小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第33話 ナミの探検 後篇】





(SIDE マサヤ)

「とうとうここまできたか……まぁ…予想はしてたんだがな…」

と言いながら、額に浮かぶ汗の粒を濡れたタオルで拭ってやる。
上気した顔が少しだけ楽そうな顔になった…そんな気がする。

「………なんか風邪の時の女性っていいな……特にこいつは……」

「……何、人が風邪で寝込んでるのを見てしみじみと言ってんだよ。私の苦しんでる姿がそんなにおもしろいか?」

「いや、面白いじゃなくて…可愛いなって」

潤んだ目でいつも通りの調子で話すナゴミ。
これもなんか新鮮でいい……普段が普段だからたまに見せるこういった姿に凄く可愛く感じるのだ。

「きゃ〜、興奮した鬼畜変態に襲われる〜。」

「……ったく。静かにしろよ、病人が。いくら、今のお前が可愛くて興奮しても病人は襲わねえよ。」

「ハンコックには襲ったのに?差別だ〜。上気した顔、潤んだ目、汗を吸って少し透けた服……最高のシュチュエーション……いたッ…」

―ポコン―

と軽くナゴミの頭を叩く。

「襲ってねえよ。お前も見てたろ?」

「ニョン婆に聞いたんだけどさ…風邪って空気感染しないみたいなんだよな。」

ニヤニヤと笑うナゴミ。

「あぁん?」

「しかも、相手は風邪とかにかなりの抵抗力のあるお前…それなのにうつされるとはどれだけの唾液を交換したのやら……」

まぁ……ナゴミの言うとおり…かなりの数のキスを交わした結果、ハンコックが治るのと入れ替わるように俺が風邪になってしまったわけだが……

「どれだけ多く見積もっても、お前よりは少ない。」

俺が風邪になってハンコックが飛ぶように島に薬草を取りに行って、その間、ナゴミが俺の看病をしてくれたんだが……まぁ……その結果、今に至ると言うわけだ。

「いや、だってさ、普段生意気なお前が熱でうなされて大人しくなってるところを見るとさ……なんか、こう……母性本能?がくすぐられてさ」

「いや……あの時のお前はそんな感じじゃなかった……まるで獲物を前にした……って、いてぇよ……病人が人を殴るな。」

「せっかく、私が風邪をうつされてやって治してやったっていうのに…そんなこと言うんだ……私、悲しいわ……私はあんなに真剣に……」

よよよ、とわざとらしく泣く真似をするナゴミ。

「えっと……あのさ……さっき、お前が言ったことってさ今の俺にも当てはまるんだよね……」

「え………?」

まぁ…このままこんなことしてても体調良くなるはずもないしな……ちょっと黙らすか……別に誘惑に負けたとかじゃないからな……ナゴミ蕩れなんて思ってなんかないからな!

俺はナゴミに近寄り、ナゴミの耳を両手で塞ぎながらキスをする。

「……んちゅ…あむっ…ちゅる……はぁ……ん…はぁ……はぁ…」

「ちょ、ちょっろ……なにするぅ…んだよ。」

元々、赤かった顔がさらに赤みを増し、ふやけてナゴミの呂律が回らなくなっている……可愛い……
俺はハンコックの時と同じように布団の中に入り、ナゴミを抱きしめる。
なにか、ナゴミが言ってるがそんなことは無視して子供をあやすように頭を撫でる。
耳をふさぎ外の音を遮断することによって舌が絡み合う音や喘ぎ声等が頭の中に響きわたって威力アップ的な感じなんだけどちゃんとナゴミにも効果があったみたいだ。

