【第35話 親友との再会 2/4】
「ありがとう。助かったよ。」
「いえいえ。」
リボリボの実:人が受けたダメージや衝撃などを他の人に分けることができる。自分が受けたダメージを人に移すことはできないが治癒時間を長くすることにより怪我の度合いを下げることができる。(例えば、骨折して完全に復活するまでに半年かかるものを打撲1年という風に)
また、それぞれのダメージをひとつにまとめることもできる。
らしい……結構、特殊な能力だと思うけど強いよな……
戦略兵器型の能力だよな…戦場で使ったら滅茶苦茶強いじゃん。
逆に1対1ではあまり、能力のメリットはなさそうだけど……
等と考え、俺はリディアに感謝の言葉を伝える。
そして、後ろを振り返り、
「ナミ、お前もありがとな。」
「うん!」
とナミの頭を撫でる。
ナミは気持ち良さそうに目を細め気持ち良さそうに目を細めてされるがままになっている。
思う存分ナミの頭を撫でまわした後、俺は振り返りダメージに悶え苦しんだり気絶していたりする兵士達を見ながらリディアに問いかける。
「で、この後なんだけどさ…あと、兵士たちはどのくらいいるんだ?他にお前みたいな能力者は?」
「最近、王位継承戦争が終結したばかりだから…今、動かせる兵士の量は多分この10倍ぐらいかな……。」
なるほど……大体、旅団規模というわけか……結構面倒だよな…
「あぁ…でも、町や建物、城壁の修繕にも兵士達が使われているはずだから、兵士たちが襲ってくるとしても後1回で数は今回と同じぐらいの人数になるんじゃないかな」
「なるほど…でも、なんで最初からこんな自由に動かせる兵の半数をここで……」
まぁ、相手が足場の不安定な船にいる時がチャンスといえばチャンスだけど…それなら最初から全員つぎ込めばいいわけで……
トモヤの性格から……考えられるとすれば……
「……あの野郎…」
絶妙な兵の数やそれにあわせたような俺への使者(リディア)の能力……
つまり、あれか?自分の女の自慢か?なんかムカついてきた……
俺は少し考えた後、右手の甲を見つめ心の中で語りかける。
―ハクっち、お願いがあるんだけどさ。ナゴミをここに連れて来てくれない?―
ハクっちは白蛇のことであり、いつまでも白蛇っていうのはなんかあれだからとあだ名をつけたんだがそのまますぎるよなぁ……等と考えていると頭の中に白蛇からの返答がきた。
『あぁ、それは別に構わんのじゃが……ナゴミは今、ホノミと……』
―じゃ、ホノミも一緒でいいから―
『そなた…人の話を……まぁ、いいじゃろう。後で我に文句を言っても知らんからな』
という呆れたような返事と共に目の前が光り出す。
―そして、光が収まったその場所には…二人の少女ーナゴミとホノミがいた。
ただし、全裸で………
……なるほど…入浴中だったってわけか…
―ハクっち、ナイス―
なんて思ってると鉄拳が飛んできた。
「いたたた…………」
殴られた場所を擦りながら俺は城下町の中を歩く。
「ったく……お前が非常識なのはわかってたけど…時と場合をわきまえて行動しろよな…」
「まぁ、それは悪かったって言ってるじゃん。それに、恥ずかしがることはない二人とも素晴らしい……」
「……まだ……反省したりないのか?」
「マサヤお兄ちゃんの…エッチ……」
まぁ…あの後、はよくあるテンプレのごとく、俺と目のあったホノミは混乱して悲鳴を上げ、ナゴミはそれよりは落ち着いていたけど怒りながら俺に殴りかかり……
というわけで、俺は二人に謝り倒して現在に至ると……ちなみに二人は今、俺の船にあった予備の服(よくナゴミ達を連れてアマゾン・リリーの近くの島に行くことがあったから置いてた)を着ている。
「そういえば……あんた、何処かで会ったことあったっけ?」
とナゴミは振り返り、リディアに問いかける。
リディアは小首を傾げ、
「……いいえ、初めてお会いしたはずですが……私も懐かしさというか…何かを感じますね。」
と答えた。
ナゴミ達が現われた時や俺とナゴミのじゃれ合い?を見た時はさすがにびっくりしたような顔をしていたのだが、それ以降は俺達を生温かい視線で見ていたのだ。
「そういえばさ……」
「はい?」
「さっきの話の続きなんだが…」
「あぁ、私以外の能力者ですね。私とトモヤさんを除けば、能力者は後、2人ですね。その二人も私と同じように指令を受けて他の国に行っていて今はいません。なので……」
