小説『Zwischen??Detectiv?』
作者:銀虎()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

(友裂色)
ガランコラン

今年度四回目の初詣。
一回目はあの帰り道、楓と壱と利家できた。二回目は、楓と羽丹と数馬で、三回目は家族で、今はソフトボール部のメンバーで
男子のいないソフトボール部には、女子だけ人付き合いをしっかりやらなければ、あとで困る。女子の関係は男子ほど明朗ではない。
「お御籤引こう。」
正捕手の子が言った。
「恋占いとあんジャン。」
補欠遊撃手の子がいった。
「ソラもやろうゼ。」
「天、やろやろ。」
正二塁手の子が俺の手を引く。
「そらは、いいでしょ。」
補欠遊撃手が言った。
「なんで、」
正捕手の子・疑問詞。
「雨策君がいるじゃん。」
人差し指で、天の頬をグリグリする。
「楓とはそんな関係じゃないよ。」
天は、うやむやと言う。
「でもでも、オフの日っていつっも、雨策君といっしょじゃん。」
「それはぁ・・・。」
「すきなんでしょ。」
核心を突く補欠遊撃手。
「硝子・ソラ虐めるのはもうやめな。」
正捕手が言った。

神屋敷 硝子 (かみやしき しょうこ)
天と同じの塁球部で、遊撃手、流し打ち◎。小柄な体格をもち、暦と命に互角の美貌を持つ。天とは一番中がいい。


新聞を片手に、楓は利家の家、壱の料理を食べていた。
「年明け早々、大漁でよ。」
「じゃからといって、新年早々呼び出すでない。」
愛用の刺身包丁を手に、壱は魚を捌き続ける。
「おれじゃぁ、おろせねぇもの。」
鮫肌の山葵おろしで、山葵を下す利家。
旨そうな刺身ができてきた。横には、黒鯛と水蛸がまだ、いっさい手をつけられていない状態で置かれている。

ピー
電子音が鳴る。炊飯終わり。
家から持ってきたい桶に米を放りこみ。合わせ酢を加えて切るように混ぜる。同時に時期外れの扇風機で飯を冷やす。

「楓、新聞見てるばっかでどうした。」
利家は楓に話しかける。
「年明けて。も、まだやってるよ。」
「なにが。」
「んっっ。」
利家に、新聞を向ける。

連続絞殺事件
でかでかと載っていた。
「これかぁ。」
年越し前に大分騒いでいた事件。
年越し前に、男女が同じ数、未遂が1人、そうじゃないのが3人。年越えて未遂2件。殺害2件通称・ウィイリアム。手で絞殺することに、こだわりを持っている様でそこから、シリアルキラーのウイリアム兄妹に準えてつけられた。
「また起こったのか。」
利家がけげんな表情で言った。
「あぁ、未遂じゃぁ、済まされなかったらしい。」
楓は、雑煮をすする。
TVからは、下らないマンネリお笑い番組が流れる。
ウィリアムス
十代後半から二十代前半を狙う犯罪者。容疑者の共通点は、スポーツマンであること。男女が交際関係であったこと
最初の女性被害者から、バレーボール・水泳・陸上・ブレイクダンスの従事者で、男勝りなプレイスタイルやボーイッシュな見た目をした人たちで、強姦された後首を絞められている。未遂に終わった女性も強いショックを受けて、警察の事情聴取に答えられないほどだ。男性はスタンガンや薬品を使ってから、しっかりと息の根を止められている。
「気をつけろ。」
利家が言った。
「なんで、」
楓が、眉を連れ上げながら答えた。
「この中で、狙われるとしたら。楓天ペアだから。」
利家がいった。
「蛸と黒鯛の握りできたぞ。」
壱が、テーブルに座った。
「何故、持ってこない。」
利家は抗議の声を挙げる。
「わっちは、コックじゃが。ウエイターじゃない。持ってくるのは、ぬしの仕事じゃろ。ホテルマン」
壱がグラスに日本酒を注いて、水と氷を入れる。
「ホテルマンは、ウエイターじゃねぇ。」
利家抗議
「ルームサービスを運ぶのはぬしの仕事じゃろう。」
壱は笑う。顔が真っ赤。
「んぅ。」
利家が下がる。
「じゃが、気をつけるよ。ぬしらは。」
壱は言った。
「ぬしら。俺も入ってんのか。」
利家の声
「天は、ソフト。暦はサバット。スポーツマンじゃ。」
「つっても、命は・・・」
利家
「あの子は、茶道部と華道部掛け持ちしてる。」
楓は利家がもってきた。鮨を食べる。
本山葵が利いておいしい。
「しかし、まぁ手口がストーカーから始まってのことじゃし。格闘技の暦と、暴走族総長を狙うほど馬鹿な相手じゃなかろう。この犯人はとても頭が切れるみたいじゃからの。」
そうこの犯人は、現場にわざわざ、指紋の一切付いていない物品を置いていく。それも、大量生産品で買い付け先の判明が事実上不可能なものばかりだった。警察はこれに騙され初動捜査が遅れマスコミに大分叩かれた。
「じゃkら、子の3人の中で、可能性が一番高いのはぬしじゃよ。」
自家製の梅酒を飲みまくる。壱は、楓を差した。おろしかけの山葵で
「でも、命もボーイッシュな見た目だから、可能性が零って訳でもないよね。」
楓は、醤油味の雑煮を食べ終わる。
「じゃの、確かにそうじゃが、可能性が入念に調べるこのタイプの犯人からして、一番低い。」
壱は酒が入っても頭が回る。
「第一、二人ともフランスに里帰り中だしな。」
三人の酒宴は続く。

「次どこ行く。」
正捕手の子の声が響く。
露店周りも早々に三人は暇人っていた。
その中、硝子がちらちらと辺りを見ていた。
「どうした。硝子。」
天はじゃがバタを、食べながら言った。
「なんでもない。」
硝子は答えた。
♪〜〜♪〜〜
硝子の携帯が蠢く。
メールを見てすごいスピードで打ち込むと、
「ごめん彼氏とデート。」
舌を出して笑いながら、他のメンツに声をかけた。
 他のメンバーはそれを茶化しながら、硝子を見送った。

-3-
Copyright ©銀虎 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える