小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 渡航者を見逃したフェイト。
 一瞬の隙を衝かれて逃げられたアルフ。

 差は有れども2人とも渡航者の確保に至らなかったのは事実。
 まぁ、それは良い。

 問題はその直後の魔力反応。
 其れは紛う事なき『マテリアル』の魔力。

 即刻フェイトとアルフも現場に。


 とは言え、スピードではフェイトの方が遥かにアルフを上回る。
 なれば当然の如く、現場に先に到着したのはフェイトのほうだ。

 「反応はこの辺だったけど…」

 捜すが姿は無い。
 だが、反応はある。

 少し移動すると、現れた。

 「あ〜っはっは〜〜!電光散らして僕参上!!」

 現れたのは『力のマテリアル』。
 『グッバイシリアス』そんな言葉が聞こえたような気がした。












  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス50
 『再会〜雷光と雷刃〜』











 「ん?お〜!久しぶりだなオリジナル!」

 「うん、元気そうだね?」

 前回の戦闘で学んだのか、フェイトは雷刃の明るくぶっ飛んだ挨拶にもなんのその。
 すっかり耐性ができているらしい。

 「なんて言うのかな…この前とは随分雰囲気違うけど…」

 「ん〜…まぁ、何て言うか、この前はぶっちゃけ寝ぼけてたし?
  カッコイイ僕とか、悪のラスボスっぽいセリフを言っていたようないないような…まぁ、戦闘中は大体起きてたけど。」

 雷刃も相変わらずだ。
 尤も、今回は前回とは違い最初から『これ』なので幾らか精神的には楽だ。

 「寝ぼけてたの?」

 「多分。って、そんなことより見てよオリジナル!復活して取り戻した僕の魔力光!
  キレーだろ、このアクアブルーの魔力光!」

 まるで友達に自慢するがの如く。
 いや、雷刃自身は本当に嬉しいのだろう『本来の魔力光』を取り戻した事が。
 相手が誰であれ、其れを話したくて仕方が無かったのだ。

 「うん、綺麗だね。私のお姉ちゃんの魔力光と似てるかな?」

 フェイトも其れに返す。


 全く余談ではあるが、地縛神事件の後でアリシアの魔力を測ったことがあった。
 ランクはDで大凡魔導師には向かない。
 だが、その時現れたアリシアの魔力はブルーの魔力光を放っていたのだ。

 其処からフェイトは『魔力光はアリシアと似ている』と思ったのだろう。

 「へ?オリジナルのお姉ちゃんと僕は似てるの?」

 「全然。」

 「ガーン!なんだよ〜!そういう流れの話しかと思ったのに!!」

 食いついてきた雷刃をばっさり。
 流石はフェイト、反応も光速だ。

 「いや、でも明るくて元気一杯のところは似てなくも……ううん、やっぱり全然似てない。」

 「って、どっちやね〜〜〜ん!!」


 実に漫才。
 されど漫才。
 此れが漫才。
 ――正にDEATHゲ〜〜イム


 「「!?」」

 「…オリジナル、何か言った?」

 「何にも…」

 「「………」」

 「うん、無かった事にしよう!」

 「そうだね。うん、貴女を見てると日々の悩みとかそんなものがなんか馬鹿らしいかも。」

 無視して会話再会。
 『無かった事にする』――便利なスキルである。

 「え?当たり前じゃん。悩むよりも打ち抜いて、ぶった切って、楽しくスラッシュする方が全然全く面白カッコイイし?」

 「一理あるかもね。…けど、君達のやんちゃな遊びも放置は出来ないんだ。君のオリジナルは管理局のお手伝いさんだからね。」

 至極普通に元に戻った会話だが、フェイトのこの一言に雷刃の目が光った。
 間違いなく光った。

 「む、その言葉…僕への挑戦と受け取った!よ〜〜っし、見せてやるぞ生まれ変わった僕の力!
  さぁオリジナル、かかってこ〜〜〜〜い!!」

 そして、即刻突進!

