小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第10話 1 or 0】






(SIDE ユサ)

「やっときたよい。じゃあ、始めるぞい。」

「ああ、待たせたな。お前ならやれる。頑張れよユサ。」

「ああ。」

身体の調子は良い。
集中力も高まっている。
最高のコンディションだ。やべえ、負ける気がしねえよ!
早く、やりてぇ……まだか…まだか、まだか……


「じゃ、いくぞ」

―パンッ―

マサヤが銃を上空に向け撃つ。


発砲音と共に飛び出す。
低く潜り込むようにマルコの胸元に飛び込み、そのまま鳩尾目掛け掌底。
だが、これはマルコの左腕によって弾かれる。
気にせず、追撃しようとするが左からの蹴りが来るのでそれを屈んで躱…

「甘いよい!」

「グッ……」

横薙ぎだった蹴りの軌道が縦に変わる。
かろうじて腕で受けるがかなり重い蹴りだった…腕が痺れる……憧れ……ないぞ?
距離をとって相手を見る、マルコの足は無茶な威力の蹴りを強引に軌道を変えたため少し変な方向に向いている。これは…チャンス!
ユサはもう一度マルコの元に飛び込み、右手でフェイントをかけ左の蹴りを顔面に向けて打ち込む……

「だから、甘いって言ってるよい!」

軸足として機能しないと思っていたマルコの右足が炎を纏い一瞬にして元に戻る。
そして、その足が地面を踏ん張り軸足として左の蹴りを打ち込む。

「ヤバッ……」

百錬自得の極みで気を左足に集中させる。

―ドンッ―

「ッ……」

ユサは衝撃で吹っ飛ぶが無理に勢いは殺さずそのまま転がりながら距離をとる。
マルコの方は余裕なのか追撃はせずこちらを向いたままだ。
左足は曲がっていたが瞬時に先程と同じように復元する。
こちらはそれほどひどくないが激しい痛みが足を襲う…

……ちきしょう。油断してた…
不死身の能力も殺し合いではなく試合であれば、その特性を失い、
ただの肉弾戦になると思っていた…
別に格闘能力を過小評価していたわけではない。
白ひげの隊長なのだから能力なしの状態でも十分強いとは思っていたのだが…

「すげえ…気迫。」

撃つ攻撃全てが全力の一撃…壊れても瞬時に戻りまた全力の一撃を打ち込んでくる……
マサヤのような武を極めた戦い方とは違う…
破壊力を第一に考えた諸刃の攻撃……不死身の体のマルコだからこそできる戦略である。

「おまえさん、そんな抑えた攻撃で俺を倒せると思ってるのかい?」

「…ッ!………。」

「さっきの覇気の乗った攻撃はなかなかだったよい。だが、見た限り、あれを何度も打てるわけではないんだよい。」

そう…マサヤと違い、最近になってやっと無我の境地へたどり着いたユサでは無我の体力消費によって長い間、覇気(のようなもの)が使えないのだ。
だから、軽い攻撃で怯ませ、その隙に百錬自得の極みによる一撃を打ち込んで終わらそうと思っていたのだが……

「しゃあねえか…あれやるぞ……」

「ん?」

当たれば俺の勝ち、外れれば負けか……おもしれえ!!
ユサは才気煥発の極みを発動させ、いくつものマルコの顔面をぶっ叩くためのルートを作成させながら百錬自得の極みで両足に気を送り飛び出す、迎撃するマルコの蹴りを屈み避けるそれを追いかけるように軌道を変える蹴りを無我でコピーしたマサヤの化剄で受け流す。
そして、腕に気を移動させ、マサヤのコピーした寸剄をマルコの顔面を目掛け打ち込む……




(SIDE マルコ)

「あたれ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

「…ッ」

正面から来るユサの寸剄を両手に覇気を込め防御する。
相手は最後の力を振りしぼり向かってきている、
それは少年からあふれる決死の覚悟から強く感じられる。
これさえ…耐えれば俺の勝ちだ。
こちらは両手、向こうは片手…マサヤならともかくこの少年の力であれば防げる!

「これで、俺のか……な!?……ぐハッ…」

突然、放たれた横からの顔面の衝撃に耐えきれず吹っ飛ぶ。
何が起こったかわからない…
立ち上がり、衝撃のした方向を見るとそこには寸剄の型をしたまま気絶したユサの姿があった。

「は……ははは…、負けたよい。まったくおもしろい少年達だよい。」

試合には負けてしまったが…楽しかった、そして嬉しかった。
20年、いや…10年後の海は面白いことになりそうだと……
そんな確信を持ちながらマルコは笑っていた。






(SIDE ユサ)

「え…?俺、勝ったの?」

途中で気を失ってしまい、起きた瞬間には……ああ、駄目だったと思ったけど、
凄いニコニコしたマサ兄に、良くやった!『弟』よ。と言われて自分が勝ったということを知った。

あの時、正面からの寸剄を受けられると思った瞬間にポジポジの実の能力を発動して一瞬前の自分が他に才気煥発の極みでシュミュレートしていた動きで『マルコの顔面に寸剄を当てられそうな自分を連れてきて』今の瞬間の自分と交換、そして寸剄を叩きこんだというわけだ。

ポジポジの実:超人系 可能性の能力。
可能性を操る能力なんだが今回、マサヤに教わったのはその応用で世界はなんらかの選択した瞬間に分かれ並行世界が生まれる。
(たとえば、T字路で右に行った自分の世界と左に行った自分の世界。
こういったものが行動をするたびにいくつも出来ているらしいんだけど。)
その中で自分が攻撃を当てられる可能性を持つ自分を才気煥発の極みで高速選択しながら交換と行動を繰り返して行ったわけだ。
攻撃を当てられる可能性が0でなければ何度もシュミュレート、行動、交換、繰返しを行いながら当てられる可能性を1%を2%に…と増やしていく技である。

名付けて『0 or 1(ユニオン)』らしい。

防御にも使えるらしく絶対に当たる攻撃でなければ避けられるらしいが正直、
かなり疲れるからあんまり使いたくない……
けどマサ兄もすげえこと考え付くなあ……
てか、初めて『弟』って呼んでもらえたなぁ……

……そういや、俺とアレグレットどっちが兄(姉)なんだろう……?



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