小説『東方羅刹記』
作者:unworld()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第九話『嫌いなものは…』

看守から毛布などをもらい聖さんを寝かせる。
まだまだ息は荒いけど大丈夫そうだ。
はぁ…とため息をこぼす。
つくづく俺は…そう思った。

俺が法界に初めて送られた日俺もこんな感じになった。
ストレスやなにやらで色々風邪を引いたりした。
その時支えてくれたのが、爺さんだったんだ。

俺はなにをしてるんだ。
聖さんの心情くらい察してやれよ!

その時、俺は明らかに何かが壊れていく音を聞いた。
自分の馬鹿さ加減にイラつき
そして、聖さんの心情を察した瞬間。
自分の何かが確実に壊れていった。

俺の頬を温かいものが伝った。
なぜ…俺は泣いているんだ…
泣きたいのは、聖さんの方だろう。

だけど…そう思えど俺の涙は止まらない。

数十億いや、数百億生きといて…
ふざけんな!!!

悔しくて悔しくて悔しくて…

俺は強くなったと思っていた。

だが、自分の非力さが…あまりにも惨めで…あまりにも無力で…

強くなんてなってなかったんだ。

俺は…

なんにもできねぇじゃねぇかよ!!!

「そんなことないですよ。」

俺の頬に誰かの手が伸びる。

その手は白くて綺麗で思わず見惚れた。
その手の主は…
紫と金に別れている髪を揺らした聖さんだった。

「聖さん…」
「月夜さん。泣いているのですか?」
「泣いてなんかないよ。」
「では、なぜ涙を流して要るのですか?」
「わかんねぇ…」

俺はなぜか泣いていた。
悔しくて悔しくて…それが理由なのかはわからない。

「悔しい…んだと思うんだ。
俺は自分が強くなっていたと思ってんだ。でも…実際はそんなこと無かった…

俺は…

俺は…弱いっ!

俺は強くなりたいっ!

でもっ!

それでも!

俺は一人の人間として!

誰かの側にいたいんだっ!

それには強くなきゃいけないのに…
俺は俺は…
それを背負うには…支えるには…

到底…弱過ぎるっ!」
「そうですかね?」
「そうなんだよっ!
聖さんは強いからそう言えるんだよ…
俺は…俺は…弱いんだ。
大切な人を守りたいのに守れないのは辛い…辛過ぎる!」
「そうですか…

でも、あなたの守ってきた人は笑っていたのではないのですか?」
「えっ…」
「そうでしょう?
それに、あなたは力を求めすぎています。
あなたは人間であるべきなのです。
私は力を求めすぎました…だから私の二の舞はさせたくないのです。
ここで誓ってください…

『自分は人間であり続ける』と」
「っ…ああ…
誓う
誓うよ!
『俺は人間であり続ける』
俺はそのために生きている!」

その時、俺のなかで何かが外れる音がした。
カチッという音と共に俺のなかの何かが溢れてくる感じがした。
ああ、これが俺の大切な人が言っていた。能力が進化する時なのか…
これでの俺の能力が変化したのか…

『人間である程度の能力』が『人間であり続ける程度の能力』に進化したのだった。

この能力『人間であり続ける程度の能力』は意外にもチート能力だ。
この能力の本質は『人間であり続ける』事だ。
まぁ、だから妖怪の力を手に入れようが、神の力を使えようが俺は人間なのだ。
そして、もう一つ、この能力は可能性の範囲なのだが…
人間であり続けるということは例えば神にはならない。しかし、人間にはなれるのだ。もしかしたらだが、死体にもならない可能性がある。死体は人間が死んだ姿だが…
『人間という存在』であり続けるなら話は別だ。
死体は人間が『死んだ』存在だ。亡霊も然り、死体もそうだ。
だが、人間という『そのまま』の存在であり続けるなら俺は死なない。
全く厄介な…ってことがあるんじゃね?的な

だが、この能力…俺と凄まじく相性が悪いんだよ。
だってね?考えてみろよ?
俺の羅刹天の力をすべて奪っていったようなもんだ。
速疾鬼 羅刹鬼にしても俺は鬼にならなきゃいけないんだ。
しかし、この『人間であり続ける程度の能力』裏を返せば、人間であり続けなきゃいけないんだ。
しかも、俺の『あらゆる障害を乗り越える程度の能力』と同型の発作型能力だ。
発作型能力ってのは、俺がつけたもんで、自分が意識していなくても、ふとした拍子に発動してしまう能力の事をいう。
まさに発作だろ?