「はぁ……はぁ……、いきなり、何するんだよ?殺す気か?」

「いや、大人しくしてもらおうと思ってな……」

「んなエロイキスされて大人しくなるわけないだろ?馬鹿かお前は。心臓破裂するかと思ったわ!」

「そりゃ、困る。お前には早く元気になってもらわないと…俺の気がおかしくなるからな。」

「……なるほど…そりゃ、良いこと聞いた。」

と俺の軽口にニヤリと笑って反応して、ナゴミは俺の顔を見る。そして…

「なぁ……マサヤ、因果応報って言葉知ってるか?」

と言い、俺の耳を塞ぎ、顔を近づけてくる……

「ちょ、お前……やめろ……今、それ…されたら………」

「知らん。悶え死ね……」

段々近づいてくるナゴミの唇、俺はもう抵抗することをやめ逆にナゴミの耳を塞ぐ。
ナゴミも一瞬驚いた顔になるがすぐに微笑み俺の口に唇を………

「……ゴホン。ナゴミ、マサヤ。薬じゃ。」

「「ッ!」」

二人して声のする方に振り向くとそこには顔を真っ赤にしたハンコックがいた。

「無粋な真似をして済まぬ……じゃが、このまま放っておけば二人が止まらん気がしたんじゃ……ナゴミ、これを……」

と俯いて薬をナゴミに渡すハンコック。
どうやら怒ってるんじゃないみたいだ……よかった……
ナゴミもハンコックから薬を受け取りそれを一気に飲み干す。
それを見て、ハンコックは

「そ、それじゃ、わらわは帰る。くれぐれも無理はせんようにな。」

といいそそくさと出ていこうとするハンコックに向かって俺は声をかける。

「ハンコックもこっちにおいで。」

と俺の隣、つまりナゴミの逆側を指しハンコックを招き入れる。

「…え……でも……」

「まぁ、いいって。私たちのハーレム王が呼んでるんだ……それに、せっかく薬持って来てくれたのにそのまま何も話さずに帰らすっていうのもなんか心苦しいしな。」

とナゴミも少し寄り、ハンコックが入れるだけのスペースを作る。
そして、俺の横にハンコックが入り、3人川の字になり天井を見上げる。

「そういえば……マサヤとナゴミは何をしていたのだ?」

「ああ……耳をふさいでキスをしてたんだよ。」

「耳を?」

「おう、耳塞がれてキスされるとなんか音が頭の中に響き渡って凄く興奮するんだ……」

「……そうなのか…」

凄く興味がありそうなハンコック。
というかこっちを見つめるな………

「や、やってみる?」

「……え?でも………」

とナゴミをちらっと見る。
そりゃ、そうだ。人の部屋でしかも、病人の前だしな……

「ああ、私は気にしないからやれよ。」

とニヤニヤしながら言うナゴミ。
これ……絶対、何か企んでるよな……まぁ……いいやとハンコックの耳を塞ぎ、俺はハンコックにキスをする。

「…んっ…ちゅ…ちゅ…んむっ…ちゅる……はぁ…はぁ………これぁ、しゅ…ごぃ…」

と真っ赤になり、ぼーっとするハンコック。
ナゴミはそれを見ながらニヤニヤして爆弾を落とす。

「な、凄いだろ?マサヤはいったい何処でこんな技を身につけたんだろうな?私もハンコックも初めてされたのに…」

「……え…マサヤ?」

なるほど……そうきたか……
真っ赤に呆けていたハンコックが正気に戻り、こちらを見つめる。

「そ、その……マサヤ、最初に言ったが…私のことを真剣に思ってくれておるのならわらわはマサヤが誰を好きになろうが構わない……だが、その時は教えてほしいのじゃ。」

と真剣な顔をして言ってくるハンコックと後ろで声を殺しながら笑っているナゴミ。
まぁ……別に後ろめたいことはないからいいけど…ちょっと悔しい。

「え〜っと、そういうのじゃないから。他に好きな人ができたらちゃんとお前らには言うし…隠れて何かするつもりもない。今回のキスはな……先日、ナゴミにされたんだよ……」

「え?私、そんなんしてないぞ?」

「耳を手で塞いでなくてもお前、俺の上に乗っかってキスしてきただろ?あれで枕に俺の顔が半分ぐらい埋まって………あぁ、なんだ…この敗北感……」

「あ〜、なるほど…だから、お前、ずっと呆けてたんだな。通りで大人しいと思った……」

とナゴミはケラケラと笑う。
ちきしょう……仕返しできたと思ったのに……

「そ、そうだったのか……すまぬ。わらわは…あなたを……」

「そんなの気にすんな。それよりさ……」

しゅんとしているハンコックを慰め、話題を変える。
まぁ…いつかは言おうと思ってたからいい機会だしな……

「……ん」

「ナミを鍛えてくれてありがとな。」

俺は1週間程前のことを思い出す。








―1週間前、名もなき島にて

「えいッ!」

ナミが飛びかかってくる狼に棒を叩きつける。
狼はキャンと鳴き、飛ばされる。
ナミの周りには数匹の狼が取り囲み様子を見ている所だ。
飛びかかってくる狼を躱しそこに覇気を込めた一撃をたたみこむ。
まぁ…武装色の覇気はまだまだだが、見聞色の覇気はなかなか様になっていると思う…

