小説『絆の決闘者と夜天の主』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 アポリアが転送された事で、シグナムもアポリアと出会った。
 速攻で遊星の仲間であると見抜いたアポリアは…

 「行け機皇帝グランエル。『グランドラスター・カノン』!」

 「凄まじい攻撃だな…だが迎え撃つ!飛竜…一閃!!」

 何故かシグナムと戦っていた。
 いや、敵対とかそういうものではない。

 転送直後に遊星から通信が入り、シグナムの方に向かっているとの事。
 ただ結構距離が離れているので少し時間が掛かるという。

 時間が有るのならば…とシグナムが『軽い手合わせ』を持ちかけ、この対決が実現。
 シグナムは、以前に遊星から聞いた事のある『強敵』との戦いに血が騒いだ。
 アポリアもアポリアでこの世界の遊星の仲間の実力に興味があった。

 とは言えガチバトルで怪我したら元も子もない。
 なので勝負は単純明快な『一発勝負』。

 互いに攻撃一発で勝負するというシンプルな1ショットマッチだ。

 攻撃力8000のグランエルの光線と、シグナムの炎熱砲がかち合いどちらも譲らない。

 「むぅぅ…!」

 「負けるな機皇帝グランエルよ!」

 衝突点は遂に臨界点を向かえ――爆発!
 結果はどちらも無傷。
 互いに攻撃を相殺しての引き分けであった。












  遊戯王×リリカルなのは  絆の決闘者と夜天の主 クロス58
 『アポリア絆巡り転送』











 結果は引き分け。
 だが、この結果に驚いていたのは他でもないシグナムだ。


 ――消滅させてしまわない為に加減したとは言え、まさか互角とはな。


 万が一を考えてやや手加減したシグナムだがソレでも引き分けという結果は驚いた。
 いや、遊星を苦しめた相手というのだから相応の実力者だろうとは思っていたが予想以上だったようだ。

 「ふむ…私が消えぬように手加減をしてくれたのだな?騎士の精神、しかと見せてもらった。」

 「あ、あぁ…遊星が来る前に消してしまってはな。」

 シグナムが手加減をしたことを確りとアポリアは見抜いていた。
 尤もソレを責める事はせず、自分への気遣いを感謝するくらいだ。

 凄まじく苛烈な世界を生き抜いてきた者は、真実を見抜く目も半端ではないらしい。


 「そうか…だが今の一撃で分った。君は遊星と本気で戦った事があるな?」

 「そんな事まで分るのか!?」

 「分る。そして恐らくは先程の少女、高町なのはもまた遊星と戦ったことがあるだろう?」

 「あぁ…まさか、私は兎も角なのはが遊星と戦ったことまで分るとは…正直驚いた。」

 此処まで行くと観察眼などというものではない。
 歴戦の猛者のみが持つ直感を超えた超感覚だ。

 「まぁ、理屈ではない。君も騎士ならば何となく経験があるだろう?」

 「そう、かもな。」

 騎士とデュエリストは意外と似たもの同士なのかもしれない。
 実のところ、突然現れたアポリアに警戒していたシグナムだが、今の『模擬戦』と少しの会話で完全に警戒を解いていた。
 信用するに値する――そう言う事だろう。

 「さて、もう少ししたら遊星も来るだろうが……!?」

 「む…すまないシグナムよ、どうやら又、私は別の場所に転送されるようだ…」

 が、アポリアが又も転送状態に入る。
 一体どういう基準で転送がなされているのかは謎。

 しかし、アポリアには何となく基準が分ってきていた。

 「遊星には『何処か適当な場所で待って居てくれ』と伝えてくれ。恐らくはそれで正解だ。」

 「なに?ソレはどういう…」

 「頼むぞ…」


 ――シュゥゥゥ…


 シグナムの問いに答える事無くアポリアは又別の何処かに。

 「一体どうなっているんだ?」

 疑問は尽きない。
 だが取り敢えずは遊星に、アポリアから言われた事を伝え、次いで皆にアポリアの事を伝えるシグナムであった。








 ――――――








 場所は又海鳴のどこか。

 「今度は一体…」

 「…今度は私の番か?」

 2度目の転送で送られたのはリインフォースの元だった。
 何故か一緒にレヴィも居るが、此れはリインフォースがはやてからレヴィのお目付け役を言い渡されたから。


 だがしかし此れが問題である!
 リインフォースとアポリアだけならば滞りなく事は進むだろう。
 また、リインフォースはシグナムの様なバトルマニアではないので戦闘に発展する事もない。

