小説『東方羅刹記』
作者:unworld()

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第六話 『酒は飲んでも飲まれるのはまずい』


ピピピとアラームが鳴り俺は起床する。
目を開けると別荘の天井が見える。
…ああ、そういえば家に帰ったんだっけ…
寝起きで朦朧とする意識の中、そんなことを考える。
昨日、兄さん達と別れたあと家に帰って…あれ?そう言えば兄さん達どうしたんだろ。
確か終電がなんとかって…
んにゃ?あんまし良く覚えてないな。

とにかく俺はベッドから出る。
その場で伸びをし、着替える。
外を確認すると落ち葉がすごかった…

「こりゃあ掃除だな…」

ひさしくこの家にも帰ってなかったせいでいろいろ散らかってるし、とりあえず掃除をしよう。
そう思った。

しかし…俺のお腹がグーとなりまだ、朝食さえも食べてないことに気づいた。

「とりあえずメシ作るか…ふぁ…」

俺は一つあくびし、顔などを洗いに洗面所へと向かう。
階段を降りてみると、やはり早朝だからだろうか…部屋は薄暗い。
まぁ、どうせ、誰もいないんだけどさ。

俺はいつからそんな寂しがり屋になったのかなぁ…
こんな広い家に、一人でいるというのはある意味いいんじゃないだろうか…
しかし、住んでみるといやに寂しい。
手に当たっている水も心なしかいつもより冷たく感じる。

俺は自分の心境に苦笑しつつ、眠気覚ましに顔に水をかけ、メシを作ろうと黒の腰巻エプロンをつけて、キッチンへ向かう。

さて…メニューは何にしようか?
俺はそう考え冷蔵庫を確認する。
ふむ、あまりいいものが入っていないな。
まぁ、いいか。どーせ、一人だ。

俺はご飯を炊き、卵を落とした鳥玉味噌汁とサラダを作りそれを食べようとしたところ…

誰かの電話がなっていた。
あれ?俺こんな着信音だったけ?
女子ぽい着信音だ。
俺は自分の携帯をこんな可愛い着信音にした覚えはない。
俺は不思議に思い、階段を上がる。
すると、その音は奥の客間からなっているではないか。
俺は客間のドアを開けようとノブを回そうとした瞬間先に客間からドアが開け放たれ、そこにいたのは…

金髪の美しい女性だった。

「えっ?」

しかも、裸だ。
一糸纏わぬ姿で俺の目の前には金髪の美しい女性がいる。
そして、俺はその女性を知っていた。
だって忘れるはずもない。だって昨日あったばかりだ。
俺もそこまで健忘症はひどくない。

「め、メリーさん?」
「えっ?」

メリーさんはドアを片手で開けた状態もう一つの手には携帯が握られていた。
さっきの着信音はメリーさんの携帯だったのかと考え、そしてやめた。
メリーさんの顔がみるみるうちに赤くなり今にも顔から湯気が吹きでないか心配になるくらいだ。

「な、な、なんなんで…つつかきよ
くく、くんが」
「め、メリーさんこそ…なぜ俺の家に…」

メリーさんはもうそれはそれは焦ったようで、月夜と言えていない。
そして、なぜか、メリーさんの奥には蓮子さんの姿も確認できる。ちなみにメリーさんと同じく固まっている。

…これは、なんとかすれば打開できるはず!
こういう障害を乗り越えやがれ俺!

まぁ、そんな邪な願いは聞き入れられるはずはなく。時間だけが過ぎて行く。
そして、ついに蓮子さんが動いたのだがそのスピードは半端なものではなく。
凄まじい威力の平手打ちを俺の頬に食らわせ

「それより前に…出てけーーーー!!!!」

と涙目で叫ばれドアを閉められた。

まぁ、当然ですよね。ホントすいません。

俺は心の中でそう謝った。

そして、俺は心を入れ替えた。

「兄さん…どこじゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」

大切な兄をボコるという残忍な心に。

俺は兄さんを発見すると問答無用でぶん殴った。

「おぐっ!!!な、なんだ…ひっ!」
「に〜〜〜い〜〜〜さ〜〜〜ん〜?」
「ま、待て、話せばわかる。
とりあえず、剣をしまえ。な?」
「聞こえねぇなぁ…
兄さん?言いたいことはわかってるよなぁ…」

兄さんは首が取れるかと思うくらい首を縦にふる。
俺はさらに、言葉を続けた。

「なぜ?俺の家にィ?メリーさん達がいるのかなァ?説明よろしく。
ごまかさずに言えよ?
じゃねぇと…ヤるぞ?」
「むっ…俺の弟は口が悪いな。
まぁ、あれだ。
転居先が決まるまでここにいさせて?」
「…はぁ?一回死んで来いよ。
てか、俺がころしてあげましょうか?
お兄様ァ?」
「まぁ…まて…これには水たまりくらい深い訳がある。」
「…死にてェようだなァ?ア?」

