小説『ONE PIECE【大海に映る月】』
作者:masayuki()

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(side ハンコック)


「ハ、ハルキ?」

「待たせたな、ハンコック」

目の前に突然現れた人物、そしてその人が起こしている現象にハンコックは驚き、立ち尽くす。

「あぁ、ちょっと。驚くのも無理はないと思うけどさ…後で、理由は話すから…な…ちょい、離れてて……まだちょっと制御が……」

そう言って、空いている方の手で檻の隅ー先程までハルキがいた場所を指す。

「ちゃんと後で、話してもらうからね…」

私はソニアとゴールドを連れ、そこへ向かう。
そして、そこから ハルキの腕がワーウルフの首に゛噛み付いている゛ところを見る。
そこに恐怖はなく、むしろ興味深そうに魅入っている。
そして、彼女は

「男は狼って…本当だったんだ……」

とハルキ本人が聞けばずっこけるようなことを呟くのだった…










(side ハルキ)

…おい、ルナ!これでいいのか?

ー上出来だよ。まさかここまで使いこなせるとはねー

身体中に流れている麻酔成分をナノマシンを意識的に動かして吸収、排除していく。
その作業はわずか1秒に満たない時間で終了し、先程まで動けなかった体が思い通りに動かせるようになる。

「うっし、じゃああいつを助けるか…」

ーちょっと待って、戦う前に君に一つ贈り物をしておくよー

「…くッ……」

ルナの声が頭の中に響き渡り、その刹那身体中に巡るナノマシンに新たな情報が上書きされていることを感じる。

「…これは……吸血鬼?」

ーよくわかったね。やっぱり、君は才能があるよ。それはもう、滅んでしまった吸血鬼の情報が書き込まれたものでね。まぁ、習うより慣れろだよね。ほら、もう行っていいよ。彼女も危ないしー

「…ッ……」

ハルキに促されてハンコックの方を向くとワーウルフに噛みつかれそうになっていた。
ハルキは瞬時に足を狼のものにして、一瞬のうちにワーウルフの前に肉迫する。

「…ッ!」

驚くワーウルフに腕を突き出す。
腕は敵に届くまでに人のものから狼の頭に変化し、首元へと喰らい付く。

「ハ、ハルキ?」

「待たせたな、ハンコック」

ハルキは腕の制御に集中しながらもハンコックへと視線を移し微笑む。

「あぁ、ちょっと。驚くのも無理はないと思うけどさ…後で、理由は話すから…な…ちょい、離れてて……まだちょっと制御が……」

「ちゃんと後で、話してもらうからね…」

あぁ、任せとけと俺は空いた方の手でジェスチャーして、視線をワーウルフへと戻す。

「うぉおオオオオオ!」

ハルキの右手はしっかりと首に食らいつき徐々に牙を食い込ませていっているのだが、相手の命を断つまでには至っていない。
それはつまり…相手は自分に反撃ができるということであり…

「ハルキ!!」

ワーウルフは腕を振り上げその鋭い爪で俺の心臓を貫こうとしてくる。
右手が相手の首に噛み付いているせいで避けることは不可能、受け流そうにも片手で不十分な体勢で成功する可能性は高くはない…ならばどうするか……

ーグサッー

「ハルキぃいいい!」

貫かれるハルキの胸…しかし、そこから飛び出るはずの血も肉片も出てこない。

「大丈夫だって、心配すんな。お前らはおれが守るって言っただろ?」

「「ッ!?」」

驚いた表情をするワーウルフとハンコック。
前者はあまりの手応えのなさに、後者は目の前のいような光景に驚愕していた。

「やっぱ、吸血鬼と言えば、霧化だよな。」

そう言って笑うハルキの胸には空洞ができており、その中をワーウルフの腕がすり抜けている。

「さて、問題です。俺の胸の中は何処かに行ってしまいましたが、一体それは何処に行ったでしょう?」

「ウォオオオオ!」

「ハルキ!」

「いや、わかんねぇって…俺、狼じゃないしな…」

顔を目掛けて振り上げられるもう一つの腕を見ながら余裕そうな表情でそれを見るハルキ。

「はい、時間切れ…答えは……」

「ガ……ゥ……ウウウウウウ……」

突然、苦しみ出すワーウルフ、その腕はハルキの目前で止まり、彼の胸は大きく膨らみ…

ーピチャー

「あなたの心の中でした!……なんてな」

「ワォオオオオン」

返事をするようにワーウルフの胸から顔を出す狼。
ワーウルフは倒れ、ハルキはその狼を自分の胸の中に戻す。

「おっし、これでなんとかなったか…あとは……」

と言って、振り向く先には呆然として立ち尽くす天竜人の姿。

「こ、この化け物……わ、わちを見るでない…」

ープシュ、プシュ、プシュ、カチ、カチ、カチー

天竜人はハルキを恐れ、麻酔銃を乱射するがそれでハルキが倒れることもなく、すぐに弾は空になる。

「んなもん効くわけねぇだろ?それ、今まで何発俺に撃ち込んだと思ってんだ?」

「……ッ!わ、わちに手を出したらどうなるかわかっているジョロ?」

「分かってるさ、だがな…」

俺は醜く這いつくばる男に向け、手を振り上げ……

「んなこと百も承知だ、豚野郎!」

振り下ろしたー









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