小説『東方羅刹記』
作者:unworld()

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第二話 羅刹天は気まぐれである

俺が東京駅に着き、新幹線のチケットを買う頃にはもうお昼になっていた。
別になんということはないが、何処かに入る気にはなれない。
なぜなら、多分就学旅行だろうか、中学高校などの多数の学校が駅にいたからだ。
騒がしいのは別に好きだがうるさいのは嫌いだ。
そんな時、後ろから声をかけられた。

「あれ?お兄ちゃん?」
「あ?」
「やっぱりお兄ちゃんだ〜!!
おにいちゃ…「うっせぇ」ふきゃ!」

俺をお兄ちゃんと呼ぶ少女の頭をアイアンクローし、言葉を遮る。
まぁ、もちろん俺をお兄ちゃんと呼ぶから俺の妹なんだが…

「七花いたのか…」
「痛いなぁ…お兄ちゃんは酷いよー。
ねー早苗?」
「えっ?うーんと…」
「何同意求めてんだ。
で、こんなところになんの用だ。」

黒い髪をもつ俺の妹、無角七花。
七番目の無角の血を持つ者だ。
得意分野は体術、退魔術、神との交信。と言ったところだろう。
ちなみに美少女。

その隣にいるのは緑髪の少女
東風谷早苗。
神との交信が出来て、洩谷神社の巫女。風祝…現人神だな。
ちなみに美少女。

ちなみに俺に向けて非難の視線(同級生と思しき学生達から)が浴びせられている。

俺がもてているように見えるなら勘違いだと言いたい…

ため息をつき、肩を回す。

七花「ん?お疲れ?」
月夜「ああ、ちょっとな…」
七花「私たちは見たとおり就学旅行だけど、お兄ちゃんは?」
月夜「本家に用事。」
七花「そっか…お兄ちゃん頑張ってね!」
月夜「ん。」
早苗「あの、本家って?」
月夜「俺たち無角家の本家だ。
俺や七花は本家の人間だが、兄弟の中には分家の人間だっている。
まぁ、そんなに変わらないがな」
七花「お兄ちゃんは、その中の四番目の兄弟で私は七番目だね。
ホントは月夜って月四って書くんだけどね。
父さまが月夜に変えたんだよ。」

そんなことをしていると新幹線がきて、俺も乗り込む。
俺の席は四人席で四人席に俺一人で座っている構図になるはずだった…

月夜「あのさ…
なんでここにいるのさ…」
七花「お兄ちゃんが心配で。」
月夜「うそいうな。」
早苗「私達ですね。自慢じゃないですけど人気がありまして…」
月夜「ああ、それで害がなさそうな俺のところに来たと…」
早苗「いえ、七花ちゃんも人気があるので強そうな人を連れてれば大丈夫かな〜と」
月夜「本音は言わんでよろしい。」
七花「でもラッキーだったね〜
お兄ちゃんは見た目強そうな不良だし。」
月夜「何を言うか。」
早苗「そーだよ。月夜さんだって不良ではないよ。」
月夜「早苗…」

早苗よ。お前だけなんだよ。そういう優しいことを言ってくれるのは…

早苗「ヤクザだよね。」
月夜「お前ら出てけ。」

くそ…なんたる不幸。
この美少女二人はなぜ俺についてくる…
俺は心構えをしているんだ。
これから羅刹天の封印だぞ?
破壊と滅亡を司ってるんだよ?
現人神への第一歩どころか階段登っちゃってるんだけどさ。
はぁ…
もう、ホントにやめてくれ…

数時間して京都の地につき、俺の第一歩が始まるんだが…
あれー?なぜか俺は本家に向かう前に七花と早苗の荷物持ちをしてるんだが…
誰かどーにかしろ。
こんにゃろ…どーしてこーなった。

電車の中で…
京都駅着く頃早苗と七花が元の車両に戻って行き、ひとときの安堵が来てため息をつく。

「たく…あいつら…」

その時俺は気づいてしまった。
早苗の七花のカバンが席においてあるのに…
しかも、もうあと二、三分で京都についてしまう。
仕方ない…俺が運ぶか…

俺は仕方なく自分の荷物と早苗たちの荷物を持ってホームに降りる。
すると、早苗達の姿が見当たらない。

「あれ?おかしいな…」

俺はとりあえず改札に降りた時、早苗達一行を見つけた。

「おーい…って!?」

しかし、向こうは足早に立ち去っていく。
こちらはいくら男とはいえ荷物三人分。

「あ、やばっ…」

見失ってしまった…
うーんこれはまずい。
京都は観光客が多くくるためホテルやら旅館やらが多く健在している。

その中から早苗達一行を見つけるのは結構至難の技だ。

とりあえず探すか…
俺は改札を出て辺りを見回す。

見つけた!
大型バスに乗り込む姿が確認出来る。

だが…

「なっ!?おい!」

バスは一行乗せて発進してしまう。
めんどくせぇぇぇ!!!
とりあえず頭を抱えなきゃいけなかった…
だが、すぐにタクシーをひろいバスを追いかける。
しかし、俺の努力は無に帰すことになった。
タクシーがついた場所は…無角家から300mほど離れた高級旅館。
俺はこれまでになく大きいため息を着くことになった。

「ありがとうございます助かりましたー」
「だったらわすれるな…」

俺が荷物を届けるとこういう反応をされた。
淡白だな。
無角家に着くと大広間に通された。
掃除が行き届いた木の廊下。

そこの一番奥にある部屋の扉をあけ、開口一番にこういった。

「来たぞ、父さん」
「…そうか。内容は三多から聞いておるな。」
「ああ、俺が封印するよ。
羅刹天をよ。」

俺達無角家の中でも、四番目は嫌われてる。
今季の四番目は俺だ。
月四…俺はそんな名前だったんだが、月夜に変わったんだ。
四番目はある使命を抱えている。
それが、『本家に封印されている羅刹天の使役』だ。
これに成功したものはいない。
俺以外は…
俺の場合二歳でこれに挑戦し
50分の1を使役した。
だが…それゆえに狙われた。
外の世界の俺が死んだことで力は羅刹天に戻り、最近になって神力が増大して来たという。
それの完全に封印する。
これが俺に課せられた枷。
決して断ち切れない枷と鎖だ。
俺はそれを断ち切るためにここにいる。

「さぁあいつのところにつれて行け」

そのころ無角家封印蔵…

暗い部屋の中何かが動く音がした。
その姿は月夜の姿で髪は深紅
黒い身体。
そいつは片目をあけ、こうつぶやいた。

『ほぅ…帰ってきたか…
儂を封印するつもりかのぉ…
まぁ、別に抵抗する気もないが、問題点と言ったら儂を封印できるかじゃのぉ…
儂は気まぐれじゃからのぉ。
お前が器に足らなかった場合…

儂はお前を殺すぞ?

ツキヨよ…』



どうもunworldです。
今回はどうだったでしょうか。
羅刹天封印を任された月夜君。
四番目の秘密が明かされ原作の方が出てきました。
東風谷早苗は月夜君の妹、七花さんの同級生という設定です。
好意は抱いており、なにかというわけではないのですが早苗さんのフラグ建設はいつかやります。
(じゃあいつやるのか?今でしょ!)
(だまらっしゃい!)
というわけで次のお話
『羅刹天とツキヨ』
でお会いしましょう。
ではではー!

-3-
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