小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第40話 わがまま?(ハンコック編?)】






(SIDE ナゴミ)

「二人とも!無事だったのじゃな?いったい何があったのじゃ?」

私達の姿を見ると心配そうな顔をして急いで近づいてくるハンコック。

「ああ。あの馬鹿のせいでちょっと、旅行に行ってた」

「…?」

私の言葉に首をかしげるハンコック。
同性の私から見ても可愛い仕草だ。

「えっと…ね。私達、マサヤお兄ちゃんに呼ばれたの…それで、ちょっと遠い国に行っていたの…」

私の言葉を補足してくれるホノミ…よくできた妹だ。

「マサヤが…」

「おう、あいつ、私たちが……」

「マサヤお兄ちゃん、元気そうだったよ。」

前言撤回……私が爆弾を投下しようするのをすかさず防ぐ妹……なかなかやるな……

「そうか……マサヤは元気だったか…それはよかった。じゃが、どうやってこの島から……?」

まぁ、このアマゾン・リリーには船は1隻しかないので当然の疑問だろう…
私も実際、目の前が風呂場から見たことのない島に連れてこられた時は驚いたしな……

「えっとね……マサヤお兄ちゃんの………」

「愛の力だ!」

「「え……?」」

キョトンとするホノミとハンコック。
とりあえず、さっきのリベンジは成功だな。

「いいか、ハンコック。愛の力はな、無敵なんだ。マサヤの私達への愛が遠い距離を超えて一瞬にして私とホノミをあいつの元に呼び寄せたんだよ。」

「そ、そうなのか?それは凄い!でも、わらわは呼ばれなかった……」

「…………」

しゅんとするハンコックと呆れたような視線をこちらに向けるホノミ。

「え、えっと、さっきのはお姉ちゃんの冗談で、マサヤお兄ちゃんが私たちにちょっと頼みたいことがあったから呼んだんだよ。それに、マサヤお兄ちゃんもハンコックと話したいとか会いたいって言ってたよ?」

「そ、そうなのか///」

「ね?お姉ちゃん?」

「え、あ、うん。マサヤはいつもハンコックに会いたいとか、ハンコックを抱きしめて○○して△△△して、××したいって……いってぇ……」

―ポカッ―

「もう……お姉ちゃん!」

ホノミに諌められ、気付くと、ハンコックは顔を真っ赤にして茹でダコみたいになっていた。

「………」

「そんな……でも……マサヤがそういうのなら………」

「ハンコックお姉ちゃん!」

―ポカッ―

となにかトリップしてしまっているハンコックにもホノミは突っ込みを入れる。
すると、

「はッ!こうしてはいられない!早く…」

と何かを言いながらハンコックは早足でどこかへ去ってしまった。

なるほど……これが”恋はいつでもハリケーン”ってやつか………

と私は感心しながら彼女を見送った。








(SIDE ホノミ)

「もう……お姉ちゃん、あんなこと言って……ハンコックお姉ちゃんが可哀想でしょ。」

私は走り去っていくハンコックお姉ちゃんを見送りながら、ナゴミお姉ちゃんに抗議する。

「あははは、まぁ…いいじゃん。面白いことになりそうだしさ。」

まぁ、確かにこの後、ハンコックお姉ちゃんとマサヤお兄ちゃんがどんな会話をするのか考えたら面白そうではあるが……
困ったマサヤお兄ちゃんの顔が簡単に思い浮かぶ。

「そうだけど……マサヤお兄ちゃん怒るよ?」

「いいんだよ。今回のお返しだ。カハハハハ」

本当はマサヤお兄ちゃんに頼られて嬉しかったくせに……
本当に……お姉ちゃんは……
と呆れながらも微笑ましく思う。

お姉ちゃんのこんな姿が見れるなんて、いや、お姉ちゃんと離れてからこんな幸せな日が来るなんて思ってなかったから……
大好きなお姉ちゃんとお兄ちゃんと一緒に過ごす日々はとても楽しくて、幸せで…