能力者は他の国に偵察というか勉強に行っており、その中の1つの国がアラバスタらしい…まぁ、人口1000万人以上の大国だしな…なんか参考になるのかもしれんしな………
で、今、あいつの近くで護衛をしているのは無能力者の2人らしいんだが…当然、覇気持ちで先の2人と同じくらいの強さらしい。
「ふ〜ん。でさ、リディアとトモヤって………」
「リディア様、お待ちしておりました。」
結婚してるのか?って聞こうとしたんだが…いつの間にか城門の前に着いていたらしく、門番がリディアに向け敬礼している。
「トモヤ国王の命より、国王のご友人をお連れしました……」
「ご苦労様です。これから入城手続きをしますので……」
「ねぇ…」
「何?」
「マサヤの友人って本当に凄い人だったんだね…」
「いや、俺もびっくりしてる…まさか国王になってたとは………」
現在、入城の手続き中みたいで門番達が忙しなく動いている、電伝虫で連絡を取ったり、リディアに何かを書いてもらったり…なんというか……あいつの性格とは正反対ぐらいの厳重さだな………
身なりや立ち振る舞いからしてもリディアはそれなりの身分だと思うんだけどなぁ…
ってそういえば……王女様とか言ってないから結婚してないのかなぁ……
「マサヤさん。準備ができたようなのでいきましょう。」
「了解……じゃ、行こうぜ!」
と俺は門をくぐり、まっすぐ、城の中に入ろうとしたのだが……
「マサヤさん、そっちじゃありません。トモヤ国王は闘技場で御待ちのようです。」
と門をくぐって右にあるコロッセウムっぽい建物に俺達を誘導するリディア。
…まぁ……そうだよね…城の中で暴れられたら困るだろうし……うん…まあ、間違ってはいないけど……
「ぷっ、ふはははははは」
「こら、ナゴミ笑うな……他の奴も!」
ナゴミだけじゃなくホノミやナミも笑っている、リディアも声を出してはいないがニコニコとこちらを見ている。
違う違うんだ…これからの決戦に向け皆を和まそうと………っていいや…なんか虚しくなってきた……
それにしても…これは……恥ずかしいわぁ……
と呟きながらマサヤはリディアに続いた。
「ようこそ!わが友よ!」
リディアの案内で闘技場に入った瞬間、声をかけられたがそれを無視して闘技場内を見渡す。
アマゾン・リリーにある立派な闘技場とは異なり、どちらかというと野球場みたいな感じの構造になっている。
まぁ、こっちの方が戦いやすそうだしな…俺はこっちの方が好きだな……
「おい、こら!無視すんな!お〜い!」
「なぁ、ナゴミここで戦ってみたくね?」
「だよな。アマゾン・リリーのあの棘、邪魔だしな」
…ハンコックに言えば、あの部分埋めてくれるかもしれないけど…何か悪いしな…
などと、トモヤを無視してナゴミと話していると
「おい、コラ!そろそろ怒るっていうか…泣くぞ?この野郎……」
そろそろ、トモヤもいじけそうになってるから答えてやるか…と口を開いたのだが…
「さっきからうるせんだよ!」
「「ええぇえええ!」」
「ったく……マサヤの親友だか何だか知らねえけど、こんな面倒なことしやがって……最初からあんたが港に迎えに来ればこんなとこにくることもなかったのに……偉そうにしやがって……」
俺とトモヤが驚いているうちにナゴミは愚痴というか文句を吐きだしていく。
まぁ…正論だし…口をはさむと俺にまで飛び火しそうなので黙っておく…親友よ…そんな目で俺を見るな……俺の盾となれ…
「そんなに決闘がしたいんなら私がまとめて相手してやる。かかってこいよ!」
「ちょい待った!普通、あれじゃね?久しぶりに会った親友同士が……」
「黙れ」
「…………」
なんだろう?この扱いは……
「尻に敷かれてやがんな〜マサヤ。」
「……いや、いつもはもっと素直で可愛いんだけどな…」
「惚気か?この野……」
「……マサヤ、私はあのふざけた奴と闘う。お前はそいつの右にいるやつ、ホノミ…お前も手伝ってくれるか?」
「うん……」
「じゃ、左の奴を頼む。……マサヤ、これが最大の譲歩だ。」
「…はぁ…ったく…ありがと。………」
―チュ―
とりあえず、ナゴミにキスしてからトモヤに
「まぁ…今回は俺に免じて友情の殴り合いはなしってことで……」
と言って、戦闘準備をする。
ホノミも同じように前に出て、準備をしている。
「…ホノミ、ヤバくなったら言えよ。助けてやるから。」
「うん。」
さぁ、今回は前座だし、なんか釈然としないけど我が愛するお姫様の為に頑張るとしますか……