影が3つ固まって座っていた。
『おめぇを含めて4人も美少女を捕まえることができたんだから』
先程の男の言った言葉を思い出す。
自分を含めて4人…つまり、今檻の隅で固まって蹲っているあの3人も自分と同じように攫われてしまった人達なのだろう…
「たとえ、ここを出られても…その首輪がなくならない限り…私たちは自由になることはない…」
「首輪…」
言われて、初めて自分の首に何かが付けられていることに気付いた。
つまり、これはある一定の距離以上離れると爆発する類のものなのであろう…
「ちきしょう…これじゃ…逃げられないか……マモリも心配してるだろうな…」
「マモリ?それはそなたの友達か?」
「あぁ、自分を拾ってくれた人の孫でな…って俺もそっちに行っていいか?」
「あぁ、構わぬ。」
相手の顔も見えない状態で話すのはなんというか…違和感があるので俺は3人に近寄る。
「どうも…」
目も暗闇に慣れ、距離も近づいたおかげで3人の顔がハッキリと見える。
…なるほど、これは美少女だわ…特に、真ん中の黒髪の子…成長したらかなりの美人になるんじゃね…
「どうしたのじゃ?」
「あぁ、ごめん。ちょっと、まだボーっとしててな…俺の名前はミズカゲ・ハルキ。よろしくな」
「私はボア……ハルキ?」
俺が差し出した手に応えようとして、上げかけた少女の手が止まる。
「そなた…男なのか……?」
「あぁ、こんな顔してるから、よく間違われるんだけどな……」
「男がわらわ達に近寄るな!」
「え……」
友好的な態度から一変し、黒髪の少女は警戒や敵対といった感情を目に宿らせ、こちらを睨む。
他の少女達もそこまではいかなくとも自分を恐れているのははっきりと見て取れた。
「俺は君たちに危害なんて加えない…信じてくれ…」
「………」
なぜ、こんなに男に対して警戒心を持つのだろうか…
自分達を攫ったのが男だから?
俺は釈然としない思いを感じながら、少女達に呼びかけていくが応えが返ってくることはなかった。
そして、1日…2日…3日が経ち、人間オークションの日を迎えた。