小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 再度姿を現した砕け得ぬ闇――システムU-D。
 ソレを止めようと現れたアミタ。

 そしてU-Dの持つ無限連環機構『エクザミア』を求めて現れたキリエ。

 その3人を遠くから視察しているヴォルケンリッター。
 状況を見るにヴォルケンリッターの面々が介入するのは上策ではない。

 半暴走状態のU-Dに、目的以外が見えなくなっているキリエ……介入は状況をややこしくするだけだ。

 故に騎士達は『見』に回っているのだ。


 「アイツ…マジで挑む心算かよ…」

 「その様だな。…力量差が分らない馬鹿か、それとも退けぬ理由があるのか…」

 ヴォルケンズは当然U-Dの力量は分っている。
 だからこそキリエの行動を無謀としか思えない。

 下手に刺激すればソレは死だ…

 尤も、最悪になる前にはヴォルケンリッターも介入するだろうが…












  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス54
 『折れぬ心と砕けぬ闇』











 「キリエ!」

 「邪魔をしないでアミタ!エクザミアは絶対持って帰るから!
  此れでエルトリアの運命が変わるかは分らないけど、今よりは良くなる!
  ホンの小さな一歩でも、前に進んだ事を博士に見せてあげたい!!」

 「その気持ちは分ります!ですが…!」

 「一度決めたら諦めずにやり通す!博士にも、お姉ちゃんにも――私はそう教わった!!」

 一方のフローリアン姉妹は言い合いだ。
 とは言え、アミタにキリエを止めるだけの力は残っていない。

 打ち込まれたウィルスで消耗していた上に、手負いと来ればどうしようもない。
 キリエもソレを見越してアミタを切り付けたのだろう。

 「キリエ…!」

 「何が何でもソレは持って帰るんだから!ラピッドファイア!!」

 『言っても無駄』とばかりに、U-Dに向かって大量の魔力弾を発射!
 戦闘は最早回避不可能だ。


 「無駄だ…君の攻撃は通らない。」

 だがその攻撃も、U-Dにとっては児戯に等しい。
 片手で簡単に防いでしまう。

 「ソレくらい分ってるわ!ライザー!」

 防がれたとてそこで終わりではない。
 一気に懐に飛び込み、二刀を持っての連続斬撃を繰り出す。

 舞うかの如き鋭い攻撃は、しかしU-Dには通じない。

 「…君は無力だ。此れでは『時の操手』にはなりえない。」

 その斬撃をも強固なバリアでシャットダウン。
 この防御は凄まじい――或いは遊星のディフェンドタクティクス以上かもしれない。

 「さて〜…如何かしら?ライザー!」

 それでも攻撃の手を緩めずに、ザッパーを大剣状態にして切り上げる。
 が、それも通じない。


 それどころか、切り上げと言う攻撃は隙が凄まじく大きい。
 それを攻撃前後の隙が更に大きくなる大剣で行ったとなればその隙は致命的にでかくなる。

 U-Dもその隙を逃すはずは無い。

 「ヴェスパー…」

 リング状の魔法を打ち出し、一撃でキリエを沈めんとする。

 が、それを外野であるアミタが見逃すはずは無い。

 「バルカンレイド…ファイヤー!!」

 超高速の速射魔力弾でU-Dの攻撃を止める。
 だが、此れはキリエにはたまらなく面白くない。

 「邪魔をしないでアミタ!」

 「邪魔ではなくで援護です!妹が危険な目に遭っているのを見過ごす姉がいますか!」

 「余計なお世話よ!私は私の考えでやってるの!…ロックオン!」

 「へ!?ちょ、キリエ!?」

 援護したアミタに対しても毒づき、更にはバインドで動きを封じる。
 此れではアミタも動けないだろう。


 「仲間割れ…矢張り君は器ではない…消えるといい――ジャベリン!」

 殆どキリエを見限ったようなセリフを吐き、更に巨大な魔力の杭を打ち出してきた。
 喰らえば即死の一撃。


 だが、それを前にしてキリエには笑みが浮かんでいた。


 「待ってたわ、その大振りな大技!アクセラレーター!}

 その技の隙を見切りU-Dの背後に!


 そして…


 「せぇぇのっ!スラッシュ・レイブ・インパクト!」

 大剣を叩きつけて吹き飛ばし、更に連続で3回の斬撃を与えU-Dが僅かに揺らぐ…
 無論それだけで沈黙するとは思えない。

 キリエの攻撃だってまだ終わった訳ではない。

 「S…R…I〜〜〜〜〜!!」

 止めとばかりにザッパーからの魔力を球体にまとめそのままU-Dに叩きつける。

 手応えは抜群。
 並の相手ならばこの一撃で行動不能が確定だろう。

 だが相手はU-D。
 リインフォースとヴォルケンリッターをして『凄まじい』と言うほどの相手だ。

 それに対しキリエの一撃が決め手となるだろうか?
 答えは否だ。


 今の一撃を喰らって尚、U-Dは無傷。
 それどころか…


 「白兵戦モード、出力36%…」

 溢れ出る力が更に増す。



 「い、イカン!」

 「あれはヤベェ!止めるぞ!!」

 それに危険を感じたヴォルケンリッターも介入を決める。
 だが、それよりもU-Dの行動は早い。



 「無力なギアーズよ…君も闇に染まれ…」

 力を増したU-Dは魄翼を展開し、巨大な掌に変える。
 そしてその一撃をキリエに…!


