小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第24話 鋸鮫退治】






「マサヤ、ほんとにもう、行っちまうのか…?」

「ああ、短い間だったが、楽しかったぜ。また、どこかで会おう。」

「おう!海賊王になって今度は俺から会いに行く……痛てぇ!」

「馬鹿もん!何が海賊王じゃあ!!お前は将来、最強の海兵になるんじゃ!!」

と孫に拳骨をするガープ。
シャンクスとの試合から1カ月、シャンクスはフーシャ村を出発した。
それから約半年、俺はルフィを鍛え、途中でガープも現れ3人で暮らしていた。
まぁ、ルフィがシャンクスに会って、海賊王になると言ったのを聞いて俺にまで八つ当たりしてきたがまあ…そんなの知ったことじゃないと言っておいた。
で、もう一人、孫がいるからそいつも鍛えてくれと言われたんだが断った。
ちょうどいいので、自分がロジャー海賊団の船員の息子でレイリーやシャンクスとも知り合いだということも伝えた。
それを聞いて、ガープは怒ることもなく、もう一人の孫がロジャーの息子であることを告げ、その孫―エースを守るためにも海軍に入れたいということを語ってくれた。

「マサヤ、お前さんには感謝しとる、短い間とはいえルフィを鍛えてくれて…そして、あの忠告も記憶の片隅に入れておくわい。」

あまりに真剣なガープを見てエースについて少しアドバイスをやったんだが…まぁ…どうなるんだろうね…

「おう。まぁ、また海であったら飯でも奢ってくれや。じゃ、行ってくる。」

―こうして、俺はドーン島 フーシャ村を出発した。
……あ、アレグレット達の様子聞くの忘れてた………ま、いっか……





それから約一年…



「すいません。オレンジジュースください。」

ここはみかんで有名なえひ……違った…コノミ諸島のココヤシ村。
柑橘系大好き人間の俺としては一度来てみたかった村の一つだった。
え?さっき、何を言おうとしたのかって…?まあ、日本人ならわかるだろ?

まあ、なんでこんなに時間が掛ったかといえば一度、シャボンディ諸島に戻ってショップで地図を買ってきたからなんだが…これ、GPSみたいな感じで現在地がわかって便利すぎる…ってかこれじゃあ、旅という感じがしないので目的の地がある時以外はこれは使わず、適当に行くことにした。
一応、記録指針(ログポース)も買っておいた。

で、シャッキーの所に寄ったらシャンクスがいて、ちょうどいいからってことで、ミホークを紹介してもらい。斬り合いという特訓を得て今に至るというわけだ。

「すいません。この辺に本屋ってありますか?」

「ああ、この店から3軒先の建物がそうだよ。」

とりあえず、行ってみるか…
なんか…「偉大なる航路」の海王類は身が締まって、鶏肉みたいな感じで調理してもおいしかったんだけどな…ここらへんのってなんか微妙なんだよな。
『かんたん!イーストブルーの海王類の調理法』とか売ってないかな……

「すいません。料理の本って何処ありますか?」

「ん?そこの棚にいくつかあるぞ。」

「ありがとうございます。」

さあ、海王類の調理法を……ん?
料理の本の棚のさらに奥で挙動不審な動きをしている少女がいる。
あれって……ナミだよな?
ずっと、見ていた本を手に取りそれを後ろ手に隠し……ってそれじゃ、バレバレだよ。

「それ、欲しいの?」

「……うん。」

「それ、俺、持ってるから。あげるよ…というかもらってくれね?」

航海術も身につけようとしていくつか本を買って勉強したんだが…適当に勘で航海する方が性に合ってるのであまり役には立っていない。
まあ、俺みたいな奴の物になるよりも未来の凄腕航海師のものになった方が本も幸せだろ…

「え!?いいの?ありがと、おじちゃん。」

最初、不審げに俺を見ていたナミだったが…本をあげると言ったとたんこの調子だ……
って、おじちゃん!?
俺…白蛇に頼んで20を過ぎたら、俺やハンコック、その他、ユサ、アレグレット、サヤネ達の歳の取り方をかなり遅くしてもらうようにしてるのに…オリンピック並の周期で……
なんか凄いショック……探している本もないしさ……
と、とぼとぼと店を出ていく俺をニコニコした顔のナミが付いてくる…
あっ、そうだった…本あげるんだった……
まあ、とりあえず、本は船の中にあるからそれを見てもらって好きなのを持っていってもらうか……

「おじちゃんはどこから来たの?」

船に向かう道の途中、暇だったのかナミが話しかけてくる。
っていうか……

「おじちゃんはやめなさい。お兄さんと言いなさい。じゃないと本あげないぞ?」

「うん。わかった。お兄さん。で、どこから来たの?」

「偉大なる航路(グランドライン)のシャボンディ諸島っていう所からだよ。ほら着いた、あの船の中の本棚にある本好きなの取っていけ。」

「うん。わかった!後で、お話聞かせてね。お兄さん。」

と船に上がり、船内に入っていく。
俺はそれを見て、

「誘拐なんかじゃないからさ、そんな目で見んなよ。」

と振り向く。
……?目の前にはなぜか風車……

「え?風車にストーキングされてたの?俺……」

「違う。下を見ろ。」

言われた通り、ちょっと視線を下に向けてみると髭面のオヤジがいた。
…たしかこの村の駐在のゲンゾウだったっけ?

