小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

【第36話 親友との再会 3/4】






(SIDE マサヤ)

「あぁ…、やっぱ、高い所っていいな、爽快感があるわぁ……ってあれ?」

ここはレデュス王国の城の屋上。
真下を見ると城内の広場で宴会をしている様子が見え、遠くを見下ろしてみるとこの国の人たちの生活の明かりがイルミネーションのように綺麗に彩られている。
―つまり、絶好のポジションというわけだ。

まぁ…それを狙ってここに来たわけじゃないだけどな……無駄に酒を勧めてくる親友から逃げ出し、迷わないように適当に上に上に……と歩いていたらここに着いたというわけだ……そして、そこには先客がいた。

「よっす、そんなとこで黄昏てどうしたよ?」

先客―ナゴミに向けて俺は明るく問いかける。

「あ?別に黄昏てなんてねーよ。ただな……」

「あの話のことか……」

あの話というのは俺達とトモヤ達との決闘が終わった後、お互いの情報交換を設けた場で話したこの世界に関する話なのだが………まぁ…いろいろと衝撃的な内容だった……

「それ以外に何があるよ?」

「ですよね〜」

「あのさ……」

「ん?」

「私がもしお前を………」

と言って、口を閉ざす。
俺はいつものようにふざけることもなく彼女が口を開くのを待つ……
そして、暫く無言の時が続き、ナゴミは決心したように口を開き……









(SIDE ナゴミ)

マサヤとホノミの戦いが終わった。
相手は能力者ではないので純粋な技や力の戦いになった。
マサヤはいつも通り、相手の土俵に乗って、ムカつくぐらい変態的な力と技で相手のそれを凌駕し、
ホノミは技術では向こうの方が上手であったが基本性能の高さで押し切り、勝利した。

「次は私の番か……」

なんで、自分が敵の総大将と闘うことになったのか……今になって思うと不思議なんだよな……
確かに突然、ここに連れてこられて怒っていたのは本当のことだったのだが……それだっけじゃない気がするんだけどなぁ……
マサヤへのこいつの慣れなれしい態度が気に入らなかったから?………それって嫉妬?……んなわけないよな………

私は頭を振り、足元に落ちている石を拾いトモヤに投げつける。
当然、トモヤはそれに反応し、飛んできた石を携帯している剣で叩き落とした……が…剣はその直後、音を立てて砕け散った。

別に石をとてつもない速さで飛ばしたわけでもなく、剣の当たりどころが悪かったわけでもない……答えは自分の能力を知っている者であればすぐに察知するであろう……
デスデスの実の能力―攻撃を当てた者に死を与える、戦術兵器の最終形といえる能力。
その概念を物(石)に纏わせそれを飛ばしたのだ。

とりあえず、狙いは二つ、まずは相手の武器を破壊し素手同士の戦いに持ち込むこと、二つ目は相手に自分の能力を知らせ、警戒させることである。

そして、その狙いは見事達成された。
相手の件は壊れ、顔色も余裕があった物から真剣味を帯びたものに変わった。
ってことでこれから本番である。

「さぁ、やろうか!」

私は闘技場の真ん中あたりに向かって勢いよく飛ぶ、着地の際に砂埃が上がる。
それとほぼ同時にトモヤも地を蹴り、私の元へ………

「…なッ………」

消えた……と思ったら、私の後ろに何やら気配を感じ、振り返る。
そこにはトモヤが傷だらけになりながら自分から少し離れた場所に立っていた。
そして、倦怠感に気づき自分の身体をみると右腕にはブレスレットが付けられていた……









(SIDE マサヤ)

「あいつ、あんなチート能力を……」

マサヤは肘をつきながらナゴミの戦いを観戦する。

…予想ではあるがトモヤの能力はレンと似たようなもので『時を止める』系の物だろう……
二人の動きを見逃さないようにレンの能力で反射速度等を限界まで上げていたのに、それでも気づけばトモヤはナゴミを挟んで反対側の所にいた、しかも、ナゴミに多分、海楼石のブレスレットであろう……を付けていたのだから……