 問題はレヴィ!
 脳味噌パラメータ0、子供そのままの性格にびみょ〜にバトルマニア入っているレヴィである。

 行き成り現れたアポリアに何もアクションを起こさないだろうか?
 否!断じて否である。

 また、アポリアが機皇帝グランエルを召喚したままと言うのが更に悪い。

 こんなに巨大で強そうな物を見たレヴィは黙ってられない。

 「お〜〜〜!何だこれ強そう!よ〜〜し、勝負だ!いっくぞ〜〜!!」

 ネコまっしぐらならぬ『レヴィまっしぐら』である。

 「む!?」

 行き成りの突撃に虚を突かれるアポリアだが、この場にはリインフォースと言う最強のお目付け役が居る。

 「はぁ………」

 溜息一発。

 「封縛×5!!」

 「むぎゃ!!」

 超強力バインドの5枚掛けでレヴィを拘束。
 出鼻を挫かれたレヴィが車に轢かれたヒキガエルみたいな声を出したのは仕方ないだろう。

 「何するんだよクロハネ!」

 「何するじゃない。お前が出て行くと面倒でややこしい事になるから少し大人しくしていてくれ。」

 その通りな意見である。
 当然レヴィはむくれるが、

 「元気なものだな。子供は元気な方がいい。」

 アポリアが絶妙フォロー。
 まぁ、フォローする心算ではなく本心そのままなのだろうが。

 「ほら、この人もこう言ってるぞクロハネ?」

 「だからって行き成り襲い掛かる奴があるかまったく……先程将から連絡があった。お前がアポリアか?」

 「如何にも。我が名はアポリア。」

 「あぽりあ?僕はレヴィだよ♪で、こっちがりいんふぉーす。めんどくさいから僕はクロハネって呼んでるけど。」

 レヴィは相変わらずである。
 まぁ、お陰で名乗る必要はなくなったのでリインフォースも話を進める。

 「しかし、此処まで意識がハッキリしている闇の欠片とは…俄には信じがたいが…」

 「私自身も良く分らない。何故この場に呼び出されたのか…
  だが1つだけ、私はどうやらこの世界で遊星が戦った者達の元を訪れているらしい。
  そして、その果てに遊星の元へと転送されるのだろうと思っている。」

 ソレで恐らくは正解。
 なのはにシグナム、そしてリインフォース。
 形は違えど遊星とガチバトルを行った者達だ。(フェイトは模擬戦時には遊星よりもザフィーラと戦ってたので除外)