「ああ、どうも、こんにちは。人でしたか……」

「ふざけた奴だ。ナミをどうするつもりだ?」

「ん…?どうもしないけど?」

「なら、なんでこんな所に連れてくるんだ」

「いや、あの子が万引きしようとしてて……」

と先程までの経緯を説明していると、

「お兄さ〜ん!これ、全部頂戴!!」

甲板の上に山のように積まれた航海術の本。
多分、あれ、俺の本棚に入ってるやつの全てだよな…。
まぁ、軽くなるから良いけど…。

「いいぞ!お前、それ一人じゃ運べないだろ。ここにいるおっさんに運んでもらえ。」

「あ、ゲンさんだー、見て!この本全部貰ったんだ!運ぶの手伝って!」

「だってさ、子供ってのは遠慮がないな。」

「まったくだ……とりあえず、疑ってすまんかった。後で、飯でもご馳走しよう。」

「ok。じゃあ、行こうか。」






「たっだいまー、ベルメールさん!」

元気よくドアを開けるナミ、本を両手にそれに続く俺達。

「あら、ナミ。おかえり。って後ろのは何?」

「あのね、お兄さんが本をたくさんくれたの!」

「お兄さん?」

といって俺の方を向く気配。まあ、服装でわかったんだろうな。
正直、顔は本で隠れてるから見えるはずないしな…

「とりあえず、ベルメール。これを中に入れさせてくれ。腕が疲れた。」

「ああ、すまんね。ほら入っておくれ。」

「お邪魔しま〜す。」

とナミの家に入り、適当なところに本を置く。

「ただいま、ノジコ」

「おかえり、ナミ」

ああ…そういや、義姉がいたんだよな……

「で?」

「ん?」

「これはどういうこと?」

と本と俺を交互に見て言ってくるベルメール。

「ああ、それはな………」







「ありがとー、お兄さん!またねー」

「えーっと、マサヤだったけ?ありがとう。今度、みかんあげるから、いつでもおいで。」

「おう、またな。」

と言って、別れる。

まぁ、あの後は、
俺が説明し、ゲンさんがナミを叱り、それをベルメールがかばい、ノジコがナミをからかう。まあ、そんな感じだった。
ここは船内、とりあえず、航海術の本が無くなったところに、先程、帰りに買った『イーストブルーの動物達』と『イーストブルーの家庭料理』という本を置くがかなり寂しい状態だ……

「よし、じゃあ!……寝るか…」

晩飯をゲンさんが奢ってくれるらしいから、それまで、寝るかな……






―ドンッ―

「ん……?」

何かが船に当たったような…衝撃が…
最初はあのゲンさんかと思ったんだがまだ、空も明るいしあれからさほど時間も経ってないだろ……

「なかなか硬いな。この船。」

「ん?」

甲板に出てみると海の中から声がする……

「おーい。誰かいるのか?」

「誰だ?お前!」

「いや、お前こそ誰だよ…てか何してんだよ。」

「俺は魚人海賊団・アーロン一味…」

「ああ、もういいや。死ねクズ。」

周りを見ると他にも魚人達が海の中から船を攻撃し、沈めていた。
面倒だから、ラジラジの実のブレスレットをつけ、海面より下の船着き場全体を範囲にマイクロ波を放射し、更にその強度を増加、範囲内を電子レンジ状態にする。
体内にある水分が急激に加熱・沸騰させられ、更に水蒸気が全身の皮膚を突き破って爆発し、破裂死という素敵な技―『電短帯監獄 (プラリアルプリズン)』