てか、いきなり能力が進化するって…多分、心の奥底からそう願い誰かにそれを認めてもらうことによってそうなるんだろうな。多分。

それはおいておいて。

「聖さん?なんで俺は説教されてんの?」
「説教ではありません。道徳的な説明です。」
「…何を?」

しまった…失言してしまった。

「話…聞いてなかったんですか?」
「いいいい、いや!別にそんなことねぇよ!?ほんとだよ!?」
「…そうですか…では、ですね。
私の目標は人の前に立つことなんですよ。
道に迷ったものを救えるように導けるようになりたいんです。
道を踏み外したものに手を差し伸べられるように、そして、誰かを導いていけるようになれたらこれほど幸せなことはありません。」
「…そうか…じゃあ俺は…

人の後ろを行こうかな。」
「…後ろですか?
なぜです?」

だってさ…

「聖さんが前を行くなら

俺は後ろを行く。

いつか、人は迷い苦悩する。
そして、振り返るんだ。自分が歩いてきた道を…

俺はそんな時、後ろにいればその人の道にいられるじゃあないか。

俺は誰かの歩いてきた道を後ろから見守り、時には助け、時には守る。

だって、後ろから何かに襲われたらひとたまりもないでしょ?

俺はそんな脅威を退ける力が欲しいね。
だから俺は後ろにいる。

俺は

『あるゆる存在の後ろにいたい』」

その時、まただ。
やってしまった。
心から心の奥底からその願いをはいてしまった。

カチッという音がなった気がした。
聖さんよ。

俺の考えを否定しろ!!

「…ふふっ…だったら後ろは月夜さんに任せておけば安泰ですね。
前は任せてくださいね。私頑張りますから!」
「はぁ…」

カチリと歯車が合わさる音がした。

これによって『あらゆる存在の後ろにいる程度の能力』の完成だ。
これも、はたまたチート能力な気がしてきたぞ?
気配を消しながら人の後ろに行けるとか…暗殺かっ!
そして、この能力
よくよく考えたら…弱体化の能力じゃねぇか!?

うん、そうだ。多分、いや、完全にそうだ。
例えば、聖さんの後ろにいるとしよう。
その時俺の身体能力が聖さんより後ろにいるのだ。
つまり、俺の近接格闘が100、聖さんが70にしておこう。
そして、俺の『あらゆる存在の後ろにいる程度の能力』を発動すると…

あらまあなんと不思議なことでしょう。
俺の近接格闘が70未満になってしまうのです!
てなわけだ。俺は聖さんの近接格闘の後ろにいったんだ。
で、そんな訳で俺は聖さんより劣るわけだね。
うん、やべぇ盛大に使えねぇー!!

「?…どうしたのですか?」
「うん、いや、なんでもねぇんだ。
…自分の使えなさ加減に泣いてた」

いや、ほんとつかえねぇよ…

さてと…俺の嫌いなものからは遠ざかったわけだが…

俺が嫌いなものそれは…無力だ。

使えない。

無力それがいやで俺は死ぬほど努力した。まぁ、実際死んだけどな?

さてと…

俺は聖さんに助けられ救われた。
その恩返しでもしますかな…

「なぁ、聖さん。
救いたいやつはいるか?」
「…ええ…でもなぜ?」
「もう少ししたら俺がそいつらを助けてやる。

さぁ願え俺がそれを叶えてあげるよ。」

…こうして俺は聖さんのお仲間を救うことになった。

そして、聖さんが落ち着きを取り戻し布団でねたんだが…

俺は爺さんのところに行った。まぁ、用事もある。

「なぁ爺さん…」
「なんじゃ?」
「俺にあんたを封印してもいいか?」
「ついに、決心がついたか…」
「ああ、俺はまだまだ、覚悟が足りなかった。
だが、俺は決めたんだ。

