小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第25話 小さな航海士】





「駄目だ!」

「あんた、女の我儘は聞いてあげなさいよ。」

小船の前で睨みあう金髪の青年となんというか独特な髪型をしている女性。

「ねぇ…駄目なの?」

女性の隣で可愛らしく尋ねる少女。

なんでこんなことになったんだろう……
金髪青年―マサヤは考える。







―数日前

「えぇ…マサヤ、もうどこかに行っちゃうの?」

俺を上目遣いで見つめてくるナミ。

アーロンを倒してから3カ月が経った。

アーロンを倒したすぐ後にネズミ大佐が訳のわからないことを言い出したのでそれを録音し、いつの間にか准将になっていたサヤネにそれを聞かしたり、他の村人の証言もとったりして、彼を監獄送りにしてもらった。
サヤネが直々に来てくれたおかげでスムーズに懸賞金も貰えて助かったし、サヤネやアレグレットに会えて嬉しかった。
ちなみにアレグレットは中佐になったそうだ。
アーロンの懸賞金のほとんどを船を壊された人たちに渡し、残りはベルメールのへそくりにこっそりと足しておいた。

まあ、そうこうしている間に3か月が経ち、そろそろどこかに行こうかなと思ったのでそれをまぁ…あれ以来よく出入りしているベルメール家の人たちに告げたんだが……

「おう。あと、2,3日したらこの島を出ようと思ってる。ナミ、お前、もう人の物盗むんじゃないぞ?」

「寂しくなるなー」

とノジコ。あれ以来、ノジコとも久しくなり、ナミとノジコと一緒に遊んだり、船で近くの島に行ったりしていた。

「マサヤ、私も連れて行って」

「いいよ。」

「って…なんで、あんたが答えるんだよ!」

来るだろうと思っていたお願いと予想もしてなかった答え、つい後者の方に突っ込んでしまう。

「つか、ベルメールさん。あんた、良いのかよ?可愛い娘が危険な目に会うかもしれないんだぞ?」

「いや、あんたがいるし大丈夫でしょ。それにね、ナミの夢、あんたも知ってるでしょ?世界中の海図を描くこと。それがどんなに難しいことなのか…時間がいくらあっても足りないんだから。早くから挑戦しないとね。」

まぁ…ナミに何かあったら許さないけどね…と付け足すベルメールさん……怖い。

「私、マサヤの役に立つから!なんでもするから、お願い連れて行って。」

「駄目よ。ナミ、女の子がなんでもするからなんて言っちゃあ。それは女の子の切り札なんだからね?」

「変なことを教えないでいいから。まぁ、付いてくるのは構わないけど…そんなにちょくちょく、この島に帰ってこれるわけじゃないぞ?1年や2年帰れないのは当たり前だし、もしかしたらもっと長い間、ここには帰ってこれないかもしれないんだぞ。」

そんな軽い気持ちで付いて来られても困るしな…
っていうか、ナミが俺のことをお兄さんじゃなくて、マサヤって呼んでいるのもベルメールさんのせいだったりする。
なんかいきなり、ナミに

「お兄さんって呼んでたら、マサヤと結婚出来ないぞ。」

って言って……それを聞いたナミや、事務処理でこの村に残っていたサヤネやアレグレットまで俺のことをマサヤとかマサヤさんとか呼び始めたんだよな……

まあ…それは置いといて、ナミの覚悟を聞くか……

「うん。わかってる。私、ベルメールさんの娘なんだから、自分の夢を途中で投げ出したりしない。家に帰りたくなる時もあるかもしれないけどそのときは叱ってくれていいから。普段は優しくしてほしいけど……」

「わかったよ。そこまで言うんなら、連れていくよ。よろしくな、航海士さん。」

「うん!」

とナミが満面の笑みを浮かべて答えた。






ってなわけで、ここまでなら良かったんだけどさ……

…なんで、みかんの木そんなに持ってくるんだよ!乗らねえよ!

ただでさえ、そんなに大きくない船なのに……まあ、確かに船内は4,5人くらい、くつろげるくらいのスペースはあるけど、甲板はそんなに広くないし……
海賊船ではないから、そんなに戦闘になることもない気がするが…なんか邪魔だしな……
柑橘類好きだけど…わかるけど……ナミの気持ちもわかるけど……!この船にスペースはないんだ!

で数分間、ナミと見つめ合う。

「………」

「………」

「…………」

「…………」

「熱いねぇ…二人とも」

「「違うわ!」」

「まあ、1本だけならば許す。それ以上は駄目だ。」

これがまあ、最大の譲歩だろ。

「わかった。ありがとー。」

飛びついてくるナミ。よしよしと頭を撫でる。
10歳以上歳が離れてるからな妹と言うより、なんか子供みたいだな……
まあ、俺はそんな歳とってないがな!!!

というわけで、船に木を植えるための準備というか改造を施したので今日、出発だった船出の日は明日の朝に伸びてしまった……





―そして、次の日の朝、

「ナミー!元気でねー!」

「うん!私、頑張るー!」

「マサヤー!ナミを頼んだよ!」

「おう!任しとけ!」

「ナミちゃん!がんばれ〜」

「マサヤさん、ありがと〜」

ってな感じでたくさんの人に見送りしてもらい俺達はコノミ諸島を出た。







「マサヤ、頑張ろうね?」

「ああ、でも、その前に…」

「……?」

「旅をするんなら、ちょっとでも強くならないといけないから…特訓するぞ」

「特訓?」

「あぁ、だから今から、アマゾン・リリーっていう場所に行くぞ。」

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