【第4話 帰宅】
―サバイバル生活から1年5ヶ月目―
きょうも、むかえこなかった。
もしかして、わすれられてる?
およいでかえりたいけど、ぼく、かなずち、むり。
どうしたらいいんだろう?かみさまたすけて
「じゃねえよ!」
いかんいかん。つい迎えの来ない現状に嫌気がさして幼児退行を起こしてた………
とりあえず、現状としてはリアルシャドーのおかげで拳法、剣術ともにかなりのレベルまで上がってきていると思う。
まあ、相変わらず覇気と無我の境地との違いがわからないのだが…
どっかに手ごろな自然系がいれば殴って効くかどうか調べられるから楽なんだけどなぁ
最後に重力操作であるが単純な扱える重力の増加により小規模なブラックホールの作成に成功し、線の攻撃である『黒空間線』、
薄い円体のブラックホールの作りそれを盾として用いる『黒空間盾』大きな球場の超重力場の中にさらにいくつかの超重力の球体を入れ回転させ相手を引きずり込みすり潰す『重圧監獄 終曲』
『重圧掌 吹』をテニスボールに見立てラケットを用い高速で相手に打ち出す『重力庭球』
等の新技を開発できた。
それはいいんだが……そろそろこの島を出て実戦とか
この世界での見聞を広げたりとかしたいわけなんだが…いつ迎えに来るんだ?
多分、忘れてるかどっかで遭難したかだよなぁ。
とりあえず、あのおっさんを待つのはもうやめて、
ほかの手段―たとえばイカダを作って脱出とか
海賊や海軍の船がくるのを願って待ち続けるとか……
駄目だ。イカダで脱出とか能力者の自分にはリスクが大きすぎる。
後者もいつ来るかというかこの先ずっとこの島に来るかさえわからない。
こんな、目立たない孤島なんかにわざわざ来るような物好きもいないだろうし…
…ん?いや、目立つようにしたら海軍とかが調査に来るかもしれないな…
まあ、俺海賊でもないし島に人がいることが分かれば助けてくれるだろう…
ということで!
「よし!じゃあ、無人島脱出大作戦を開始しますか!」
―サバイバル生活から1年7カ月―
(SIDE ????)
「助かりました。本当にありがとうございました!」
……やっぱり、こいつは末恐ろしい少年じゃ……
にこやかな表情で元気に自分に手を振ってくれている少年を見ながら考える。
彼は世界を動かす人になると――
あれはそう、数時間くらい前のことじゃ…
最近、シャボンディ諸島の近くにある、名もなき孤島の周囲の海に奇妙な現象が起きているという報告を受けその実態を調べるべくこの島へ立ち寄ったのだが到着とともにその現象の原因が現れた。
「すいませ〜ん。助けてくださ〜い。」
「中将、あそこに子供が助けを求めていますが?」
「うむ。儂がちょっと行ってくる。お前らはここで待機しとれ。」
部下にそう言い残し船から降り、少年に近付く、少年も船から降りた自分き気づき近寄ってくる。
「えっと、海軍さんですよね?助けてください。てか、シャボンディ諸島まで連れて行ってください。」
「まあ、それはいいんじゃが…二つほど聞きたいことがあるんだがいいかな?」
「あ、はい。わかりました。俺の名前はカミクラ マサヤ。よろしくお願いします。」
「うむ。マサヤというのか。儂は海軍中将、モンキー・D・ガープじゃ。」
「え…。」
名前を名乗ると目の前の少年は少し驚いたような顔をしたがすぐに元に戻った。
まあ、英雄なんて大げさな二つ名をつけられてるからなあ…
「ところで、マサヤ。お主はなんでこんな島にいるんじゃ?」
「いや、その…海賊に連れてこられてそのまま置き去りにされて1年と半年くらいここでサバイバルしてたんです。」
「なんと!こんな少年を酷い奴らじゃな。まあ、もう安心していいぞ。お主はちゃんと責任を持って儂が送り届けてやる。」
「ありがとうございます。まったくひどいですよね。修行とか言ってこんな島に10歳の子供を放り出すなんて…」
「まったくじゃ…ってちょっと待て!修行ってお主、海賊なのか?」
少年―マサヤの言葉に肯きかけるが修行という言葉が引っ掛かり問いかける。
