小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第38話 世界の復元システム】






(SIDE ???)

「”歴史の本文”が読めるだって……?」

何かの待合室のような部屋で男と女がソファに座って机を挟み、向かい合っている。

「ええ。」

「どういうつもりだ?俺は一応、政府側の人間だぜ?歴史の本文の探索、解読は死罪…知らねえわけじゃねえだろ?」

男は顔面に横方向の傷が付いており、左手にはフックが付けられている。
一方、女の方はまだ少女といえるぐらいの若さであり、短めの黒髪で可愛らしいけど活発そうな顔をしている。

「ええ…でも、クロコダイル……あなたにとって必要でしょ?私のこの知識は」

「ああ?」

「古代兵器プルトン……」

「てめえ……どこでそれを……」

―サラサラ―

とクロコダイルは身体の一部を砂に変えながら少女を睨む。
少女はそれに動じた様子もなく。

「そんなことはどうだっていいじゃない?必要なのはお互いの利益じゃない?」

と何処から出したか巨大なガラスを出す。
その中には大量の液体が入っている。
クロコダイルはそれを見て身体の砂化を止め、笑いだした。

「クハハハ!そうだな。気に入ったぜ、嬢ちゃん。願いはなんだ?」

「真実の探求……それだけよ。」

「クハハハ!いいだろう……これから俺とお前は共犯者だ。」

「ええ、よろしくね。」









(SIDE ????)

「お頭!!!!」

ここは船の上、詳しく言えば、海賊旗は左目に3つの傷があるドクロで船首が龍のような形の海賊船。
ここまで言えばわかると思うが赤髪海賊団のレッド・フォース号の船上である。

現在、そこにはとても異様な光景が広がっていた。

甲板の真ん中には赤髪の男が膝を付いており、その足元には大量の血が水たまりを作っていた。
そして、その男―シャンクスの目の前には無表情で剣を持っている少年が何も言わずに立っている。

―バンッ―

銃声は一つだが3方向から撃たれた銃弾を少年は見ることなく剣で叩き落とす。

「なんて野郎だ……」「くそッ…」「………」

床に倒れた状態から発砲したベン・ベックマン、ラッキー・ルウ、ヤソップが驚きの表情を浮かべる。

船上のあちらこちらに船員が倒れており、戦闘が出来そうな者は数えるほどしかいない……

少年はそのままシャンクスを少し見た後、シャンクスに背を向け、レッド・フォース号につけていた自分の小船に乗り込み去っていった。

「お頭!船医!早くこっちに!」

少年が去っていった後、船員がシャンクスの元に集まり、治療を始める。
シャンクスは左腕が切り落とされ、身体中にも切り傷がつけられていた。

「なんだったんだ……あれは…」

「わからねえよ…」

「なんか…夢を見ているような感じだった…」

「ああ、それも思いっきりの悪夢をな…」

船員が口ぐちに騒ぎ出す。

「お前ら、今はそれよりも船の被害の状況や怪我人の有無を確かめろ!」

と言いながら、ベン・ベックマンは考える。

いきなり剣を持って船に乗り込んできた少年。
別に油断していたわけじゃない。
例え、相手が女子供でも舐めてかかるような奴はこの船にはいない。
なのに………この有様だ。

自分を含め、船員達があっという間に倒され、飛ばされ、叩きつけられ……
お頭のシャンクスでさえ、たった5分ぐらいで地に膝をつけられた………

「ったく……何が起こってるんだ…」

ベン・ベックマンは煙草を咥えながら呟いた。







(SIDE マサヤ)

「王手」

「…………ま、参りました。」

「みたか!升田式石田流の力」

ん?何をしてるかって?
まあ、わかると思うけど将棋だ。

「次は……え〜っと」

「もう、いいじゃん。これで100戦目だしさちょうどこれで戦績まとめて勝負付ければさ」

一日、大体2回ぐらい勝負してたので、ここに来てからもう3か月目になる。
まぁ、種目は殴り合いから始まって、テニスとかバスケとかの球技、将棋や囲碁の知略的なゲーム等、多種多様なバトルだったな。

まぁ、結果は100戦73勝27敗で俺の圧勝なんだけどな。

―トントン―

「マサヤー、終わった?」

「ああ、ナミか?終わったよ。」

「お邪魔しまーす。」

扉を開け、ナミ、ナゴミ、ホノミ、リディアが入ってくる。
ここは、トモヤの部屋。
すなわち国王の部屋である。
午前中に1回勝負、昼飯を皆でこの部屋で食べてから、午後の勝負…というのが最近の生活サイクルである。

