小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第13話 乙女の旅立ち 前篇】





―なごみとの戦いから2年が経った―

「おっし、今日も俺の勝ち〜。」

床に転がったままガッツポーズをする。
この一年間で158戦57勝73敗28引き分け……これが俺とナゴミの戦績だった。
とりあえず、訓練なんでお互い、能力を使わない状態での戦いだ。
ま、どっちの能力もチートだし、お互いに効かないので能力を用いても用いなくてもそんなに関係ないんだがな……

「まだ、私の方が勝ち越してるだろ?明日は私が勝って泣かしてやるから覚悟しとけよ。ってほら、タオル。」

「おお、サンキュー…ってこれ…濡れてね?ん……つか、これ、お前の服じゃねーか!」

投げられたタオルが濡れていることに気づき見てみるとそれは汗を吸ったナゴミの服だった……思わず、投げ返す。
投げ返す際に白い肌が見えた気がしたが気にしないというか……

「何、脱いでんだよ。気持ち悪いんならさっさと風呂場行って脱げや。この露出狂!」

「お〜お〜、照れとる照れとる。うい奴じゃのぉ〜。じゃ、私、シャワー浴びてくるから覗くなよ?」

能力者は水が溜まっている場所では力が抜け能力が使えなくなるので風呂も入れなくなるので……っていうのは常識化か?
…まあ、なんでこんな話をしたのかっていうと俺、風呂入れるようになったんだ〜っていう自慢がしたかっただけです。
……ごめんなさい。
というかナゴミに能力を殺されてから海も泳げるようになったし、ほんとに悪魔の実を食べてない状態になってしまった。カナズチだけ残ったらどうしようとか思ってたけど……杞憂だったみたいだ……

「覗かねえよ。つか、お前この後どうする?どっか行くん?」

「つまんね〜な。『防げるもんなら、防いでみな!俺の神速の覗きを!!』とか言えよ。って、ああ、今日はもう疲れたから風呂入って飯食って寝るわ。まあ、用があったら起こしてくれ」

「誰だよ?その変態は!?つか…んなもんの為に鍛えてきたんじゃね〜よ、俺の能力は。で、まあ、わかった。今日はゆっくり永眠しといてくれ。飯は台所に作って置いとくから勝手に取って食え。あと、これ洗濯かごに入れといて」

「うい〜。」

服を脱ぎナゴミに投げつける。
ん?ちょ、おま……(ry だって?
いいんだよ。ここ、俺の家だし、問題なし!ってか濡れてて凄く気持ち悪いし……
それに、ナゴミだって気にしてないしさ。
ってことでいつもの日常が始まるわけなんだが…現在は午前6時……
早朝だな。この世界に来る前の俺にとっては……
最近では、早朝にお互いの訓練と称してのプチ死合いが始まりそれから汗を流して飯を食べてそれぞれの日常が始まるという習慣になっている。
まあ、ナゴミは相変わらず変な奴だが会ったばかりの頃の殺人狂的なノリはなりを潜め今では、ただの変態としてまともな生活を送っていた。

帰ってきて数ヶ月後ぐらいにあの時のことが気になって聞いてみたんだが……
気が付けば、海賊船に乗っていて漂着した島で生活していたら海賊たちが襲ってきて撃退しているうちに脳内に凄い殺人衝動というか声?が聞こえてくるようになり、自分も楽しかったからそれにしたがって殺して殺して殺して……と殺戮を繰り返していたらしい。
俺との戦いの間も聞こえていたけど途中で邪魔になりその衝動を殺したらしい……
で、お決まりのそれより前の記憶がない……だとのこと。

ってなわけで……
飯作るか……その後、風呂入って…洗濯して……掃除もしないとな……





……いろいろしてて気づけば昼になっていた。
一応、ナゴミの昼飯も作っておきリビングのテーブルの上に置いといた。
まあ…俺は主夫か!っという叫びを飲み込み、海を見渡す。
ここは港だ。今日はある人と約束というかこっちがお願いをしていたのだ。
ああ、青い綺麗な海だ。なんかすごい飛び込みたくなる。つーか、もう飛んでる!
俺はだれにも止められないぜ!