「いや、俺は海賊なんてなるつもりないしただの一般ピープルです。まあ、知り合いのおっさんに海賊というか元海賊?ってのがいて強くなりたいって言ったら気づいたらこんな所に連れられてたわけなんですよね。あはは」
「なんじゃ、ならいいわい。で、二つ目の質問なんじゃが最近、ここらの海で奇妙な現象が起きているらしいんじゃがお主知らんか?」
「え〜っと、いきなり海に穴が辺り海の上にでかい球状の物が現れて海水を吸いとったりしてるやつですか?」
「おう。多分それじゃ。なにか心当たりはないか?」
少年が言った現象は他の者の証言とも一致している、
間違いないじゃろう。一番近くで長い間見ていたのだ…
なにか気付いたことがあるかもしれないと聞いてみたのだが…
「ああ、あれ、俺の能力です。迎えが来なかったんで助けを求めるためにとりあえず、目立ったことをやろうとしてやってました。−てへッ。」
「……まあ…いいわい。シャボンディ諸島へ帰るとするか……」
…というわけで少年をシャボンディ諸島へ連れて行こうとしていた時に
「中将、前方に海賊船が!旗から『青舌』のストビーと思われます!」
「『青舌』?強いの?」
「まあ、懸賞金9000万のルーキーじゃな。能力者ではないが身体能力が高いのが特徴だったかな……まあ、すぐ済ますからちょっと下がっておれ。」
といいマサヤを下がらせ大砲の弾を手に取り「拳・骨・隕石」をしようと思ってたんだが…
「おっちゃん!ちょっと待って!!……」
とても楽しそうな顔をしたマサヤによって止められてしまった……
(SIDE マサヤ)
拳・骨・隕石 砲弾を投げつけるだけの単純な技?だが本物の大砲よりもはるかに速く飛ばせるという規格外の筋力そして覇気を持つガープだからこそできる技なんだろう…
まあ、それを黙ってみるのもいいんだろうけど、やっと島から出られて実際に懸賞金の掛った海賊が目の前にいるんだ。戦わないとなんか損じゃん?
ということで……
「おっちゃん!ちょっと待って!!あいつら、俺に任せてよ!」
「ん?なんじゃ?お主がやりたいのか?まあ、ええじゃろ!やってみせい!」
なんか、少しは怒られるかなあとは思っていたけどあっさりと許可が下りた。まあ、ガープならこうなるかなと思ってたけど流石だなってことで……
「おっし!さすがおっちゃん!じゃあ、俺をあの船まで投げてくれ!」
「よし!わかった。飛んでいけ!」
ガープがマサヤを掴み『青舌』の船へ狙いを定め投げつける。
そして―
ドンッ!
船員の一人に蹴り蹴りをかまし無事船に足を付ける。
…まあ、少しは狙いが外れて海に落ちたらどうしよう…とか思ってたけど結果オーライだから問題なし!ってことで
「あー、どうもこんにちは。貴方達は主人公の修行の成果の見世物として選ばれましたおめでとうございます!ってことでさっさとやられちゃってください。」
「ふ、……ふっざけんなー!この餓鬼ー!!!」
周りにはたくさんの船員達が自分を囲み襲いかかろうとしていた。
「黒空間線 四重奏!」
マサヤを中心に四方に黒い線が放たれるそしてその後マサヤの周りにいた海賊の全てが胴体を切断され息絶えた。
「おお、結構使えるな。若干、蒸発するのが速い気がするけどその方が周りを巻きこまなくて済むだろうし…そこら辺はおいおい調節していくか……」
「…おい。」
―ブンッ。
「うおッ。危ねえ!」
殺気とともに放たれた剣撃を身を屈め避けながら声のした方から遠ざかり振り向く。
そこにいたのは……
「うわッ、すげえ!本当に青い舌だ!!なんかキモイ。」
「うるせえ!てめえよくも俺の部下をやってくれたな!たっぷりお返ししてやるぜ!」
『青舌』のストビーが怒り心頭といった感じで斬り込んでくる。
それを余裕綽々で避けながらマサヤは考える―
まあ、弱いってわけじゃないんだろうけどなあ…
一応、黒空間線躱してたみたいだしね。だけど……
リアルシャドウでレイリーや若い日のシャンクス、父親、そして…テニスプレイヤー達。
そんな化け物達を相手に1年以上戦い続けてきたマサヤにとって目の前の相手はあまりに役不足過ぎた―
「もう、いいや。終わりにしよう。」
