小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 正体不明の渡航者2名にマテリアルの復活。
 一切合切何が起きているのかは不明な状況。

 そんな海鳴の上空で話し合う者が6名。
 はやてとリインフォース、なのは、そしてフェイトとアルフとリニス。

 話の内容は言うまでも無く、現在起きている不可思議現象の事だ。

 ただ、幾ら話そうとも答えなど分かるはずは無い。
 故に彼女達に出来るのは『現状自分達がどう動くか』その行動指針を決める事だ。


 「ほな、手分けして行こうか?私とリインフォースはマテリアルを倒す。」

 「私とアルフはピンクの渡航者の人の確保を。」

 「え〜っと、そうなると私は青い服の人かな?」

 「なのはさんには私が同行しますね。」

 「あ、ありがとうございますリニスさん♪」

 其れも手早く決まって行く。
 この面子を巧くまとめ、行動指針を決定させたはやてにはリーダーとしての資質がありそうだ。

 「大事になる前に止めなアカン。頼むで!」

 はやての号令よろしい一言を合図に、各々が自分のなすべき事をなすために飛んで行く。




 因みにその頃の遊星はと言うと…

 「攻撃力10000のジャンク・ウォリアーだと!?」

 「叩き込め『スクラップ・フィスト』!!」

 闇の欠片ジャックを撃滅していたりした。(ライフは無傷で)












  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス44
 『未来からの渡航者?』











 其れと時を同じくして、海鳴の上空には不思議な魔力反応が出ていた。
 ただ、其れは誰も気付く事はなかったのだが…


 「うわわわ!な、なに!?」

 「此れは…上空?」

 その不思議な魔力反応と共に空には2人の少女の姿が。
 1人はハニーブロンドの髪に緑と赤のオッドアイ。
 もう1人は翡翠色の髪に蒼と紫のオッドアイ。

 「く、クリス魔力制御!私とアインハルトさんの落下止めて〜〜!」

 「(−−)ゝ」(ビシ!)

 「ティオもクリスさんの手伝いを。」

 「にゃっ。」

 ともあれ落下中故、悠長な事は言ってられず金髪の少女はウサギのぬいぐるみに、翡翠髪の少女はネコのぬいぐるみに命じて落下を止める。
 このぬいぐるみが彼女達のデバイスなのだろう。

 「と、止まった〜〜。」

 「此処は一体…?ミッドの上空ではないようですが?」

 落下が止まり、落ち着いたところで眼下の街を見下ろす。
 少なくとも翡翠髪の少女には見覚えの無い景色だ。

 「あれ?この街並み、もしかして…!」

 「ヴィヴィオさん?」

 「此処は海鳴市ですよアインハルトさん!」

 金髪の少女――ヴィヴィオには見覚えがある景色だったらしい。

 「海鳴…確か其れはヴィヴィオさんのお母様の故郷…」

 翡翠髪の少女――アインハルトもその名には聞き覚えがあったようだ。
 どうやらヴィヴィオの『母親』は海鳴出身らしい。

 「ですが、どうして行き成りこんな場所に…?」

 「そうですよねぇ?リオとコロナと一端別れて、再度何時もの練習場に集合するはずだったんですけど…」

 場所は分っても自分達が何故行き成りこんな場所に居るのかが分かるかと言うと其れはまた別。
 ここに現れる前の事を整理してみても一切謎のままだ。

 「で、でも海鳴なら大丈夫です。ママのお友達が居ますし、それに今日は確か遊星博士とクロウ教官がこっちに居る筈ですから。」

 「あ…確かにあの御2人がいらっしゃるのでしたら大丈夫ですね。」

 この少女達、どうやら遊星の事を知っているらしい。
 しかもヴィヴィオの言う事を信じるならば『今の海鳴は居ない筈』のクロウの事も知っているようだ。

 「それじゃあ早速…!」

 「!!此れは、魔力反応?今の地球に魔導師の方はいらっしゃらないはずですが…」

 行動指針を決めた直後の魔力反応。
 其れは物凄い速さで2人に近づいてきているようだ。


 「このスピード…アインハルトさん!」

 「はい、万全を期して…」

 「セイクリッドハート!」
 「アスティオン!」

 「「セーーット…アーーーップ!!」」

 光が放たれ、瞬間2人の少女の姿が変わる。
 単純に戦闘用バリアジャケットを展開しただけではない、2人とも外見が見目麗しい『大人の女性』へと変わっていた。
 恐らくはデバイス起動で『変身魔法』も同時展開されたのだろう。

