小説『ONEPIECE 〜猫又海賊奮闘記〜』
作者:ノア()

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第四話

俺の名前・・・?(背を向けてポケットに手を突っ込んで無駄に良い声で)
リオン・・・(振り向いて)リオン・ノマッドさ。
・ ・・申し訳ない、徹夜明けのテンションておかしいよな。
自分で言うのも何だけどな?
明日には越してくるから、今日の夕方には家へ帰るんだよな。
ってかもうすぐここが家になるけど。

「お母さんのことを、教えて下さい」
「あぁ」

昨夜、俺と母さんとクローバー博士が座っていたソファで、母さんとロビンは向かい合っている。
俺は少し離れた位置の椅子に座り、前回に引き続き考古学の本を読みあさっている。
積み上げられた本により、俺の姿は周りからは見えず、ぺらぺらとページを捲る音だけが聞こえることだろう。
ちなみに博士は俺と同じく、ロビン達からは少し離れた位置で机に向かい、カリカリと羽ペンを走らせている。
だがやはり意識はロビン達にむけられているようで、あまり集中できていない様子だ。
ときどきカリカリという音がふと途切れる。
余談だが、今朝俺が本を読んでいると、起きてきた博士に「なんだと!?御主昨日からずっと読んでおったのか!?」と驚き半分呆れ半分な顔で言われた。
そう言う博士も、ロビンのことが気になったのか、眠れていないようで目の下にはくっきりと隈ができていた。
俺はできてないよ?若いですから。

「お前のお母さんは、とてつもなく危険な研究をしている」
「・・・」
「アイツはお前を愛してる、愛しているからこそオハラへ置いていった・・・。それはわかるな?」
「えぇ・・・」

空白の100年の真実を追うことは禁じられている。
きっとオルビアさんはロビンを愛す気持ちがありながらも、オハラの学者としての探究心を抑えられなかったんだ。

「アイツは・・・オルビアは母としてはお前に何もできていないと手紙で語っていた。お前への愛情はすごいよ。自分の居場所を知らせることになってしまうかもしれないにもかかわらず、私に手紙を送ってきたんだ。お前のことについて」
「私・・・?」
「あぁ。ロビン、私はまどろっこしいのは嫌いなんだ。単刀直入に本題入ろう」
「本題・・・?お母さんの話だけではないんですか?」
「まぁな・・・なぁ、ロビン。うちの子にならないか?」

単刀直入過ぎだろ、母さん・・・。

「え?」
「考古学者を、アイツと同じ道を目指しているのも知っている。私たちがオハラへ越してこよう、ちなみに住居はここだ」
「・・・全知の樹?」

あぁ、博士の持つ羽ペンが少し震えてる。
嫌なんだろうなぁ、俺も嫌だよ。
急に知り合いに「明日からここ住むわ」とか言われたら。
それが常識、母さんは非常識過ぎる。

「あぁ、いつでも勉強ができるぞ?・・・それに、何をおもったのか知らないが、うちの馬鹿も考古学者を目指すらしい・・・同じ夢を追うヤツも近くにいる。なかなか良い環境だとは思わないか?」

馬鹿は余計だよ、馬鹿は。

「えぇ・・・でも、私は」
「“来たい”か“来たくない”か、答えは“yes”か“no”だ」

おいおい、答えはyesかnoとか。
どこの暴君だよ!
あ・・・この人もそうだったっけ。

「・・・おじさん達といるのは、もう嫌だわ」
「だったら」
「でもっ・・・、でも、私は、“ニコ・ロビン”のままでいたい」

・ ・・オルビアさんとの繋がりを、少しでも保ちたいのか。

「なに言ってるんだ、お前はニコ・ロビンだ。・・・私はアイツに『ロビンを頼む』としか言われてないからな。それに我が家は家名が後ろに来る、“ロビン・ノマッド”ってのはなんか変だろ?・・・言い直そう、うちの居候になるか?」
「・・・行って、いいんですか?」
「だからそう言ってるだろう」
「・・・行きたいです」

吹っ切れたんだな・・・ようこそ暴君の恐怖政治、ノマッド家へ。

「なら、さっさと行ってこよう・・・リオン、後で覚えてやがれ」
(なんでわかるんだよ・・・)
「え、あの、どこへ?」
「お前の今の家さ、さっさと話をつけてくる・・・リオン!」

あ、呼ばれた。決して少なくない嫌な予感。

「私が戻ってくるまでにロビンと話しとけ」
「何でさ?」
「お前ら全然しゃべってないだろうが」

・ ・・、マジっすか。




・ ・・と、いうわけで。
ロビンと一緒なんだけど。

「なぁ。どこ行くんだ?」
「・・・」

スタスタと行こうとするロビンを追いかけ外へ出たんだが、全く反応してくれない。
一体通算何度めの無視だろうか。
俺の心はズタズタだ。
ロビンは本を前で抱え、俺の無視を続行したまま歩き続ける。
少し広場から離れた所にある切り株の上に座り、持っていた本を読み始めた。

「なぁ、何か返事してくれよ」
「・・・私と話すと、あなたも不幸になるわよ」
「は?なに言って・・・」

そこでやっとコンタクトを取ってくれたロビンと俺の会話は水をさされた。
5歳から10歳くらいのガキ共(いや、今は俺もガキだけど)が3人、ドタバタとやってくると、

「あっ!ようかい女はっけーん!!」

と言ってロビンに石を投げつけた。
とっさに俺は飛んでくる石とロビンに間に入り、かばう。

「いっつ・・・」

油断してたせいか、飛んで来た3つの石の内2つはキャッチできたが、1つが目の上に当たってしまう。

「何だお前!ようかい退治の邪魔すんなよっ!」
「「そーだそーだ!」」

リーダー格っぽい10くらいのガキにあわせて、俺と同い年くらいの2人が声を揃える。
あぁ、そういえば原作にもこんなシーンあったな。
つかコイツら、自分たちが何したかわかってんのか?