ストビーが剣を振りかぶった瞬間に剣の質量を増やす。
そして、いきなり増えた剣の重さを支えられず大きく後ろに仰け反った身体に―
「重圧掌 打!」
重力球を相手の体に押し付け吹っ飛ばす。
まあ、これでお終いだろう。
死んではないかもしれないがあの技をまともに受けて動けるとは
思えないし、どっちにしろあとはストビーを海軍に引き渡して
金を貰ったら初の賞金稼ぎが達成されるわけだな。
「お〜い、おっちゃん。倒したぞ〜。迎えに来てくれ〜」
とりあえず、疲れたし海軍の戦艦に乗ったらひと眠りするかな……
(SIDE ガープ)
「中将、あの子供一体何者なんですか?」
「知らん!儂に聞くな。直接聞け!」
とは言いつつガープ自身もマサヤが何者なのか気にはなっていた。
『青舌』を自分がやると言った時は少し驚いたがその瞳に映る自信が長年の鍛錬によるものだと感じたのでどの程度の力を持っているのか知りたくなり任せたのだが……
まあ、結果的にマサヤの実力を測ることはできなかった……
相手の『青舌』も良い勘を持っていたし動き自体も悪い物ではなかった。
つまりそんなに弱い相手ではなかったというか
懸賞金通りの実力を持っていたのだが実力差があり過ぎた。
わずか12,3歳で海軍少将級の実力を身に付けているマサヤを見て苦笑する。
―現在の寝顔を見るからには年相応の少年なんだがなあ……
「まあ、とりあえずはマサヤに頼まれたことをやっておくか……」
頼まれたことそれはストビーをマサヤが倒したことをシャボンディ諸島の海軍に証明することと今後賞金稼ぎがしやすいように海軍へマサヤのことを紹介することであった。
まあ、これもしょうがないことであるがたかだか12,3歳ぐらいの子供が1億ベリー近くある賞金首を捕えたといっても信じる者はいないだろう…
なので、誰かがマサヤの強さを証明する必要がある。
そして、それに英雄と呼ばれているガープは適任というわけであった。
まあ、ガープもガープで海軍への勧誘は失敗したが海軍と触れる機会が多くなれば勧誘の機会もまた増えると考えあっさりとこのお願いを了承したのだった。
「もうそろそろ、港に着くな。よし、起こしてやるか………」
(SIDE マサヤ)
目が覚めるとそこはシャボンディ諸島だった。
自分的には初めてなんだけど身体の記憶が〜以下略
で、ガープさんにいろいろと海軍への紹介とかしてもらって港で別れることになった。
「そういえば、ストビーと闘っていた時にお主の身体が発光しているように見えたんじゃがあれも能力か?」
「いや、あれは自分でもよくわからないんですけど、相手が次に何をしてくるかがわかったり、肉体が強化されたりするんです。能力とは全然関係ないんですけどね。」
「なるほど……。まあ、それも修行の成果と言うことじゃな。」
覇気かどうか見てもらいたかったけどそれはまた別の人に身をもって体験してもらうことにしてとりあえず……
「ほんと今回はありがとうございました。今後何か困ったことがあったら言ってください。できることであれば手伝いますんで。」
「そうか、じゃあ、海軍に入ら……」
「それは無理です!」
「まあ、冗談じゃ。だが、入りたくなったらいつでも儂に言えよ。」
とりあえず、海軍の誘いは断りながらあわよくばエース達と会える可能性を増やすために恩返しフラグも立てておく、まあ、実際に感謝してるし恩返ししたいのも事実なんだけどね……
(SIDE ガープ)
船が出航しもう島が見えなくなるくらいまで離れたところでガープは考える。
―助かりました。本当にありがとうございました!―
脳裏に浮かぶのはあの少年の姿。
「12,3歳で覇気、しかも武装色の覇気と見聞色の覇気の2つを使うか………まったく、末恐ろしい少年じゃな…」
彼の成長の仕方次第では今後、海軍の敵になることも味方になることもある。
子供の可能性は無限大なのだから……良い意味でも悪い意味でも……
「だが、どちらにしても……」
あの少年―マサヤがこの世界にとても大きな影響を与える存在になるであろうことをガープは確信していた。