小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第12話 チートvsチート】





「ん〜…暇。」

シャッキー\'S ぼったくりBARのカウンター席でぐったりとしているマサヤ。
シャッキーはそれを見て、

「暇ってあんた…情報ないわよ。というかあんたとあんたの弟が狩りまくってるから最近はここら辺に海賊が近づかなくなってるし……馬鹿以外」

「まったく…、悪を貫くんなら俺たちぐらい恐れんなよなあ……」

「まぁ、『金狼』のマサヤと『五色』のユサが相手なんだから仕方ないわよ。白ひげが直に勧誘してそれを断った奴らだしね……」

白ひげに呼ばれて半年が経った。
誰が言ったのか俺達が白ひげに呼ばれてモビーディック号へ行ったことが広まっていた。
まあ、んなことはどうでもいいんだけど……

「アレグレット…よく働くなあ…ここを乗っ取って酒場のマスターにでもなるつもりか?」

「ううん。マサ兄ぃ達の役に立ちたいから私、頑張るの。」

とても素直でいい子なアレグレットを見てなんか生まれてきてごめんなさい…なんて思ってしまう俺がいる……

「まあ、十分役に立ってるし感謝してるけどアレグレットがしたいことってないのか?今まで、お願いしてきたのも買い物とか特訓、海賊狩りに連れていくことだけだったよな」

下二つはありえねえよな、なんか俺が連れまわしてるみたいな感じに思われるしな…
つか、海賊狩りに連れて行った時のアレグレット……怖かった………
能力の制御が可能になってからもアレグレットの希望で定期的に特訓をしていた。
武器を用いた戦闘方法や徒手空拳での戦い方等いろいろと……まあ、俺やユサみたいなキワモノ?的な戦い方ではないので安心してくれ。…ん?誰に言ってんだ?俺……

「うん。私、決めたの。私大きくなったら海軍になるの。」

「「えええええ!」」

思いもかけない言葉に俺とシャッキーが驚く。
いや、まあ、普通に育ってくれればよかったのに…なんでこんなにたくましく育ったんだ……?
てか、海軍かよ。ガープさんに話を付けて入れてもらえば出世しやすいのか?
いや、ここは危険がないように支局の方に……
なんて考えているマサヤはやはりシスコンなのだろう……

「それでね。私、悪い海賊をやっつけるの!」

「そ、そう。がんばってね。俺、ちょっと買い物行ってくるわぁ…」

そういって俺はシャッキー\'S ぼったくりBARを出て商店街へ向かう。
アレグレットが海軍に行くんなら何かプレゼントでもあげないとな……と思い探しに行くことにしたのだ。





とりあえず、ネックレスを買うことにした。
アレグレットの目の色と同じエメラルドのネックレス。
一応、ユサも欲しいと言われた時のためにあいつにはプリズムを買っといた。





『いらっしゃいませ。』

で、せっかく近くに来たのでショップにも寄ってみる。

「あれ?なんか売り物増えました?てか、何?この宝の地図みたいなのは?」

『それは裏ボス出現のための地図になります。それを購入することにより裏ボスのフラグが立ちます。』

「ふ〜ん。なんか面白そうだな…値段で難易度が変わってるんだろうし……今回は一番下の奴でもやってみるかな……」





ということで裏ボスの地図を買いショップの外に出たのだがショップの外に出ると地図は消えてしまった……
とりあえず、シャッキー\'S ぼったくりBARに戻りこれで数日後にはフラグが起きるだろと思ってたら…すぐに客の間で最近、現われた謎の戦艦についての情報が飛び交ってきた……早えぇよ…

聞いてみたところ数日前に海からでかい球体の物体が浮かんできてそれが時間とともに花のような形で開いて中から海賊船がでてきたとのこと。
で、その海賊船が近くにある島に漂着し興味本位でその島に行った人達が帰ってこない……という話だった。
少将率いる海軍もその島へ調査に行ったらしいのだが帰ってきていないらしい。