「ホノミ?ニヤニヤ笑ってどうかした?」

「え?なんでもないよ?」

「ふ〜ん……」

…と、思わず、笑ってしまってたみたいだ……いけないいけない…

誤魔化し方がわざとらしかったのか一瞬、不審げな瞳でナゴミお姉ちゃんは私を見るけど、次の瞬間には気を取り直し、両手を組み大きく伸びをして、

「よし!じゃあ、私はハンコックの近くで待機しとくけどホノミはどうする?」

と聞いてきたので、

「う〜ん…私は、ニョン婆の所に行って最近の出来事とかを聞いてくるよ」

あまり大げさに護衛をしても逆に不安がらせてしまうだけだし……ハンコックお姉ちゃん自身も十分強いし…この島の立地等から考えても、すぐに緊急的な状況になるとも考えられないので私は少し考え、情報収集をすることにした。







(SIDE マサヤ)

「マサヤはわらわを愛しておらぬのか?」

「いや、そうじゃないって…俺はハンコックを愛してるよ。」

……どうしてこうなった…?


いきなり、ハンコックから電話?がかかってきて、まず、一声が「わらわも会いたいぞ」で、まぁ、訳がわからないまま会話を続けてなぜか…現在こんなことになってしまったわけです……はい…

向こうの言い分としては、なぜだかわからないけど、今すぐに会いたいらしい……ほんと、なんでなんだろう…?

まぁ、こういった、わがまま?をすること自体、少ないハンコックであるから叶えてあげたいのも山々なんだけど…ハンコックを守ってもらうためにナゴミ達に帰ってもらったのに、その護衛対象をこっちに連れてくるっていうのもなぁ………

「わらわ達は夫婦じゃ。マサヤ、あなたに我慢なんてして欲しくない。」

「………え?なんのこと?」

まったく身に覚えがないんですけど………

「だ、だから……あなたが…わ、わらわを抱きしめて○○して△△△して××したいと言ってたって……ナゴミさんが……」

「…………」

「そ、それは……わらわも恥ずかしいが、あなたが望むのなら…わらわは…」

「…………」

えっと……つまり、この現状はナゴミのせいってこと?
あの野郎………
まぁ、実際、そんなことをしたいと思ったことも……てか、すげえしたいけどさ………
よかった……ナミが今、買い出しに行ってて。


「…まぁ、とりあえず、それはおいといて…最近、変わったことないか?」

「はい。何も……あ……」

「どした?」

「変わったこと…というほどでもないんじゃが、数カ月前に世界政府から招集があったのじゃ。」

「招集?なんで?というか…行ったのか?」

「いや……行っておらぬ。」

「そうか……じゃあ、内容はわからないか……」

「すまぬ。じゃが、なにやら最近、2億の懸賞金がかけられた双子の少女に関することだったらしい。そやつらが……天竜人を殺めたと………」

「え?マジで?」

「マジじゃ。…聞いた話によると……」

元々、奴隷だった少女2人がシャボンディ諸島で天竜人を殺害して、大将黄猿の追撃を振り切り、逃亡したとのことだった。
凄ぇな……天竜人を殺すだけでもあれなのに黄猿に狙われて逃げ切るなんて……

……てか、双子?ん?……もしかして……

「そいつらってさ、"混沌"のセヴァスト姉妹ってやつら?」

「…そうじゃ。知っておるのか?」

なるほど……
でも、聞く限り、その二人は海賊じゃないよな……
天竜人の話も聞かなかったし……あの時のサヤネの様子から考えると…隠していたというより、知らされていなかったんじゃないかな…
まぁ、公に出来るような内容じゃないしな……天竜人が奴隷…しかも少女に殺されたなんてな………