 「準備完了!行こう、アインハルトさん!」

 「はい、ヴィヴィオさん。」

 準備完了した少女2人は近づいてくる2つの魔力反応に、夫々分かれて向かっていった。








 ――――――








 その少女達が感じた2つの魔力反応――その正体はアミタを探しているなのはとリニスのものだった。
 この2人は離れ過ぎない様に気をつけながら二手に分かれて捜索をしていたのだ。

 その捜索の最中感知した2つの魔力反応をなのはとリニスは当然感知していた。
 すぐさまその発生源に向かって高速移動。


 其処で出会った。


 「「!!」」

 なのはが出くわしたのは翡翠髪の少女――アインハルトだ。
 勿論見たことも無い相手に驚くなのはだが、それ以上にアインハルトは驚いていた。

 「えっ…ヴィヴィオさんのお母様!?」

 どうやら先程のヴィヴィオが言っていた『ママ』とはなのはの事らしい。
 しかしながらそうなると如何したって年齢が合わない。

 「?」

 当然なのはも自分達意外に誰かいるのかといった感じだ。


 ――『他に誰か居るのか?』と探していらっしゃる…自分の事だとは思っていらっしゃらない。
    それに幼い…ひょっとしたら今のヴィヴィオさんよりも年下なのでは?


 ――綺麗な瞳…蒼と紫の2色なんだ。


 2人とも考えている事に差があるが。


 『あの、アインハルトさん?』

 「ヴィヴィオさん…大丈夫ですか?」

 『私は大丈夫です。けどリニス先生が行き成り現れて…どうやら此処は13年位前の世界みたいです。』

 通信相手はヴィヴィオ。
 ヴィヴィオの方もリニスに会った様だ。

 「時を越えたということですか?…実は私の方も子供姿のヴィヴィオさんのお母様が…」

 『ママが!?…え〜っと確か未来の人間が過去に干渉するのは良くないって…此処は離脱しましょうアインハルトさん!』

 「其れが良さそうですね…」

 俄には信じられないが、どうもアインハルトとヴィヴィオの2人は13年後の世界から遡行してきたようだ。
 それならばクロウを知っているというのも或いはおかしい事ではないかもしれない。

 「あの〜〜?」

 それは兎も角としても現状は状況だけ見るなら最悪とも言うべき。
 『この時代』のなのはに見つかったのは余り良い事とは言えないだろう。

 だが、実を言うとなのははなのはで困っているのだ。
 少女が『渡航者』であるのは略間違い無いと当たりをつけているが、だからと言って自分がソレを如何こう出来る権利は無いのだ。
 せめて『管理局の嘱託魔導師』であればその権限で目の前の少女を任意同行くらいはできるのだが…

 「も、申し訳ありません。こちらの都合ですが、此処は離脱させていただきます!」

 「あ、待って〜〜!!」

 その沈黙を好機と見たアインハルトがその場から高速離脱を試みるが相手が悪い。
 機動力に難有りのなのはだが、瞬間加速力は凄まじいものがある。
 ソレを連続で使えば高速移動の相手にも迫る事は可能なのだ。

 「は、速い…!」

 「逃げないで下さ〜〜い。大丈夫何もしないから!」

 逃げ切る事は略不可能だ。
 アインハルトの顔が何処か強張っているように見えるのは多分気のせいではない。

 「ゆ、ゆっくり話をする事は無理なんです!」

 「そんなこと言わないで〜〜。」

 距離は徐々に詰まっていく。
 追いつかれるのは時間の問題だ。

 「このままでは…すみませんヴィヴィオさんのお母様、離脱する為にも今は落とさせていただきます!」

 逃げ切るのは不可能と判断したアインハルトは、身体を反転させなのはに向かう。

 「はぁぁ…洛陽!」

 「わわっ!」

 一瞬で間合いを詰めての手刀攻撃。
 鋭い一撃だが、寸でのところでなのははソレを回避。

 「凄いスピード…」

 「今のを避けた…?」

 完全に捕らえたと思ったタイミングの一撃を回避したのには驚くだろう。
 その瞬間、アインハルトの顔が引き締まった。

 どうやら今ので火がついたらしい。

 「今のを回避するとは…流石です。ですが此れはどうです?空破断!」

 「射撃…!レイジングハート!」
 「All right.Accel Shooter.」

 撃ち出された射撃は誘導弾で対処。
 それだけでなく、

 「ごめん、少し大人しくしててね?」
 「Restrict Lock..」

 その攻撃の隙を衝いてのバインド。
 この辺の巧さはなのはに分があるだろう。

 「バインド…!く…貫く思いを…繋がれぬ拳を…!」


 ――バイキィィィン!!