もちろん、ワンピースの世界の常識によりレンとトモヤの能力は別物だろう。
レンがこちらの反応・反射、身体、体感速度等を上げ、逆に相手のそれらを極限まで下げ相対的に時を止める疑似時間停止なのに対し、多分、あちらは時そのものを止める絶対時間停止だろう……

ま、それに傷を与えられたナゴミも凄いとほめるべきだろうな。
最初、闘技場の真ん中に飛んだときは馬鹿かと思ったんだけど、あれは死の概念を込めて巻き起こした砂埃で自分の身を守るためであり、それらが自分達を傷つけないためであろう……砂埃は小さすぎて敵を殺すほどの概念を込められなかったみたいだが相手に傷をつけることはできた。
最初はそんなこと考えもしなかったのに、ステロール島の一件から本当に変わったよなあいつ……

と思いながら隣を見る。
隣にはリディアが試合を観戦しているのだが……その手にはトモヤと同じような傷がついていた。

「まぁ…そういうのがありなんなら……ナゴミ!どうせ見えないんだったら思いっきり突っ込んでぶん殴れ!」

俺を信じろと言う風に親指を突き立て叫ぶ。

「うるせえ!言われなくても……」

と言って、ナゴミはトモヤに向かって飛びこむ。
それに対してトモヤも身構え……

―ドンッ!―

トモヤは吹き飛んだ……
リディアも飛びかけたが俺が受け止めて観客席に横たわらせる。

そして、トモヤを吹っ飛ばしたナゴミも驚いたように立ち尽くす。

何が起きたかって?
まぁ、俺…いや、レンが邪魔しただけなんだけどね。

最近、気付いたことなんだが悪魔の実の能力者は能力を用いるときに無意識に気を扱っている。
特に自然系はその気が重要になってくる。
例えば、自分のラジラジの実で光で人を攻撃するとする。
人への座標、軌跡を気で決め、それを光が伝って相手に当たる。
まだ、確認してないから全てそうだとは言い切れないが火も氷も同じであろう。

で、ネタばらしなんだが……
最初、トモヤが時を止める前に彼の前に気でできた小さな球が現われていた、それが再度、俺がトモヤを見かけた時には無くなっており、彼の周りには飛び散った気の破片が舞っていた。

それらから時を止める時間は球を出してからそれが割れるまで、イメージ的には気の球の中に時を閉じ込めて時を止めるみたいな感じなのかな?
自分で言ってて、いまいちよくわからないけどそんな感じだと思ったので球が現れた瞬間にその球が割れる速度を最大限に早めたわけだ。

時を止めるのを止める(ややこしい)ことはできないけど止められる時の長さを短くすることならできる……そして、止められる時の長さが0に限りなく近くなれば時は止まっていないのと同じことになる……

で、それでトモヤが驚いている内にナゴミがトモヤをぶっ飛ばした。
……でリディアが吹っ飛んだのはトモヤのダメージや衝撃を半分受け取っていたから………Q.E.D. 証明終了

「ナイス!よくやった!ナゴミ」

と俺はナゴミを闘技場の中に迎えに行った。






(SIDE ナゴミ)

「君達のコンビネーション、信頼関係には驚かされたよ、僕に証証にこのバッチを………」

「いらねーよ!何の役に立つんだよ!?それ!」

「え〜っと…レベル……」

「あ、そういえば、リディアさん。身体大丈夫?」

「あ、はい。おかげ様で……ありがとうございました。」

「いや、いいって。可愛い子を助けるのは男の義務ですから!」

「……って、お〜い…また、無視ですか〜?」

「うるせえ!もう、挨拶終わったんだからそろそろ飯くれ!」

目の前をマサヤとトモヤが話しながら歩いている。
その後ろを私やホノミ、ナミ、リディアが続いている。

「まぁ、そうしたいのも山々だが…今日、お前が来るって知ってたから宴の準備してるからまだ、ちょっと待たないといけないんで、その間にこの世界についてちょっと話をしたいんだが……」