―バシャン―

海に浮かび空を眺める。
ああ、泳げるって素晴らしい。
ああ…レンは俺が脱いだ服の中にいるから心配しなくても大丈夫!
目を瞑り、両手を広げ……

「おい!なにしとるんじゃ?大丈夫か!」

といきなり掴まれ船の上に上げられる。
ちきしょ〜、誰だ!俺の幸せを邪魔しやがったのは!
と目を開けるとそこには待っていた人物であるガープが立っていた。

「よ!久しぶりおっちゃん!元気だったか?」

「おう、久しぶり!……じゃ!ないわ!何しとったんじゃ!泳げもしないくせに何で海になんかっ!死ぬ気か?」

「泳げるさ!俺に出来ないことは何もない!」

―バシャン―

そう言って海に跳び出す。突然の行動に呆気にとられガープも反応できなかった。
その顔を見ながら俺はプカプカと海に浮かびながら笑う。

…ああ、楽しいな。なんか裏ボス攻略ですげえ実手に入れたけど…使うのは当分後にしよ…そう思う程、マサヤは今の状態を気にいってた。




「あ〜、ごめんなさい。調子に乗りました。」

まあ、驚いてたガープに気を良くした俺はガープの乗ってきた小船の周りをぐるぐる泳いだりしていたんだがあまりにしつこかったのか気を取り直したガープに怒られてしまった。
まあ、そんな流れで泳げる理由…を説明した。
もちろん、レンの能力を使ったことやナゴミが生きていることは言わなかったし、ナゴミは殺したことにしといた。まあ、実際、何回か殺したし嘘は言ってない。
流石にガープもデスデスの実の能力に驚いていた…あんなチートだしな。ま、ガープにはなんでも殺せる能力としかいってないけどね。

「で、何の用じゃ?今日、儂を呼んだのはそのことを話すためじゃないじゃろ?」

……あ、いけね?本題、忘れてた。

「ちょっと、あんたに頼みたいことがある……っていうのはもう言ったな。まあ、その内容なんだが、俺の妹を海軍に入れてやってほしい。」




―4か月前―

「あんた、最近、海賊の情報くれ〜とか言わないけどどうしたの?なんかあった?」

ここはシャッキー\'S ぼったくりBAR。
いつも通り、訓練、料理、洗濯、掃除、料理を済ませここにきてのんびりとオレンジジュースで一服する。
それがいつも通りの俺の一日。たまに、アレグレットやユサの特訓や海賊狩りの手伝いをしてやるが最近は両方とも強くなったのであんまり、手伝うことも少なくなってきた。

「いや、まあ、最近はユサとアレグレットが頑張ってるからなあ。俺が仕事取っちゃ可哀想だろ?」

まあ、実際はそこらへんの雑魚と闘うよりも自分と同等……いや、ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ上のナゴミと闘う方が楽しいし強くなれるからなぁ…
最近は結構、勝てるようになったしなあ…
でも…やっぱ、最初らへんの連敗がきつかった…勝数が30以上離れてるからなあ……

「ほら!そんなにニヤニヤして。彼女でもできた?」

「んなわけねーだろ?何言ってんだか……」

「でも…さ、最近。風の噂で金色の髪をした男の子と黒い髪の女の子が一緒に歩いてるところを見たっていう情報がちらほらと……」

まあ、道案内してたとか言ってごまかせばいいけどめんどいから…

「多分、それ違う人だろ。金髪とかこの街にもちらほらいるしな。」

「でさ、私も気になってさ。その女の子に聞いてみたわけよ?『貴方、マサヤとどんな関係?』ってね。」

―ドサッ―

思わず、身体を崩してしまう。
どんな行動力だよ。このおばさん。
てか……なんか、すげえ、嫌な予感がする……
よし、帰ろう。

「あ、俺、これで帰るわぁ。じゃ、また明日〜……」

「マサヤ兄ぃ、まだ、帰っちゃ駄目。」

………接客から帰ってきていたアレグレットに止められる。
てか、凄い気迫……これが覇王色の覇気ってやつ?…違うよね?
つか、あいつなに言ったんだ?……ほんと嫌な予感しかしない……

「そしたらさ、『友達以上結婚以下の関係です。義母さん。』って言われちゃったのよね〜。」

あ〜……まあ、友達以上結婚以下だから友達でもいいんじゃね?てか腐れ縁的な感じだろ?またはライバル?つか、範囲広すぎだろ…もう、どっから突っ込めばいいのかわからないよ………そして、後ろからの殺気……ん!?殺気……気のせいだよな…うん。気のせい気のせい。

「いやあ、お母さんも嬉しいわ。息子にあんなに可愛い彼女ができて〜。」

「………。うん。それ違う。あいつのただの冗談。あんたは騙されてるんだ!」

「いや、いいわよ。騙されてても、なんか面白いことになりそうだし?」

と言って俺の後ろを見ているシャッキー。
その視線を追うと、後ろにゴゴゴゴゴ……とか擬音がつきそうな気配をまといアレグレットが立っていた。

「ど、どうしたんだ?アレグレット。仕事しないと。ほら、お客さん待ってるよ。」

「いいのよ。アレグレットちゃん。奥使っていいからゆっくり休みなさい。」

おい!ふざけんなこの野郎…!こんな時だけ働きやがって…と思いながら、逃げようと『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』を発動!……あれ?おーい。レンちゃん?

