小説『ONEPIECE 〜猫又海賊奮闘記〜』
作者:ノア()

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第二話

皆さんハローこんにちは。
転生しました、リオン・ノマッドです。
本日はお日柄も・・・いや、よくねぇよ。うん。

「あら、こんにちはリオン君」
「おばさん、こんにちはっ!」
「あらあら、今日も元気ねぇ」

はい、そんなこんなで今日も元気に5歳児やってます。
あ、なんでいきなり飛んでんだよとか言わないでよ?マジで。

「リオーン?どこにいんのー?」
「母さん、俺はここだよ」
「ああ、そこにいたのな」

このサバサバした女性はイリス・ノマッド。
俺の母さんだ。
そして何で5歳スタートかって言うとな、神様のお陰だよ。うん。
俺も精神年齢的には0歳の時点で16歳なわけよ。
そんな状態でオムツやら授乳やら・・・断じて俺にそんな趣味は無い。
しかもこの母親無駄に美人だ。
こっぱずかしっくって仕方ねぇ。
そこであの神様(笑)が記憶はそのまま、意識の覚醒をついこの間にしてくれたわけよ。
・・・でも記憶自体はあるんでね。うん。思い出すのも忌々しいよ。
だけど5歳は遅すぎだって思わねぇか?
なんでも16歳が3歳のフリは少しかわいそうだってことらしい。
・・・いや、だったら転生じゃなくってトリップにしてくれよ。

「今日は出かけるって言っただろ?」
「でも今日雨だよ?」
「疑問系に疑問で返すんじゃない」

ゴチン

「・・・人を殴って出る音じゃない」
「気にすんな」

なんてバイオレンスな母なのだろうか。5歳の息子の頭殴っておいて「気にすんな」って・・・。

「というか母さん、今日ってどこ行くのさ」
「近くの島」

いや・・・そんなザックリな説明でなく・・・。
そして美人でこの性格なので無駄に凛々しい印象を与える母さん。
なんだろ・・・我が母ながら残念な気配がすごくする。

ゴンッ

「・・・理不尽だ」
「確実にお前、今失礼なこと考えたろ」
(・・・なんでわかんだよ)

港へ向かいつかつかと歩いていってしまう母さん。

「ちょ、ちょっと待ってよ母さんっ」

着いてくのがやっとな早さで後ろも振り返らず歩く母。
つかむしろ走ってる。俺、完璧に置いてかれてる。
でも俺身体強化されてるんだぜ?
なのに追いつけない。
・・・なんだろう。
親としてなにかおかしい気がする。
息子のことちっとも気にしない以前になんでそんなスペック高いの?
ちなみに、神様が身体能力など諸々を上げてくれたわけなんだが・・・。
この前色々やったら次の日の筋肉痛が尋常じゃなかった。
5歳児の体じゃまだまだ出来上がっていないからなのか、六式などを練習するにもリスクが高過ぎる。
なので今は単純な体術だとか体力アップを前提に修行中だ。
こういう細かい所もちゃんと教えてから送ってくれりゃあ良いのに。あの馬鹿め。

「ほら、乗るよ」
「ねぇ、母さん。結局なんて島に行くのさ」
「あ?言ってなかったか?」
「言ってないよ・・・」

余談だが、ノマッド家はそこそこ街でも有名な家で、舩も所有している。
その舩に乗って出かけるわけなんだけど・・・。
ちなみに父さんは冒険家なんだけど、今はどの辺にいるのだろうか。

「で?どこに行くのさ?」
「オハラだよ」
「・・・は?」
「あ?親に向かって『は?』とはなんだよ。『は?』とは」

息子に向かって睨み利かせるのもどうですか・・・母さん。

「っていうか、え?本当にオハラ?」
「そうだっつってんだろが、私の古い友人の娘に会いにいくのさ」

ちょっと待ってよ母さんや。
オハラ滅びてないの?え?
確かバスターコールだロビンが8歳の時だろ?
んで俺は原作の18年前に生まれて、今は5歳。
あれれれぇ〜?
・・・いや、コナン君のモノマネしてる場合じゃねぇ。
・・・まぁ、行ってみりゃ分かるか。
っていうかここ西の海〈ウエストブルー〉だったんだな・・・。

「なにぼぉっとしてんだコラ」

ゴフッ

「・・・痛い」
「気のせいだ」

・ ・・俺はそのうち死んでしまうんじゃないだろうか。




「オイ、起きろ。オイ、起きろってのッ!」

ゴスッ

「・・・母さん、寝ている息子の正しい起こし方はそれじゃないよ」
「うっせぇ、着いたんだ。起きてさっさと降りな」

どうやらいつの間にか寝てしまったらしい。
・・・もうすぐ永遠の眠りにつく所だったけど。
そしていつの間にかオハラへ到着。

「ねぇ、母さん。その友達の娘って何歳くらいの子なの?」
「お前と同い年だよ」

なるほど・・・少なくともオハラは滅んでない。
原作の13年前でも・・・・・・どういうことなんだ?