「「「あああああ!」」」

海に魚人達の悲鳴が響き渡る。
どうやら、成功したようだ、やったね。
……てことで、

「俺の船、壊そうとした、馬鹿を殺しに行くか……」






「や、やめろぉお!」

「あああ!」

魚人達が一人、また一人と肉爆弾になり、弾け飛ぶ。
呆然とする村人達、誰一人、俺に話しかけてこない。
ちょっと悲しいけど、これ楽なんだからいいじゃん……

「よし、ここら辺の魚人は全部やったかな……。」

とりあえず、ブレスレットを外す。
見渡してみるけど、アーロンや幹部連中はいない…
もう、ベルメールの家に行ったのか……

「あ、あんた、今日、ナミと一緒にいた奴だろ?」

「ああ、うん。そうだけど」

「ついさっき、魚人海賊団のアーロンがベルメールの所に行ったんだ。ナミやノジコもそれを追っていった……頼む!あいつらを助けてやってくれ!」

「………」

「俺からも頼む」「お願いします。」「お願い、あいつら倒して!」

「……了解。後で飯くれよ」

村のみんなに愛されてるんだな……
俺もなんか柄じゃねえけど人助け…やってみるかな……






(SIDE ベルメール)

「ベルメールを助けろ!!武器をとれ!戦闘だ!!」

やめてよ、皆、武器を持った所でこいつらに勝てるわけないじゃん。

「はーはー下等なサルどもが…適当に相手してやれ、殺すなよ」 「オウ」

「お前が最初の見せしめだ……!くだらねぇ、愛に死ね。」

くだらない……確かに他人から見ればそう思われるかもしれない…施設に預けた方がマシな生活をさせてあげられたかもしれない。
全ては私のわがまま、いや、自分勝手な偽善だったのかもしれない。

「ノジコ!!ナミ!!」

でも、それでも、3人で過ごしたこの日々は私にとっての宝物で……

「大好き」

さようなら…私の大好きな娘達……良い女になるのよ……

「しくしく、泣かせるねえ…涙がちょちょぎれそうだよ。」

「なんだ…?ガッ………」






(SIDE マサヤ)

とりあえず、かっこいい場面で出てみたんだが…さっきのセリフは失敗した……ちょちょぎれるっていつの表現だよ!感動の場面が台無しだよ!

「おい!てめぇ……なんだ?」

まあ、手加減して蹴り飛ばしたから起き上がってくるわなぁ…

「俺、お前、知ってるんじゃねえの?シャボンディ諸島付近では少しは知られてると思ってたんだが……」

「金色の髪…てめぇ……金狼のマサヤか……!」

……良かった…。知らねえとか言われたらどうしよう…と思ったわ…

「おい、お前ら、そこにい……」

『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』発動

とりあえず、周りの魚人どもを斬っては捨て斬っては捨てしていく。
ハチとか幹部には寸剄で意識を奪って両腕を折る程度にしとく。
で、『相対虚空 (ウィ・アーカーシャ)』解除

「る……あれ………?」

「どうだ?捕食者から餌になった気分は?」

「俺は…こんな所で死ぬわけには……」

「いや、お前はこんな所で死ぬ程度の奴なんだよ。こんな所でお山の大将気取って金巻きあげて、弱い者いじめしようとした時点でお前は雑魚キャラ決定だ。」

アーロンをぶん殴りふっ飛ばす。
倒れているアーロンの首を掴み強引に持ち上げる。

「よく、物語で主人公に負けるやつっているよな?自分の為に他者を虐げてきた奴が仲間との信頼とか絆とかを信じる主人公に負けるってやつ。」

そして、叩きつける。
で、頭を踏みつける。

「俺もそういう展開好きだけどさ、まあ、どっちのキャラもアレなわけじゃん?その思いが与える力に差はないと思うわけよ。自分こそ絶対!と思うやつと仲間と一緒なら無敵!的な?俺は多分、前者なんだろうけどな……後者も目指してみたいんだけどな…一応、主人公だしさ。」

またも首を掴み持ち上げる。

「で、何が言いたいのかっていうと用はさ、相手の信念に押された時点で負けなんだよ。自分達が絶対と信じられなくなった時点でな。魚人なんてそんなもんか?」

アーロンの目が血走り、首を持っていた手を掴み、引きはがし、腕に噛みつく。
そして、そのまま噛み切ろうとするが……

「しっかり噛んでろよ。顎砕けても知らねえぞ?」

天衣無縫の極みにより体が金色に光り、百錬自得の極みでそれらすべての光が腕に集中するそして、筋肉も盛り上がり、アーロンの顎を逆に固定する。
そして、こんなもんか…と呟く。

「正直な…こういうキャラじゃねえんだけどな…お前が最初から腑抜けたから慣れないセリフまで使ってやる気出させたんだけどな……さっき言ったあれにちょっと付けたさせてくれ……」

マサヤはアーロンが噛みついた腕をそのまま振り上げ地面に振り下ろし、腕に溜めた気を一気に放出する。
アーロンの歯と顎は粉々に砕け、口は血だらけになり、血走っていた目も今は白目をむいている。

「いくら『思い』が強くてもな、『力』がなけりゃ、何も出来ねえよ……」

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