「ふぅん、妖怪退治か」
「そうだ!お前はようかいをかばうのかっ?」
「だって俺も妖怪だもん。つか、女の子に対して妖怪とか言ってんじゃねーよ」

爪だけをぐぐっと伸ばして見る。
・・・おぉー、思いつきでやってみたができた。
さすが猫妖怪。

「「「う、うわぁあああああっ!!」」」

ダッセー、っていうか。

「てめーらロビンに謝ってから行けよなぁーーっ!」

一応叫んだんだけど聞こえてないっぽいな。

「あ、あなたも能力者なの?」
「あぁ、動物系幻獣種モデル猫又ってーんだ」
「なっ、幻獣種なの!?」
「あぁ、ロビンは?」
「・・・ハナハナの実よ」
「うおっ!?」

ロビンが腕を軽く振ると、俺の体ににょきっと手が生えた。

「気持ち悪いでしょ・・・?」
「すっ・・・」
「す?」
「スッゲーッ!!」
「・・・え?」
「すごいな!コレ、便利だなっ」
「べ、べんり?」

すっげー!!原作通りだ!
ロビンは困惑してるが、俺は興奮でそれどころじゃない。

「・・・ふふっ」
「お・・・?今笑ったか?」
「・・・笑ってないわ」
「いや、笑ったろう?」

ロビンって「お姉さん」ってイメージだけど、やっぱりまだ子供なんだな。
本人気づいてるかわかんねーけど耳まで赤くなってるよ。

「笑ってないわ」
「笑った」
「笑ってないってば」
「「・・・」」
「ふふっ」
「はははっ、やっぱり笑ってるじゃないか」

なんかよくわかんないけど笑ってしまった。
俺は馬鹿みたいに笑いながらも、ロビンの顔を見て思った。

「やっぱり、笑ってる方がかわいいな」
「え?」
「あ、いや、なんでもない」

いかんいかん、口に出てた。
っていうか聞かれたっぽい。
またしても赤いよロビンさん。

「なぁロビン。猫、好き?」
「え、えぇ。好きよ」
「じゃあ見せてやるよ」

照れ隠しに獣型に変化してみせる。
俺の髪の色と同じ黒猫がそこにはいた。
いいや、俺そのものだけど。
やっぱり俺と同じく青い目で、しっぽが二又になってる。

「うわぁ・・・っ(カ、カワイイ)」
「にゃー(すごいだろ)」
「・・・」

無言でさわさわと撫でられる。
あ、あのロビンさん?
キャラ変わってません?
何ですか、そのキラキラした目は。
いや、気持ちいけど。
さわさわ

「にゃー」

さわさわさわさわ

「・・・」

さわさわさわさわさわさわさわ

「にゃー・・・」

あの、ロビンさーん、俺もう戻りたい。
すっごい今更だけど恥ずかしい。
だからそんな輝いた目で見ないで・・・。

タンッ・・・

「あ・・・」
「もういいだろ?地味に恥ずかしいよ」

さっとジャンプし、元の姿へ戻り話しかける。

「・・・」
「ん?どうした?」

ピクピクッ・・・

「ん?ピク?」
「・・・耳としっぽ、出たままよ」
「え、あれ?」

さすがに食った次の日では思い通りに能力を使えない。
さわさわ

「・・・あの、ロビン?」
「何かしら」
「耳、触るのやめてくれない?」
「嫌よ」

あぁ、そうですか・・・。
そんなに楽しそうにされちゃ止められない。
いや、違うって、ロリコンじゃないんだって!

「ふふっ・・・」
「・・・にゃー」

まぁ、いいか。

『リオーン、どこだー?』
「あ、母さんが帰ってきたみたいだ」
「あら、なんでわかるの?」
「ほら・・・呼んでる」
『リオーン・・・ちっ、アイツ私にこんなにも探させるなんて・・・』
「・・・」

あれ、俺、殺られちゃう?
未だにロビンは聞こえないみたい。
あ、そうか。
俺今耳出してんだった。

「向こうから来るよ」
「あ・・・」

ロビンの手を掴み、耳としっぽをしまって母さんのいる方へ歩く。
耳とかをしまったことを残念そうに、でも手を握ったことには嬉しそうにしたロビン。
・・・やっぱり同年代の子供とのふれあいに飢えているんだろうか。





俺とロビンはなんだかんだで、うまくやってけそうな気がした。

『あははっ、天然キラーだねっ☆』

何だろう、バカ神がなんかバカにしてきた気がする。
バカにバカって言われるのはキツいな。
明日から、いや。
もう、俺とロビンは家族だ。

-4-
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