小説『ONEPIECE 〜猫又海賊奮闘記〜』
作者:ノア()

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第三話

皆さん、こんばんは。
異世界から中継のリオン・ノマッドです。
ただいまの天気は雨、それに加え風もさらに強まることでしょう。
いや、うん。
前回に引き続きオハラに滞在しております。

「まだ生きてたかクソジジィ」
「相変わらず口の減らない小娘め」

今、全知の樹にてクローバー博士と対峙しているわけなんだけど。
母さんと博士仲悪すぎじゃね?

「・・・で?一体何をしにきたんじゃ」
「ロビンのことだ」
「何?ロビンのことなんぞどこで・・・」
「オルビアに頼まれた」
「そうか・・・一体いつ?」
「先日あるところを経由して手紙が届いたんだよ、『娘を頼む』ってな」
「ふむ・・・で?どうするのだ」
「あぁ、あの子を引き取ろうと思ってな」
「「は?」」

あ、すげぇ!原作キャラとハモっちゃった!
ってそうじゃねぇよ。

「母さんマジで言ってんの!?」
「お前の息子も驚くとはどういうことじゃ!?」
「うっせぇ」

ガスッ、ゴスッ

「「子供(老人)にはやさしくしろよ・・・」」
「あ?」
「「スイマセン」」

なんだろう、博士への共感がハンパねぇ。

「・・・本人には伝えたのか?」
「まだだ」
「ふむ・・・」
「もし、ダメと言うならば私たちがこっちに越してこよう」

え?マジっすか?
っていうかどっちにしろ引き取るのね。
ってことはロビンと俺って義兄妹?
いや、どっちが兄で姉かわかんないけど。

「ダメだ」
「なら越してくる。一応訊くが理由は?」
「あぁ、その前にお茶を入れてくる、喉が渇いて仕方ない」

そこで博士は一度席を立ち、お茶を入れにいった。

「なぁ、母さん。あの子とこれから住むのか?」
「あぁ、引き取る」

・・・なら俺が断念したロビンを救う方法その1はなんだったんだろうか。
結局引き取るんじゃねーか!

「何か文句あるか?」
「ありません」

ないですよ、母さん。
だから拳を握りしめないで。
そこで、博士が3人分のお茶を入れ、戻ってきた。

「すまんな、待たせた」
「いいから話せ」

博士はお茶を口に含み、窓の外へと視線を向けた。
いつの間にか外は嵐の様な天候だ。

「あの子の今の保護者は見たか?」
「叔母の声だけ聞いたよ」
「・・・酷いもんじゃったろう?あの家でのロビンはまるで召使いのようだ。あの子は家族の愛情を知らず、目の前で可愛がられるのは夫妻の娘ばかり。それにな、ロビンは能力者なんじゃ。偉大なる航路じゃ珍しくもないが、このオハラにはおらん。皆ロビンのことを腫れ物のように扱っての・・・あの子には気を許せる友もおらん」
「・・・だったらなおさら私らと一緒に引っ越した方がいいんじゃないか?」
「しかし、あの子は母の影を、オルビアの背中を追っておる。我々学者には心を開いておってな、今も考古学者になると、必死で勉強しておる。・・・5歳の子供がな」
「・・・」
「きっとあの子はこのオハラで、また母と並んで歩くことを夢見とるんじゃ」
「わかった・・・私たちが越してこよう」

なんだかしんみりとしている2人、1人空気な俺。
っていうかやっぱりこれ、18年前に生まれてないよな?
今、23年前だよな?

『あははっ、ごめんねー☆』

・ ・・なんだろう、馬鹿神の声が聞こえた気がする。

「っていうか母さん、俺のこと1年置いてくんじゃなかったのか?」
「ロビンを引き取って家に帰る場合な。でも結局こっちに引っ越すんだ。いいじゃないか」

全然よくねー・・・。

「にしても、越してくるとは言っても、いつになるのだ?」
「明後日」
「「は?」」
「何だ、文句あるのか?」
「「ありません」」

母さん・・・、急すぎですよ。
博士の元気も急激に奪われてる。
うん・・・わかるよ。
母さんの相手は疲れるもんね。

「ねぇ、母さん。どこに住むのさ」

母さんは人差し指をぴんと立て、真下に向けて言った。

「ここ」
「「は?」」
「ダメなのか?」
「「いえいえ」」

博士・・・目から汗が出てますよ?

「はぁ・・・私はもう疲れた。寝る」

そう言って母さんはすたすたと部屋を出て行った。
残されたのは俺と博士。

「・・・君はまだ寝ないのか?」
「えぇ・・・」

俺たちの背中には哀愁が漂ってる。
誰しも暴君(母)の相手は疲れるのだ。
きっと俺たちのライフポイントはあと僅かだ。

「クローバー博士、ロビンは考古学を学んでいるんですよね?」

知ってるけど一応尋ねる。

「あぁ、そうじゃ」
「俺にも考古学を教えて下さい」
「・・・本気で言ってるのかね?」
「はい」

同情ってわけじゃないけど、俺はロビンの支えになりたいと思った。
ロビンが「母と並んで歩く」ことが叶うかはわからないけど、それまで俺が代わりに隣にいてやりたいって思った。
原作でも、ロビンのされた仕打ちは読んだけど、やっぱりリアルで体感するのは全然違う。
昼間のロビンを呼ぶ叔母の声には、怒りと、怪訝さと、軽蔑の感情が込められてる気がした。
もし、未来は変わらず、バスターコールが起きてしまっても。
8歳で7900万ベリーなんてのは、俺のも会わせて1億5800万ベリーだ。
その方が、ちっとは気が楽だろ?逆に。
俺の気持ちが伝わったのか、博士は1冊の本を俺に渡した。