 「…有るかもしれないな。
  だが、だとしたら私で最後だ。将となのは以外で、遊星と戦った者は仲間内にはもう居ない。」

 「そうなのか?…いや、その様だな。」


 ――シュゥゥゥ…


 またまた転送状態。
 話には聞いていたのでリインフォースは驚かない。
 アポリアだって驚かない。

 「あ〜…なんだよあぽりあ行っちゃうのかよ〜〜。」

 ただ1人、レヴィだけが不満そう。
 まぁ、この不満がアポリアの耳到達する前に転送されてしまったのだが。


 「あ〜あ…ねぇクロハネ。あぽりあ何処行ったの〜〜?」

 「恐らくは遊星のところだ。」


 レヴィの疑問に対する答えは簡単明解。
 そしてその答えは大当たりだ。








 ――――――








 ――ウィィィィン…


 新たな転送先は海鳴の郊外。

 「アポリア…」

 「久しぶりだな不動遊星。」

 最後の訪問先は遊星。

 奇しくもリインフォースとアポリアの予想は正しかった事になる。

 「あぁ、久しぶりだな。まさかお前が現れるとは思ってもみなかった。」

 「私も再び君に会えるとは思っていなかった。」

 約1年ぶりとなる再会だが、それでも淡白な会話印象を受けるのは遊星だからだろう。
 そしてこの2人の話題といえば1つしかない。

 「遊星、ゾーンはどうなった?アーククレイドルは?」

 「ゾーンは倒した。だがアーククレイドルは分らないんだ。脱出前に赤き竜の力でこの世界に飛ばされてな。」

 そう、ネオ・ドミノシティでの天空デュエルの行方とアーククレイドルだ。
 とは言え遊星も全てを見届けた訳ではないので詳細は分らない。

 単に『ゾーンを倒した』としか言いようが無いのだ。


 「そうだったのか。だがゾーンに勝ったのならば未来は変わる。
  ゾーンも私のように、絶望の中にあった希望を見つける事が出来たはずだ。」

 「そうか?…そうだと良いな。
  俺達はお前達から未来を託された存在だ、シティに戻ったら絶望が訪れない未来の為に頑張らないとな。」

 「頼むぞ、不動遊星。」

 「あぁ、勿論だ。」

 だが、会話は穏やかだ。
 どちらも本当に久しぶりに友人と有ったかのような感じである。


 アポリアが繋いだ希望を、今度は遊星が仲間と共に未来へ繋げて行くだろう。
 その先にあるのは決して『破滅の未来』では無い筈だ。


 しかし、穏やかな空気は続かないモノだ。
 この穏やかな空気をブチ破ったのはザフィーラからの通信だ。

 『遊星よ、無事か?』

 「ザフィーラ、どうかしたか?」

 非常に分り辛いが、通信相手であるザフィーラはなにやら慌てている様子。
 常時どっしりと構え、物怖じしないザフィーラが慌てるのは珍しい。

 『今しがた新たな闇の欠片が現れたのだ――ソレもハッキリとした意志を持った欠片がな。』

 「なんだって!?」

 「私のような存在が現れたというのか…!」

 その詳細に遊星とアポリアも驚く。
 このアポリアと同じ位に意識がハッキリしていたのは『闇の欠片事件』の時の遊戯くらいだ。

 それほど意志がハッキリしている欠片は珍しいのに、この短時間で2体目とは…


 『私とシャマルとクロノ執務官で鎮圧に向かったが…寸での所で転送されてな…お前のところに現れていないかと思ったんだが…』

 「いや、俺のところには来ていないが……一体どんな奴だったんだ?」

 寸での所で転送とは厄介だ。
 一応詳細をきくが、ソレは真に驚くべきものだった。


 『デュエルディスクを装備していたのでデュエリストだとは思うが…中々の長身だったな。
  ソレから特徴的な金髪に、何よりも目を引いたのは白と黒の仮面、そして『Sin』と名の付いたモンスター達だ。』

 「「!!!」」

 寧ろ驚くなというのが無理な話。
 ソレは遊星もアポリアによく知っている人物なのだから。



 ――キィィィン



 更に新たな転送反応まで起きる。

 「…ザフィーラ、どうやらたった今そいつは俺の所に転送されてきたらしい。」

 『む…そうか。気をつけろよ遊星…あれは凄まじく危険な匂いがする。』

 「あぁ、分ってるさ。ザフィーラも気をつけてな。」

 此れで通信を終え、転送反応ある場所をアポリアと共に見る。


 転送特有の光は治まり、転送されてきた人物が明らかになる。


 「くくく…此れは予想外だ。不動遊星のみならずお前も居るとはなアポリア。」


 現れた人物は遊星は兎も角、アポリアの存在が意外だったらしい。
 それでも仮面の下の顔には笑みを浮かべているのだろうが。


 ソレとは別に遊星とアポリアはその人物を睨みつける。
 遊星にとっては伝説のデュエリスト共に撃ち破った強敵。
 アポリアにとってはかつての友であり、そして救われていない仲間。

 「ザフィーラから詳細をきいてまさかとは思ったが…」

 「本当にお前だとは思わなかったぞ…」

 告げられる名はたった1つ。

 「「パラドックス!」」

 矛盾――絶望の未来より出でし罪の操り手であった…














   To Be Continued… 





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