小説『ONE PIECE【大海に映る月】』
作者:masayuki()

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(SIDE ハルキ)

「では、次のエントリーNo.3!!美少女4姉妹〜。どの子も将来は絶世の美女となることは間違いなし!幼いころは可愛い可愛い愛玩動物、成長したら貴方へ尽くす美女奴隷!育て方はあなた次第!まずは、4人セット価格で190万ベリーから!!!」

…ったく、4人セットって…本当に人権ってもんがないんだな……つか、俺は成長したら絶対に、カッコよくてダンディなお兄さんになってみせる……

そんなことを思いながら、俯く。
いつか、きっと逃げ出せるチャンスが来る…そう自分に言い聞かせて決して諦めないと心に誓う。

「400万ベリー!!」

「え……?」

思わず、声を漏らしてしまうハルキ。
それは、自分達に懸った値段ではなく。

「マモリ…?」

間違うはずがない。自分が今まで何年も何万回も聞いた声が…
俺は、顔を上げ、会場を見渡す。

「500万ベリー!」

そこには、予想通り、必死な顔でプレートを挙げている幼馴染の姿があった。

「馬鹿野郎……」

自分の為に…そんな大金まで出して…
いくら、お前が船長だからといっても家にそんな余裕なんてないのに……
これが終わったら、あいつに思いっきり感謝して、恩返しをしていこう…そう思っていたのだが……

「2000万ベリーじょろ!!」

それは開始額の10倍という高額な入札によって打ち砕かれた。

「なんと!2000万ベリーが出ました!!2000万以上の入札はありませんかー!?では、そちらの19番の落札となります!」

途端に顔を覆い蹲るマモリ。

…いいよ。俺の為にこんなに頑張ってくれたんだから…お前は何も悪くないから…そんなに泣くなよ。絶対にお前のところに帰るからさ…

そう叫びたかったが声が出ない…

―ピチャ―

不意に自分の手に落ちる水滴。

「うわぁあああああああああああ!!」

それが自分の涙だと気づいたとき、彼は無意識に叫んでいた。







(SIDE マモリ)

「うわぁあああああああああああ!!」

初めて聞く幼馴染の叫び声、それは悲痛でいつまでも頭に響くものであった。


「今日はよかったじょろ。新しい玩具が手に入って〜…。」

「……ッ!」

…ハルキが玩具だと!?私の大事な幼馴染が!お前らなんか…お前らなんか世界の癌なのに!…

私はそう叫びそうになるのを懸命に堪える。
唇を強く噛み締め、口の中には鉄の味が広がる。
こんなところで騒ぎを起こしてもどうにもならないし、ハルキは喜ばない。
もちろん、それでもハルキが助けを求めてくれるんならどんなことだってするが……
ハルキはこちらを向くこともなく淡々と天竜人の後についていく。
そして、出口から外へ……

「おい、貴様、何をしてるじょろ!」

その声に大勢の人が出口へ向く。
そこにあったのは天竜人に鞭で打たれながらも笑顔でこちらをみるハルキの顔。
暫くすると、ハルキは出口へと振り返り、引きずられるように天竜人の後をついていった。

「なんだったんだ…あれ……」

「まったく……こわかったわぁ…」

天竜人がいなくなってからは会場には安堵の色が広がり、観客達は口々に先ほどの出来事や今日のオークションの内容について話始める。

「かえる……じゃない……嬉し……」

しかし、マモリはそういった会話に参加することもなく、ぶつぶつと呟き始める。

『俺は絶対に帰るから待っててくれ。それと自分を責めるなよ?お前のせいじゃないんだからさ。あと、来てくれてありがとう…嬉しかったよ…』

それは昔、二人で作った自分達にしかわからないアイコンタクト。
彼女は先程のハルキの目の動きや口の動きなどを思い出し、昔の記憶を頼りに解読していったのだ。
そして……

「うわぁああん、ああああああ……」

そのメッセージを理解したとき、彼女は泣き出し崩れ落ちた。

-3-
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