と俺は倒れている狼たちに回復薬を飲ませ、よしよし、と撫でてやる。
狼たちは気持ち良さそうな声を上げ、俺に擦り寄りぺろぺろと顔をなめてくる。

「あははは、くすぐったいってやめろよ。お前ら」

狼とじゃれつく俺。
ニョン婆がここは危険はないと言っていたのはこういうこと。
つまり、この島の動物達はとても大人しいのだ。
人にも良く懐くし、良い子たちじゃないか…たまに例外というか凶暴なのもいるらしいのだが…
ってなわけで、今、じゃれつこうとして飛びかかってくる狼を棒で殴ってるナミが動物虐待をしているようにしか見えない俺がいる。

「お〜い。ナミ、もう許してやれよ。こいつら良い奴だぞ〜」

「だって!こいつら、私のファーストキスを……」

そうなんだよな…島に上がってこいつらがすぐにやってきて、襲ってくるのかなと思ったんだけど…そういった敵意を感じないから俺は見てるだけだったんだが…いきなり、ナミに飛びかかって押し倒して、顔を舐めたんだよな。
で、ナミが悲鳴とともに拳を振り上げて……今に至ると……

「まぁ…気にするな。動物とのやつはノーカンだ。少なくとも俺は気にしない。」

「ぅぅぅ……ほんと……?」

「ああ、ほんとだ。だからな…早くハンコックのために薬草探そう……」

「………うん。」

で、島中を歩き回ったんだが見つからない。
確かニョン婆は丘の上にあるとか言ってたはずなんだけどな……

「なぁ……お前らこの草がある場所知らない?」

「わかるはずないよ。…だって、狼だよ?」

さっきからずっと、俺達の後をつけてきていた狼たちに聞いてみる。
一応、1本だけ余っていて、これだけの量じゃ薬は作れないからって、見本としてもらってきたものを狼たちの前に出す。
狼たちはカゼナオル草の匂いを嗅ぎ、そして、俺達の前を歩きだす。
それをじっと見ていると振り返ってこっちを見てワゥっと鳴いた。
どうやら、ついてこいと言ってるみたいだ。
なんでやねん!とナミが突っ込みを入れているがまあ、そっとしておいてあげよう。
この世界はそんなことばかりだ、強く生きろよナミ………





で、狼たちに連れられてきたのは最初俺たちが船を降りた場所の近くにある崖のような場所だった。狼たちはその岩の壁をじっと見ている。

「ん……」

俺もそれを見てみると、それは大きな岩を積み重ね壁のようにしたものだった。
つまり、この先に道があるってことか……

「ナミ、これ壊せる?」

と危ないから狼たちを下がらせ聞いてみる。

「やってみる……」

とナミは棒を持ち、構える。そして……

「はッ!」

―カァン!!―

岩に棒を叩きつけるもそれを壊すことはできず、ナミの持つ鉄の棒は折れてしまった。
そしてナミも手が痺れてしまったようでなんかうずくまっている。
とりあえず、フォローしといて狼たちと一緒に下がらせ、双撞掌 拡で岩を破壊していく。
周りに破片とか飛び散らせないように天使のように繊細で、悪魔のように大胆に破壊しつくす。
すると、丘へ続く道が現れる。

「うわぁ…凄い。」

ナミと狼たちも驚いてるが別に大したことじゃないと思うしな……いつかお前もできるようになるよと言って俺達は先に進むことにした。






で、しばらく歩いてると急に狼たちが何かに向かい威嚇しだした。
俺も、狼たちの向く方を見てみるが…なんかいた……
ゴリラとサメが合体したような身体はゴリラで頭はサメみたいな。
背びれとかも付いてるしなんか気持ち悪い。とりあえずサメゴリラと呼んでおこう。
…多分、違う島から泳いできたんじゃないだろうか…で、ここら辺を巣にしていたと…
とりあえず、水タイプっぽいから電気タイプの技が効きそうなので…
折れた鉄の棒を両手に持ち構えるナミに