「・・・これは?」
「考古学において基本と言える知識を集めた本じゃ・・・まぁ所謂入門書だ」
「じゃあ・・・」
「勘違いするでないぞ?好きでなければこの世界はやっていけん、この本をしっかりと暗記してからじゃ。手助けはせん」
「大丈夫です、独学でなんとかします」

博士は俺が挫折すると思っているらしいが、俺にはチートもある。
記憶力を良くしてもらってるんだ、何とかなるさ。
早速ページを捲っていく。
博士は「眠る時は適当に空き部屋で寝なさい」と言って、行ってしまった。
俺だけになったリビング(?)のソファの上で、ただただページを捲る。
しんとした部屋には、ぺらぺらと紙の擦れる音がしていた。




ガタンッ

「・・・ん?」

一体どれほど時間が過ぎたのか、時計を見ると夜中の2時を回っていた。
俺の隣には読み終えた本が積んである。
とりあえず図書館の本は全て読む気なので、適当に見繕った。
気づくと本でできたタワーがいくつかあり、自分の集中力に呆れる。
そしてその集中力を破った音は、玄関の方から聞こえてきたようだ。
本にしおりを挟み、ソファに置いて、音の発信源に向かう。
音の原因は玄関の外にあった。
ドアを開いたことにより顔に雨粒が当たったが、どうでもいい。
そこには宝箱があった。

「・・・・・・」

怪しい。怪し過ぎる。

(とりあえず、開けてみるか・・・)

ガチャ

『ハァーイ☆』

ガチャン

開けた、そして速攻で閉めた。
雨が酷いので先程の部屋へと宝箱を運ぶ。

「ふぅ・・・」

とりあえずお茶を入れ一息。
ずっと本を読みあさっていたせいで目が疲れたのかな?
・・・現実逃避じゃないよ?

「・・・はぁ」

このままでは埒があかない。
仕方が無いが開けるか。
・・・うん、大丈夫だ。
さっきのは幻覚だ。
あははっ、宝箱の中に手乗りサイズの馬鹿神なんているわけないじゃないか☆
気のせい気のせい!

ガチャ

『もー、閉めるなんて酷いじゃないのーっ』
「・・・」
『あぁっ!待ってってば、無言で閉めようとしないでよぉ!』
「何で・・・いるのさ」

・・・残念ながら気のせいでもなんでもなかった。
宝箱の中には、手乗りサイズの小ちゃい神様がいた。

『いいじゃないのー、っていうかゴメンね☆』
「何が?」
『間違えて28年前に生まれさせちゃって』
「やっぱりかぁあああ!」

ふざけんなよ馬鹿神、つかダメ神。

「ったく・・・んで?その包みは?」

ダメ神の横には白い布の包みがあった。
なんとなく気になったので訊いてみる。

『あー、コレ?君の悪魔の実よ』
「え・・・?まさかの手渡し?」

え?どっかでクエスト的な感じでゲットとかじゃないの?
もしくはどこかの無人島で偶然みたいな。
母さんになんて説明すりゃいいんだ。

『まぁ、いいからさ。サクッと、食べちゃいなよYOU☆』

すっげー、ムカつく。バカ(神)が白い布を取っ払うと、中にはマンゴーのような形の果実があった。

「・・・うわー、不味そう」
『“不味そう”じゃなくて不味いんだよっ』
「黙れバカ」

原作通りの変な模様で、ぶっちゃけ食べたくない。だけどまぁ、食わないとどうしようもないし、仕方ないか・・・。

パクッ

「・・・っ!?」

なんだ、この想像を絶する不味さは。
なんか泥団子食ってるみたいだ。
食ったこと無いけど。
やっとの思いで飲み込む。

「・・・これで、いいのか?」
『うんうん、バッチリー☆』
「・・・幻獣種?」
『うん、幻獣種モデル:猫又だよー』

まさかの幻獣種?・・・・・・。

「すっげーーっ!」
『でしょでしょ?』

たまにはいいことするじゃないかっ、このバカも。
ってでもあれ?俺「リオン」なのに猫ってどうよ?

『あ、そうそう今君の目の前にいる“私”は分身なんだけどさー』
「うん?」
『説明とか全部終わったら爆発するから』
「・・・は?」
『そういうわけだからちゃっちゃと説明するね☆』
「っておぉいっ!」
『えっとねー、まず六式とか覇気なんだけど、7歳になったら自由に使えるから。それまでは、能力の練習とかー体力だけ上げとけばいいと思うよ☆』
「ちょっと待てって!」
『それに、猫又って長生きした猫がなる妖怪じゃない?だから君、不老不死の得点もあるから☆』
「いや、だから待って・・・」
『でもさー、1人それは寂しいじゃない?だ・か・らー、君が共に生きたいって思った相手は君の能力で不老不死にできるよ、やったね☆』
「聞けこのバカ神!」
『まぁ、説明はこんなとこかなー、じゃあ10秒後に爆発するよ☆』

あぁあああああっ!!!急いでバカを掴んで玄関へ走る。ドアを開け、思い切り投げる。

「でりゃぁあああっ!」
『え、ちょ、酷いぃいいいっ!』

ドカンッ

「・・・ふぅ」

あのバカめ、次あったら容赦しねぇっ!



そんなこんなで、オハラでの1日目は幕を閉じた。
・・・いや、結局寝ずに朝まで本を読みあさってたけど。
明日はロビンと会うんだ。
ちょっとでも心を開いてくれればいいけど。


リオン・ノマッドの明日はどっちだ!

-3-
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