「シャッキー、俺、ちょっと出かけてくるねー。」

「いってら〜」

まあ、こんな感じでいいだろ。気軽に行こうぜと思っていたのだが……




「うわっ、何だここ……」

島に着いた瞬間に感じた嫌な空気…
少し、進むとあちこちに血の跡、匂い、死体等が転がっていた。
無人島って感じの島だし…多分、身に来た奴らだろうな。
自業自得だな…と思いながらもさらに進むと…

「うわあああ、来るなあ!」
「逃げろお!」

何やら争っているような人の声が聞こえてくる。
気配を消し覗き込んでみると一人の少女が海兵たちと闘っていた……
ぇ…まじ?裏ボスってあの子?年齢は俺と同じくらい…で、ここが一番重要なんだが…黒光りする手錠を嵌めたまま海兵と闘い、というか蹴散らしてる……いや、喰い散らかしてる?
拘束された手を気にせず、凄いスピードで海兵に近寄り蹴り、手錠をはめられている両手で殴り、歯をむき出し首を食いちぎろうとする……
すげえ……すげえよ!あれ!
興奮しながらその殺戮ショーに見入るマサヤ、しかしそのショーもすぐに終わってしまった……海兵は一人残らず殺されてしまったのだ……

「おい、そこにもいるんだろ?でてきな〜。私が優しく殺してやるからよ!カハハハ」

「あ〜、ばれてたわけね。」

やれやれといった感じで立ち上がり身を現す。

「なんだ、ガキじゃね〜か。つまんねーな。」

「いや、あんたもガキだろ?」

いきなり姿を見ると落胆されたのでムカっときて反論してみる。

「私はいいんだよ!強いからな!!強さこそ全て!ストロング・ザ・ワールドってな、アッハハッハハ!」

「いや、わけわかんねえから……」

まあ、とりあえず突っ込んどくがこういうやつも俺は嫌いではないむしろ好きだ、大好きだ!!抑えとかないと俺も同じテンションになりそうだから突っ込み役になってるわけなんだが…もうそろそろ限界……

「じゃあ、早速でも、弱い物いじめ始めようか…ねえ!!!」

と言ってこちらに突っ込んでくる、百錬自得の極みで足に気を集中させそれを避けて予め探しておいたある物を手に取る。

そして、『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』を発動。
                ・・・・・・・
止まった時間の中で少女に近付き、手錠の鍵を外す。
そして頭を掴み地面にたたきつけ『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』を解除。

「ぶはッ…!」

さらに頭を踏みつける。

「いやあ、ごめんね。弱い物いじめしちゃってさあ〜、こういう時ってなんて言えばいいんだろうね?ああ……そうだ『あははははっ! 強くてごめんね〜!!』だな」

といいながら足を擦り付ける。少女は驚異的な背筋の力を利用して身体を逸らせ頭から足をどけさせ跳びあがる。

「ああ?なかなかやるじゃん!てか女の頭踏みつけるなんてお前Sなのか?可哀想だと思わねえのか?つか責任取れ、お嫁にしやがれカハハハハって…あれ?」

地面に顔面を叩きつけられ、さらに踏みつけられたのに上機嫌な少女。
しかし自由になった手を見て、次の瞬間、表情が変わる。

「……あれ?なんでだよ?つまんねーから手錠掛けたっていうのに…なんで外れてんだよ!」

「ああ、わりぃ。それ、俺が外した。」

「ふざけんなコノヤロー。あれねえと相手すぐ死ぬからつまんねーンだよ!なにしやがんだ!その手錠返せバカヤロー」

「いや……な。俺、両手ふさいで戦ったことねえからさ…お前にあわしてやると完璧不利なんだわ。だからさ、お前のその手錠外した方が楽だろ?両手の使えねー相手に両手使って勝っても嬉しくとも何ともねーしさ、っつーわけでよ。さっさと本気出せよこのチート野郎!!!」