『おもしろそうだから、にげちゃだめ。まさや、ふぁいと』

今日、俺に味方はいなかった……

「はーい。ありがとうございます。マサヤ兄ぃ、いこ?」




で、まあ、2時間ぐらいその子ってかナゴミのことについて聞かれたので適当に海賊狩りをしているときに会って意気投合してまあ、ナゴミも路頭に迷ってたからしばらく家に泊めているってことにしておいた。まあ、関係については腐れ縁とちゃんと正直に言ってみたのだが……

「………。」

「………。」

「………。」

なに?この沈黙…?
な…なにか話題を……そうだ!

「そういえばさ、アレグレットって、海軍に入りたいんだよな?俺、知り合いがいるから、紹介しようか?」

「………」

「ガープ中将っていう人で結構、自由気ままな人だけどいい人だし、俺も昔、助けてもらったことあってさ、その人に頼めば、その人のもとで海兵とし……」

「いらない!」

「え?」

「マサヤ兄ぃは私がいなくなればいいの!?ナゴミさんがいるから私はいらないの?だから私をそのガープさんに預るの!?」

「え…いや、それは違……」

つか、住んでる家も違うし…色々とめちゃくちゃなんですけど…

「……でてけ!………マサヤ兄ぃなんて出てけー!!」

感情は合理性を凌駕するを実感した瞬間であった……




「何があったの?もしかして、襲った?」

ふざけたことを言ってくるシャッキー。それに結構、心が救われる。

「ああ、ちょっとな………」

先程の展開を説明する。
シャッキーはそれを聞きやれやれといったジェスチャーで、

「あんた、馬鹿ねぇ……。」

といい、さらに後は、私がなだめるからあんたはまた時間が経ったら来なさい。
と言ってくれた。……優しさが身にしみる………





「おかえり〜」

「ただいま。あなた。ご飯にする お風呂にする それとも私?」

「とりあえず……おまえ……話したいことある」

「きゃ、私?嬉しい。」

「ふざけんな!てめえのせいで大変なことになってんだからな。」

「きゃ!私のせいで大変なことに……わかりました。責任をとるわ……」

といいながら服に手を掛けている馬鹿に拳骨。
とりあえず、椅子に座るように促す。

「で、どうしたん?私のせいって何?女関係で修羅場とか?」

……うん。まあ、そうなのかな?う〜ん。よくわからん。

「えっとな。お前が………」

とりあえず、今日、シャッキー\'S ぼったくりBARで起こったことを話してみると……

「はぁ……この恋愛方向音痴」

「…さて、飯でも作るか……。」

ナゴミの言ってることをさらりと流し夕飯を作り始める。


少しすると夕飯が完成し、テーブルに並べ向かい合い食べ始める。

「でさ、お前はさ、アレグレットだっけ?そいつのことどう思ってんの?」

料理中は静かだったナゴミだがいきなり喋り始める。
普通、逆じゃね?

「ん?どうってただの妹だな。」

「恋愛感情とかは?」

「ないよ。」

「『シスコンのマサヤ』なのに?」

「うるせえよ。つかそれ知ってたんだな…」

俺のブロックワードをニヤニヤ笑いながら口にするナゴミ。
多分、もう、アレグレットを引き取った経緯とかも知ってんだろう…結構有名だしな。

「ああ、有名だしな。つかなんで、引き取ったん?どっかに預ければよかったじゃん?憐れみ?同情?」

「そんなんじゃねえよ。お前だって知ってるだろ?俺の性格。」

「ああ、凄い変態だしな。」

……お前に言われたくねえよ!

「でさ、本題なんだが…お前、私に恋愛感情あるか?」

「それ…本題じゃねえだろ!つか、ねえよ。まあ、性格と顔は好みだけどな。」

「あははは、だよな。なんか、ばっちり、噛み合うんだけど…なんつーんだろうな?親友?腐れ縁?みたいな。そんな感じだよな。私達って…友達以上結婚以下?」

「だから、ちげーよ……」

…ったく……なんか悩んでるのが馬鹿馬鹿しくなってくるな…とりあえず、寝るか……



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