ずいぶん浅い理由だが、多分、とういか実際深い理由があるのだろう。
転居先ということは家を追い出されたゆーことですね。
でも、なぜ家を追い出されたんだろうか…

まぁ、なにかしら理由があるのだろう。
聞くのは無粋というものだ。

「ふう…まぁ、いいや。また後で聞かせてもらうけど、今はメシにしよう。
兄さん、メリーさんと蓮子さんのことよろしく」
「…お、おお」

何をビビっているのだろうか。

別にもう怒ってないし…
さて、どうしたもんか…

俺はリビングに戻り、料理を盛り付ける。
すこし多めに作っておいてよかった…
そう安堵し、ため息をつく。
俺がガラスの机に皿を乗っけているとメリーさん達が着替えてやってきた。

「おはようございます」
「う、うんおはよう」

ご飯の準備ができると皆自然に座る。
俺たちは手を合わせ、

「「「「いただきます」」」」」

ご飯を食べていった。
結構質素なご飯がいように美味しく感じる。
なぜだろうか…皆が自然に笑ってご飯を食べている。

「あ、おい、こら!蓮子!勝手に人のオカズ取るな!」
「すぐに食べないサンタ君が悪い」
「俺のせいなの!?どう思うよメリー?!」
「んー…すぐに食べないサンタ君が悪い」
「おい!メリーまでもが…なぁ、月夜?俺に味方してくれるよな?」
「兄さん?」
「はい、マジもうすんません!」

俺はちょっと調子こいた兄さんににこやかに笑いかけた。
後ろからは黒いオーラ出して。
まぁ、自覚はあった。
後悔は…するわけない!

そんな訳で、いつもの俺にはなかった賑わいが食卓を彩る。
俺はこの時、自覚した。

ああ、この人達といると本当に楽しい。
ああ、この人達がいれば俺は…

『笑っていられる』

そう思った。

ご飯を食べ終わり、食器を片付け俺は席についた。

「ん…みなさん俺の言いたいことはわかるよね?
なんで、ここにいるんですか?」
「おい、月夜、それは俺がもう言ったろう。」
「うん、それは知ってる。
だけど、俺が聞きたいのはそこじゃあない。
誰のかって聞いてるんだ。」
「…それはっ!」
「私のよ。」

兄さんが話を始めようとした時メリーさんの手が上がった。
その手は微細に震えている。

「ふむ、どうしてですか?」
「…大家さんと喧嘩しちゃって…」
「そうですか…っと、では、僕から言うことがあります。」
「ここに、なら、迷惑かけない!
だからせめて蓮子とサンタ君だけでもっ!」
「無理ですね」
「なんでっ!」
「僕は…メリーさんもいないと二人を引き取る気にはなれません。」
「えっ?」

そんな意外な答えだっただろうか…
別に俺はもともと三人を引き取る予定だった。
ただ、俺はこの真相を聞きたかっただけなのだから、勘違いされても困る。

「メリーさん…貴女は間違っている。
困っていたらお互い様でしょう。
それに僕は、貴女を路頭に迷わす気は毛頭ありません。
そんなことをしたら俺は人間では無くなってしまいます。
それにやっぱり…この広い家に一人というのはやはり寂しいですから。

これからよろしくお願いします。」
「っ!…うん!よろしくね!!」
「「やったぁぁぁぁ!!!!」」

兄さん達が飛び上がって喜んでいる。
俺は腰に手をあて苦笑を浮かべる。

俺はこんなものを望んでいたんだな。
メリーさんにえらそーなことをべらべら言っといてそれはねぇよな。
メリーさんは間違ってねぇ。
間違っているのは

この俺だ。

俺はそんなことを心の中でつぶやきつつこういう。

「いろいろ決めることがありますから…とりあえずしゅーごうですよ。」
「「うん!」」「おう!」

また、俺の家が騒がしくなっちゃうな。
俺は苦笑を浮かべたのに、心はとてもとても清々しかった。


…………



どうもunworldですっ!!!
今回はできるだけ日常系をいれてみました。

まだまだゆっくりして行きますがよろしくお願いします!!

月夜「よろしく頼むぜ?」
作者「ではではー」
月夜「帰るなや!」

あ、そうだ。
最近は花粉と黄砂とPM2.5がありますのでマスクなどを持っていた方が役に経ちますよ!
お体に気をつけ…ぶえっくしょん!!

あ、すいません。

ではでは次のお話で会いましょう!




(………ティッシュティッシュ……)

-7-
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