小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 アースラに向かった遊星達に代わり、闇の欠片の殲滅に乗り出したヴォルケンリッター。
 そのリーダであるシグナムは、早速闇の欠片を見つけ交戦状態となっていた。

 「うりゃ〜〜!喰らえダブルスラ〜ッシュ!」

 「甘い!飛竜一閃!」

 しかもその相手はマテリアルであるレヴィの欠片。
 構成素体であるマテリアルが闇の欠片にとして現れるとはなんとも奇妙な話だ。

 「終わりだ!シュナイダーフォルム!」
 『Jawohl.』

 だからと言ってシグナムの敵ではない。
 レヴァンティンをシュナイダーフォルムに変形させると、光速の2連撃で闇の欠片レヴィを追い込む。

 「うわ!うそうそ、何で!?」

 「紫電双刃閃!!」

 そして、繰り出された一撃がクリーンヒット。
 烈火の将はまるで危なげ無く、欠片の殲滅を行っているようだ。












  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス52
 『砕け砕け、砕け散れ!』











 「出鱈目な太刀筋ながら、中々の強さだったな。」

 「くっそ〜〜…あ〜〜悔しいな〜〜!!…あ、アレ?如何して?」

 負けた欠片は消えるのみ。
 闇の欠片レヴィの身体が光の粒になって消えて行く。

 「安心しろ…夢から覚めるだけだ。」

 「夢?此れって夢なの?……そっか、じゃあさ目が覚めたら又遊んでくれる、ブシドーの人?」

 「ブシドー?」

 「え〜っとね…剣が強い人の事だよ!あ…なんだろう意識が…目が覚めたら又遊んでね!じゃ〜ね〜!」


 ――シュゥゥゥゥ…


 最後の最後までレヴィらしく消えてしまった。
 不思議と其処からは一切の邪気のようなものは感じ取れなかった。

 「又現れたら何時でも遊んでやるぞ!悪さをしなければ…な。」


 と、まぁこんな感じで戦いが色んな所で起きている訳だ。
 そして当然現れる闇の欠片は、一律同じではない。

 過去の記憶、ifの存在、つい最近の記憶などなど本当に様々だ。













 「ちぃ、いい加減うざってぇ!!」
 『Schwalbefliegen.』

 そんなバリエーション豊かな欠片相手に、ヴィータも大立ち回りの大奮闘を演じていた。
 そのお相手はと言うと…

 「「「「「「「「「「A・ボムを召喚!!」」」」」」」」」」
 A・ボム:ATK400(×物凄く沢山)


 遊星の記憶が再生されたのであろう強化ゴースト『ディアブロ』の大群!
 ハッキリ言うとあまり強くないし、ヴィータの敵ではないのだが如何せん数が多すぎる。

 「んの野郎、無駄毛みたいにわんさか現れやがって!」

 言い得て妙である。
 だがしかし、現れる場所を闇の欠片自身が選んでいるわけではないとは言え、ヴィータの前にこの大群が現れたのは拙い。
 なんせこの『鉄槌の騎士』は見た目が子供なら中身も子供。
 気が短く、堪忍袋の尾も短い――寧ろ有るかどうかも疑わしい。

 そんなヴィータが倒しても倒しても現れる闇の欠片と対峙したらどうなるか?

 答えは簡単。


 「アイゼン…こいつ等纏めてぶっ潰す!!カートリッジフルロード!!」
 『Jawohl.Nachladen.』


 ブチ切れるに決まってる。
 カートリッジをフルロードし、爆発的に力を高める――ディアブロ軍団終了のお知らせである。


 「うらぁ!うざってぇんだよテメェ等!!纏めて…ぶっ飛びやがれぇぇ!!!」
 『Explosion.』

 迫ってきたA・ボム1体を打ち返したのを皮切りにギガントフォルムになったアイゼンを使っての蹂躙開始!
 巨大なハンマーを振り回す幼女に撃滅されるライディングロイド…なんともシュールな構図だ。

 まぁ、ヴィータの方は大変だろうけど大丈夫だろう。


 「来い!のろいうさぎ!!」

 『う〜〜〜〜さ〜〜〜〜!!!!』


 …多分。













 場所は変わり、シャマルが対峙しているのは渡航者の1人であるヴィヴィオの欠片だった。

 「ねぇ何処?ママは何処!?」

 「あらあら…ほら、少し落ち着いて…ね?」

 母親を捜しているのか、泣きながら攻撃をしけてくる。
 尤も、それ程強くないのかシャマルも悠々と其れをいなしながら、仕留める仕掛けを張り巡らせている。

 「返せ!ママを返せぇ!!!」

 「大丈夫…直ぐ会えるわよ。クラールヴィント!」
 『Ja. 』


 突っ込んでいたところで、待っていたとばかりにシャマルの仕掛けが発動する。
 攻撃を避けながら、クラールヴィントを蜘蛛の網のように張り巡らし、捕縛用の罠を張っていたのだ。