「へぇー」
「なんだ、気になるのか」
「いや、5歳児にニヤニヤして言うセリフじゃないよ?それ」
「お前みたいな5歳児は他にいねぇよ。・・・いや、アイツの娘ならあり得るか」
「これから会いに行く子?」
「ああ」

どんな子なんだろうか。
少しロビンを期待したけど、俺と同い年じゃそりゃないしな・・・。
今はロビンは何歳だろ・・・たぶん15歳、かな?
そして海岸に降り立った俺と母さん。
雨脚が強くなってきた。

「ねぇ、早く用事済ませないと家に帰れなくなっちゃうよ?」
「大丈夫だ。泊まりだからな」
「・・・え?」
「なんだ、言ったじゃないか」

・・・いえお母様、言っておりません。
え?なんなの?なんで俺はこんなに振り回されてるの?

「ほら、行くぞ」
「あ、うん」

そして俺と母さんはとある家の前で止まった。

コンコンッ

雑に母さんが扉を叩くと、

「・・・ハイ」

中から俺と同い年くらいの女の子が出てきた。
黒髪のショートで、前髪パッツンの。
・・・あれ、俺、嫌な予感がするよ?

「アンタがロビンか?」
「・・・誰?」

あっれぇ?母さんなんて言ったよ今。
・・・ロビン?え?マジで?

「アンタの母さんの友達さ」
「ッ!お母さんのですか!?」
「あぁ、イリス・ノマッドだ」

え、じゃあなに。
母さんの友達ってオルビアさんなの!?

ゴツンッ

「ッてぇ・・・」
「お前もちゃんと挨拶しろ」

俺の混乱なんて知らず、母さんとロビンのファーストコンタクトは終了したっぽい。ロビンはジッと俺を見つめてる。

「あ、えっと、息子のリオン・ノマッド。よろしく」
(うわー・・・原作キャラだっ、しかも麦わらの一味!)
「・・・ロビンよ」

・・・ぜんぜん心開いてくれないっぽいな。ちょっと泣ける。
・・・・・・ってそうじゃねぇよ!!!
なんでロビンがまだ5歳なんだ?今は13年前のはずだろ?

『ちょっと?ロビン?まだなのー!?』

家の中から甲高い女の人の声がした。・・・ロビンの叔母か?

「・・・明日クローバー博士の所に来てくれ、その時にいろいろと話そう」
「わかりました」
「私たちは博士の所にしばらく泊まる。何か会ったら来な」
「はい」
『ロビーン!?』
「今行きますっ!」
「・・・それじゃあな」
「はい」

そう言って、ロビンは家の中へ戻っていった。
・・・なんだろう、すげーロビン苦労してそう。
原作読んでてもかわいそうとは思ったけど、実際に遭遇するのとはわけが違う。

ガツンッ

「・・・なんで?」
「ぼぉっとしてるからだ」
「ひでぇ・・・」
「それに、なんだか見当違いのことを考えてる気がしてな」
「見当違い?」
「お前、『かわいそう』とか思ったろ?」
「・・・」
「それは違う。これはアイツがいないってのもあるが仕方の無いことだ」

アイツっていうのはオルビアさんのことだろう。
オルビアさんがいないから、ロビンはその弟の家に居候してる。

「この状況に、あの子は耐えてる」
「でも・・・」
「あの子の苦労はあの子にしか理解できない」
「・・・」
「私たちはとやかく言えないさ」

なんて、無力なんだろう。
チートなんて携えてようが、俺は5歳の子供でしかない。
いま、ロビンを救ってやれることなんてできない。
ロビンを引き取る?それは俺じゃできない。
バスターコールを止める?それも、今の俺じゃムリだ。
そう、今の俺じゃあな。
だから強くなんないといけない。

「でも、お前は支えになってやれ。あの子の苦労はお前は肩代わりできない。でも支えるくらいならできんだろ?」
「・・・母さん」
「なんのためにお前連れてきたと思ってんだ」

たまには、良い事言うじゃん。
この人は本当にズルい。
原作では出てきていないけど、もし、存在してたなら。
きっとこんな風に誰かを救って。
憎まれ口叩かれたりしながら楽しく生きてるんだろう。
そう思わせるくらいに、この人はたまにすこぶる良いことを言う。

「お前は1年間この島に住むんだしな」
「・・・・・・・・・え?」
「お前は今日からクローバー博士の所でお世話になる。言ってなかったか?」
「・・・言ってねぇえええええっ!!!」

ゴスッ

「親に向かってなんだ、その口の利き方は」
「・・・理不尽だ」

母さん、俺の感動返して下さい。




例の茶の間で神様はリオンのことを見ていた。
せんべいを齧りながらあの時のようにだらしなく寝転んで。

『・・・あちゃ〜、やっちゃった』

そう言いつつも、まったくそんなこと感じてないようだった。

『間違って28年前に転成させちゃった☆』


『なんだってぇえええ!?』

・・・リオンの叫び声が聞こえた気がした。

-2-
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