「ナミ、十万ボルト!」

「え?何?」

……ああ、まだ出来んかったよな…サンダーボルト=テンポとか……つか、武器がねえもんな……しゃあねぇ……俺はブレスレットをはめ、
俺は雲に電場を生じさせ、その電界強度を限界値以上(空気の絶縁の限界値)に上げ、電弧によるフラッシュオーバーさせる。まぁ…簡単にいえば雷を起こすってことだね。

―ドーン!―

雷はサメゴリラに直撃する。
雲の規模からして50万Vくらいかな?
まあ、水タイプであろうとなかろうと喰らえばお陀仏だろうな……

「ヤハハハハハ……塵と砕けよ!……って駄目だなこの喋り方。それに……」

今回は何とか相手に当てられたけど…やっぱり、命中精度が大雑把過ぎるんだよな……
答えを出す者(アンサートーカー)を使えば出来るかもしれないけど面倒+チートだしな……もう少し、形になってから名前付けるか……
俺はそう考えながらブレスレットを外す。そして、

「ナミ、さっきのが10万ボルトだ。いつかはお前も……」

「できないよ!それより、マサヤ、あそこにあるのってカゼナオル草じゃない?」

「そうだな。早く取って帰ろう。」

ナミが指さす先、サメゴリラのいた先には一面、カゼナオル草が生えていた。
俺は狼たちに礼を言い、カゼナオル草を摘んでいく。
そして、ナミの成長を喜んでいた。
戦闘面ではまだ、二、三、注文をつけたいところもあるが、精神面の成長は凄いと思った。
狼の群れに囲まれても物怖じしない所や人型で魚という魚人を思い出させるような動物を見ても即座に戦闘態勢に入り気遅れしていなかった所、俺が岩を壊せと言った時もまず、挑戦してみせたところなど自分に自信が付いており、凄い進歩が感じられた。
まぁ……あんまり、精神面で強くなられたら萌えポイントがなくなるんで勘弁してほしいが今のところ順調に成長してくれてるなと安堵する。
なんか、子どもの成長を見守る親の心境だ。

「ナミ」

「なに?」

「強くなったな……」

「え……そう?」

俺はナミに近付き頭を撫でる。くすぐったそうに笑うナミ。

「そうだな。もう少し鍛錬を重ねたら一緒に旅に出てみるか?」

「え!本当?」

良く考えたら、九蛇海賊団の海賊船って遊蛇が引いてるし近海を通る船を襲うぐらいだしな……あんまり航海の勉強にならない気がするしな……
それに偉大なる航路のようなイレギュラーな気候の場所で経験を積ませるより、東、南、西、北の海で基礎の勉強をした方がためになると思うしな……よし!決めた。

「本当だ。まぁ……いつになるかは気分次第だけど、近いうち、お前を連れて旅にでるよ。」

「やったー。」

満面の笑みを浮かべ抱きついてくるナミ、その姿は本当に嬉しそうで俺もいつの間にか笑顔になってた。







「マサヤ?…………マサヤ?」

ハンコックが心配そうに俺を見ている。
ヤバ……回想に浸り過ぎた……

「ああ、ちょっと眠くなってな……」

とりあえず、誤魔化しとく。
ナミの成長が微笑ましくて…とかいったら横のがロリコンとかシスコンとかうるさいだろうしな……

「…って、ここは私の部屋だぞ。しかも、お前、真ん中で堂々と寝ようとしやがって…」

ごもっともです……でも……

「まぁ、いいじゃん。たまにはこうやって三人で寝るのもさ。俺は幸せだぞ」

「わ、わらわも幸せじゃ。」

「……ったく…ここで一人だけ不満言ったら自分がなんか凄い我儘言ってるような気分になってくるからな……まぁ、今日だけだぞ?」

と三人で身を寄せ合って眠る。
旅に出ることになったらこんな平穏で幸せな日々は当分お預けになるからな……今のうちにたっぷり、満喫しとくか……
というわけで俺は幸せな気持ちのまま眠りについた。


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