 「遊星君風に言うなら『トラップ発動』って言うところね…此れで、お仕舞い!!」

 そして其処に魔力を流し込み攻撃。
 拘束され、その拘束具から直に魔力攻撃が来たとあっては敵わない。
 闇の欠片ヴィヴィオも、此れは耐えられずに一撃戦闘不能だ。

 「ママ…」

 「貴女は悪い夢を見ているだけ。目が覚めれば貴女の大好きなママが待っていてくれるわ。
  だからもう…目を覚ましましょう?…ね?」

 「夢…?ママは居るの?」

 「えぇ、勿論。貴女のママは貴女を1人に何てしないわ…絶対にね。」

 「うん…」



 ――シュゥゥゥ…



 そのまま欠片は消滅。
 シャマルも中々見事なものだ。

 そして、今のを見ている者が2人…


 「…今のは…アレが噂に聞いた『ゆりかご』でのヴィヴィオさん…」

 「あう…あの、お恥ずかしい所をお見せしました…」

 其れはアインハルトと、本物のヴィヴィオ。
 欠片の魔力を感知して来たと言うところだろう。


 「あら?あの子は今の子の…ねぇ、貴女達〜〜〜!」


 「シャマル先生…!見つかりました!!」

 「離脱しましょう!」


 シャマルも其れを発見し、声を掛けるが2人は緊急離脱。
 元々距離が離れていたし、高速で逃げられてはシャマルでは追跡できない。

 「行っちゃった…あの子達、一体誰なのかしら?」

 其れは今は分らない事である。












 そしてザフィーラはと言うと…


 「うむ…見事だ。流石はあの2人の師と言った所か…」

 「貴方もお見事です。流石はベルカの守護獣ですね…」

 リニスの欠片を相手にしていた。
 流石と言うか何と言うか、フェイトとアルフに戦闘と魔導技術を教え込んだと言うだけあって欠片であっても中々に強かった。

 無論ザフィーラの相手ではないが、それでも賞賛に値するレベルだ。


 ――シュゥゥゥ…


 「あ…」

 「案ずるな…夢が終わるだけだ。
  お前の教え子達は、お前の教えを守り、受け継ぎ立派にやっている。だから安心すると良い。」

 「そう…ですか。其れを聞いて安心しました…」

 そしてそのまま消滅。
 だが、消滅する最後の瞬間まで、顔は笑顔だった。

 「そして、本当のお前はその教え子と、優しき主人と共に暮らしている…何も心配するな。」

 ザフィーラも其れだけを欠片に手向けの言葉として残し、新たな欠片の排除に向かうのだった。








 ――――――








 「飛竜双閃!!消えろ、偽りのスターダストよ!!」

 「ぐは!馬鹿な…私の計画は間違っていたと言うのか!!」
 闇の欠片パラドックス:LP2000→0


 闇の欠片を滅し続けるヴォルケンリッターの面々。
 シグナムは前回の闇の欠片事件の時同様に、欠片として現れたパラドックスを粉砕!

 凶悪な『Sinモンスター』も烈火の将の炎の剣技に掛かっては塵芥同然だった様だ。


 『シグナム、こっちは大体片付けたわ。』

 「シャマルか…私もだ。先程、ヴィータとザフィーラからも連絡があった。2人とも私の方に向かっている。」

 『じゃあ、私も直ぐに向かうわね?』

 「そうしてくれ。」

 シャマルとの通信も終わり、他の騎士の到着を待つ。
 可也の数の闇の欠片をこの4人で倒した――今後如何するかも踏まえて一度集まる事にしたのだ。
 で、場所はシグナムが居る地点に決定。

 奇しくもシグナムが居るのは海上。
 此処ならば不測の事態が起きても、直に海鳴の街に影響がでる事は無い――と言う事でだ。


 「しかし、砕け得ぬ闇か――大変な事にならんと良いが…ん?」



 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!



 「な、何だ?其れにこの馬鹿げた巨大な魔力反応は…!」

 「「「シグナム!」」」

 そんな時に突然現れた超巨大な魔力反応。
 ヴィータ、シャマル、ザフィーラもその反応の発生と同時にシグナムの元に到着だ。

 「なんつー魔力だよ…ありえねえ…」

 「大気をこれ程までに震わせる魔力…一体何者なのだ?」

 「まさか…砕け得ぬ闇…?」

 3人もその魔力の強さと濃さに驚く。
 その魔力はドンドン強くなっていく。


 「く…此処は危険だ!離れろ!!」

 其れから危険を察知したシグナムの号令で、全員が魔力反応の地点から大きく距離をとる。
 そして…


 「………」

 現れたのはシャマルの予想通りの砕け得ぬ闇――U-Dだ。

 だが、先程とは何が違う。
 白かった装束は真っ赤に染まり、更に瞳は翠に輝き、顔と腹部には紫の紋様が浮かび上がっている。
 幼い外見はそのままだが、禍々しさは先程よりもずっと強くなっている。

 そう、まるで暴走しているかのごとくに。


 「マジかよオイ…冗談じゃねぇぞアイツ…」

 「あぁ、暴走していたリインフォースをも上回っているようだな…」

 自分達の予想よりも張るかに強い力を持ったU-Dに冷や汗が流れる。



 だが、現れたのはU-Dだけではなかった。


 「見つけましたよ…砕け得ぬ闇…」

 U-Dの背後には、行方が分らなくなっていたアミタの姿が。
 彼女もまたU-Dの魔力を感知し駆けつけてきたのだ。

 「君は…」

 「私に協力してください…貴女の持つ無限連環機構――エグザミアを私の妹に渡さない為に…!」

 交渉を言いながらも、手にしたヴァリアントザッパーはU-Dに向けられている。
 説得が不可能だった場合には自らU-Dと戦い、撃破するつもりなのだろう。

 U-Dは何も言わない。
 彼女自身、果たしてどれだけ状況を理解しているのか…


 何も言わないU-Dに対し、アミタも戦闘体勢に。
 本気でやるつもりのようだ。



 ――バシュ…



 「!!」

 そのアミタの腕が何者かに切りつけられた。
 あくまで表面だけ…だが、介入目的である事は間違いない。

 そしてその介入者は…


 「邪魔をしないでアミタ。エグザミアは絶対にエルトリアに持って帰るから…!」


 マテリアル達と行動を共にしていた此度の事件の大元――










 ――キリエ・フローリアン、その人だった…















   To Be Continued… 






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