小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第34話 親友との再会 1/4】





波に揺られている船の中、俺は周りを見渡す。
不機嫌そうな顔をしているナミとそれを面白そうに眺める少女。
ワールフレン・リディア―肩にかかるくらいのウェーブのかかった黒髪と端正な顔立ちがとても魅力的な子である。
そんな子がニコニコ笑っているのを俺は眺める、目の保養にはとてもいい状況である…が

「あぁ…あいつの女じゃなけりゃ、完璧なのに………」

NTL趣味もないから手に入らないものが身近にあるってのも……なんだかなぁ………

とぼやいてから船外の様子を見てくると言って甲板へ出る。

とりあえず、あの空気……ナミの発する不機嫌オーラから逃げたかったので外に出て何をするとか考えていなかった……
実際、旅の準備も出来て、いざ、故郷の海に!って時に突然、横槍を入れられたんだもんな…不機嫌になって当然か………

「でも、まぁ……俺にとっては嬉しいことではあるんだけどな……トモヤか…」

と呟き、遥か遠方の海の先を見つめるマサヤ、その声音や表情には昔を回顧している雰囲気が感じられる。

「にしても…いきなりだよな……」

ナミみたいにこれからの計画を邪魔されて不機嫌に……てな感じにはならなかったけど驚いたのは確かだしな……まさか…現実世界の知り合いがこの世界に来てたとは………

「様子はどうですか?何か見えましたか?」

「いや、何も…ただ、トモヤに会うのも久しぶりだなぁ…ってな」

「そう…。後、数時間もすれば到着するはずだから楽しみにしていてくださいね。」

と優しく微笑むリディアからはまるで穏やかな海のような包容力を感じる。
歳は同じぐらいのはずなのに頼れる年上の女性のような……自分の周りにはいない雰囲気を持っている人なのでとても新鮮だ。

「それをトモヤは…………」

なんなんだろう……この気持ちは…嫉妬?妬み?

客観的に見ればマサヤも人から羨ましがられるような状況なのだがそれには気付かず、マサヤはそのモヤモヤ感と共にリディアと出会った数日前のことを思い出していた。。









「「お邪魔しま〜す。」」

風邪が治ってから約1年が経った今、俺とナミはシャボンディ諸島のシャッキー'S ぼったくりBARに来ていた。

「あら、いらっしゃいって、マサヤじゃない!久しぶり〜。ってその子誰?……可愛い子ね。子供?」

「違うっての…第一、誰との子なんだよ?てかこいつは……」

「ナミといいます!よろしくお願いします。シャッキーさん。」

「良い子ね。よろしくね、ナミちゃん。じゃあ、ナミちゃんはマサヤの妹なの?」

「いいえ、最初は妹だったけど今は違います。」

「へぇ〜」

といい、ニヤニヤとこちらを見るシャッキー。

「はぁ……はいはい。説明するから、その笑みをやめなさい……」


(数分後)

「な〜んだ、そういうことだったんだ。まぁ…頑張ってね、ナミちゃん。」

「はい!」

とまぁ、ナミとのこれまでの経緯を説明した後、俺達はカウンターでオレンジジュースを飲みながらくつろいでいた。

「で、いつまで、ここにいるの?」

「ああ、こいつのための新しい本の購入とか旅資金を稼ぎに来ただけだからね、数か月くらいで出る予定。だから…」

「わかってるわよ。悪い海賊の情報でしょ?」

「ああ、助かる。」






ということで、シャボンディ諸島周辺で海賊狩りを始めてから1カ月程経ったある日のこと。

「はぁ、ほふぁにふぁいふぉくいふぁいふぉか?(なぁ、他に海賊いないのか?)」

「あんた、物飲み込んでから喋りなさいよ。」

シャッキー'S ぼったくりBARのカウンター席で軽食を食べながら俺はシャッキーに問いかける。

現在、ここにいるのは自分とシャッキーだけ、ナミは船をコーティングしている所が見たいらしくレイリーについていっているし、ここに来る客…つまり、海賊たちはマサヤが片っ端から狩ってしまっているので当分はこの状況も続くだろう。

「…ん、ゴクッ。新しい情報とか入ってない?」

「ないわよ。この一か月でこの辺の賞金首はほとんど狩ったでしょ?」

「ん〜、まぁ、そうだけどさ。前に比べて懸賞額低いのばっかりでさ……」

「仕方ないわよ。あの頃は大海賊時代の始まったばかりだったしね…今もその熱は冷めてはいないけど昔みたいに1億超えの大物がそうそう出てくることはないんじゃない?」

「だよな〜。」

「で、あんたが来てから1週間程で金狼が帰ってきたっていう情報がこの島の近辺に広まったみたいだし…賢い海賊とかはそもそも近づかないだろうしね。」

そう…最近ではこの島(諸島)にやってくるのは命知らずな馬鹿ばかり……
最初の方はそういうやつ相手の方が遠慮なしに暴れられるし、反応を見るのが楽しかったからよかったのだが…それも回数をこなすうちに飽きてきて…なんというか、ゲームで報酬の低いクエストを何度もやるような作業ゲー化してきていたからなぁ……そろそろ潮時かもしれねえな…