「つい最近、そいつらの話を聞いたんだが、天竜人の件は全然知らなかった。ありがとう。」

「いや……わらわが行って、もっと詳しい話を聞けばよかったのじゃが……」

とハンコックが申し訳なさそうに……って、あ………
俺は、今更だがハンコックの声が震えていることに気付いた……

…そりゃあ、そうだよな。
天竜人の話を聞いた後にその招集に応じられるわけがないしな……
身体の傷は消えたけど心の傷跡が消えたわけじゃない……迂闊だったな……

「ハンコック、ごめん。ちょっと、目を瞑って」

「目?なぜじゃ?」

「いいから。ハンコックにお礼がしたいんだよ。」

「………?わかった。」


―ハクっち悪いけど……―

『わかった。ハンコックを連れてくればいいんじゃな?』

―おう。頼む―

言い終わる前に事の顛末を見ていた白蛇が意図を汲み取ってくれる。なんて、気のきいた蛇だ……

―ヒュン―

そして、目の前には目を瞑ったハンコックが現われた。
先程の話のせいだろうか…身体が少し震えているような気がする。
それを見て、俺は無性にハンコックが愛おしくなり……







(SIDE ハンコック)

「きゃ……」

目を瞑った次の瞬間に、いきなり、肩に誰かの手が触れる感触がして私は小さく悲鳴を上げた。
突然のことに私は驚き、身体が硬直する。

「いいよ。ハンコック、目を開けても」

そんな私に、先程よりも、近い距離から感じるマサヤの声、そして、手は背中にまわされ、抱きしめられる。
優しく包み込まれるこの感覚……もしかして……と目を開けてみるとそこには

「久しぶり。元気だった?」

と優しい笑みを浮かべた最愛の人が私を抱いていた。

「マ、マサヤ?」

先程とは違った意味で身体が硬直してしまい、動けない。
言いたいことはたくさんあるし、抱きしめてくれるマサヤを抱きしめ返したいのに………

「ごめんな。お前に辛いこと思い出させて……それにナゴミの件でも心配かけてしまって…」

「いいのじゃ、あなたはわらわが辛い時はいつも、こうやって抱きしめてくれる、側にいてくれる…それだけでわらわは幸せじゃ…」

確かにナゴミさんとホノミちゃんが消えた時には驚いたし慌てもした。
先程の天竜人の説明をしている時から抑えようとしているのに勝手に身体が震えてしまっていたが、マサヤが抱きしめてくれるだけで……簡単に治まってしまった。

それを聞いて、マサヤはおどけた風に、やめろよ、照れるだろと言って笑う。
そして、少し真面目な顔になって

「ハンコック、前にも言ったけど無理はするなよ?何か困ったことや辛いことがあったら、すぐに言ってくれ。一緒に分かち合おう?俺達は夫婦だろう?」

「迷惑だなんて思わなくてもいいからな。そりゃ、依存されまくりなのはちょっと、勘弁だが…逆に気を使われ過ぎるのも寂しいしな。」

と言ってポンポンと私の背中を軽く叩く、それは胸の内をすべて吐き出してしまいなさいと言われているようで……

「マサヤ、わらわは………」








(SIDE マサヤ)

「はぁ………」

隣で寝ているハンコックの髪を撫でながらため息を吐く。

あれからしばらくハンコックは俺の胸の中で心の内を吐き出していった。
詳細な内容は言わないが、まぁ……なんというか平等って難しいよな……

というより…俺って周りの人に甘え過ぎなんだよな……
身近にいる人の事を理解した気になって、結局は自分勝手に振り回してばかり……
あれから2年、いや、16年経つのに成長しないな………

「いや……でも、まぁ……」

早い段階でお互いの気持ちを話し合えるようになったのは大きな進歩だといえるのかな?


―でも、やっぱり、そういうあんただから好きになったのかなぁ……―


懐かしい思い出…こんな自分の性格を好きだと言ってくれた人のことを思い出す。


―由香、俺、少しは成長できてるかな?―


俺は君の好きだった俺のまま、人に気を配れるいい男になるために頑張ってきたけど……
と思って天井を見ると


―全然♪女の子と寝ている時に他の女のことを考えるなんて駄目駄目よ―


とからかうような口調で返してくる声が聞こえた気がして……

「ですよね〜。」

と俺は苦笑しながら呟いた。


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