 「えぇ!?『掛かって来い』って言いながら突進じゃ、言葉と行動が不一致だよ!?」

 確かに。
 尤も其処はフェイト、律儀に突っ込み入れながらも華麗な回避だ。

 「な、避けるなよオリジナル!」

 「避けなかったら危ないよ!?」

 「当たってくれなきゃ僕が凄くなったの分らないじゃないか!」

 「無茶苦茶言ってる!?」

 言葉の応酬だけなら、大したことはなさそうな感じだ。
 だが、実際はそうではない。

 共にフォームチェンジこそしていないが、攻撃する雷刃も避けるフェイトも残像が出来るくらいのスピードで動いているのだ。
 そんな、超高速戦闘でこのやり取り…ある意味凄まじいといって良いだろう。


 「む〜〜、全然当たらない!オリジナル、若しかして前より速くなった?」

 「う〜〜ん?どうかな…まだアクセルシンクロには敵わないんだけど?」

 「ん?あ、そっか!ゲイルんのオリジナルが居るんだから其れもありなのか〜!確かにアレは速過ぎる!」

 次第に攻防に熱が入り、ついにはザンバー状態同士での超超光速チャンバラに。
 刀身部分が魔力体とは言え、身の丈以上の大剣の太刀筋が目で追えないとはこれ如何に…


 「やるなぁ、オリジナル!でも此れで如何だ!!」

 「隙あり!」


 ――バゴン


 「むぎゃ!」


 その攻防の終焉はあっけなく。
 大技繰り出そうと大きく振りかぶった雷刃の頭にフェイトのザンバーの刀身の腹が炸裂!
 言うなれば峰打ちの一撃だが、此れは痛い。

 アレだけの大剣の腹の部分というだけで相当に痛い感じがする。


 「う〜〜〜ん…前よりも速いし、面白い戦い方だけど、まだ使いこなせてないのかな?」

 フェイトの評価である。
 雷刃は相当に痛かったのか、頭を押さえて呻いている。

 「う〜〜〜…痛い。」

 「ゴメンね、ちょっと力抑えて済む感じじゃなかったから。」

 「其れって僕が強かったって事?」

 「前回よりもずっとね。」

 「そっかー!!うん、やっぱり僕は強くなってる!!」

 しかし其れもフェイトの見事なフォロー(?)で即復活。
 ある意味扱いやすいといえよう。

 「うん、もっと頑張ったら、次は私に勝てるかもね。」

 「ホントー?よっし、頑張るぞ僕!!」

 「あはは…そう言えば名前あるんだよね?教えてくれる?」

 そのまま名前を聞く。
 管理局が便宜上つけた『マテリアルL』では失礼極まりないので、まぁ当然だろう。

 「ん?名前?僕はレヴィ。レヴィ・ザ・スラッシャー!優しくてメラメラしてるのが、シュテル。
  バイクですっ飛んで何かと燃えてきちゃうのがゲイル。
  で、なんか偉そうに威張ってて、実際偉いのが僕達の王様でディアーチェ。」

