小説『ONE PIECE【changed the course of history】』
作者:虹犬()

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【第41話 平穏を望む者 1/4】






(SIDE マサヤ)

「う〜ん……どうしてこうなった…」

とりあえず、こうなった原因を考えてみよう……
引き伸ばした時間の中で頭を回転させる。
しかし、いくら思考速度を上げてみても答えは見つからない。

とりあえず、飛び火しないように安全な場所から観戦してたはずなんだけどなぁ……

「はぁ……なんで…俺が火元の目の前にいるんだよ……」

目の前の状況を見ながらため息。
これはあれか?好奇心は猫を殺すとかいうやつなんだろうか?

先程、自分がいた場所から一瞬で自分の見ていた場所に移動し、そして、目の前にはたくさんの半透明な球が向かってきている。

「なるほど…ナゴミ達の気持ちが分かった気がする…こりゃあ、驚くわぁ」

言っている言葉の内容とは逆に向かってくる球を見ながら、笑みを浮かべるマサヤは

「さて……これからどうするかな……」

と呟くのだった。









(数時間前)

「…海って…広いよな〜……」

周りは透き通るような綺麗な海、穏やかな波に揺られ、晴れ渡る空を見上げる。
ハンコックをこちらに呼び寄せてから2週間が経過していた。
その間もナミを一旦、コノミ諸島に降ろしてから、その周辺でセヴァスト姉妹を探していたんだが…見つからず、ナゴミやニョン婆に怒られ、ハンコックも2日前にはアマゾン・リリーに帰ってしまった…

「いい景色だけどな……正直、飽きた…」

探しているセヴァスト姉妹は海賊ってことになっているが実際のところ、海賊じゃないしな……海賊旗を船につけているわけじゃないから見つけにくい……

「まぁ、別に見つけなくてもいいのかもしれないんだけどな……」

復元システムを警戒してみたけど…まぁ、ハンコックは特に問題ないみたいだし、コノミ諸島もナミが戻ったおかげなのか、今のところ、何も問題は起きていない……
なら、セヴァスト姉妹はなんなんだろうか……
もしかして……と裏ボスの地図を出してみる。
複数枚の地図が目の前に浮かびあがりその中の1枚が微かにだが反応する。

反応した地図には『自由を望む少女』と書かれていた。

「自由を望む少女?つか、これって動いてね……?」

少しずつではあるが……ビブルカードのように一つの方向に向かって動いていた。
……裏ボス4つ目でやっと気付いたのかよ……俺鈍すぎだろ………つか、今まで効率悪すぎじゃね?

「ってことは…この方向にセヴァスト姉妹がいるってことだよな……今までの苦労と時間はなんだったんだろう……」

と呟き、マサヤは地図が指し示す方向へ船を進めるのだった。






(SIDE ???)

「ルティス、大丈夫?」

「うん。私は大丈夫だから、お姉ちゃんこそ休憩してよ。」

小さな船の中に2人の少女がいた。
右目の下にホクロがある少女ーセヴァスト・アン・リエラは妹を心配し、逆の方向にほくろがある妹―ルティスは姉を気遣う。
どちらも頬は痩せこけ、目の下にはクマができ、体力は限界に達しているのが傍目からでもわかる。

「まったく…人の好意は受け取りなさいって教えたでしょ。あんたは凪の帯で頑張ったんだからゆっくり休みなさい。」

「凪の帯って何週間前のことよ…それに…それから後はずっと、お姉ちゃんが…」

天竜人を殺め、逃走してからすぐに彼女達は凪の帯に入り、グランドラインから抜け出した。
その凪の帯を抜けるため、ルティスは力を使い果たし、3日間寝たきりになってしまったのだ…
その間はずっと、リエラが1人で海賊や海軍、賞金稼ぎから船を守って…現在に至るというわけだ…

「だからそれからは交代で…」

「お姉ちゃん、さっきから少ししか休憩してないよ?そんなに私、頼りないかな?」

「そんなことはないけど……」

リエラはルティスの不満そうな顔を見て言葉を詰まらせる。
ルティスは決して弱いわけではない。
小さい頃に天竜人の奴隷として飼われた時から共に余興で悪魔の実を食べさせられ、芸をさせられ、それに飽きたら猛獣の檻に入れられ戦わされてきた。
時には海楼石をはめられて戦わなければならない時もあったので能力だけではなく素の戦闘能力も非常に高くなっていた。
というより……そうしないと生きていけなかったのだ……

…確かに…あからさますぎたかもしれないわね…

先ほども言った通り、素の戦闘能力も高いので最弱と言われるこの東の海であれば悪魔の実の能力を使わないでも大丈夫と思っていたのだが…

…まさか…自分たちにこんなに多額の賞金がかけられていたとはね…それも私たちが海賊って……

たった2人の少女に2億ベリーという多額の懸賞金、普通の海賊を相手にするよりは与し易いと思ったのか、彼女達を倒し、名を上げようとする海賊達、懸賞金を手に入れようとする賞金稼ぎ等、今週だけでも両手で数えきれない程の襲撃があったのだ。
例え相手の数が多くても一つ一つの襲撃は大したことがないのだが…休む暇もなくやってくる敵…さらにお尋ね者になっているため、じっくりと休める場所もなく、結果、二人は心身共に疲れ果てているわけである。