「カハハハハハ!コイツ馬鹿だ。本物の馬鹿だ!スゲー、スゲー楽しいよ。だからさ……」

ハイテンションから一気にトーンが落ち込み急に真面目な声になり、

「期待はずれなんてことになったら許さねえぞ」

先程と同じように突っ込んでいく少女、それを見ながら俺は

「あ、ちょっと待った。」

当然、少女は止まることなく俺を殴りつける。
気を集め防御力を強化したが痛い…それとともに何かが身体の中から消える感覚があった。

「カハハハ、何だ?勝負中だぞ?」

殴った後で言ってくる少女。
どっちもおかしいんだろうから気にしない。

「あんた、名前なんていうんだ?」

「まず、人の名前聞くときはなんとか〜って言われたことね〜か?おにいさん?私の名前はナゴミだ。」

「うわ〜……ホントかウソかわかんねーけど絶対、名前負けしてるわコイツ。可笑しいだろ。誰がこんな奴に和むんだよ。」

「おいおいおい、人に名前聞いててそれはねえんじゃねえか?」

「ああ、ごめん。心の声が勝手に出てきたんだ。わざとだから許せ。てか、俺の名前はカミクラ……っておい」

自己紹介している間に石を投げつけられる。
かろうじて避けるが目の前にはナゴミがもう肉薄しており、俺に一撃を入れようとしていた…

「ヤバッ……」

何か、この攻撃は受けてはいけない気がして『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』を発動させ、ナゴミに蹴りを入れ距離を取り『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』を解除。

ナゴミはすぐ立ち上がり

「すげえな。お前、何やったんだ?次あれ当たったら死んでたぞ?カハハハハ」

なんかムカつくから『重圧掌 吹』を撃ちだそうとしたのだが……出ない……重力操作の能力が使えなくなってる……もしかして……

「ちょいさ、聞きたいんだが……お前、最初の一撃で俺の能力消した?」

「ああ、消したよ。デスデスの実の能力でさ。俺の攻撃に当たった物は何だろうが必ず終わる。つまり…死DEATHってな。あははははははは。まあ、さっきのやつらで試してみたんだが普通の攻撃でも死んでしまうからなあ…効果あるのかないのかわからなかったんだよな〜。だから、お礼にまた、名前聞いてやるよ。さっさと言いな。」

「わかった。その鳥頭に良く刻みつけとけ。俺の名前はカミクラ……」

―ドンッ―

才気煥発の極みで予め予測していたナゴミの攻撃を避け胸に寸剄を打ち込む…もちろん百錬自得の極みを掛けて。

体重の軽いナゴミは吹っ飛ばされるがさらにそれを追い蹴りを打ち込む。
さっきと同じように倒れたナゴミの頭を踏み

「マサヤだ。よく覚えとけってもう死んだか?もしも〜し、生きてますか〜?」

「…っるせえ!」

また、同じように飛び跳ね起きるナゴミ。顔に着いた泥を払い、

「てめえ、何度も人の頭踏むのが好きなのか?このS野郎!つか、あれ死んでたぞ私、死で死を殺さなきゃ絶対死んでたわぁ。ああ、もう怒った。あれだ!お前、これ負けた奴土下座だ。で、勝った奴の言うこと聞く!これで決定だ!」

「いや、ちょい待て。この勝負絶対どっちか死ぬだろ。まあ、いいけどさ。お前、もうちょっと本気出せよ。俺も出すからさ。」

と言って天衣無縫の極みを発動。身体が金色の光に包まれる。
死で死を殺す――か…すげえ……チートだよなあ。
これやっぱ、海楼石付けたまま戦うのが普通なんだろうな……

と思いながらもナゴミに突っ込み剣撃を繰り出す。

「おせえよ。お兄さん。」

しかし、ナゴミの姿は消え次の瞬間には背中に衝撃が……

「……ぐッ」

「本気になったら、こんなに性能違うんだね〜。いや、びっくりだよ。もう少しできると思ってたんだけどなあ〜」

脳と身体を加速させ振り向きつつ相手に蹴りを打ち込む。
蹴りはナゴミの頭に当たり彼女の体を地面に打ち付ける。
倒れたナゴミの頭にさらに寸剄を打ち込む、打ち込む、打ち込む。

さっと離れ、レンと俺は回復薬を取り出し飲み込む。
チート相手にチートがどうとか言ってる場合じゃない。
死の一撃が打ち込まれた時に死を遅らせ死を免れるというチート技を使ってみたのだが…基本性能が違いすぎる……このままじゃ、ジリ貧だ。