俺は救うことは出来ないかもしれない。
だけどよ。俺にも壊すことはできる。
俺はその人の妨げになるものを壊し殺す。
そのためだったら、神にだってすがってやる。

さぁ、力を貸して貰おうか」
「それでこそ…我が主じゃ」

俺が爺さんの手を取り、そして、力を込める。
すると、爺さんの身体は発光すると光の粒子となって俺に流れてくる。
そして…


俺は見た…

すべての始まりを…

すべての終わりを…

確か…爺さんの神格は宇宙。

俺はこの時、この世のものじゃあないものを見た。

それはただの星空で…されど、それは星空で。

俺はその時…初めて自然を見て



泣いた…


世界の絶景?
とんでもない!
これに勝るものはない。

まさに最上位に至る光景だ。

俺は目を閉じる。

すると、あらゆる知識が俺の中に入ってくる

まさにブラックホールのように俺に銀河や星が吸い込まれていくビジョンを見た。

ああ、これが…

『ようこそ我が主』

神の領域か…

『どうされました我が主』
「爺さんは八百万の神の先駆けで
天地開闢の地にいたり、
宇宙を統べ、
生命力も
活力も
統制も
あらゆる神を創生するきっかけを作った神。
伊奘諾と伊邪那美に天沼矛を渡し、大地を作らせた。天の神。
すべての中央に座し、俺らを見下ろす神様だ。
そして、そのあと、隠居をかますんだろ?
なぁ?『別天津神』」
『いつから気づいておられたのですか?』
「さっきだ。
爺さんの記憶のぞかせてもらったぜ?
ついでに俺に能力の製造を仕組んだのも爺さんだろ?
そのせいで俺の能力が二つも増えちまった。」
『あの力は確かに私はきっかけは作りました。
しかし、全て私が仕組んだのではないのですよ?
主が望むからです。』
「…はぁ…おいおい…
じゃあ…『あらゆる障害を乗り越える程度の能力』
『人間であり続ける程度の能力』
『あらゆる存在の後ろにいる程度の能力』この三つどーすんだよ!
弱すぎだろ!」
『努力すれば強くなります。
頑張ってください?』
「ぐっ…もとより努力するのは前提だ!
あーもう、とりあえず!


これからよろしくな!」
『…主のお心のままに』

展開が早い?知ってるよ。
こうして
別天津神を俺は手に入れた…



………………………

どうもunworldです…
ええ、ちょっと風邪を引いてしまいまして本調子ではありません。(言い訳すんな!作者!by月夜
それゆえ、展開がオーバーリミットしてます。早すぎます。
どーいてこーなった。

それはさておき、月夜君の設定がわかんねぇんだよ!とか思う方もいると思うので改めて説明します。

名前 無角 月夜
性別 男
身長 178cm
種族 人間
髪 腰当たりまであります。
髪色 基本黒。時々 白 妖化中 赤
能力『あらゆる障害を乗り越える程度の能力』
『人間であり続ける程度の能力』
『あらゆる存在の後ろにいる程度の能力』
年齢 見た目18歳(実際数十億歳)
特徴 破壊と滅亡を司る神『羅刹天』
宇宙、天、生命力、祭事、生産などを司る神『別天津神』を身体に封印した。人外だけど人間。
最近は羅刹天が獄卒鬼なので地獄の焔が操れるように…(これは妖化によって)基本的に顔は中の上。
能力持ちなのに霊力が低く飛べない。
だが、スペカも一応使えてそのエグさは…折り紙付きです。
弾幕戦は得意ではなく、体術などの近接格闘を主体とする戦いをする。
絶界に入れられて、死ぬどころか…パワーアップ。
様々なところに封印されており、その度に封印を勝手に壊し、無効化しています。
絶界を旅をしている時に出会った人や妖怪や神は数知れず。
しかし、異性に好意を抱かれるも、告げられる前にいつも死ぬ。(俗にいうバカ…ピチューン)

月夜side
さてさて、まぁ、作者がこんな調子だしよ…
俺から説明していこうじゃあないか。
まずは、謝罪だ。前回「命蓮寺組出すぜ〜」とか中二作者がほざいていたが、まぁ、当然のことながら叶っていないわけだ。
作者に変わって謝罪しよう。すまない。
あと展開が早い。これもすまない。
それも俺の夢のためだ、我慢してくれると助かる。
それと、俺の能力の話だが、俺は自分の中に封印されている神を解放することで力を使っているんだ。
そして、俺が神の力を借りると能力が加算される。
ちなみに能力的には、主に司るものだ。
例えば、羅刹天の場合『破壊と滅亡を司る程度の能力』とかだ。

次の回では、命蓮寺組を出す。
うん、絶対に出させる。
封印されているやつは、

虎丸 星
一輪
ムラサ
ぬえ

としておく、らしい。
まぁ、何事もないだろう。
ではでは、次の話『いやいや、俺はチートじゃない…はず…』でお会いしましょう。(決まり文句!
おい!?これタイトルあってんだろうな!?(知らないんだZE☆

-10-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.[同人PCソフト]
新品 \1300
中古 \1400
(参考価格:\)