 だが、アインハルトは練り上げた魔力でソレを砕く。

 「えぇ!?バインドを砕いちゃった…!」

 「す、凄まじいですね。まさか幼い頃からこれほどとは…」
 ――なんと言う強さ。空でのこの方にはまるで隙がない上に私の覇王流が全く通じそうに無い…!


 バインドを砕いたとは言えアインハルトはなのはの実力に驚いていた。
 まだ全然子供であるにも関わらずその戦闘技術は超一流。
 もし、バインドを砕く手段を持っていなかったら拘束された時点で終わりだっただろう。

 「凄いねぇ…格闘家さんなんだ。名前はなんていうの?」

 「覇王流、ハイディ・E・S・イングヴァルトです……はっ!」

 ついつい反射的に名乗ってしまったがソレは悪手。
 未来の人間が過去に干渉するのが良くないというならば、名を名乗るだけでも大事になりかねないだろう。

 「り、離脱します!ティオ!」

 「にゃ〜〜〜♪」


 ――シュン!


 一瞬で離脱。
 完全に虚を衝かれ、なのはも追いかけることは出来なかった。

 「…あ、…行っちゃった。一瞬ネコが見えたけど、あの子のデバイスかなぁ?」

 如何にも疑問は尽きない。

 『無事ですかなのはさん?』

 「リニスさん。はい、私は大丈夫です。」

 『良かったです。スイマセン、私のほうの渡航者の方には逃げられてしまいした…』

 「リニスさんもですか。私もです。」

 通信相手はリニス。
 リニスの方もヴィヴィオには逃げられてしまったらしい。

 「何が起きてるんでしょうか…私の方に来た人はハイディ・E・S・イングヴァルトって名乗ってましたけど…」

 『イングヴァルト…?その名でしたら古代ベルカ時代の王の名ですけれど…』

 分らない。
 如何考えても意味が不明すぎる。

 「良く分らないですけど…今は青い服のお姉さんを探すのが先ですね。」

 『その方が良いですね。』

 だが、分からない事を幾ら考えても不毛だ。
 分かっている事をこなす方が遥かに建設的なのは間違いない。

 なれば当初の目的であるアミタの捜索を続けるが上策だ。


 『はい、すいませ〜〜ん。聞こえるか、なのはちゃん?リニスさん?』

 『はやてさん。』

 「はやてちゃん、如何したの。」

 更なる通信、相手ははやてだ。

 『あんな、今長官から正式に『管理局嘱託』の依頼が来たんや。嘱託の方が色々できるし…応諾したけどえぇよね?』

 内容は此れより管理局の嘱託として動けるという事の報告。
 願っても無い事だ。
 因みに『長官』と言うのははやてがつけたゴドウィンのニックネームだ。

 『管理局嘱託』の看板があれば出来る事は一気に広がる。
 管理局本体に信用は置けなくとも、遊星の知人であり先の『地縛神事件』の裏で尽力してたゴドウィンならば信頼できる。

 拒否する理由は無い。

 「寧ろOKだよはやてちゃん。嘱託だったら出来る事増えるもん。」

 『やろ?フェイトちゃん達と遊星にも同じ事伝えといた。…此れで全力でいけるな♪』

 「うん!」

 このはやての決断力は素晴らしい。
 自分達が一番動ける状態を作ったのは大きい。

 『ほな、伝言は此れだけや。早いとこおわらせてまお?』

 『そうですね…全力で行きましょう。』

 「うん…頑張ろう!」

 出来る事が広がれば、捜索その他も楽になる。
 通信を終え、なのはとリニスは再びアミタの捜索を開始するのだった。




 尚、この時…

 「見たか、こいつが権力だ!!」

 「…気に入らねぇな…叩きのめせニトロ・ウォリアー!」

 遊星は闇の欠片・牛尾を滅殺していた。
 どうやら今回は『闇の欠片』も前よりも様々なヴァリエーションが発生しているらしかった。















   To Be Continued… 






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