「じゃ、予定よりかなり早いけど…後、数日くらいでここを出るかな……」

「そう?また、寂しくなるわね。まぁ……お客さんは増えるからそっちの方がいいのかもしれないけど」

と笑いながら言ってくるシャッキーに客じゃなくてカモだろ?と突っ込みながら俺は席を立ち店から出ようすると

「あぁ…そうそう……そういえば、最近、町であんたのことを探してる女の子がいるんだってさ。」

「ん?女の子?海軍の?」

シャッキーが突然思い出したようにさらっと重要なことを言った。

サヤネかな?でも、アレグレットやサヤネなら電伝虫から連絡してくれればいいしな……ナゴミ、ホノミ、ハンコックも同じ理由で違う…よな?…

「さあ?軍服やコートは着てなかったみたいだし普通の子だったみたいだけど。」

「う〜ん。誰だろうな……もしや……俺のファン?」

「違いますよ。」

―カラン―

俺のボケに否定の言葉と誰かが店に入ってきた音がしてそちらを見てみると女の子が立っていた。
とても優しげな雰囲気を出している人である。

「え〜っと、誰?」

「私はワールフレン・リディアと言います。今回、マサヤさんに会いに来たのは……」









ってな感じだったな…リディアとの最初の出会いは。
で、リディアの話を要約したとこによると、俺の親友――暁(アカツキ) 智也(トモヤ)が俺をよんでいるらしい。
しかも、向こうは王国の王様になってるらしい。
そして、一番大事なのはリディアはトモヤのものであるらしいということ…………

なぜ……あんな奴にこんな良い女が……

「見えてきましたよ。あれが私達の王国―レデュス王国です。」

と馬鹿なことを考えているとリディアが振り返り、まだ肉眼で見えるか見えないかぐらいの距離にある島を指さし説明を始める。

レデュス王国は市街地や城を巨大な城壁で囲った国であり、城壁には数々の仕掛け、またその周りにも罠が仕掛けられており、この世界で一番強固な守りを持つ国と言われている……らしい。

「……ほぅ……」

「わぁ……凄い…」

船が進み、島全体が見渡せるようになると俺とナミは共に驚きか感嘆の声を上げる。
なんというか、島自体が巨大な要塞のような……
一部、壊れている所もあるのだが…それは、後継者争いの際に壊された部分で今は修理中であるとのことだ。

「あっ、人がいるよ。」

ナミが指さしている所―港の周辺にはたくさんの兵士が俺達を迎えるように立っていた……のだが……

「あれ……なんか様子がおかしくね?」

「そうね……何かおかしい……というより……」

「って……やべえ!」

何か、兵士達の様子に疑問を持ちながらもどんどん港に近付いていっている俺達に向かって弓を構えてくる兵士達………そして……

―ビュン―

矢が一斉に放たれる。

「ナミ!盾を出してくれ!!」

「うん!」

ナミはポケットからブレスレットを取り出し、それをはめる。
そして―

―キィーン―

船の前面を取り囲むように大きな半球が現われ、それが向かってくる全ての矢を弾き返す。

アマゾン・リリーから出ると決めた時からナミに渡していたブレスレット―タテタテの実の能力である。

タテタテの実―その名の通り、盾を作り出す能力を持つ超人系の悪魔の実である。

まだまだ、能力の制御は未熟ではあるが覇気を伴っていない矢ぐらいであれば弾き返せる。

「リディア、ちゃんと連絡はしてるんだろ?」

「ええ。伝書鳩と伝電虫の両方で連絡してちゃんと返事も貰っているわ。」

「ということは……俺達を試してるってことか……」

「ええ。多分、そうね…あの人のやりそうなことだわ。」

まったく……同感だ。

「でさ、あんたはどうすんの?元々、向こう側の人間だし…」

「この状況であの人が私をマサヤさんの元に寄こしたってことはあなた達の手伝いをしてあげなさいってことだろうし……私の仕事はトモヤの前にあなたを連れてくることだし手伝うわ。」

とニコッと笑うリディア。
なんというかナゴミみたいな実力的に背中を預けられる戦友的なものとは違う種類の安心感を感じながらも対応策を考える。
自分達の実力をはかるために使われてる兵達を爆発させるのはさすがに可哀想だしな……等と考えてると

「マサヤさん。私達から一番近い位置にいる兵士さんに出来れば打撃系で100mくらい吹っ飛ぶくらいの威力の攻撃してください。」

「ok」

となんかすげぇ細かい注文をつけてきた。
そうこうしている間にも船は港まで後30mくらいの位置にまで来ている。
これなら拳弾(ファウストパトローネ)の射程圏内だ。
俺は身体の内と外で気を練りながら

「ナミ!港まで15mの位置に来たら、防御球を解除しろ。あと、それまでのカウントも頼む!」

「うん!29………23……」

とナミに指示を出す。
ナミもそれに従い、港までの距離のカウントダウンを始める。


「…20……目標地点まで5…4…3…2…1…ゼロ!!」

「拳弾(ファウストパトローネ)!!」

―ドンッ―

高密度に凝縮された気が一番近くにいた兵士に直撃する。
気は兵士に当たった瞬間に爆発し中に溜められていたエネルギーの衝撃により兵士の身体を破壊しながらはるか遠くふっ飛ば…………さなかった…

――ドサッ、ドサッ、ドサッ――

兵士はその場に倒れ、その隣にいた兵士もまた、その隣といった風にまるでドミノ倒しのように周りの兵士たちが倒れていき、最終的には目に見える範囲の全ての兵士が倒れた。

「2、3発は必要かなと思っていましたけど……流石、トモヤさんの親友ですね。」

と朗らかに言ってくるリディア。

「さっきのは?」

「私の能力です。私は、超人系、リボリボの実の能力者、分割人間なんです。」

とピースサインをしながら説明してくれるリディア。
それを見て、この子も戦闘中は性格が変わる子なんだろうか……まぁ、可愛いから許す。
と親指を突き立てるマサヤであった。

-35-
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