「じゃ、ご飯食べようか?」

トモヤが部屋にある電伝虫で調理場に連絡をする。

「マサヤ、今日から午後は空くんだよね?」

「おう。どした?」

「昼から棒術の特訓に付きあってほしいの!」

「いいよ。でも、今までナゴミにやってもらってたんじゃないのか?」

「いや、私、苦手だし。どうしても途中で徒手空拳になるんだよな」

……いや、どんな状況だよ…

「ナゴミお姉ちゃん、途中で棒投げてるもんね〜」

「いや、それ駄目だろ…」

「うるせ〜、私はいいんだよ」

「ふふふ…」

リディアが俺達を見て微笑む。

「ん?どした?」

「いえ、ごめんなさい。家族みたいで微笑ましくて」

「だよな。ナゴミが嫁でナミが子供でホノミは妹って感じかな。」

とトモヤ。
まぁ、間違ってはいないよな。
ナミは否定してるけど……

―トントン―

「トモヤ国王、お時間はよろしいでしょうか?」

トモヤはこちらを見たので俺はそれに頷く。

「大丈夫だ。入れ。」

「はっ、失礼します。アラバスタに派遣されたブレンダ様から報告書が届きました。……それと………」

と言って、兵士は報告書らしき封筒と新聞?をトモヤに差し出す。

「御苦労。また、用事があれば呼ぶから下がってよいぞ。」

「はっ!」

―バタン―コンコン―

「トモヤ国王、食事を持ってきました。」

出ていった兵士と入れ替わりに食事が運ばれてきた。

トモヤがどうする?と目で聞いてきたので俺はとりあえず、食事を食べることにした。








「……どういうことだ…。」

とりあえず、昼飯を食べ終えた後、部屋には俺、ナゴミ、リディア、トモヤのみ、ホノミとナミには少し席を外してもらっている。

…クロコダイルがバロックワークスを立ち上げた。
まぁ……こちらは非公式の情報であり、ブレンダからの報告書に書かれていた内容である。

まぁ、ロビンがいなくてもクロコダイルはアラバスタを狙っていただろうからそれほど不思議ではないかもしれないのだがなにか違和感が……

「あのシャンクスがね〜……」

そう、それこそ俺が一番、驚いている内容。
赤髪海賊団が何者かに襲われ、船長のシャンクスが左腕を切り落とされたというニュースだった。

「これってさ……」

「うん。」

「この世界の(復元)システムが元の歴史に戻そうとしてる?」

ワンピースの世界…それも原作が始まる前でシャンクスにそれだけの痛手を負わせられる奴なんてほとんどいないだろ。
それができる奴なんて白ひげやミホークみたいに名が知られているはずだしな……
まぁ、黒ひげみたいに名を隠してるやつもいるんだろうけど少数だろうしな……

「多分、そうだと思います。そして、そのシステムが私達の目的のカギになるものだと思います。」

『悪魔』の目的はこの世界を壊すことだからな……
今回の復元システムの動きはこの世界にとってのエラーを直そうとしたわけだからなそれを邪魔してそのままの状態にしておけばさらに歪みを大きくすることができるわけだ。

まぁ…最初から主要人物を殺せば世界を壊せると思うかもしれないがその場合はすぐさまに代替のキャラが作られるらしいのであまり効果はないようだ。
なので、殺すよりも生かす方が効果が高いらしい……

でも……シャンクスの左腕ってそんなに重要度高いものなんだろうか……
ま、いっか………

「そういえばさ」

「ん?」

「お前、ナミ連れてきてるよな?というより……」

「あ………」

アーロンの件でベルメールさんを助けたよな……
それにナミも連れだしてるしな……
アーロンも捕まえたしな。

それがこの世界にどれほどの歪みをもたらすのかわからないけど…
この世界の復元システムによってコノミ諸島の人達に何かしらの影響があると考えた方がいいだろう……
ハンコックは(本人たちにとってはとても重要だろうけど)烙印を消しただけだから…影響は少ない(もしくはない)んだろうけど……

で、今回のバロックワークスとシャンクスの件がほぼ同時期に起きていることから近いうちに……いや、もしかしたらもう……

「……ナゴミ」

「ん?なんだ?」

「お前、ホノミと一緒にアマゾン・リリーに帰って、ハンコックを守ってくれないか?頼む…」

俺はナゴミに頭を下げる。
何も起きない可能性も高いが出来るだけのことはしておきたい…

「馬鹿野郎。私はお前のパートナーなんだから、そんな頭下げなくてもいいんだよ、いつもみたいに気軽に頼めよ」

と笑いながら引き受けてくれた。

「ん、サンキュ。」

俺はナゴミを抱きしめ、お礼を言った。(トモヤに後でからかわれたが……)


俺たちはその後、ナゴミ達を白蛇の力でアマゾン・リリーに戻してもらい、俺とナミは船に乗り、コノミ諸島を目指すことにした。

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