 「良い名前だね。私は、フェイトだよ。」

 「へいと?」

 「フェイト。」

 「………めんどくさいから『オリジナル』でいいや♪」

 「そっちの方がめんどくさくないかな…?」

 不明である。
 まぁ、頭脳パラメーターが『アレ』なレヴィには言うだけ無駄だろうが…


 「うお〜〜〜い、フェイト〜〜〜!」

 「あ、アルフ。」

 「お、犬コロ!ちぃ〜〜っす!!」

 「お前もか!アタシは犬じゃなくて狼だ!!」

 何故かコントになってしまう。
 これもレヴィのキャラクターのせいなのだろう。

 「で、どんな状況だいこれ?」

 「オリジナルの方が速くて負けた。でも前より強くなったって褒めてくれた!」

 「そうかい…。」

 フェイトを見るも苦笑いを浮かべるのみ。
 まぁ、レヴィの言った事は本当の事だから別に良いのだが…


 「さてと…」

 フェイトは考える。
 一応は勝ったわけだが如何するか?
 『砕け得ぬ闇』について聞きたいが、レヴィが素直に話すとは流石に思えない。

 「ん〜〜〜…ねぇアルフ、この前商店街で貰ったのある?」

 「ん?あぁ、此れかい?」

 アルフが取り出したのは棒付のソーダキャンディ。
 くれぐれも『何処から取り出した』とは聞いてはいけない。絶対にいけない。

 「ねぇレヴィ、砕け得ぬ闇の事を聞きたいんだけど…」

 「ん?なんだよイキナリ。あ、でも駄目。王様がむやみに話すなって。」

 矢張り駄目らしい。
 が、此処でこれの出番と相成る。

 「此れと交換でどうかな?」

 「何ソレ?」

 「ソーダ飴。甘くて美味しいよ?」

 要するにフェイトが考えたのは『交換条件』。
 ぶっちゃけて言うなら『物で釣る』作戦だ。

 「甘いの?ん〜〜〜まぁ、くれるって言うなら貰っておくか。食べても良い?」

 「どうぞ。」

 「うん…むぐむぐ、もぐもぐ…」

 「えっと…かじるんじゃなくて舐めるんだよ?」

 フェイトから飴を受け取り、そのまま食すレヴィ。
 なんか飴の食べ方として間違ってる気もするがソレはご愛嬌だ。

 「不味くない。寧ろ美味しい…うん、やっぱり水色な物に悪いものは無いな♪」

 どうやら気に入ったらしくご満悦だ。


 「…まんまガキだねコイツ…」

 「でも可愛いよ?」

 嬉しそうに飴を食べるレヴィは確かに年相応の子供らしく、可愛く見える。

 「で、砕け得ぬ闇って何?」

 「ん〜っとね、僕達の存在を確定する為に必要な物だって。」

 「存在を…」

 今度はアッサリと質問の答えが返ってきた。
 作戦成功と言ったところだろう。

 「まぁ、僕達も分らない事は多いんだけどね〜。その辺はシュテルんとゲイルんが調べてるみたい。ん、ごちそうさま♪」

 あっという間に完食。

 「あ…それで、君達は何を?」

 「…今の丸いのまだある?」

 「…もう無い。」

 「んじゃ、此処まで♪僕も忙しいから!でも、さっきの水色の丸いのくれたらまた遊んでお話もするぞ?
  じゃーなー、オリジナル!あと、犬コロも!」

 「だから狼だ!って…行っちゃったよ。凄い速さだねありゃ…」


 即刻離脱のレヴィは既に姿が無い。
 本よりフェイトには追う気が有る訳ではない。

 飴1個で砕け得ぬ闇がマテリアル達にとって必要なものである事と、その全容はマテリアル達も把握していない事が分っただけでも僥倖だ。

 「追わなくて良いのかい?」

 「うん…深追いは禁物だし、私達の目的はあくまで『銃使いのお姉さん』だからね。」

 なので深追いはしない。
 深追いして噛み付かれでもしたらソレこそ本末転倒になりかねない。
 フェイトの判断は、ある種見事なものだ。


 『フェイト、アルフ…貴女達の居る場所から物凄く不愉快な気配を感じたのだけれど…』

 「母さん!?」
 「プレシア!?」

 で、何故か黒いオーラ発してるプレシアからの通信。
 画面の向こうでアリシアがちょっぴり怯えているのは見間違いではないだろう。

 前回は地獄耳で今回は異常感覚…この人も大概チートだ。
 と言うか今回レヴィは少なくともプレシアの事は何も言っていない。
 一体なんで感じ取る事ができたのか…謎である。


 「い、居ないよプレシア。アタシとフェイト以外には誰も居ないのは分るだろ?」

 『確かにそうね?…どうやら気のせいだったみたいね。…ごめんなさい手間かけて。』

 「あ、いえ大丈夫です…」

 『そう?なら気を付けてお仕事の続きを頑張りなさい?』

 「はい、勿論です!」

 ソレで通信終了。


 「フェイト…」

 「うん、言わないでアルフ。それ以前に母さんだから、多分遊星並みに何でも有りの筈。」

 「豪い説得力があるねぇソレは…」

 取り敢えずはレヴィがこの場を離れていてくれてよかった。
 心底そう思ったフェイトとアルフであった…















   To Be Continued… 





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