「すげえじゃん。死の一撃を喰らっても死なないとか……マサヤもチート野郎だったってことだよねぇ。これは凄い楽しめそうだぜ!カハハハ、いつまでも殺しあおうや!!」

でも、やるしかねえよな……


1日目、相手負傷なし、こちらは30回死
2日目に右手を折り、こちらは21回死
3日目に左足を折り、こちらは12回死
4日目に左手を折り、こちらは7回死



そして、5日目―右足を折り、こちらは1回死

「もう駄目。私、動けねーよ。お前の勝ちだ。マサヤ。ほら、なんでも言うこと聞くって言っただろ?世紀末的な発言でもいやらしいサービスでも何でも聞いてやるから言ってみな、カハハハハ」

「馬鹿野郎。んなことは7年後くらいにパーフェクトボディになってから言えよ……んなことより……さ。」

「ん……?」

「帰るぞ。お前、危険だから俺の家に泊めてやる」

コイツ、ここに放置しても1カ月くらいしたら回復しそうで怖いし野放しにはしたくない。ゲームバランス崩れすぎるしな…

「ああ……なるほど。戦いで芽生えた愛ってやつ?いやぁ、照れるなぁ……」

「んなわけねーだろ?頭打ったのかお前?」

寸剄打ち過ぎたか…ごめんよ…とわざとらしく謝る。

「あ?別にいいよ。楽しかったし……お前も楽しかったろ?」

「ああ……それは確かにな。」

最初は全然ついていけなかった攻撃も段々とレンの能力なしでもついていけるようになり自分が急速に強くなる感覚は非常に楽しかったし、それをぶつけられる相手がいるのも楽しかった。

「なあ、もう一回俺、殴ってくれね?」

「は?お前Sかと思ってたのにMなのか?つか途中でMになったのか?」

「いやいや、確か、お前に殺されたのが71回だったから1つ死が残ってんだよ。それを死で相殺してほしいな…てか、しろ。」

「ああ、だから…お前、妙に積極的だった時と慎重だった時があったんだな……まあ、いいよ。私、動けないからこっちに来な。」

言われた通りに近付く、もっと近こう寄れとかお前何様だよって言おうとした時…
いつの間にかナゴミが折れた手で俺の頭を固定して、顔を近づけ…

「ん…!んん……む……ッ!?ちゅ……んん!?ぷはぁぁ、……ぜえぜえ…」

「秘儀…デスキッス!!」

いきなり、舌を口内に入れられ蹂躙され侵略されつくした……
涎だらけになった顔を服で拭きながらも身体の中にあった死の感覚が消えていることを感じた。

「てめえ、いい加減にしやがれ!なにしやがんだ!ほんとに死ぬとこだったじゃねえか。」

俺は減った体力と傷を治すため回復薬を口に含む。
ナゴミもぼろぼろだが俺の方も左肩は外れ右足は折れ…その他の部分も結構酷い怪我をしている。だから……

「いやあ、私みたいな可愛い子にキスされてマサヤもしあわ……ん!……ちゅ…ちゅ…ベロ……ッゴクン…。」

「仕返しだ……秘儀……癒しのキス!」

やべえ…これ恥ずかしい……
ナゴミに回復薬を口移しで流し込む…なんか逆に舌を絡まされたりした気がするけど気にしない……ナゴミはナゴミで自分の怪我が少し治っていることに驚いているようだった。なんか驚いた顔が新鮮で面白い……ってあれ?俺の中にまた死の感覚が……?レンが気づいて遅めてくれてたみたいだけど……

「……おい。ナゴミ、てめえなんで死植え付けてるんだよ!ふざけんなこの野郎!」

「あはは、ごめん。怪我で調節が効かなくてさぁ…」

いや、こいつ絶対嘘だ。ありえねー。
…人が怪我直してやったっていうのに代わりに死を送り込みやがった……

「私の怪我もまだ治ってないしさ…マサヤも死が残ってる……ちょうど…いいじゃん?」

「く……はは………はははは。お前ってやっぱ、おかしいわ。やべえ、面白い。いつかぜって〜、お前を更生してやるからな、覚えてろよ!」

「私を更生?カハハ、調教の間違いじゃないのか?まあ、いっか。楽しけりゃ…ハハハ」

「ハハハハハ」

「「あははははははははあは!」」




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