…それに先日会ったあの海兵達……

海賊や賞金稼ぎ程ではないとはいえ、海軍にも襲われることはあった。
その中でもつい二日程前に遭遇した2人の少女が率いる海軍は別格であった。
何かの能力者なのか自らを剣へと変化させる金髪の少女にそれをまるで舞っているかのように操る紫色のショートヘアーの少女…確か…前者がアレグレット准将、後者がサヤネ少将と呼ばれていたような……
明らかにこの辺りにいるような強さではないので、本部の海兵であろう……そのような強者が自分達を追ってきている事実に気が重くなる…

…こないだ会った海兵みたいなのがこれからも出てきたら…ちょっとヤバイわね……

あまり考えたくないことだが、これ以上、強い襲撃者が増えてきたら、また、ルティスには能力を使ってもらわなければならなくなる……
今の状態の彼女にそのような負担はかけたくないし戦力的な意味でもそれは避けたい……
ルティスの食べた悪魔の実ートリトリの実ー幻獣種 モデル 雷炎の鷲 雷鳴の速さで空を翔け、浄化の炎で全てを焼き尽くす伝説の鳥になる能力である。
確かにその能力の力は絶大なのだが…浄化の炎の発生源はルティスの闘志や怒りなどといった気持ちであり、それを上手く制御できなければ身の周りの全てを破壊尽くし、力を使い果たして凪の帯の時のように倒れてしまうのである。

…だからあんまり…ルティスに負担をかけたくないんだけど…

「………って聞いてる?お姉ちゃん?」

「…え?」

どうやらずっと考え込んでいたようでルティスが何かを言っていたようだがほとんど頭に入っていなかった……

「ごめん。ボーッとしてた……」

「ほら、お姉ちゃんも疲れてるんだからちゃんと休まないとダメだよ。」

そう言って心配そうに私の顔を覗き込むルティス。

「はぁ…わかったわよ……じゃあ、私はもう少し休むから、その後ちゃんとルティスも休むのよ?」

「うん。わかった。」

…自分と似てこの子も頑固だからなぁ…

それにこのまま言い争いをするよりも早く体力を回復させる方が良いだろうと考え、リエラは先に休むことにした。

…まぁ…今日は無人島に船を隠すようにつけているから比較的安全だろうしね…

「じゃ、私は寝るから何かあったらすぐに……」

「その必要はねえぜ!お嬢ちゃん達」

「「ッ!!」」

突然、背後からかけられた声、それに振り向くとそこには眼帯をつけた一人の男が立っていた。
そして、その後ろには海賊旗をつけた大きな船に乗った大勢の男達…すなわち海賊達がいた。

「お前たちが”混沌”のセヴァスト姉妹だな……まぁ…そう身構えんなよ。別に俺達は戦いにきたわけじゃねえんだ。」

と両手を広げてアピールをする男。
デカイ男が両手を広げてもそれに敵意がないことを感じることはできないし、寧ろその逆で警戒心が植え付けられるのだが、そう感じるのは私だけなのだろうか……

「ああ、俺の名前はヨートク。見ての通り、海賊だ。で、本題なんだが…お前等、俺の仲間にならねえか?」

私とルティスは顔を見合わせる。
今までは突然、名乗りをあげて襲ってくる奴らばかりだったので驚いたが、最初から答えは決まっている。
私達に胸踊る冒険の日々や地位や名誉、富なんていらない…欲しいのはごく普通の平穏な日々……だから海賊になるなんて真っ平ごめんだ。
ただ、相手の佇まいやここまで自分達に気付かせずに接近してきたところを見ると相応の実力があると考えていいだろう……だから……

「「断る!!」」

先手必勝。
私達はアイコンタクトをし、ナイフを手に、二手にわかれ、ヨートクに向かって走り出し、攻撃を仕掛けるが…

「…ッ!ルティス!」

「うん!」

ヨートクに近づくにつれ、彼の周りを覆う半透明な球体が見えてきた。
それはヨートクを守るように彼の周りを回転しており…

「そうか…じゃあ、死ね。」

と彼の周りにある球体が自分達に向かって来て……

ーザシュー ードンッー

リエラのいた場所には胸を裂かれた男が、ルティスがいた場所の数十m後ろには胸が陥没して吹き飛ばされた男がいた。
そして、二人は海賊船の中に立っていた。

「ほう…それがお前等の能力か……」

仲間が自分の技によって死んだにもかかわらず、ヨートクが笑みを浮かべていた。

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