 「駄目よ…間に合わない!」

 「ぐ…届かぬか!!」

 距離的にヴォルケンリッターの援護は間に合わない。


 魄翼は止まらずキリエに迫り…


 「させません!!」

 「アミタ!?」

 寸でのところでアミタが拘束をブチ破り、間に割って入ってきた。
 だが、その左腕には魄翼の爪が深々と突き刺さっている。

 加えてその場所からは機械が現れショートしている。
 どうやらこの姉妹は人間ではないようだ。


 「キリエ…逃げて…!」

 感覚はあるのだろう…苦痛に耐えるようにキリエに逃げろと言う。
 当のキリエは、アミタが自分を庇った事に信じられないような表情だ。

 「…無駄な事を…そんな事しても痛みと苦しみが増すだけなのに…」

 そしてU-Dはそれにも無表情・無感情。
 ただ、淡々と告げるだけだ。


 「だからなんです!家族の心と身体を護って生きる――一家の長女の勤めです!
  其れに、痛くても苦しくても前を向いて生きるように…人の心は出来ているんです!!」

 遂に魄翼の一撃はアミタの左腕を切り飛ばし、更に腹をも貫通する。
 それでもアミタは退かない。


 真に妹を思えばこその不屈。
 アミタは心の底からキリエの事を心配し、そして大切に思っていたのだ。
 だからこそ自分の身を盾にしてキリエを庇った。
 苦痛を受けてながらも逃げろといったのだ。

 「アミタ……」

 「私のありったけの力で貴女を止めます!!ヴァリアントザッパーオーバブラスォォォォォォォォ!!!」

 ウィルスに犯され、力は相当に制限されている。
 それでも今もてる全ての力をザッパーに込め、最大の一撃を略ゼロ距離から発する。




 その威力は凄まじく、核実験かと思うほどの閃光と爆発が起きる。


 「なんて威力…まるでフォースブレイカー並…」

 「あぁ、普通ならば此れで終わりだろうが…」


 ヴォルケンリッターもこの一撃の威力には驚く。
 地縛神事件の時に放たれた、遊星、はやて、なのは、フェイトで放った最大の一撃に匹敵していたのだから。

 ナハトヴァール暴走体をも砕いたその一撃に匹敵するともなれば、喰らったらマトモですむはずはない。
 だが…


 「凄まじい一撃…私も少し危なかった。
  けれど、それでも止める事はできない……悲しい事だ…本当に悲しい。」

 魄翼でアミタを吊り下げ、U-Dは無傷。
 吊り下げられたアミタは全てのエネルギーを使い果たし、更にダメージが大きかったのかピクリとも動かない。

 キリエの姿は無い。
 今の閃光にまぎれて離脱したのだろう。

 「君達が力を尽くしても私は止められない……ぐ……ま、又頭が…!うあ…あ…うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 プログラム障害か、U-Dは苦痛の悲鳴を上げながらその場から消える。


 だが、そうなるとアミタを吊り上げていた魄翼も消える事になる。
 そうなれば当然アミタは真っ逆さまに…



 「危ない!!」

 慌ててシグナムが飛び出すが、間に合いそうにはない。
 このままではアミタは海面に叩きつけられてしまう!


 「頼むぞ『ジャンク・ウォリアー』!」
 『トゥアァァァ!!』
 ジャンク・ウォリアー:ATK2300


 しかしそうはならなかった。
 ギリギリで遊星が駆けつけ、ジャンク・ウォリアーを呼び出しアミタを空中キャッチ。


 「遊星…」

 「間に合ったか…リンディに頼んで転送して貰ったのは正解だったな。」

 どうやらアースラでのブリーフィング中に『嫌な予感』がして此処に転送してもらったらしい。
 相変わらず凄まじい勘の鋭さだ。


 「ナイス遊星!流石だぜ!!」

 ヴィータも遊星の駆け付けを賞賛。
 遊星も遊星で褒められれば悪い気はしない。
 少しだけ笑みを浮かべ、しかし直ぐに表情を引き締め告げる。

 「皆も一度アースラに行ってくれ――クロノからこれからの方針について話があるんだ。
  それと…彼女の『治療』も必要だからな。」

 ジャンク・ウォリアーに抱えられたアミタを見やる。
 千切れた左腕と、腹の大穴が痛々しい。
 如何に生身の人ではないとは言え、心を持った彼女には辛かった事だろう。


 遊星の手にかかれば直ぐに治るだろうが。


 「分った。一度アースラに向かうとしよう。…主はやては?」

 「勿論居る。リンフォースもなのはもフェイトも一緒さ。」

 「まぁ、何時もの面子だよな。そっちのが気が楽だけどさ。」

 ともあれU-Dとキリエはこの場から離脱し、アミタは瀕死。
 更にクロノからこれからの方針の説明が有るとなればアースラに行かない道理は無い。



 直後、転送ポートが現れて一行はアースラへと転送されていった…








 ――――――








 遊星達がアースラに転送された少しあと…


 「ん〜〜〜…よし、ふっか〜〜つ!!」


 海鳴の上空に力のマテリアルことレヴィが現れていた。

 決して『闇の欠片』等ではない。
 明確な意思を持った、本物のマテリアルだ。

 他の3人よりも早く復活をなしたらしい。


 「で、復活したのは良いけど僕は何をすればいいんだろ?」


 しかしながら、復活したとて何をすべきかは分っていない様子。
 まぁ、レヴィではしょうがないだろう。



 果たして、このレヴィの復活が如何影響してくるのか……多いに謎である。



 「う〜〜ん…取り敢えず適当に飛んでよう♪」



 本当にどうなる事やら…















   To Be Continued… 




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