「そうだな……俺もそれは話そうと思ってたんだが……」

と言って、マサヤはこちらを見る。

「ナミ、ホノミ、俺達はコイツとちょっと話するから、城でも案内してもらうか?」

「「うん。」」

「私はどうすればいいんだ?」

「ん〜…まぁ、話し合いに参加したいんなら来ればいいし、城の中を探検したいんならナミ達についていけばいいよ。」

「わかった。」

ということで私はマサヤについていくことにした。












(SIDE マサヤ)

で、俺達は立派な応接間に連れられ、高価そうな紅茶を飲んでいる。

「で、マサヤ、ここに来てから何をして何を感じた?」

「まぁ、俺はこの世界に来てから、海賊狩りながら適当に暮らして気が向いたら旅やって……って感じで大したことしてないんだが…何っていうのかな……この世界ってちょっと、不思議というかな……」

大海賊時代だけのせいとは言えないけど…海賊がいるせいで文明の発達が遅れているのも確かだと思う。
国同士の争いであれば、ある種の競争であるためその間に技術が進歩することもあるが、海賊は一部を除いて物を奪い、気にいらない奴を殺し、荒らすだけ……
それが約20年続いている、文明が進まないわけだ……
海軍ももう少し必死に海賊を締めあげればいいのになぁ…と思ったこともしばしば……

元々、ワンピースの世界自体が結構際どいバランスで成り立ってるからそれをなんとかして壊さない限りこの状態は続くんだろうな…とは思う。
よって、マリンフォード頂上戦争は良い悪いは別としてこの世界にとって大きな影響を与えていたんだな…と思う。

まぁ……それはこの世界に来る前から思ってたことで、自分がこの世界に来て思ったことはこの世界は完全なワンピースの世界とは違うということ。

自分が日頃から使っている無我やリアルシャドーというこの世界にない技が使えることやショップの存在など…そして、この世界のキャラとしては強すぎる裏ボスの存在……

と俺はチラっと隣に座るナゴミを見る。
初めて、会った時、なんてチート能力だよ!?と驚いた記憶が甦る。
まぁ、あれは自業自得かもしれないが…原作のどのキャラよりも強い、問答無用に与える死という能力……その後に現われた、何でも願いを叶える白蛇やクリス等……どう考えてもおかしい能力を持つものたち……まぁ、ゲームとしては正しいんだろうけど………

「………まぁ…俺がやったことと思ったことはこんな感じだな。」

「…ふ〜ん。なかなかこの世界をエンジョイしてんだな、お前。俺なんて……結構、大変な目に会ってたっていうのに……」

「…国王だもんな……王位継承戦争とか聞いたけど大変だった?」

「そりゃあ…な。まぁ、そのおかげでまだ小さいがこの世界に一石を投じる力を得られたからな…あと、この世界の仕組みもな……」

「なに…?」

とトモヤは一度、リディアの方を向き、すぐにこちらに向き直り、

「この世界は自称:神が作った『羽を持つ者』の為のゲームなんだ。」

「……………」

……what?

「…いや、嘘じゃないから。ちょっと、リディア説明変わって。」

「はい。マサヤさん。説明の為に先に言っておきますが私はこの世界の人間ではありません。あなたやトモヤさんと同じプレイヤーの一人です。」

「え…?じゃあ、リディアさんもゲームから……」

「いえ、私はマサヤさんの世界の人間でもなくて……私は悪魔なんです……そして、そこにいるナゴミさんも………」


-37-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




Portrait.Of.Pirates ワンピースシリーズNEO-DX ボア・ハンコック
新品 \13280
中古 \9500
(参考価格:\7140)